• 更新日 : 2026年9月9日

年末調整(令和8年分)とは?2026年の変更点・必要書類・書き方をわかりやすく解説

Point年末調整とは何をする手続き?

年末調整とは、会社が従業員に代わって1年間の所得税を精算する手続きです。

  • 確定申告との違いは手続きの主体と対象控除
  • 令和8年分は課税最低限が178万円に拡大
  • 扶養親族の所得要件が62万円以下(給与収入のみの場合は136万円以下)に緩和

Q. 令和8年分で年末調整の何が変わった?

A. 基礎控除給与所得控除の拡充で課税最低限が178万円となり、扶養控除の所得要件も58万円から62万円に引き上げられました。

年末調整とは、給与所得者の1年間の所得税額を会社が精算する手続きです。令和8年分(2026年分)は基礎控除・給与所得控除の拡充により、課税最低限が178万円まで引き上げられる大きな改正年にあたります。本記事では、年末調整の仕組みや確定申告との違い、必要書類の記入例、令和8年度税制改正による変更点までを解説します。

年末調整とは何か?

年末調整と確定申告の最大の違いは、手続きを行う主体です。年末調整は会社が従業員に代わって行い、確定申告は個人事業主や一部の給与所得者が自分で行います。

どちらも国に納める所得税を確定させる手続きという目的は共通していますが、対象者・納付期限・適用できる控除項目が異なります。会社員であっても、複数の会社から給与を受けている場合や、医療費控除・寄付金控除を申告したい場合は、自分で確定申告を行う必要があります。

年末調整と確定申告の違い

両者の違いを整理すると次の通りです。

項目 年末調整 確定申告
手続きの主体 会社 本人
主な対象者 扶養控除等申告書を提出し給与の支払いを受けている人 個人事業主、年金受給者、副業がある会社員、医療費控除等を利用したい会社員など
納付期限 原則翌年1月10日まで※納期の特例を採用している場合には、翌年1月20日まで 通例翌年2月16日〜3月15日
申告できる主な所得控除 基礎控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除地震保険料控除社会保険料控除など 年末調整の控除項目に加え、医療費控除、寄付金控除、雑損控除
申告できる主な税額控除 住宅借入金等特別控除(2年目以降)など 住宅借入金等特別控除(初回)、配当控除など

参考:No.2662 年末調整のしかた|国税庁

年末調整の対象となる従業員

年末調整の対象は、扶養控除等申告書を提出している従業員が原則です。1年間勤務した人だけでなく、一定の条件を満たせば年の途中で退職した人も対象になります。ただし、給与の年間収入金額が2,000万円を超える人など、年末調整の対象とならない人もいます。

年末調整の対象となる主なケースは以下の通りです。

  1. 1年間(1月1日〜12月31日)継続して勤務した人
  2. 年の途中で入社し、年末まで勤務している人
  3. 死亡退職した人
  4. 心身の障害により年内の再就職が見込まれない人
  5. 12月分の給与を受け取ってから退職した人
  6. パート・アルバイトで、退職までの給与合計が一定額以下の人(他社からの給与がある場合を除く)

申告書の未回収や、扶養親族・住所の異動漏れがないか、事前に確認しておくことが重要です。なお6の基準額は基礎控除・給与所得控除の改正に連動して変わる可能性があるため、最新の国税庁情報を確認しましょう。

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年末調整の必要書類とは?

年末調整で提出が必要な書類は、基本の3種類に加え、控除内容に応じた証明書類があります。書類が揃っていないと控除が受けられず、従業員の税負担が増えてしまう可能性があります。

すべての対象者が提出する書類は以下の通りです。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書

住宅ローン控除を2年目以降で受ける人は「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」も提出します。

控除ごとに必要な添付書類

控除の種類によって、証明書の添付が必要な場合と不要な場合があります。証明書が必要な控除を見落とすと、本来受けられる控除が漏れてしまうため注意が必要です。

  • 生命保険料控除:保険会社発行の証明ハガキまたは電子データ
  • 地震保険料控除:保険会社発行の証明ハガキまたは電子データ
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo):小規模企業共済等掛金払込証明書
  • 国民年金・国民年金基金:社会保険料控除証明書
  • 配偶者特別控除:配偶者の年間の合計所得金額の見積額を記載する。給与所得がある場合は給与収入から給与所得控除額を差し引いて所得金額を計算する。
  • 住宅ローン控除:給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

なお、医療費控除や寄附金控除、住宅ローン控除の初年度分は年末調整の対象外であり、従業員本人が確定申告を行う必要があります。ただし、ふるさと納税については「ワンストップ特例制度」を利用すれば確定申告が不要になるケースもあります。

年末調整の書類の書き方は?

年末調整書類は記入項目が多く、控除ごとに記載ルールが異なります。ここでは提出書類ごとに、令和8年分の様式に基づく記入例のポイントをまとめます。

令和8年分の扶養控除等(異動)申告書の書き方

引用:令和8年分扶養控除等(異動)申告書|国税庁

扶養控除等申告書には、市町村名や会社名、本人の氏名・生年月日などの基本情報に加え、源泉控除対象配偶者・扶養親族の情報を記入します。令和8年分からは様式が変更され、控除対象扶養親族に加えて一定の特定親族を含む「源泉控除対象親族」を記載する形になった点が最大のポイントです。

基本情報・配偶者の有無

申告書の最上部には、氏名、個人番号(マイナンバー)、住所または居所、生年月日、世帯主の氏名と続柄を記入します。世帯主の氏名は住民票の記載内容と一致しているかを確認しましょう。配偶者の有無は「有」「無」のいずれかに必ず〇を付けます。夫婦とも源泉控除対象配偶者に該当しない場合は、配偶者の有無欄で「有」に〇を付けたうえで、源泉控除対象配偶者欄は空欄のまま提出します。

源泉控除対象配偶者・源泉控除対象親族

源泉控除対象配偶者に該当するのは、本人の給与収入が1,095万円以下(合計所得金額900万円以下)で、配偶者の給与収入が160万円以下(合計所得金額95万円以下)の場合です。

令和8年分から新設された源泉控除対象親族(B欄)には、控除対象扶養親族(16歳以上)に加えて、19歳以上23歳未満で合計所得金額が58万円超100万円以下の特定親族も記載します。

たとえば大学生年代の子どもがアルバイト収入150万円(所得76万円)の場合、令和7年分までは所得58万円を超えるため記載できませんでしたが、令和8年分からは源泉控除対象親族として記載が必要です。この記載により、月々の給与の源泉徴収の段階から特定親族特別控除が適用されます。

控除対象扶養親族は、年末調整をする年の12月31日時点の年齢で判定します。令和8年12月31日時点で16歳以上(平成23年1月1日以前生まれ)が対象です。16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)は所得税の控除対象外ですが、住民税の計算に使用するため、別欄への記載を忘れないようにしましょう。

障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生欄

本人や同一生計の配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合や、本人がひとり親・寡婦・勤労学生に該当する場合は、それぞれの欄にチェックを付けます。障害者控除は16歳未満の扶養親族も対象になる点に注意しましょう。要件の詳細は申告書の裏面にも記載されています。

令和8年分の保険料控除申告書の書き方

保険料控除申告書には、生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金など、給与天引き分以外の保険料情報を記入します。健康保険料や介護保険料など給与から控除されている社会保険料は記入不要です。令和8年分は、23歳未満の扶養親族を有する場合の特例に対応した記載欄が新設されている点が変更点です。

引用:令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書|国税庁

生命保険料控除欄

一般の生命保険料と個人年金保険料の欄には、保険会社等の名称・保険等の種類・保険期間・契約者の氏名・保険金受取人の氏名と続柄・本年中に支払った金額を、生命保険料控除証明書を参考に記入します。新契約と旧契約の区分は証明書に記載されているため、間違いのないよう〇を付けましょう。

令和8年分は、23歳未満の扶養親族を有する納税者が新生命保険料(新契約)を支払っている場合、一般生命保険料控除の上限額が所得税で4万円から6万円に拡大される特例が新設されました。この特例は令和8年・9年分に限定される時限措置で、共働き夫婦で扶養親族が1人でも、要件を満たせば夫婦それぞれが適用を受けられます。介護医療保険料・個人年金保険料の上限や、一般・介護医療・個人年金の合計12万円という上限には変更がありません。申告書の該当欄に扶養親族の有無を記載し、控除額の計算に反映させましょう。

地震保険料控除・社会保険料控除欄

地震保険料控除は、保険会社等の名称・保険期間・契約者の氏名・利用者の氏名と続柄などを、地震保険料控除証明書を参考に記入します。地震保険料の上限は5万円、旧長期損害保険料の上限は1万5千円で、合計5万円が控除額の上限です。

社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除は、支払額がそのまま控除額となるため、証明書に記載された金額を該当欄に転記するだけで完結します。

令和8年分の基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除申告書の書き方

引用:令和8年分 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書|国税庁

この申告書は、基礎控除、配偶者控除または配偶者特別控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除の4つの控除をまとめて申告するものです。令和8年分は基礎控除額の引き上げ等を反映し、控除額の計算表や判定欄の金額が改正後の内容に修正されています。

基礎控除申告書欄

給与所得の欄には、本年の給与収入と給与所得の金額の見積額を記入します。ダブルワークの場合は、それぞれの給与収入を合計して収入金額欄に記入し、副業の雑所得など給与所得以外の所得がある場合はその金額も合算します。

判定した区分(区分Ⅰ)に基づき、基礎控除額の計算欄で該当する金額を確認します。令和8年分は合計所得489万円以下の場合の基礎控除額が最大104万円まで拡大されているため、令和7年分の様式のまま記入すると控除額を誤るおそれがあります。従業員から提出された申告書の控除額が改正後の金額と一致しているか、担当者側でも確認しましょう。

配偶者控除等申告書欄

配偶者の氏名・マイナンバー・生年月日などを記入します。配偶者と同居している場合は住所の記入は不要です。配偶者の合計所得金額の見積額の計算方法は基礎控除申告書と同じです。

令和8年分からは同一生計配偶者の所得要件が62万円以下(給与収入136万円以下)に拡大されました。判定欄の区分Ⅰ・区分Ⅱを控除額の計算欄に当てはめ、該当する金額を配偶者控除の額または配偶者特別控除の額の欄に記入します。

特定親族特別控除申告書欄

特定親族の氏名とマイナンバー、続柄、合計所得金額の見積額、別居している場合は住所を記載します。たとえばアルバイト収入のみで年間給与収入が150万円の場合、給与所得控除額を差し引いた合計所得金額の見積額は76万円となり、控除額の計算表に当てはめると控除額は63万円です。

なお、令和8年分からは扶養控除の所得要件が62万円以下に拡大されたため、特定親族の合計所得が58万円超62万円以下の場合は特定親族特別控除ではなく扶養控除(特定扶養親族)の対象になります。控除の種別が変わる境目にあたるため、記入前にどちらの控除に該当するかを確認しましょう。特定親族が2人以上の居住者の要件を満たす場合でも、控除を受けられるのはいずれか1人の居住者に限られます。

所得金額調整控除申告書欄

所得金額調整控除は、給与収入が850万円を超え、本人・配偶者・扶養親族が特別障害者に該当する場合や、扶養親族が23歳未満である場合に対象となります。給与収入850万円以下の人は記入不要です。要件欄の該当箇所にチェックを付け、扶養親族等の欄を記入します。本人が特別障害者に該当する場合は、扶養親族等の欄の記入は不要です。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の書き方

これは、住宅を購入しローンの支払いをしている人が、2年目以降に年末調整で申告できる書類です。初めて控除を受ける年は確定申告が必須で、その際に税務署へe-Taxによる交付を希望した場合は電子データが、それ以外は書面が、控除を受ける各年分についてまとめて本人に交付されます。

参考:年末調整で住宅借入金等特別控除の適用を受ける方へ|国税庁

記入の流れ

税務署から送付される住宅借入金等特別控除証明書(または電子交付データ)と、金融機関から送付される住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書の内容を照合し、金額に相違がないかを確認したうえで、申告書兼計算明細書の各項目を記入します。連帯債務がある場合は、負担すべき部分の年末残高を計算して記入する必要があるため、国税庁が公開している記載例を参照するとよいでしょう。

令和8年度税制改正では住宅ローン控除の適用期限が5年間延長され、省エネ性能の高い既存住宅の借入限度額引き上げや控除期間の拡充など所要の見直しが行われています。対象となる住宅の区分によって借入限度額が異なるため、担当者は従業員の入居時期や住宅性能区分を確認しましょう。

参考:特集 令和8年度 税制改正(国税)等について|財務省

令和8年度(2026年)税制改正で年末調整はどう変わる?

令和8年分は、基礎控除・給与所得控除の上乗せにより課税最低限が178万円となります。扶養控除の判定基準も緩和されるため、新たに控除対象となる家族が生じる可能性があります。

基礎控除・給与所得控除はどこまで拡充された?

基礎控除(本則)は58万円から62万円に増額され、給与所得控除の最低保障額も65万円から69万円に引き上げられました。さらに時限的な特例加算により、給与収入のみの人の課税最低限は目安として178万円まで拡大されます。

項目 令和7年分 令和8・9年分
基礎控除(本則) 58万円 62万円
特例加算(合計所得489万円以下) +37万円 → 最大95万円 +42万円 → 最大104万円
特例加算(合計所得489万円超655万円以下) +5万円 → 63万円 +5万円 → 67万円
給与所得控除(最低保障額) 65万円 74万円(本則69万円+特例5万円)
課税最低限の目安(給与収入) 160万円 178万円

(注)合計所得金額2,350万円超の場合の基礎控除額に改正はありません。

参考:令和8年度税制改正の大綱|財務省

なぜ月次の給与では反映されない?

令和8年分の特例加算分は、令和8年中の月次源泉徴収には反映されません。改正後の源泉徴収税額表(本則部分)は令和9年1月支払い分以降から適用されるためです。

そのため、令和8年1月から11月までの給与は令和8年分の現行の源泉徴収税額表 に基づいて源泉徴収され、基礎控除の特例加算や給与所得控除の上乗せ分は令和8年12月の年末調整で改正後の控除額を反映して精算されます。この結果、多くの従業員で還付が生じる見込みです。

参考:令和8年分 源泉徴収税額表|国税庁

扶養親族等の所得要件はどう緩和された?

扶養親族や配偶者の所得要件は、基礎控除・給与所得控除の拡充にあわせて引き上げられました。いわゆる「年収の壁」が123万円から136万円に広がった点が実務上の最大の変更点です。

対象 令和7年分 令和8年分以後
同一生計配偶者・扶養親族 合計所得58万円以下(給与収入123万円以下) 合計所得62万円以下(給与収入136万円以下)
ひとり親の生計を一にする子 58万円以下 62万円以下
勤労学生 85万円以下(給与収入150万円以下) 89万円以下(給与収入163万円以下)

この改正により、これまで所得要件を超えていたため扶養控除の対象外だった家族が、新たに対象となる可能性があります。所得税は令和8年分から適用されますが、個人住民税への反映は令和9年度分からとなり、1年遅れる点に注意が必要です。

年末調整を忘れてしまった場合はどうする?

年末調整の申告を忘れると、控除が適用されず所得税・住民税が本来より高くなる可能性があります。まずは会社の担当者に速やかに連絡することが最優先です。

会社が税務署へ書類を提出する前であれば、追加で控除を反映できる場合があります。すでに提出済みの場合は、従業員自身が確定申告を行うことで控除を受けられます。

年末調整の書類は最新の改正内容を踏まえて正確に準備しましょう

年末調整とは、会社が従業員に代わって所得税を精算する手続きであり、確定申告とは主体・期限・控除項目が異なります。令和8年分は基礎控除・給与所得控除の拡充や扶養親族の所得要件緩和、申告書様式の変更など変更点が多いため、最新情報を踏まえた書類確認が欠かせません。提出期限に余裕を持ち、従業員への周知を早めに行うことが、正確な年末調整の実施につながります。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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