• 更新日 : 2026年7月7日

地域雇用開発助成金とは?対象地域や支給額、申請手順をわかりやすく解説

Point地域雇用開発助成金とは何か?

地域雇用開発助成金は、雇用機会の少ない対象地域で事業所を設置・整備し、地元求職者を雇い入れた事業主に最大3回支給される助成金です。

  • 対象地域は3区分、300万円以上の設備投資が必要
  • 支給額は設置費用と雇入れ人数で決まる
  • 計画書の提出は着手前が必須条件

Q. 1回あたりいくら受給できますか?
A. 設置費用と増加人数により50万〜800万円で、中小企業は初回1.5倍に増額されます。

雇用機会の少ない地域に事業所を設置して人を採用したいものの、初期費用や採用コストに不安を感じている企業担当者は少なくありません。

そこで本記事では、地域雇用開発助成金の支給要件や支給額、申請手順について解説します。

地域に事業所の設置を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

地域雇用開発助成金とは

地域雇用開発助成金とは、雇用情勢の厳しい地域で事業所の設置・整備を行い、その地域に居住する求職者等を雇い入れた事業主に支給される助成金です。

所管は厚生労働省で、申請先は事業所の所在地を管轄する都道府県労働局やハローワークです。

地域雇用開発助成金には「地域雇用開発コース」と「沖縄若年者雇用促進コース」の2つがあり、対象地域や助成の仕組みが異なります。

地域雇用開発コース

地域雇用開発コースは、雇用機会が不足する地域で事業所の設置・整備を行い、その地域に居住する求職者等を雇い入れた事業主を対象とするコースです。

対象地域に合計300万円以上の設置・整備を行い、3人(創業の場合は2人)以上の地域の求職者等を雇い入れると、設置費用と雇入れ人数に応じた額が支給されます。

支給は1年ごとに最大3回され、設置費用や雇入れ人数が大きいほど支給額も大きくなる仕組みです。

参照:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)|厚生労働省

沖縄若年者雇用促進コース

沖縄若年者雇用促進コースは、沖縄県内で事業所の設置・整備を行い、沖縄県内に居住する35歳未満の若年求職者を一定数以上雇い入れた事業主を対象とするコースです。

対象となる若年求職者は、雇用保険の一般被保険者として雇い入れることが必要です。

地域雇用開発コースが設置費用と雇入れ人数に応じて助成するのに対し、沖縄若年者雇用促進コースでは若年者に支払った賃金水準などをもとに助成額が算定されます。

設置・整備費用の要件や計画から完了までの期間、支給申請のサイクルなども地域雇用開発コースと異なります。

参照:地域雇用開発助成金(沖縄若年者雇用促進コース)|厚生労働省

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地域雇用開発助成金の支給要件

地域雇用開発助成金を受給するには、対象地域や事業主、労働者のそれぞれで定められた要件を満たす必要があります。

ここでは、対象となる地域の区分と確認方法、事業主・労働者の要件について解説します。

対象となる3つの地域区分

地域雇用開発助成金の対象地域は「同意雇用開発促進地域」や「過疎等雇用改善地域」「特定有人国境離島等地域」の3つに区分されます。

地域区分によって、雇い入れの対象にできる求職者の範囲や取扱いが異なるため、申請を検討する際には対象を押さえておきましょう。

同意雇用開発促進地域

同意雇用開発促進地域は、求職者数に比べて雇用機会が著しく不足しているなど、雇用情勢がとくに厳しい地域を指します。

地域の雇用開発を進める必要性が高い地域として、都道府県が地域雇用開発計画を策定し、厚生労働大臣の同意を得た区域が対象となります。

過疎等雇用改善地域

過疎等雇用改善地域は、人口減少や若年層・壮年層の流出が著しく、雇用の改善が必要な地域です。

過疎地域や離島振興対策実施地域など、人口減少や働き手の都市部への流出が進む地域が想定されています。

特定有人国境離島等地域

特定有人国境離島等地域は、国境に近い有人離島などを含む地域です。

離島の人口減少を防ぎ、地域の雇用機会を確保する目的で対象に含まれています。

自社の所在地が対象地域か確認する方法

自社の所在地が対象地域に含まれるかは、厚生労働省のウェブサイトに掲載されている対象地域の一覧で確認できます。

一覧は地域区分ごとに分かれているため、事業所を設置する予定の市町村名を照らし合わせてみましょう。

なお、対象地域に該当する市町村は時期によって見直されるため、最新の指定状況を確認する必要があります。

判断に迷う場合は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局やハローワークに確認しましょう。

対象となる事業主の主な要件

地域雇用開発助成金を受給するためには、事業主が定められた要件をすべて満たす必要があります。

事業主の主な要件(すべて満たす)
  • 設置・整備した施設について雇用保険の適用事業主であること
  • 支給要件の判定期間に事業主都合による解雇などを行っていないこと
  • 労働保険料を滞納していないこと
  • 労働関係法令の違反がないこと
  • 労働関係帳簿や会計帳簿を整備していること
  • 地域の雇用構造の改善に資する事業主であること

このほかにも細かな要件が定められているため、申請前に管轄の労働局で確認しておきましょう。

対象となる労働者の要件

対象となる労働者は、雇入れ日時点で対象地域に居住する求職者などであることが必要です。

また、原則としてハローワークなどの紹介により、雇用保険の一般被保険者として継続して雇い入れることが求められます。

対象労働者の人数は実際に雇い入れた人数ではなく、雇用保険の被保険者数の増加分が上限です。

なお、対象地域に居住する新規学校卒業者は、対象労働者数の3分の1までを人数に含められます。

利用できる主な特例措置

地域雇用開発助成金には、対象地域や支給額に関する特例措置がいくつか設けられています。

たとえば、地域活性化雇用創造プロジェクトに参加する事業主への特例が代表的です。

厚生労働大臣が選定したプロジェクトを実施する都道府県の承認を受けた事業主は、第1回目の支給時に正社員1人あたり50万円の上乗せを受けられます。

併せて、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)を活用した特例もあります。

認定された寄附活用事業に関連する寄附を行い、その地域で事業所の設置・整備と雇い入れを行った事業主が対象です。

このほか、災害が発生した際に、被災地域を対象として申請期間などを限定した特例が設けられることがあります。

特例は新設や終了が多いため、最新の有無や内容を管轄の労働局で確認しましょう。

対象となる費用と支給額

地域雇用開発コースでは、設置・整備に要した費用と対象労働者の増加人数に応じて、1回あたりの支給額が決まります。

2026年4月1日以降に計画書を提出した場合の支給額は、以下のとおりです。

設置・整備費用 増加人数
3〜4人
増加人数
5〜9人
増加人数
10〜19人
増加人数
20人以上
300万円以上1,000万円未満 50万円 80万円 150万円 300万円
1,000万円以上3,000万円未満 60万円 100万円 200万円 400万円
3,000万円以上5,000万円未満 90万円 150万円 300万円 600万円
5,000万円以上 120万円 200万円 400万円 800万円

なお、創業の場合は対象労働者2人以上の雇い入れから対象です。

上記は通常の支給額で、中小企業は初回支給時に1.5倍、中小企業が創業として申請する場合は2倍に増額されます。

支給は完了日から1年ごとに、最大3回行われます。

参考:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)支給申請の手引き|厚生労働省

助成対象となる経費

助成対象となる経費には、以下の3種類があります。

  • 事務所新設、増設、内装等の工事費用
  • 動産、不動産購入費用
  • 賃借費用、リース費用

いずれも1件(1契約または1点)あたり20万円以上で、合計300万円以上であることが条件となり、算定額はすべて消費税込みで計算します。

具体的には、事業所・店舗の新設・増設工事や設備・備品の購入、事務所の賃借などが該当します。

助成対象とならない経費

契約や購入に伴う仲介手数料や各種保険料、消費税以外の税金、振込手数料は助成の対象外です。

土地の購入費用や不動産登記の手数料、事業主の自宅を含む施設、賃貸して収入を得る施設なども対象となりません。

さらに、親族や配偶者、親会社・子会社など、関係性が深いと判断される取引先へ支払った経費も対象外です。

地域雇用開発助成金を申請する流れ

地域雇用開発助成金の申請は、計画書の提出から最大3回の支給申請まで大きく4つのステップで進みます。

1. 計画書を着手前に提出する

地域雇用開発助成金の申請では、設置・整備や雇い入れに着手する前に計画書を提出することが重要です。

計画書の提出日より前に行った設置・整備や雇い入れは、助成の対象になりません。

ただし、工事や購入、賃貸の契約後でも、支払いや引き渡しの前であれば間に合う場合があります。

提出のタイミングを確認したら、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に、事業所状況等申立書や事業所の概要がわかる資料を添付した計画書を提出しましょう。

なお、創業による追加の助成を希望する場合は、事業主の職歴書も一緒に添付する必要があります。

2. 事業所を設置・整備し対象労働者を雇い入れる

計画書の提出後、計画期間(最長18ヶ月)内に設置・整備と雇い入れを行います。

具体的には、合計300万円以上の設置・整備と、3人(創業の場合は2人)以上の対象労働者の雇い入れが必要です。

対象労働者はハローワークなどの紹介を通じて、対象地域に居住する求職者を雇用保険の一般被保険者などとして雇い入れます。

計画期間を過ぎた設置・整備や雇い入れは助成の対象にならないため、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。

3. 完了届と第1回支給申請書を提出する

設置・整備と対象労働者の雇い入れが完了したら、完了届を兼ねた第1回支給申請書を管轄の都道府県労働局長に提出します。

完了届は原則として計画日から18ヶ月以内に提出し、提出した日が完了日となります。

計画日から18ヶ月を過ぎる場合は18ヶ月を経過する日が完了日となり、完了日の翌日から2ヶ月以内に完了届を提出しなければなりません。

なお、第1回の支給申請書提出後に、設置・整備した動産や不動産、雇い入れた労働者の状況を確認する実地調査が行われます。

4. 第2回・第3回の支給申請を行う

完了日の1年後を第2回、2年後を第3回の支給基準日として、それぞれの基準日の翌日から2ヶ月以内に支給申請を行います。

2回目・3回目の支給を受けるには、各支給基準日における雇用保険の一般被保険者数と対象労働者数が、完了日時点の人数を下回っていないことが必要です。

併せて、雇い入れた対象労働者が職場に定着していることも求められます。

申請時に注意したいポイント

提出前に行った設置・整備や雇い入れは助成の対象にならないため、検討を始めた段階で管轄の労働局に相談することが重要です。

なお、風俗営業など一部の業種は助成の対象外です。

住居兼店舗や、自治体を通じた間接補助金を含む国の補助金を受ける設置・整備費用も、対象外または補助金を差し引いた額で計算されます。

さらに、労働者の定着率が低い場合や事業主都合の解雇を行った場合、労働保険料を滞納している場合などは不支給となることがあります。

不正な受給は支給の取り消しや返還の対象となるため、計画書や申請書は正確に記載しましょう。

地域雇用開発助成金に関するよくある質問

地域雇用開発助成金の申請を検討する際には、入金の時期や返還の要否に疑問を持つ方もいるでしょう。

ここでは、地域雇用開発助成金に関するよくある4つの質問と回答を紹介します。

申請してから入金までどのくらいかかりますか?

完了届の提出後、書類審査と実地調査を経て支給が決定されるため、申請から入金までには一定の期間がかかります。

具体的な入金時期は、事業所の状況や審査の進み方によって異なるため、入金までの目安を知りたい場合は、管轄の労働局やハローワークに確認しましょう。

もらった助成金は返還が必要ですか?

地域雇用開発助成金は、原則として返還の必要はありません。

ただし、要件を満たさなくなった場合や不正受給が判明した場合は、支給の取り消しや返還を求められます。

なお、2回目・3回目の支給を受けるには、対象労働者の定着など継続的な要件を満たす必要があります。

どのような場合に不支給になりますか?

計画書を提出する前に、設置・整備や雇い入れに着手した場合は支給の対象になりません。

このほか、事業主都合の解雇を行った場合や労働保険料を滞納している場合、対象労働者の定着率が低い場合なども不支給となることがあります。

実地調査で設置・整備や雇い入れの事実が確認できない場合も支給されません。

他の助成金と同時に受給できますか?

地域雇用開発助成金は、一部の助成金と同時に受給できない場合があります。

たとえば、同じ雇い入れや設置・整備を対象とする助成金とは、原則として同時に受給できません。

一方で、対象とする取り組みが異なる助成金であれば、同時に受給できるケースも見られます。

併用の可否は助成金の組み合わせによって異なるため、事前に管轄の労働局やハローワークに確認しましょう。

なお、地域雇用開発助成金は2回目以降の支給に対象労働者の定着が求められるため、雇い入れた人材が早期に離職すると、後の支給を受けられないおそれがあります。

助成金を最後まで受給するには、雇い入れた人材に長く働き続けてもらう環境づくりが欠かせません。

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離職率の改善や採用競争力の向上が期待できるため、人材確保の体制づくりにも活かせます。


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