- 更新日 : 2026年7月6日
パート・アルバイトでも使える福利厚生8選!適用条件・メリット・デメリットも解説
パート・アルバイトも一定条件を満たせば、法定・法定外の福利厚生を利用できます。
Q. パートに福利厚生を適用しないと問題になる?
A. 合理的な理由のない待遇差は、パートタイム・有期雇用労働法に基づき問題となる可能性があります。
「福利厚生を充実させるために、何から導入すればよいかわからない」「大企業ほど予算をかけられない」と悩む中小企業は少なくありません。
近年は人材不足や採用競争の激化を背景に、給与だけでは人材の確保が難しくなっており、福利厚生の充実が企業選びの重要な判断材料になっています。
一方で、制度を導入しても「利用されない」「コストだけが増える」といった課題が生じるケースもあるため、自社に合った制度設計が重要です。
本記事では、中小企業で福利厚生が注目される理由から、人気の福利厚生制度、導入メリット、注意点、費用や税務上のポイントまでわかりやすく解説します。
目次
パート・アルバイトでも福利厚生は適用される
パートやアルバイトであっても、一定の条件を満たせば福利厚生を利用できます。「非正規雇用だから福利厚生は利用できない」という認識は必ずしも正しくありません。
福利厚生には、法律で企業に義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が独自に導入する「法定外福利厚生」の2種類があります。
健康保険や厚生年金保険、有給休暇などの法定福利厚生は、加入要件を満たしたパート・アルバイトにも適用されるため、企業の判断で対象外にできません。
一方、食事補助や住宅手当、レジャー施設の優待といった法定外福利厚生は企業が自由に設計できます。
ただし、合理的な理由なく正社員とパート・アルバイトの間に待遇差を設けると、同一労働同一賃金の観点から問題になる可能性があります。
そのため、雇用形態だけで判断するのではなく、職務内容や責任範囲などを踏まえた制度の設計が重要です。
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パートへの福利厚生適用が広がった背景と現状
パートへの福利厚生適用は法整備と労働市場の変化を背景に広がっており、企業として対応を迫られる場面が増えています。
ここでは、福利厚生の適用が拡大した背景と現在の利用状況を解説します。
パートへの福利厚生適用が拡大した背景
2020年4月に施行されたパートタイム・有期雇用労働法では、同一企業内における不合理な待遇差の解消が求められるようになりました。
同じような仕事をしているにもかかわらず、正社員だけが福利厚生を利用できる状況については、企業が合理的な説明を求められる場面が増えています。
また、パート・アルバイトは企業活動を支える重要な労働力であり、福利厚生の充実は採用競争力の向上に欠かせない施策です。
採用競争が激しくなるなかで、給与だけでは差別化しにくくなっているため、「働きやすさ」や「生活支援」を訴求できる福利厚生の重要性が高まっています。
参考:パートタイム・有期雇用労働法とは|厚生労働省
参考:労働力調査(基本集計)|総務省
パートへの福利厚生の適用現状
現在は、食堂や休憩室、更衣室など日常的に利用する制度については、多くの企業でパート・アルバイトにも適用されています。
通勤手当や慶弔休暇も比較的導入が進んでおり、業務に直結する制度ほど適用率が高い傾向があります。
一方で、住宅手当や退職金、企業年金など長期雇用を前提とする制度は適用率が低く、正社員との待遇差が残っている制度も少なくありません。
そのため、企業が福利厚生を見直す際は、まず利用頻度の高い制度から優先的に整備し、待遇差について説明できる状態を整えておきましょう。
参考:令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況|厚生労働省
パート・アルバイトの福利厚生の適用条件
福利厚生の適用条件は、法律で定められている法定福利厚生と、企業が独自に設ける法定外福利厚生で異なります。
制度ごとのルールを正しく理解したうえで、自社の人員構成や雇用形態に合わせた設計が重要です。
ここでは、法定福利厚生と法定外福利厚生それぞれの適用条件を解説します。
法定福利厚生の適用条件
法定福利厚生は法律で企業に義務付けられている制度であり、条件を満たすパート・アルバイトを対象外にできません。
健康保険と厚生年金保険は、正社員の4分の3以上の所定労働時間・所定労働日数で働く場合が加入対象です。
また、短時間労働者への社会保険適用拡大も進んでおり、一定規模以上の事業所で週20時間以上勤務するなど一定の条件を満たす場合には、短時間勤務のパートも加入する必要があります。
労災保険は労働時間や雇用期間にかかわらず、賃金を受けて働くすべての労働者が対象です。
さらに、有給休暇は入社から6か月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に付与されます。パート・アルバイトの場合は、週の所定労働日数に応じて比例付与される仕組みです。
法定外福利厚生の適用条件
法定外福利厚生は企業が独自に設計する制度であり、対象者や利用条件は企業によって異なります。
食事補助や慶弔見舞金、レジャー施設の優待、住宅手当などは企業の判断で導入できるものの、雇用形態だけを理由とした待遇差は慎重に判断する必要があります。
正社員とパート・アルバイトで制度内容を分ける場合は、職務内容や責任範囲、転勤の有無、雇用の安定性などを踏まえて合理的に説明できる状態にしておきましょう。
一方、休憩室や食堂など業務に密接に関わる施設については、正社員だけの利用が難しいケースもあります。
また、法定外福利厚生を導入する際は、対象者や利用条件、支給額などを就業規則や労働条件通知書へ明記し、従業員が自分で確認できる状態を整えておきましょう。
パート・アルバイトに福利厚生を適用するメリット
パートやアルバイトを対象とした福利厚生の適用は、単なるコストではなく、人材確保や職場環境の改善につながる投資として位置づけられます。
ここでは、企業が得られる代表的な3つのメリットを解説します。
生産性が向上する
福利厚生が充実した職場では、パート・アルバイトが「大切にされている」「公平に扱われている」と感じやすくなり、仕事への意欲や定着意識の向上が期待できます。
食事補助や健康支援など生活に直結する制度は日常的に利用しやすく、働くうえでの負担軽減にもつながります。
また、正社員とパートが同じ制度を利用できる環境は職場の一体感を生みやすく、チームワークや情報共有の円滑化に有効です。
接客業や店舗運営などパートの比率が高い職場では、従業員満足度の向上がサービス品質の向上につながるケースも少なくありません。
健康診断や予防接種などの健康支援制度は、急な欠勤や体調不良による業務への影響を抑えるという観点からも効果が期待できます。
労働力の確保につながる
福利厚生が充実している職場は、求人市場において他社との差別化につながります。
求人票に福利厚生の内容を記載しておくと、「パートでも働きやすい職場」という印象を持ってもらいやすくなり、応募数の増加が期待できます。
また、「従業員を大切にする会社」というイメージは口コミや紹介にもつながりやすく、採用活動を後押しする要因です。
既存スタッフの定着率が向上すると、採用や教育にかかるコストを抑えながら、現場のノウハウを蓄積しやすくなります。
人材不足が深刻化するなか、福利厚生の充実は長く働いてもらえる環境づくりという観点でも重要な施策です。
税務上有利になる場合がある
福利厚生の内容によっては、企業が支出した費用を福利厚生費として処理できる場合があります。
食事補助や健康診断、レクリエーション費用などは一定の要件を満たすと福利厚生費として計上しやすく、法人税の負担軽減につながる可能性があります。
一方で、特定の従業員だけが利用できる制度や現金支給を中心とした制度は給与として課税されるケースもあるため注意が必要です。
給与を単純に引き上げるよりも、福利厚生を活用したほうが従業員の満足度向上につながる場合もあります。
制度設計をおこなう際は、税務上の取り扱いも確認しながら、自社に適した福利厚生を検討するとよいでしょう。
パート・アルバイトに福利厚生を適用するデメリット
パート・アルバイトへの福利厚生の適用には多くのメリットがある一方で、コストや運用面の課題も存在します。
ここでは、導入前に把握しておきたい3つのデメリットを解説します。
コストが増加する
福利厚生の対象者が増えると、企業の費用負担も大きくなります。
食事補助や健康支援、レジャー施設の優待など利用人数に応じて費用が発生する制度では、パートへの適用によってコストが増加しやすくなります。
また、社会保険の適用対象者が増えると企業が負担する保険料も上昇するため、導入前のコスト試算が重要です。
一度導入した制度は簡単に廃止しにくいため、継続できる費用水準かどうかを事前に確認しておきましょう。
予算に限りがある場合は、利用頻度の高い制度から段階的に導入する方法も有効です。
制度運用が複雑になる
福利厚生の適用条件が増えるほど、担当者の管理業務は複雑になります。
パート・アルバイトはシフト変更や契約更新がおこなわれる場合も多く、勤務条件によって利用可否が変わるケースも少なくありません。
適用条件が曖昧なまま運用すると、担当者ごとに判断が異なりトラブルにつながる可能性があります。
また、制度が複雑になると従業員自身が利用条件を理解しにくくなり、問い合わせ対応も増えやすくなります。
就業規則への明記や利用ガイドの作成など、運用ルールを整備しておきましょう。
正社員との公平感の調整が難しい
パートへの福利厚生を拡充すると、正社員側から待遇差に関する不満が生じる場合があります。
一方で、正社員だけを優遇すると、パート側が不公平感を抱く可能性もあります。
特に住宅手当や退職金など長期雇用を前提とした制度については、なぜ対象者を限定しているのかを説明できる状態にしておきましょう。
制度の見直しによって既存従業員のモチベーションが低下しないよう、全体のバランスを考慮した設計が求められます。
雇用形態にかかわらず利用できる制度を増やしたり、共通ポイント制のような仕組みを導入したりする取り組みも、不公平感の緩和につながります。
パートも利用できる福利厚生の例8つ
ここでは、パート・アルバイトにも適用しやすい福利厚生を種類別に紹介します。
自社の従業員構成やニーズを踏まえ、コストと効果のバランスを見ながら導入制度を検討しましょう。
①食事補助
食事補助は、パート・アルバイトが日常的に利用しやすく、満足度も高い福利厚生のひとつです。
飲食店のまかないや社員食堂のほか、設置型社食や食事補助サービスを導入する企業も増えています。
日々の食費負担を軽減できるため、生活支援としての効果も期待できます。
また、一定の要件を満たせば福利厚生費として処理できるため、税務面でも導入しやすい制度です。
雇用形態を問わず利用しやすい制度であり、同一労働同一賃金の観点からも導入しやすい福利厚生です。
参考:食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて|国税庁
②休暇・休業
有給休暇は、一定の条件を満たしたパート・アルバイトにも付与が義務付けられています。
育児休業や介護休業についても、要件を満たせば利用できるため、制度の周知が重要です。
また、慶弔休暇や誕生日休暇、リフレッシュ休暇などの法定外休暇を設ける企業もあります。
こうした制度は、働きやすさや安心感の向上につながります。
制度を整備するだけでなく、取得しやすい職場環境づくりも重要です。
③社会保険・法定福利
健康保険や厚生年金保険、雇用保険、労災保険、有給休暇などは、条件を満たしたパートにも適用される法定福利厚生です。
社会保険に加入すると、医療保障や将来の年金額の充実につながります。
雇用保険では失業給付のほか、育児休業給付や介護休業給付を受けられる場合もあります。
また、労災保険はすべての労働者が対象となり、保険料を企業が負担する制度です。
法定福利厚生は企業の判断で除外できないため、適用条件を正しく理解しておきましょう。
④健康支援
健康診断や予防接種の補助などは、パート・アルバイトにも適用しやすい福利厚生で、従業員の安心感や働きやすさの向上につながりやすい制度です。
メンタルヘルス相談窓口やEAPの導入によって、心理的なサポートを受けられる環境を整える企業も増えています。
加えて、フィットネスクラブの優待や運動支援制度など、身体面の健康を支える福利厚生も広がっています。
健康支援は欠勤防止や生産性向上にもつながるため、費用対効果が見えやすい制度です。
参考:令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況|厚生労働省
⑤生活支援
通勤手当は、パートへの適用率が高い福利厚生のひとつです。
そのほか、在宅勤務手当や住宅関連の支援制度を導入する企業もあります。
特に都市部では住居費負担が大きいため、家賃補助が採用力向上につながるケースもあります。
生活支援制度は従業員の日常生活に直結するため、満足度への影響も大きい傾向です。
自社の従業員の年齢層や働き方に合わせて優先順位を検討するとよいでしょう。
⑥割引・優待
従業員割引は、小売業や飲食業などで導入しやすい福利厚生です。
自社商品やサービスを割引価格で利用できるため、満足度向上だけでなく商品理解の促進にもつながります。
また、レジャー施設や宿泊施設の優待制度を導入する企業もあります。
福利厚生代行サービスを利用すると、多くのサービスを比較的低コストで提供できる点はメリットのひとつです。
導入しやすく利用率も高いため、福利厚生の第一歩として検討しやすい制度です。
⑦育児・介護支援
育児や介護と仕事の両立を支援する制度は、パート・アルバイトの定着につながります。
育児短時間勤務制度や介護休業は、一定の条件を満たすとパートも利用できる点が特徴です。
さらに、保育費補助やベビーシッター補助、学校行事休暇などを導入する企業もあります。
介護との両立支援として、短時間勤務や柔軟なシフト制度を整備するケースも増えています。
家庭との両立を支援する制度は、幅広い人材が働きやすい職場づくりに役立つ制度です。
⑧キャリア支援
資格取得支援や研修費用補助は、パート・アルバイトの成長を後押しする福利厚生です。
たとえば、書籍購入補助やeラーニングの提供など、比較的低コストで導入できる制度もあります。
さらに、正社員登用制度は、パート・アルバイトの長期的なキャリア形成を支援する制度です。
キャリア支援は、「この会社で成長できる」という実感につながりやすく、定着率向上にも効果が期待できます。
求人票に制度内容を明記すると、成長意欲の高い求職者への訴求にもつながります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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