• 更新日 : 2026年7月6日

引っ越し補助制度で従業員の負担は減る?メリットやデメリット、注意点を解説

Point引越し補助制度で従業員の負担は減る?

引越し補助制度は、企業や自治体が引越し費用を支援する制度で、従業員の経済的負担を軽減しつつ採用力向上にも効果的です。

  • 企業・自治体の2種類の補助制度がある
  • 補助対象は運送費・家賃・初期費用など
  • 支給方法によっては課税対象になる場合も

引越し補助制度を導入する主なメリットは、企業側は採用力強化・人材定着、従業員側は引越し費用の負担軽減と住環境向上が期待できます。

就職や転勤に伴う引っ越しは、新生活への期待がある一方で、引っ越し費用や初期費用など経済的負担が発生します。引っ越し補助制度があれば、転居の負担を軽減できます。

本記事では、引っ越し補助制度の基本やメリット、デメリット、補助対象、導入時の注意点、導入手順について解説しているので、参考にしてみてください。

引っ越し補助制度とは?

引っ越し補助制度とは、引っ越しにかかる費用(運送費や初期費用、家賃など)の一部を国や自治体、または企業が支援および負担する制度です。

補助の内容は国や自治体、企業によってさまざまな種類があるため、利用できる制度があるか確認する必要があります。

自治体による補助は地域の活性化や子育て支援を目的としており、企業による補助は従業員の負担を軽減するために設けられている制度です。

それぞれの制度について解説していきます。

【企業主体】引っ越し補助制度

企業主体の引っ越し補助は会社都合の異動や入社に伴う引っ越しに対して、従業員の負担を軽減するため、一定の費用を会社が負担するケースがあります。

引っ越し補助制度を導入する目的と支給内容の例は、以下のとおりです。

目的 支給内容
遠方からの採用を強化 入社時の負担軽減のため、引っ越し補助金や支援金を支給
転勤の負担の軽減 社宅制度の提供や移住費用として一定額を支給
通勤時間の短縮 会社近くに引っ越し、家賃補助や引っ越し費用のサポート実施

【行政主体】引っ越し補助制度

行政主体の引っ越し補助は、自治体が提供する移住支援・生活支援制度と各市区町村が独自に設けている助成制度があります。

制度名称 対象者 支給内容
移住支援金 東京23区に在住または通勤していた ・東京23区などから地方へ移住
・就業や起業をする方への支援
住宅確保給付金 収入・資産が一定基準以下の世帯 敷金・礼金などの初期費用、引っ越し代の実費支給(上限あり)

参考:起業支援金・移住支援金 – 地方創生
参考:厚生労働省|厚生労働省生活支援特設ウェブサイト | 住居確保給付金:制度概要

利用できる制度は子育て世帯や新婚世帯、移住希望者など対象者の条件によって異なります。

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引っ越し補助制度を導入するメリット

福利厚生制度として引っ越し費用を補助する制度を導入することは、企業にも従業員にもメリットがあります。

以下では、企業側と従業員側それぞれのメリットについて詳しく解説します。

【企業側】引っ越し補助制度を導入するメリット

引っ越し補助制度の導入は、企業にとって採用力の強化や福利厚生の充実につながるメリットがあり、特に以下のような効果が期待できます。

  • 企業の魅力向上につながる
  • 求職者が応募しやすい環境を整備できる
  • 採用活動における差別化を図れる
  • 遠方からの人材確保や定着率向上が期待できる
  • 一定の条件を満たすことで、福利厚生費として経費計上できる可能性がある

このように、引っ越し補助制度は、採用競争力の強化や人材の定着促進に加え、適切な制度設計によっては税務面でのメリットも期待できる制度です。

【従業員側】引っ越し補助制度を導入するメリット

引っ越し補助制度は、従業員の経済的負担を軽減し、安心して新生活をスタートするための支援制度であり、主なメリットとして以下の点が挙げられます。

  • 従業員の引っ越し費用の負担を軽減できる
  • 従業員の住環境の向上につながる

このように、引っ越し補助制度は従業員が安心して働き続けられる環境づくりを支援できます。

引っ越し補助制度を導入するデメリット

ここからは、企業側と従業員側ごとに、引っ越し補助制度を導入する主なデメリットについて詳しく解説します。

【企業側】引っ越し補助制度を導入するデメリット

引っ越し補助制度を導入することで、企業側で発生するデメリットは以下のとおりです。

  • 引っ越し補助の支給により、企業の固定費や福利厚生費が増加する
  • 支給方法によっては給与課税の対象となり、所得税や住民税などの負担が発生する場合がある
  • 対象者の管理や申請内容の確認など、事務・管理業務が増加する
  • 一度導入した制度は従業員への影響が大きく、廃止や条件変更が難しくなる

制度を導入する際はこれらの負担を考慮したうえで、運用ルールや支給条件を明確に定めることが重要です。

【従業員側】引っ越し補助制度を導入するデメリット

引っ越し補助制度の導入によって、従業員側で生じるデメリットは以下のとおりです。

  • 引っ越し補助の支給方法によっては課税対象となり、手取り額が想定より少なくなる場合がある
  • 支給対象や金額の条件によっては、従業員間で不公平感が生じる可能性がある

制度を利用する際は、支給条件や税務上の取り扱いを企業へ事前に確認しておくことが必要になります。

引っ越し補助対象となるもの

引っ越し補助の内容や企業が負担する費用の範囲は、採用方針や福利厚生制度の設計によって異なるため、制度導入時には補助対象や支給条件を明確に定めておくことが重要です。

ここでは、企業が引っ越し補助制度を設計する際に、対象とする主な費用について解説します。

引っ越し業者の費用

引っ越し補助では、引っ越し業者に支払う費用が対象となる場合があります。主な対象費用は以下のとおりです。

  • 荷物の運搬にかかる引っ越し業者の利用料金
  • 荷造り・荷解きなどのオプションサービス費用
  • 不用品の回収・処分にかかる費用

これらの費用を会社が負担することで、従業員は転居時の経済的負担を軽減できます。

ただし、トラブルを避けるために、事前に指定の引っ越し業者を決めたり、オプションの適用範囲を定めたりしましょう。

家賃

引っ越し補助では、引っ越し費用だけでなく家賃に関する支援を行う場合もあります。

企業によっては、転居時に発生する初期費用や家賃の一部を負担したり、入居後も家賃補助を支給したりするケースがあります。

家賃負担が軽減されることで家計に余裕が生まれ、立地や設備などの条件が良い物件を選択することが可能です。

その結果、従業員は住まいの選択肢が広がり、より快適な住環境を確保しやすくなる点がメリットです。

その他初期費用

引っ越し補助では、家賃以外の初期費用を補助対象とする場合もあります。主な対象費用は以下のとおりです。

  • 敷金
  • 礼金
  • 仲介手数料
  • 鍵交換費用
  • 居室内のクリーニング費用
  • 火災保険料

これらの費用は賃貸契約時にまとまった支出となるため、企業が補助対象とすることで、従業員の経済的負担を軽減できます。結果として、人材確保や定着率向上につながるでしょう。

ただし、補助対象とする費用や支給上限額は、企業の予算や福利厚生方針に応じて適切に設定する必要があるため、制度設計の段階で十分に検討することが重要です。

交通費

引っ越し補助では、転居時に発生する交通費も対象とする場合があります。主な対象費用は以下のとおりです。

  • 電車や新幹線の運賃
  • 飛行機の航空運賃
  • 高速道路の利用料金
  • ガソリン代
  • フェリーなどの交通機関の利用料金

交通費は、現在の住居から新居へ移動するために必要な費用として扱われます。

特に遠方への転勤や入社に伴う引っ越しでは負担額が大きくなるため、交通費を会社が負担することで従業員の経済的な負担を軽減できます。

引っ越し補助制度を導入する際の注意点

引っ越し補助制度を導入する際は、対象者や補助範囲を明確に定めましょう。

公平性のある運用ルールを設けることで、従業員とのトラブルを防ぎ、制度を円滑に運用しやすくなります。

ここでは、引っ越し補助制度を導入する際の注意点について、詳しく解説します。

手当の対象項目

引っ越し補助制度を導入する際は、補助対象となる費用の範囲をあらかじめ明確に定めておく必要があります。主な対象費用は以下のとおりです。

  • 敷金・礼金
  • 交通費
  • 引っ越し業者費用
  • 仲介手数料
  • 火災保険料

対象項目が曖昧だと、従業員との認識の違いやトラブルにつながる可能性があります。

引っ越し補助の対象範囲を事前に明示することで、公平で分かりやすい制度運用につながります。

支給額の上限を明確にする

引っ越し補助制度を設計する際は、支給額の上限を明確に定めましょう。 上限額を設定することで企業のコスト管理がしやすくなり、従業員にとっても利用条件を把握しやすい制度となります。

見積書や領収書の保管を徹底する

引っ越し補助を適切に運用するためには、従業員が見積書領収書の保管を徹底する必要があります。

企業では補助金の申請時に見積書や領収書の提出を求めており、実際に発生した費用を確認するための証拠書類として扱われます。

特に、引っ越し補助の支給額が実費精算の場合は、事前に見積書を確認し、支給後は領収書の提出を必須とするフローにしましょう。不正受給の防止や適正な制度運用につながります。

振り込みのタイミングを決めておく

従業員に引っ越し補助の手当が支給されるタイミングは、事前に社内で統一して周知しておきましょう。

申請から支給まで時間がかかる場合、一時的に引っ越し費用を従業員が自己負担しなければならないケースもあります。 従業員が振り込み時期を把握していないと、家賃や初期費用の支払いで資金不足になることがあるでしょう。そのため、安心して転居を進められるように引っ越し補助の支給時期や申請手続きを事前に周知する必要があります。

引っ越し補助制度の導入手順

引っ越し補助制度を導入する際は、計画的に準備を進めることが重要です。

ここでは、引っ越し補助制度を円滑に導入するための手順を4つのステップに分けて解説します。

1.目的と範囲の決定

引っ越し補助制度を導入する際は、まず制度の目的を明確にすることが大切です。

採用強化や人材定着、転勤者の負担軽減など、目的によって必要な予算や補助内容は異なります。

目的を定めたうえで、対象者や補助範囲、支給条件を決定することで、自社に適した引っ越し補助制度を設計しやすくなります。

2.就業規則の整備

引っ越し補助制度を導入する際は、就業規則や社内規程に運用ルールを明確に定めましょう。

主な規定内容は以下のとおりです。

  • 対象となる従業員の条件
  • 支給対象となる転居の条件
  • 支給される費用の範囲と上限額
  • 申請時に必要な書類

これらの内容を事前に明文化しておくことで、従業員との認識のずれを防ぎ、公平かつ円滑に引っ越し補助制度を運用しやすくなります。

3.運用フローの作成

引っ越し補助制度を円滑に運用するためには、従業員向けの申請フローと企業側の管理フローを整備することも必要です。

従業員が実施する申請方法や必要書類、承認手順、支給までの流れを明確にすることで、手続きの混乱を防げます。

また、企業側も審査や支給管理の手順を統一することで、効率的かつ公平な引っ越し補助の運用につながります。

4.従業員への周知

引っ越し補助制度の利用促進には、従業員への適切な情報共有が不可欠です。

説明会の開催や社内イントラネットへの掲載を通じて、対象者や申請方法、支給条件などを分かりやすく周知することが重要です。

従業員が制度への理解を深めることで、引っ越し補助を円滑に活用できる環境づくりにつながります。

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