- 更新日 : 2026年7月7日
リスキリングとは?リカレント教育との違いやメリット・導入ステップを解説
リスキリングとは、デジタル化などの環境変化に対応するため、従業員が新たな知識・スキルを習得する取り組みです。
- リカレント教育は個人主体の学び直し
- DX推進・AI普及が注目の主な背景
- 採用コスト削減や新規事業創出に貢献
Q. リスキリングとリカレント教育の違いは?
A. リスキリングは企業主導で業務を続けながらスキルを習得する取り組み。リカレント教育は個人が職場を離れて学び直す点が異なります。
リスキリングとは、新たな知識やスキルを習得する取り組みです。
近年、デジタル化や市場環境の変化が進む中で、企業には従業員が新たなスキルを身につけられる環境づくりが求められています。企業が従業員のスキル習得を支援することで、変化するビジネス環境に対応しやすくなる重要な施策です。
本記事では、リスキリングの概要や注目される背景、企業が導入するメリット・デメリット、具体的な進め方・成功ポイントについて解説します。
目次
リスキリングとは?
リスキリングとは、新しい環境に適応するために必要な知識やスキルを習得する取り組みです。
技術革新やデジタル化、ビジネス環境の変化が進む中で、従来のスキルだけでは対応が難しい業務に備え、新たな能力を身につけることが目的です。
近年では、DXの推進やAIの台頭に伴い、以下のようなデジタル領域のスキル習得が注目されています。
- プログラミングやシステム開発
- データ分析やデータ活用
- AI・機械学習
- デジタルマーケティング など
企業が、従業員の成長を支援する人材育成施策として、必要なスキルを獲得させるために実施されています。
リカレント教育との違い
リカレント教育とは、仕事と学習を繰り返し行う考え方のことで、必要に応じて一度職場を離れ、大学などの教育機関で学び直す点が特徴です。
一方、リスキリングは現在の業務を継続しながら、新たな環境に対応するためのスキルを習得する取り組みです。
- リスキリング:企業が必要なスキルを明確にし、従業員の育成を支援する
- リカレント教育:個人のキャリア形成や主体的な学習を重視する
リカレント教育について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
アンラーニングとの違い
アンラーニングとは、身につけてきた考え方や業務習慣を見直し、変化した環境で不要になった知識や手法を手放して、新しい方法を受け入れることです。
ビジネス環境の変化が激しい現代では、従来のやり方に固執せず、柔軟に学び方や働き方を更新することが求められます。
リスキリングとアンラーニングは、新たな環境への適応を目指す点は共通していますが、目的が異なります。
- リスキリング:新しい知識やスキルを習得することを重視
- アンラーニング:既存の知識や習慣を見直し、必要に応じて手放すことを重視
アンラーニングについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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リスキリングが注目される背景
近年、技術革新や市場環境の変化により、企業には変化に対応できる人材の育成が求められています。
リスキリングが注目される背景を理解して、自社に必要な人材育成の方向性を検討しましょう。
デジタル人材・IT人材が不足しているため
AIやDXが普及する一方で、企業が必要とするデジタルスキルや実務経験を持つ人材の希少性が高まり、採用が難しくなっているのが現状です。
そのため、既存従業員に新たな知識・スキルを身につけてもらうリスキリングが注目されています。
社内人材のデジタルスキルを高めることで、変化への対応力を強化し、企業の競争力向上にもつながると期待されています。
DXを推進するため
業務プロセスや働き方そのものを見直し、デジタル技術を前提とした仕組みへ変革するDXが注目されています。
DXは特定の部門だけで完結するものではなく、全社的な業務プロセスの見直しが必要です。経営層から現場の従業員まで、組織全体でデジタルリテラシーを高める必要があり、リスキリングはその基盤を整備する手段として位置づけられています。
また、DXの実現には新しい技術への理解や、デジタル技術を活用して業務を改善する力、変化に柔軟に対応するスキルなども必要です。既存の業務知識を持つ従業員が、新たなスキルを身につけることで、現場に合わせたDX推進につながります。
生成AIが普及しているため
生成AIの普及により、生成AIを効果的に活用して、生産性向上や新たな価値創出につなげられる人材の育成が求められています。
変化に対応するためには、以下のようなAIを活用するための知識・スキルが必要です。
- 生成AIへの適切な指示を出すプロンプト作成スキル
- AIが生成した情報の正確性を判断する力
- 業務に合わせてAIを活用するための知識 など
生成AIを活用し、他社に差をつけるため、社内の人材をアップデートするリスキリングへの関心が高まっています。
政府によるリスキリング支援があるため
政府は、人材育成や労働市場の活性化を目的に、リスキリングを成長戦略のひとつと位置づけています。
具体的には、2022年の岸田内閣により「5年で1兆円の人への投資する方針」が示されました。技術革新や産業構造の変化に対応するため、働く人が新たな知識やスキルを習得する機会を増やし、企業の競争力強化や経済成長につなげることが狙いです。
また、経済産業省による「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を通じた、リスキリングを後押しする支援策や予算の投入も活発です。
このような政府の後押しにより、企業規模を問わずリスキリングに取り組みやすい環境が整いつつあり、人材育成を通じて競争力を高める機会が広がっています。
参考:リスキリング支援「5年で1兆円」 岸田首相が所信表明|日本経済新聞
参考:リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業|経済産業省
企業がリスキリングを実施する4つのメリット
企業がリスキリングを導入することで、人材不足の解消や生産性向上など、さまざまな効果が期待できます。
ここでは、企業が実施する4つのメリットについて解説します。
学んだ知識をすぐに現場で活かせる
既存の従業員が習得した知識やスキルを、日々の業務にすぐ反映できる点がメリットです。
既存従業員は自社の業務内容や組織の課題、顧客ニーズなどを理解しているため、新たに身につけたスキルをどの場面で活用できるか判断しやすく、実務への応用につながります。
たとえば、現在担当している業務に合わせて、学んだデジタルツールの活用・改善方法を考え、すぐに実践できます。
リスキリングにより、社内人材のスキルを高めることで、変化への対応力を強化し、業務改善や生産性向上につなげることが可能です。
従業員のエンゲージメントが向上する
従業員に学習機会やキャリア形成の支援を提供することで、企業に対する信頼感や仕事への意欲向上が期待できます。
これは、会社が従業員の成長や将来のキャリアを支援する姿勢を示すことで、「自分の成長を大切にしてくれている」という実感につながるためです。従業員の会社への帰属意識が高まり、組織への貢献意欲も向上します。
また、従業員の主体的な学びを促し、スキル向上への意識を高められます。結果的に、離職率の低下・人材の流出防止にも役立つでしょう。
なお、優秀な人材の定着には、生活面の安心も大切です。社宅制度の導入・運用を支援する、マネーフォワード クラウド福利厚生賃貸のような福利厚生サービスを活用することで、人材の定着やエンゲージメント向上を後押しできます。
採用コストが低下する
専門性の高いデジタル人材は需要が高く、採用競争が激しい傾向にあります。
そのため、外部から必要な人材を確保するには、採用コストや時間がかかりがちです。既存従業員に、必要なスキルを身につけてもらうことで、時間的・金銭的コストを抑えやすくなります。
また、既存社員の育成は雇用の維持にもつながり、これまで培った業務知識やノウハウを社内で継承・活用できる点もメリットです。
新規事業の立ち上げにつながる
リスキリングによって、新たな視点やアイデアが生まれやすくなり、新規事業の創出につながります。
これは、既存の業務知識に新たな専門知識を掛け合わせることで、従来とは異なる課題解決の方法や、新しい価値提供の可能性を見つけやすくなるためです。たとえば、従業員がデータ分析やAI活用などのスキルを身につけることで、蓄積された顧客データから新たなニーズを発見したり、業務上の課題を解決する新しいサービスや仕組みを考案したりできます。
既存事業への理解と新しいスキルを組み合わせることで、現場発のイノベーションが生まれやすくなるでしょう。
また、従業員が継続的に学び、新しいことへ挑戦する文化が形成されることで、組織全体のイノベーションも促進されます。未知の分野への進出や事業領域の拡大に、取り組みやすくなるでしょう。
企業がリスキリングを実施する2つのデメリット
リスキリングは、企業の成長や人材育成につながる一方で、導入時にはいくつか課題もあります。
ここでは、企業がリスキリングを実施するデメリットを解説します。
教育コストが発生する
リスキリングには、従業員の学習を支援するための教育コストが発生します。
具体的には、研修プログラムの導入費用や教材の準備、外部講師への依頼費用などが必要です。
効果を最大化するためには、企業が求める人材像・習得すべきスキルを明確にし、必要な予算や運用体制を整えるのがポイントです。
目的が曖昧なまま研修を実施すると、業務に活かせないスキル習得に時間・費用をかけてしまい、期待した成果につながらないかもしれません。
スキルアップによる転職リスクがある
リスキリングによって従業員の専門性や市場価値が高まると、よりよい待遇やキャリアを求めて転職する可能性が高まるのもデメリットです。
とくに、業務に関する知識と高度なスキルを兼ね備えた優秀な人材が流出すると、企業は育成にかけた時間やコストが無駄になってしまいます。
また、特定のスキルを持つ人材に業務が依存している場合、退職によってノウハウが社外へ流出し、残された従業員の負担増加や業務の停滞につながる可能性もあります。
リスキリングの進め方・導入ステップ
従業員の学習を一時的な研修で終わらせず、実務で活用できる状態へつなげるためには、適切な導入ステップを踏む必要があります。
ここでは、リスキリングの具体的な進め方を解説します。
1.人材像や必要なスキルを明確にする
企業の経営戦略や今後の事業展開を踏まえ、必要となる人材像やスキルを明確にしましょう。
そのうえで、現在の従業員が持つスキルを把握し、理想とのギャップを分析します。不足している知識・能力を整理することで、優先して育成すべきスキル・学習内容を決めやすくなります。
2.教育プログラムを決定する
必要なスキルを明確にしたら、育成の目的や対象者に合わせて、適切な教育プログラムを決定します。
自社だけで教育プログラムを整えるのが難しい場合は、専門知識を持つ講師や外部ベンダーが提供する学習コンテンツの活用も有効です。
また、具体的な学習手段としては下記が代表的です。
- 社内研修
- eラーニング
- オンライン講座 など
習得したいスキルや従業員の学習環境、社内の教育体制などを踏まえて、自社に適した学習手段を選択しましょう。複数の学習方法を用意することで、従業員ごとに適した形で学習しやすく、継続的な学習意欲の向上・スキル習得の促進につながります。
3.研修を実施する
従業員に対して研修や学習機会を計画的に提供し、リスキリングを進めていきます。
新しい知識やスキルの習得には時間・労力が必要となるため、受講を求めるだけではなく、従業員一人ひとりのキャリア目標や学習意欲を踏まえながら、継続的に取り組める環境を整えることが大切です。
1on1などを活用して進捗を確認したり、業務時間内に学習時間を確保したりすることで、無理なくスキル習得を促進できます。
4.習得したスキルを実務で活用する
リスキリングで習得した知識やスキルを、実際の業務で活用する機会を設けましょう。
学んだ内容と実務を結びつけることで、スキルの定着が進みます。実践後は、上司や管理者がフィードバックを行い、活用状況や改善点を共有しましょう。
継続的な振り返りやサポートを通じて、従業員のさらなるスキル向上を促すことで、リスキリングの効果を高められます。
リスキリングを成功させるポイント
リスキリングを効果的に進めるには、従業員が継続的に学び、習得したスキルを業務で活用できる環境を整えることが大切です。
ここでは、企業がリスキリングを成功させるために、意識すべきポイントを解説します。
従業員の目標や意向を起点に進める
企業側の目的だけでなく、従業員の目標や意向を踏まえてリスキリングを設計することが大切です。
導入の目的や必要性、取り組みによるメリットを丁寧に共有し、従業員が納得したうえで学習に取り組める環境を整えましょう。
また、リスキリングによって目指す成果や、習得したスキルを活用する場面を明確にすることで、従業員が取り組みの意義を理解しやすくなります。
従業員のモチベーションを維持する仕組みを作る
リスキリングは中長期的な継続が必要なため、従業員が学習意欲を維持しながら、自律的にスキル習得を進められる環境づくりが求められます。
たとえば、社内コミュニティや勉強会など、学習状況・成果を共有できる場を設けると、従業員同士の刺激やモチベーション向上につながります。
また、学習の進捗を可視化し、成果を適切に評価する仕組みを整えることも大切です。スキル向上に見合った評価やキャリア機会を示すことで、優秀な人材の定着を促し人材流出の防止にも役立ちます。
現場に即したプログラムを組む
現場の業務や課題を起点に、学習プログラムを設計することも大切です。
現場の業務内容や課題をヒアリングし、必要なスキルを整理したうえで、実際の業務事例を学習内容に反映させましょう。
たとえば、下記のように業務と学習を直結させることが効果的です。
- 営業部門の場合:商談ロールプレイや顧客対応のケーススタディを取り入れる
- IT部門の場合:実際のシステム障害を題材にした演習を行う など
学習内容を日々の業務や課題と結びつけることで、リスキリングの必要性や効果を実感しやすくなり、学習意欲の向上に加え、業務改善や生産性向上にも直結します。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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