- 更新日 : 2026年7月7日
女性活躍施策とは?取り組み事例や課題、推進する手順などを解説
女性活躍施策とは、採用・育成・環境整備を通じて女性が能力を最大限に発揮できる職場環境を整える企業の取り組みです。
- 2026年4月改正で情報公表義務が拡大
- 課題は偏見・離職・ロールモデル不足
- 施策は採用・育成・意識改革の順で推進
Q. 女性活躍施策を進める具体的な手順は?
A. 現状分析→行動計画の策定・届出→社内周知と体制構築→施策実施と定期改善の4ステップで進めます。
女性活躍施策とは、女性社員が能力を最大限に発揮し、採用から育成、管理職登用に至るまで不当な格差なく活躍できる環境を整えるための社内制度・取り組みのことです。
少子高齢化に伴う労働力不足の解消や、女性活躍推進法の改正があることで対応は急務といえるでしょう。
本記事では、女性活躍施策の取り組み事例や手順などを解説します。自社の課題に合った最適な施策を選ぶ基準がわかるでしょう。
目次
女性活躍施策とは?
女性活躍施策とは、女性が職場で能力を十分に発揮・活躍し続けられるように企業が行う取り組み全般のことです。
具体的には、女性の採用拡大や管理職への登用、育児と仕事の両立支援、柔軟な働き方の整備などが含まれます。
施策の背景には、2016年に施行された「女性活躍推進法」があります。2025年6月11日に改正が公布され、2026年4月1日に施行されました。改正に伴い、当初は時限立法だった有効期限が、2036年3月31日まで延長されています。
同法では、以下が義務付けられています。
- 従業員数が301人以上の企業は、男女間賃金差異や女性管理職比率(2026年4月1日より新たに義務付け、以下同じ)に加え、厚生労働省が定めた項目から2項目以上の情報公表
- 常時雇用する労働者が101人以上の企業は、男女間賃金差異や女性管理職比率に加えて、1項目以上の情報公表
対象企業が情報公表など義務を怠り、厚生労働大臣からの勧告に従わない場合は、企業名が公表されるリスクがあります。
社会的信用やブランドイメージの失墜、採用活動への悪影響などのデメリットが生じるため、確実な対応が必要です。
2026年4月改正の女性活躍推進法について、詳しくは関連記事をご覧ください。
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女性活躍施策が必要な理由とメリット
少子化による労働力不足が進むなか、女性の能力を活かせない企業は、今後人材確保の面で不利になるでしょう。
女性活躍施策を推進するメリットは、人材の確保と組織の活性化が同時に実現する点にあります。具体的には、下記のような好影響が考えられます。
- 女性が活躍できる職場として認知されると採用競争力が高まりやすい
- 柔軟な働き方の整備により、優秀な人材の流出を防いで採用・育成コストを削減できる
- 組織内に多様な視点が取り入れられ、新たな市場の開拓やサービス改善が促される
- 企業の業績向上やESG投資家からの評価獲得など、持続的な成長基盤を構築できる
女性活躍施策は、企業の持続的な成長のために欠かせない取り組みといえます。
企業が直面する女性活躍施策の課題
女性活躍施策を進める際、企業が直面しやすい課題を解説します。
無意識の偏見
社内に「管理職は男性が担うべき」「女性はサポート業務が向いている」といった無意識の偏見がみられる場合があります。
こうした先入観は、客観的な能力評価を歪め、女性社員が難易度の高い業務やリーダー経験を積む機会を不当に失えば、キャリアアップの妨げになります。
結果、企業側は「人材を有効活用できない」「優秀な女性社員が離職する」など、組織の競争力を低下させる重大なリスクが生じるでしょう。
参考:令和3年度 性別による無意識の思い込み (アンコンシャス・バイアス)に関する調査結果(概要)|内閣府男女共同参画局
参考:令和4年度 性別による無意識の思い込み (アンコンシャス・バイアス)に関する調査結果(概要)|内閣府男女共同参画局
ライフイベントによる離職
出産や育児などのライフイベントを迎えた際、職場の理解やサポート体制が不足していると、女性社員が離職してしまうリスクが高まります。
時間をかけて育成した人材が離職することは、採用や教育にかけたコストの損失につながります。
さらに、中堅層の女性社員が定着しないと、将来の管理職候補が不足し、組織の持続的な成長や多様性の確保が困難になるでしょう。
ロールモデルとなる女性管理職の不足
キャリアと家庭を両立しながら活躍する女性管理職がいないと、若手女性社員が将来のキャリアデザインを描けないのも課題です。
目指すべき具体的な姿が見えなければ、昇進に対する意欲も低下し、女性管理職が育ちにくくなります。「この会社では長期的なキャリア形成が難しい」と判断し、他社へ流出する引き金にもなり得ます。
ロールモデルの不足が女性社員の成長意欲の低下を招き、さらなる管理職登用の停滞を生み出すという、組織的な悪循環は深刻な課題といえるでしょう。
企業のジェンダー平等と成長を阻む構造的な障壁については、関連記事をご覧ください。
企業が導入すべき女性活躍施策
企業は課題を踏まえたうえで、採用・育成・労働環境の各段階に応じた施策が必要です。
ここでは、企業が導入すべき女性の活躍施策を解説します。
採用段階での均等機会の確保
女性の採用比率に数値目標を設けたり、女性向けの求人媒体を活用したりすると、応募者に占める女性の割合を増やせます。
採用広報を通じて、実際に女性社員が活躍している様子やキャリアパスを社外へ発信しましょう。
入社後の具体的なイメージを提示することで「この会社なら長期的に働き続けられる」という動機付けにつながるため、優秀な女性人材の獲得を促す採用プロセスを構築できます。
キャリア形成支援
女性社員が長く活躍するには、キャリアアップを後押しする下記のような仕組みが必要です。
- 女性社員向けのキャリアデザイン研修
- 先輩社員が相談に乗るメンター制度
- 管理職候補を育てる女性リーダー育成プログラム
とくに、管理職手前の層へ重点的に投資しましょう。この層は業務経験が豊富で、必要なスキルやマインドセットを補うと、短期間で管理職へと登用できるため、効率的に女性管理職比率の向上につながります。
また、研修を通じて女性社員同士が悩みを共有できる場を設けるのも大切です。社内で似たキャリアの悩みを抱える仲間とつながると、孤立感の解消・課題解決のヒント獲得につながるため、キャリア継続を支えられるでしょう。
育児との両立支援
育児と仕事の両立を支援するには、実効性のある仕組み作りが必要です。
具体的には、下記のような施策が挙げられます。
- 男女問わず、管理職からの積極的な育休取得の推奨
- 業務の引き継ぎルールのマニュアル化
- 事業所内保育所を設置して、復職直後の預け先を確保する など
このように、育児による休業・復職への心理的ハードルを軽減しましょう。
また、働き続けられる環境作りには福利厚生の整備も重要です。なかでも借り上げ社宅制度は、経済的負担を直接軽減できます。「マネーフォワードのクラウド福利厚生賃貸」なら、福利厚生を手間なく構築できます。
柔軟な働き方を実現する環境整備
働く時間や場所に制約がある社員でも活躍できるよう、以下のような柔軟な働き方を整備しましょう。
- テレワーク
- フレックスタイム制
- 時短勤務
時間・場所の制約を軽減することで、育児や介護などを理由にした退職を防ぎやすくなります。
また、成果で評価する制度に変えると、時短勤務の社員も公平かつ正当に評価できます。会社への信頼や貢献意欲を高め、評価への不満による離職を防げるでしょう。
組織の意識改革
施策を効果的に進めるには、組織全体の意識改革も必要です。
経営層や管理職を対象とした、無意識の偏見に気づくワークショップやセミナーの実施など、多様性を認める風土を醸成しましょう。
また、組織の意識改革を定着させるためには、ダイバーシティ推進の専任組織を設置して、以下のような継続的な働きかけを行うことが大切です。
- 各部署の推進状況のモニタリング
- 定期的な啓発活動
- 現場の課題に応じた施策の改善 など
専門性と責任をもつ組織が主導すると、全社的な取り組みの遅れや形骸化を防げるでしょう。
企業の女性活躍施策の取り組み事例
施策を検討する際は、成果を上げている企業の取り組みが参考になります。
ここでは、女性活躍施策の企業事例を紹介します。
キユーピー株式会社|女性の勤続年数と管理職比率が増加
キユーピー株式会社は、育児休業復帰者を対象に、下記のような制度知識の習得やキャリアイメージの形成を支援しています。
- 育児休業によるキャリア中断が処遇に影響しないよう人事制度の見直し
- 転居を伴わない総合職制度や配偶者異動制度の導入
- コアタイムのないフレックス制度の導入
- 企業トップによる女性の活躍推進・能力発揮に向けた職場風土の改革
育児休業中のバックアップや研修制度の充実などを通じて、女性の勤続年数は年々増加し、管理職比率も向上しています。
ライフイベントによるキャリア中断の不安を解消し、長期的な定着と登用を実現する仕組み作りの参考になるでしょう。
参考:キユーピー株式会社 (製造業)女性の活躍が当たり前になる会社への変革の挑戦|厚生労働省
山形信用金庫|女性管理職が1名から8名に増加
山形信用金庫は、女性職員が主体となって働きやすい職場作りを推進する「ハートフル委員会」を設置しました。主な取り組みは以下のとおりです。
- ノー残業デーの導入や多様な研修による、働きやすさと成長を支える風土の形成
- 充実した休暇制度の整備
- 休職中の面談をはじめとする、きめ細やかな復職サポート
近年は、結婚を理由に退職する職員はほぼいなくなり、女性管理職は10年間で1名から8名へ増加するなど、採用面でも効果が出ています。
当事者参加型の推進体制を構築することで、現場の実態に即した制度整備を促し、継続的な組織変化を生む点が参考になるでしょう。
参考:山形信用金庫 (金融業、保険業)女性職員主体の委員会で推進する働きやすい職場づくり|厚生労働省
女性活躍施策を推進する手順
ここでは、女性活躍施策を推進する手順を解説します。
1.現状の把握と課題の分析を行う
自社の現状を、以下のような数値で把握・分析しましょう。
- 男女別の採用比率
- 管理職比率
- 勤続年数
- 男女間の賃金差異
- 育児休業取得率
データを分析すると「採用は男女均等だが管理職は少ない」「若手女性の離職率が高い」など自社特有の課題が明確になります。
優先すべき課題が明確になり、具体的な対策を講じやすくなります。
2.一般事業主行動計画の策定と届出を行う
現状分析で見えた課題をもとに「一般事業主行動計画」を策定しましょう。
一般事業主行動計画とは、女性活躍推進法にもとづき、自社の女性活躍を推進するための具体的な目標・取り組み時期を定めた計画書のことです。
策定する際は、自社の課題を解決するために達成すべき「数値目標」を1つ以上設定します。次に、目標達成に必要な「具体的な取り組み内容」と「実施時期」を決定し、計画のスケジュールに落とし込みます。
策定後は、管轄の都道府県労働局へ「一般事業主行動計画策定・変更届」を提出しましょう。なお、行動計画の策定と届出は、常時雇用する労働者が101人以上の企業に義務付けられており、100人以下の企業は努力義務です。
3.社内への周知と体制構築を行う
策定した行動計画の内容や目的を、経営層含む全従業員に周知します。
書面の掲示やイントラネットへの掲載など、誰もがいつでも確認できる方法で知らせ、社内へ浸透させましょう。
あわせて、推進担当者・専任組織の配置といった体制作りも進めます。とくに経営トップが、女性活躍施策の意義を自ら語ると、全社で取り組むべき課題として従業員に伝わります。
4.施策の実施と定期的なヒアリングを行う
施策実行後は、効果を定期的にヒアリングしましょう。
女性社員・管理職へのアンケートや個別面談を通じて現場の声を集め、確認と改善を繰り返し、施策を社内に定着させます。
たとえば「制度はあるが使いづらい」など具体的な声を参考に、運用方法を見直します。半年や1年ごとなど、確認時期を決めておくと継続しやすいでしょう。
女性活躍施策に関するよくある質問
ここでは、女性活躍施策に関するよくある質問に回答します。
女性活躍推進法の対象企業はどこですか?
女性活躍推進法では、常時雇用する労働者が101人以上の企業に行動計画の策定・届出・公表が義務付けられており、100人以下の企業は努力義務です。
2026年4月1日の法改正による「男女間賃金差異」や「女性管理職比率」の公表義務化などについては、本記事内の「女性活躍施策とは」で解説しています。
従業員規模で義務の範囲が異なるため、最新基準を確認しましょう。
女性の活躍を推進する制度は?
国の認定制度と助成金があります。
| 制度・助成金名 | 概要と特徴 |
|---|---|
| えるぼし認定 | 女性活躍推進の取り組み状況が優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度。評価基準を満たす項目数に応じて3段階のランクがある |
| プラチナえるぼし認定 | えるぼし認定企業のうち、より高い水準の取り組みを達成し、行動計画の目標を達成した企業が受けられる上位認定 |
| えるぼしプラス | えるぼし認定を受けた事業主のうち、さらに一定要件を満たした企業に付与される仕組み(2026年4月開始) |
| 両立支援等助成金 (女性活躍加速化コース) |
一般事業主行動計画に定めた目標を達成し、女性の採用や管理職登用などの取り組みを加速させた企業に対して支給される助成金 |
認定制度と助成金を組み合わせると、費用負担を軽減しながら施策を進められます。
参考:えるぼし認定とは|労働基準監督署
参考:えるぼしプラス・プラチナえるぼしプラス|厚生労働省 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)
参考:加速化コース支給申請手引き|厚生労働省・都道府県労働局
えるぼし認定を取得するメリットは何ですか?
えるぼし認定を取得すると、以下のメリットがあります。
- 厚生労働大臣が定める認定マークを商品や求人広告に表示でき、女性活躍推進企業としての認知を高められる
- 公共調達において加点評価の対象となり、入札で有利になる場合がある
- 認定取得の過程で自社の課題が整理され、施策の改善につながる
認定は対外的な信頼の証となるだけでなく、社内の取り組みを前進させるきっかけにもなるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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