• 更新日 : 2025年12月15日

源泉徴収とは?税額の計算方法やフリーランスの注意点をわかりやすく解説

源泉徴収とは所得税法第183条に基づき、給与や報酬を支払う側があらかじめ税金を天引きして国に納付する制度です。この仕組みにより、国が安定した税収を確保し、納税者側も確定申告の負担が軽減されます。

また、源泉徴収の対象は給与所得がある会社員だけを対象としているわけではありません。税法で定められた特定の報酬については、フリーランスや個人事業主でも源泉徴収の対象になるケースがあります。そのため、所得を得る立場であれば、この制度を正しく理解をする必要があります。

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源泉徴収とは

源泉徴収とは

源泉徴収とは、給与や報酬を支払う事業者(会社)が、あらかじめ給与から税金(所得税など)を差し引き、本人に代わって国に納付する仕組みで、所得税法第183条・第190条に基づいて実施されます。この制度があるため、会社員は原則として自分で確定申告をする手間が省け、国側は安定的に税収を確保できます。

人事・会計担当者は、この制度における「源泉徴収義務者」として法律上の義務を負います。

また、源泉徴収された所得税の額と、本来納めるべき金額の差額を調整するため、会社員や公務員は年末調整制度(所得税法第194条)、個人事業主やフリーランスには確定申告制度(※)などの制度が設けられています。

※所得税法で定められた特定の職業に該当する個人事業主への報酬が発生する場合は、支払い側が報酬の10.21%を所得税(復興特別所得税含む)として源泉徴収し、税務署に納付する義務を負います。

源泉徴収税額とは

源泉徴収税額とは、所得税法第183条・第190条に基づき、給与や報酬から支払者が天引きして国へ納付する税金の合計額を指します。 給与明細では一般的に「所得税」や「源泉徴収税」といった項目で記載されることが一般的です。会社員の場合、この毎月の源泉徴収税額はあくまで源泉徴収税額表に基づく「概算」であり、1年間の正確な税額は年末調整によって確定させます。

源泉徴収税額に含まれる税金

源泉徴収税額として給与から天引きされる税金は、所得税法及び復興財源確保法に基づき、所得税と復興特別所得税の2つで構成されています。

  1. 所得税: 所得に対して課される国の税金です。
  2. 復興特別所得税: 東日本大震災からの復興財源を確保するために創設された税で、平成25年(2013年)から令和19年(2037年)まで、所得税額に対して2.1%が上乗せされることが法令で定められています。

源泉徴収の対象期間はいつからいつまで?

源泉徴収の対象となる期間は、その年の1月1日から12月31日までの暦年(所得税法第21条)で、この期間に支払われた給与が源泉徴収の対象となります。

源泉徴収は、労働の実施時期ではなく、給与が実際に支払われたタイミング(支払日基準)にもとづいて行われます。つまり、いつ働いたかではなく、いつ給与が支払われたかが重要です。

そのため、会社の給与制度によっては、月末締めの翌月払いとなっている場合があります。その年の12月に働いた分の給与が翌年の1月に支払われる場合、支払われた給与は翌年の源泉徴収の対象となります。したがって、当該給与は今年分の源泉徴収には含まれず、その年の源泉徴収票に記載されません。

源泉徴収票とは

源泉徴収票とは、その年の1月1日~12月31日(暦年課税単位/所得税法第21条)における)給与や賞与の支払額、源泉徴収された所得税額、社会保険料控除額などが情報が記載された法定調書です。

これは所得税法第226条に基づき、会社が従業員に交付する義務があり、年末調整や確定申告を行う際の重要な書類となります。

源泉徴収の対象となる所得・報酬は?

源泉徴収の対象は、会社員が受け取る「給与」に限られません。所得税法第204条〜第206条により、法律で定められた特定の料金、利子、配当や報酬なども源泉徴収の対象となります。そのため、従業員への給与だけでなく、外部の個人(フリーランスや士業など)に報酬を支払う際も、当該区分に該当するか支払者が確認する必要があります。

また、対象となる所得は、受取者が個人か法人かで取扱いが異なる点にも注意が必要です。

参照:No.2502 源泉徴収義務者とは|国税庁

個人の場合

個人の場合、源泉徴収の対象とされている所得の種類と範囲は以下の通りです。

給与所得
  • 俸給、給料、賃金、歳費(国会議員などが受ける給与)、賞与(ボーナス)など、所得税法第28条に該当する支給項目はすべて源泉徴収の対象となります。

※食事手当・社宅貸与・資格手当などの各種手当も原則課税対象ですが、通勤手当の一定額など、一部非課税枠が設けられている支給項目があります。

報酬・料金
  • 原稿料、講演料、デザイン料など
  • 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  • 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  • ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
  • プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
  • 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
その他の所得
  • 利子(預貯金や投資信託など)
  • 配当(法人からの剰余金の配当など)
  • 退職手当
  • 公的年金
  • 保険契約にもとづく年金 など

法人の場合

法人(会社など)が受け取る所得については、法人税法及び所得税法の体系上、法人は自ら法人税として申告・納税するため、原則として源泉徴収の必要はありません。

ただし、所得税法第212条・第213条などにより、例外的に源泉徴収が必要となるケースがあり、典型例として以下が挙げられます。

  • 銀行預金などの利子(利子所得に対する源泉徴収)
  • 株式などの配当(配当所得に対し源泉徴収方式が適用)
  • 馬主である法人が受け取る競馬の賞金 など

出典:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁

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源泉徴収税額の計算方法

源泉徴収税額の計算方法は、所得区分が「給与所得」か「報酬・料金(所得税法第204条対象)」かによって異なります。

まずは、従業員に支払う給与所得に対する源泉徴収額の算定方法から理解する必要があります。企業では給与計算ソフトを用いるケースが多いものの、国税庁が定める「源泉徴収税額表」に基づいて計算されている仕組みを把握しておくことが重要です。

給与所得の場合(源泉徴収税額表)

従業員に支払う給与所得の源泉徴収税額は、国税庁が毎年発表する「源泉徴収税額表」にもとづいて算出します。

源泉徴収税額表

参考:令和7年分 源泉徴収税額表|国税庁

源泉徴収税額表とは、所得税法第190条および国税庁告示によって定められた税額算定表で、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料など)を差し引いた後の給与額と、扶養親族の数に応じて、源泉徴収すべき税額が一覧になっているものです。

  • 甲欄: 従業員が「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合に使います。
  • 乙欄: 申告書を提出していない従業員や、2か所以上から給与を受け取っている場合の副業先(従たる給与)に使います。乙欄は甲欄よりも高い税額が設定されています。
  • 丙欄: 日雇いの従業員などに適用される区分です。

給与所得者で扶養家族がいる場合、月額表の「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」から社会保険料等を差し引いた後の金額がある行を見つけます。

その金額がある行と、「控除対象配偶者」や「控除対象扶養親族数」などの扶養者数をすべて加えて計算した数字に該当する税額表中の「甲欄」が交わったところにある金額が、源泉徴収される金額となります。

源泉徴収税額表2

参考:令和7年分 源泉徴収税額表|国税庁

たとえば、社会保険料等控除後の給与額が月27万円の場合、国税庁の源泉徴収税額表(所得税法第190条に基づく月額表)のうち、27万円を含む金額が記載された行を参照します。次にその行と「甲欄」の「扶養親族等の数」の「1人」が交差するところにある5,670円が、その月に源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の合計額となります。

報酬の源泉徴収税額の計算方法

報酬の源泉徴収税額は、所得税法第204条および復興特別所得税の規定にもとづき、支払金額に対して10.21%を乗じて計算します。また、1回の支払額が1人あたり100万円を超える場合、100万円を超えた部分の税率は20.42%となります。

<1回で支払う金額が100万円以下の場合>

源泉徴収税額 = 支払金額 × 10.21%

例)支払金額が10万円の場合の源泉徴収税額
10万円 × 10.21% = 10,210円

<1回で支払う金額が100万円を超える場合>

源泉徴収税額 =(支払金額 – 100万円)× 20.42% + 102,100円

例)支払金額が200万円の場合の源泉徴収税額
(200万 – 100万円)× 20.42% + 102,100円 = 306,300円

フリーランス(個人事業主)の源泉徴収と注意点は?

フリーランスや個人事業主へ報酬を支払う際の源泉徴収は、従業員に対する給与所得の計算方法とは異なるため、混同しないよう注意が必要です。これは所得税法第204条で定められている仕組みであり、支払う側(源泉徴収義務者)の計算方法と、受け取る側(フリーランス)が確定申告で精算する方法を解説します。

報酬の源泉徴収税額の計算方法

フリーランスなどへの報酬・料金から源泉徴収する税額は、原則として支払金額に10.21%(復興特別所得税を含む)を乗じて計算します。

この10.21%には、所得税(10%)と復興特別所得税(所得税の2.1%分)が加算したものです。なお、同一の個人への1回の支払額が100万円を超える場合は、所得税法および施行令に基づき二段階の計算方式が適用されます。

支払金額計算方法
100万円以下支払金額 × 10.21%
100万円超(支払金額 – 100万円)× 20.42% + 102,100円

※100万円超の部分にかかる20.42%にも、復興特別所得税が含まれています。

(例)フリーランスのデザイナーに30万円のデザイン料を支払う場合

  • 源泉徴収税額: 300,000円 × 10.21% = 30,630円
  • デザイナーへの実際の支払額(手取り): 300,000円 – 30,630円 = 269,370円

請求書の消費税の扱い

フリーランスへの報酬支払いにおいて、請求書で報酬本体の金額と消費税額が明確に区分されている場合は、所得税基本通達204-5の取扱いにより、消費税額を除いた本体価格のみを源泉徴収の対象とできます。

例1: 区分なし
  • 請求額: 110,000円(税込)
  • 源泉徴収税額: 110,000円 × 10.21% = 11,231円
例2: 区分あり
  • 請求額: 100,000円(税抜)、消費税 10,000円
  • 源泉徴収税額: 100,000円 × 10.21% = 10,210円

実務上の誤徴収や計算差異を防ぐためにも、請求書には本体価格と消費税額を分けて記載してもらうのが望ましいでしょう。

【フリーランス側】確定申告による精算

フリーランスや個人事業主は、翌年に必ず所得税法第120条に基づく「確定申告」を行い、税額を精算する必要があります。(原則2月16日から3月15日)

源泉徴収された税額は、あくまで「所得税の前払い」です。確定申告では、1年間の総収入から経費などを差し引いて正しい所得税額を計算し直し、すでに源泉徴収された金額の合計と比較します。

  • (確定した税額) < (源泉徴収された合計額): 払いすぎているため、差額が還付されます。
  • (確定した税額) > (源泉徴収された合計額): 不足しているため、差額を追加で納税します。

源泉徴収された税額の申告漏れがないよう注意しましょう。

参照: No.2020 確定申告|国税庁

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源泉徴収税額が0円になるケースとは?

給与計算において、源泉徴収税額が0円となるケースがあります。

これは、特にアルバイトやパート従業員の給与処理で見られるもので、「源泉徴収税額 0円」は誤りではなく、国税庁が定める源泉徴収税額表の要件を満たす場合に生じます。

給与が一定額(月額88,000円未満など)の場合

従業員が「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(甲欄)を提出している従業員の場合、社会保険料控除後の給与月額が88,000円未満であれば、源泉徴収税額表(月額表)における税額は0円です。

なお、この月額基準はよくある「年収103万円の壁」とは異なり、源泉徴収はあくまで「月額88,000円」が基準となります。

参照: 令和7年分 源泉徴収税額表(月額表)|国税庁

日雇いの場合

日雇い(丙欄適用)の場合、日給が9,300円未満であれば源泉徴収税額は0円です。

源泉徴収税額はいつ納付する?

源泉徴収義務者である会社や事業主は、給与や報酬を支払った月の翌月10日まで(所得税法第212条)に、その月に徴収した源泉徴収税額を合算して税務署に納付します。

従業員やフリーランスから天引きした税金は、事業者の収益ではなく、あくまで国に納付するまで一時的に預かっている「預かり金」です。

納付には「所得税徴収高計算書(納付書)」を使用し、金融機関や税務署の窓口、またはe-Tax(電子納税)で納付が可能です。

納期の特例(年2回)

毎月の納付事務の負担は大きいため、従業員数が常時10人未満の小規模な事業者の場合、「納期の特例(所得税法施行令第183条)」を申請することで納付回数を年2回にまとめることができます。

所轄の税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し、承認を受けると、納付を年2回にまとめることができます。

  • 1月~6月分: 7月10日までに納付
  • 7月~12月分: 翌年1月20日までに納付

この制度は、資金繰りの管理や事務負担の軽減に役立つ実務的メリットがあります。

参照: No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁

年末調整とは?源泉徴収税額が戻ってくる仕組み

「源泉徴収税額が戻ってくる」という表現は、主に会社員が年末調整(所得税法第190条・第194条)によって税金を精算し、過不足分が調整されることを指します。

毎月の給与から控除されている源泉徴収税額は、あくまで「概算」の金額であり、年間の正しい所得税額は、年収が確定してから計算し直す必要があります。この精算手続きにより、払いすぎた場合は税金が戻ってくる(還付される)ことがあります。

年末調整による精算(会社員)

会社員の場合、1年間の最後の給与を支払う時期に年末調整が行われ、最終的な税額が確定します。 毎月の源泉徴収では反映されなていない生命保険料控除地震保険料控除、あるいは年の途中で扶養家族が増えた場合などを反映して、年間の正しい所得税額を再計算します。

その結果、すでに源泉徴収された金額(前払いした額)が、確定した年税額よりも多ければ、その差額が「還付金」として12月や翌年の1月の給与と一緒に戻ってきます。逆に、不足していれば追加で徴収されます。

給与所得の源泉徴収票はいつもらえる?

以下のケースにより、源泉徴収票の交付タイミングが異なります。

現在の会社に勤めている場合

源泉徴収票は、所得税法第226条(交付義務)に基づき、12月の年末調整が完了した後に発行されるのが一般的です。そのため、多くの場合は12月~1月頃に受け取ることになります。

アルバイト・パートの場合も、正社員と同じく、12月~1月頃に受け取ります。公務員の場合も、1月中に源泉徴収票を受け取ることが多い傾向にあります。

退職した場合

年の途中で退職した場合は、最後の給与が確定してから原則1ヶ月以内に源泉徴収票を交付されます。年末までに源泉徴収票が届かない場合は、前職へ連絡して発行を依頼する必要があります。

再就職した場合

年の途中で再就職した場合、年末調整は再就職先が行うため、前職分の源泉徴収票を、再就職先の会社に提出する必要があります。

前職の源泉徴収票がなければ、再就職先の会社では年末調整ができないため、。届き次第速やかに提出してください。

再発行を依頼する場合

源泉徴収票を紛失しても、交付義務があるため再発行は可能です。発行に時間がかかることがあるため、早めに依頼するのが理想です。

源泉徴収票で税額を確認するには?

源泉徴収票は、「その年に支払われた給与額・所得控除額・源泉徴収された税額」を証明する書類で、所得税法第226条(交付義務)に基づき発行されます。

会社員の場合、年末調整が完了した後(通常12月~翌年1月頃)に交付され、年の途中で退職した従業員に対しては、退職後1か月以内を目途に交付されます。

従業員は、転職する際に次の職場に源泉徴収票を提出します。また、ふるさと納税寄附金控除医療費控除住宅ローン控除の申込みなどで自分で確定申告する際にも、この書類を使います。

給与所得の源泉徴収票

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

ここでは、確定申告で使う源泉徴収票の項目と見方を紹介します。

源泉徴収票

出典:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

① 支払金額

支払金額の欄には、その年の1月1日から12月31日まで(暦年課税・所得税法第21条)に支給された給与や賞与の合計額が記載されています。そのため、12月勤務分であっても支払日が翌年1月の場合は、当年分に含まれません(支払日基準・所得税基本通達183-1)

また、通勤手当が支給されている場合、所得税法施行令第20条に定める非課税限度額が適用され、総支給額から非課税枠を除いた課税対象額のみが支払金額として記載されます。

② 給与所得控除後の金額(調整控除後)

給与所得控除とは、簡単にいうと「会社員の必要経費」と位置付けられるもので、所得税法第28条・第35条に基づき、①の支払金額のうち、法律で定められた一定の金額を支払金額から控除額を差し引く制度です。所得税の計算をする際には、この「給与所得控除後の金額」からスタートします。

さらに、年末調整において子ども・特別障害者等を有する者等については、給与支払者を通じて「所得金額調整控除申告書」を税務署に提出した場合に、所得金額調整控除が適用されます。

②の金額は、この控除の適用者については適用後の金額が記載されます。
また、源泉徴収票内の「所得金額調整控除」欄に金額が表示されます。
なお、給与所得の精算業務である「年末調整」を会社でしなかった場合(年調未済)②の欄は空欄となります。

③ 所得控除の額の合計額

この欄には、年末調整により適用された社会保険料控除や生命保険料控除、地震保険料控除、扶養控除などの各種所得控除後の合計額が記載されています。これらの控除は所得税法第74条〜第83条等で定められた所得控除制度に基づき計算されます。

③も②と同様、会社で「年末調整」をしなかった場合には空欄となります。

④ 源泉徴収税額

この欄には、年末調整を実施した場合、②「給与所得控除後の金額」や③「所得控除の額の合計額」などから計算した年税額(年調年税額、所得税法第194条)が記載されます。

一方で、会社で「年末調整」が行われなかった場合、年間を通じて毎月の給与等から差し引かれた源泉所得税の合計額がそのまま記載されます。

さらに詳しく源泉徴収票の見方を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

源泉徴収の仕組みを理解して正しい納税を

源泉徴収とは、給与や報酬から税金を天引きし、本人に代わって国に納める制度です。毎月の源泉徴収税額は税金の前払いのようなものであり、年末調整(会社員)や確定申告(フリーランスなど)で精算されます。

中小企業の経営者や人事・会計担当者にとって、源泉徴収税額の計算と納付は、毎月の給与計算、フリーランスへの支払い、年末調整において欠かせない業務です。従業員の「給与」とフリーランスへの「報酬」では計算方法が異なります。特にフリーランスの注意点をふまえ、正しい処理を心がけましょう。


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よくある質問

源泉徴収とは?

給与や報酬を支払う事業者(会社)が、給与の支払い時に所得税などを差し引いて納付する制度のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

源泉徴収の対象になるものは?

給与所得のほか、様々な報酬が源泉徴収の対象となります。詳しくはこちらをご覧ください。詳しくはこちらをご覧ください。

フリーランスの源泉徴収で注意すべきポイントは?

復興特別所得税率が加算されることや、請求書の消費税を別にすること、確定申告を行うことなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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