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所得税とは?専門家が10種類の所得税を分かりやすく徹底解説!

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photo by bradleypjohnson

所得税とは、個人の所得に対して課税される税金で日本の税収を支える非常に重要な基幹税です。
所得税はその年の1/1~12/31までの1年間に得た所得に対して計算します。
日本の平成29年度予算の内、約30%は所得税・住民税などの個人所得課税が占めています。それほど重要な所得税ではありますが、消費税とは違い身近に感じづらいものになっています。自分が年間にどれくらいの所得税を支払っているのかさえ知らない方もおられます。それは日本に住むほとんどの方がサラリーマンなどの給与所得者で、毎月給与から源泉徴収され年末調整で税額が確定するためです。年末調整で還付される金額は気にしますが、年間でどれくらいの納税をしたかを気にする人はほとんどいません。
そこで本連載では、所得税に焦点を充てて紹介します。(執筆者:税理士 天谷 翔)

所得の種類と計算

所得税はその収入の形態によって下記の10種類の所得に分類します。
これは収入の形態にあった計算を行うことでそれぞれの税負担能力(担税力)を考慮し、それぞれに公平な税負担を求めるためのものです。税法上では汗水たらして働いて得た年収1000万円と株式を所有しているだけで収入がある配当収入1000万円とでは、担税力が違うとみているわけです。
まず、それぞれの収入形態に応じた下記の所得分類に区分し、それぞれで規定されている計算方法により所得を算出し、最終的に課税総所得金額を算出します。

1.給与所得

給与所得とは、棒給、給料、賃金、歳費及び給与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいいます。サラリーマンの給与やボーナスがこれに該当します。

【算式】
[給与収入金額]-[給与所得控除額(下記表参照)]=[給与所得]
給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
180万円以下収入金額×40%
65万円に満たない場合には、65万円
180万円超360万円以下収入金額×30%+18万円
360万円超600万円以下収入金額×20%+54万円
600万円超1,000万円以下収入金額×10%+120万円
1,000万円超220万円(上限)
国税庁 給与所得控除(平成29年分)

2.不動産所得

不動産所得とは、不動産などの貸し付けの賃料等による所得をいいます。
小規模なアパート経営や駐車場貸しの方がこれに該当します。

【算式】
[賃料等収入金額]-[必要経費]=[不動産所得]

3.事業所得

事業所得とは、自営業により得るものをいいます。フリーライターやフリーランサー、流行りのYouTuberも事業所得者になります。但し不動産所得等、他の所得に該当する場合は事業所得に該当しない場合があります。

【算式】
[事業収入金額]-[必要経費]=[事業所得]

YouTuberで例えるならば、YouTubeからの広告費収入は事業収入に該当し、動画作成に係る費用(パソコンや電気代等)は必要経費となります。

4.配当所得

配当所得とは、株主が受け取る株式の配当や投資信託の分配金による所得をいいます。
上場株式の配当(個人の大口株主を除く)の場合は、15.315%の税率を乗じて計算した所得税及び復興所得税率が源泉徴収されます。

5.退職所得

退職所得とは、いわゆる退職金に係る所得をいいます。

【算式】
[退職による収入金額]-[退職所得控除額(下記表参照)]×1/2=[退職所得]
勤続年数(=A)退職所得控除額
20年以下40万円×A
(80万円に満たない場合には80万円)
20年超800万円+70万円×(A-20年)
国税庁 退職所得控除額の計算方法

退職金は退職後の生活保障を考慮する必要性があること等から、担税力が低いものとされて、他の所得よりも税金が課税されないように退職所得控除を設けたり、他の所得と分離して課税されるなど税負担が軽くなるように配慮されています。

6.利子所得

利子所得とは、預貯金や公社債の利息による所得をいいます。
利子所得は原則として、その支払いを受ける際に一律15.315%の税率を乗じて計算した所得税及び復興所得税が源泉徴収制度により天引きされます。
これにより納税が完結される源泉分離課税の対象とされています。
みなさんの通帳を確認すると利息が入金されていると思います。それは所得税が引かれた後の金額なのです。

7.譲渡所得

譲渡所得とは、土地、建物、株式などの資産の売却等による所得をいいます。

【算式】
[収入金額]-([取得費]+[譲渡費用])-[特別控除額]=[譲渡所得]

土地、建物、株式の売却等による所得は、他の所得とは合計せず、利子所得と同様に分離して課税する分離課税制度がとられています。
分離課税の対象になる土地、建物、株式等以外の売却等による所得は一定の計算のうえ、他の所得と合計されます。   

8.山林所得

山林所得とは、山林に生えた木々の売却等による所得をいいます。

【算式】
[収入金額]-[必要経費]-[特別控除額(最高50万円)]

また、山林所得は他の所得と合算せずに下記の方法で税額を計算し確定申告することになります。

【算式】
([課税山林所得金額]×1/5×[税率])×5

これは、一時的に収入が多額に計上されてしまうという林業の性質を考慮して上記のような特殊な計算方法で、税負担を考慮しているわけです。

9.一時所得

一時所得とは、上記の1~8のいずれにも該当しないもののうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労働その他の役務又は資産の売却の対価としての性質を有しないものをいいます。
具体的には、クイズ番組の賞金や生命保険の満期返戻金などがここに該当します。

【算式】
[収入金額]-[収入を得るために支出した金額]-[特別控除額(最高50万円)]=[一時所]

一時所得はその所得金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合算します。
仮にTVのクイズ番組に参加し、賞金50万円を獲得したとすると収入金額は50万円となります。「収入を得るために支出した金額」の例としては旅費が考えられますが、テレビ局までの旅費をテレビ局が負担した場合には、0円となります。しかし、50万円の特別控除があるので、一時所得は0円となり、税金はかかりません。
また、賞金が50万円を超えたとしても課税対象となるのはその超えた金額の1/2だけと優遇されています。

10.雑所得

雑所得とは、1~9のいずれにも該当しないものをいいます。
年金による収入や着なくなった服をネットオークションで売却した際の利益などがこれに該当します。

【算式】
公的年金等以外のもの: [収入金額]-[必要経費]
公的年金等: [収入金額]-[公的年金等控除額]

税額の計算

日本の税率はその所得に応じて5%~45%の税率が課せられます。
所得が高いほど、高い税率が課せられるようになっています。

課税総所得金額税率控除額
以下
195万円5%-円
195万円330万円10%
97,500円
330万円695万円20%427,500円
695万円900万円23%636,000円
900万円1800万円33%1,536,000円
1800万円4000万円40%2,796,000円
4000万円45%4,796,000円
国税庁 所得税の速算表(平成27年分以降)

 所得税額の計算ですが、例えば課税総所得金額が500万円の方は税率20%が適用されるのではなく、500万円の内、195万円までは5%、195万円超から330万円までは10%、330万円超から500万円までは20%となります。このように課税総所得金額を段階的に区分してそれぞれに合った税率を適用することを超過累進税率といいます。

<課税総所得金額が500万円の場合の計算例>
195万円×5%+(330万円-195万円)×10%+(500万円―330万円)×20%=572,500円と計算できます。
 区分に応じて段階的に計算をする必要があるので、計算がややこしくなりますが、上記の速算表を利用すると、該当する区分の税率を乗じて表の控除額を差し引けば、簡単に所得税が算出できます。
さきほどの例であれば、500万円×20%-427,500円=572,500円と計算できます。

まとめ

所得税はまず、10種類の所得分類に区分してそれぞれの計算方法で所得の金額を算出します。そして、原則として利子所得や退職所得、山林所得、譲渡所得のような独自に税額を計算するもの(分離課税制度)を除いて合計し、所得金額を算出します。その後、所得控除を差し引いて課税総所得金額を計算します。
その課税総所得金額に超過累進税率を適用して所得税を計算することになります。

税金計算は複雑で専門知識も必要となってきますので正しく税金計算ができているか、該当する所得が漏れていないか過去を振り返ってみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者

税理士法人ゆびすい 天谷 翔(あまや しょう)

税理士法人ゆびすい
 天谷 翔(あまや しょう)氏

事務所の紹介(http://www.yubisui.co.jp/)
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
「顧問先さまと共に繁栄するゆびすいグループ」をモットーとして、お客さまの繁栄があってこそ、ゆびすいの繁栄があることを肝に銘じお客さまのために最善を尽くします。
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