- 更新日 : 2026年8月12日
預金管理状況報告とは?様式第24号の書き方とe-Gov電子申請の手順を解説
預金管理状況報告(様式第24号)は、社内預金制度を導入する事業場が毎年4月30日までに労働基準監督署へ提出する義務がある年次報告書です。
- 3月31日時点の預金者数・残高・保全措置を報告
- OCR用紙は毎年最新様式を等倍印刷して黒ペンで記入
- e-Gov電子申請ならGビズIDで24時間提出が可能
Q. 提出を怠るとどうなる?
A. 労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科される可能性があります。気づいた時点で速やかに所轄の労働基準監督署へ連絡し提出してください。
社内預金制度を導入している事業場は、預金管理状況報告(様式第24号)を毎年4月30日までに労働基準監督署へ提出する義務があります。本記事では、様式第24号の記入方法から保全措置の書き方、OCR用紙の注意点、e-Govによる電子申請の手順、さらに社内預金の状況報告義務を踏まえた制度維持・廃止の判断基準までを解説します。
預金管理状況報告とは?
預金管理状況報告(様式第24号)とは、社内預金制度を導入する事業場が労働基準法第18条に基づき、毎年4月30日までに所轄の労働基準監督署へ提出する年次報告書です。労働基準法施行規則第57条第3項では、使用者に対し毎年3月31日時点の預金管理状況を届け出るよう義務付けています。
対象となるのは、労使協定を締結して従業員の賃金から天引きした貯蓄金を管理している事業場です。報告の基本情報を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報告対象日 | 毎年3月31日時点の預金状況 |
| 提出期限 | 4月30日まで(土日祝の場合は翌営業日) |
| 提出先 | 事業場の所在地を管轄する労働基準監督署 |
| 提出方法 | 窓口持参・郵送・e-Gov電子申請のいずれか |
| 罰則 | 提出を怠ると労働基準法120条により30万円以下の罰金 |
年1回の手続きであるがゆえに段取りを忘れがちな担当者も多いのではないでしょうか。4月に入ったら速やかに着手するのがポイントです。なお、複数事業場を持つ企業では、本社が支店分をまとめて一括で状況報告できるケースもあります。一括報告を行うには、事前に本社管轄の労働基準監督署へ一括届出事業場一覧表を提出し、承認を受ける手続きが必要です。
一括報告を行う場合でも、預金者数・預金残高・保全措置の状況は事業場ごとに集計したうえで合算する必要があります。支店ごとに給与システムや台帳の締め日が異なると、3月31日時点の数値がずれてしまうことがあるため、集計基準日を全社で統一しておくとミスを防ぎやすくなります。承認前に一括報告への切り替えを検討する場合は、余裕をもって本社管轄の労働基準監督署へ相談しておくとよいでしょう。
貯蓄金管理に関する協定届との違い
貯蓄金管理に関する協定届は制度導入時に一度だけ提出する届出であるのに対し、預金管理状況報告は制度を継続する限り毎年提出する年次報告です。前者は労使協定の内容そのものを労基署へ届け出るもので、協定内容を変更した場合にも改めて提出が必要になります。
一方、預金管理状況報告はすでに届出済みの協定のもとで、預金者数・預金残高・保全措置の実施状況といった運用実態を毎年報告するものです。両者を混同すると、協定届のみで状況報告を失念してしまうケースがあるため、社内預金制度を導入した年は特に両方の提出スケジュールを分けて管理しておくと安心です。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
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社会保険の手続きでよくあるミス 対処方法と防止策10選
社会保険の手続きは、ひとたびミスが生じると適切な対処方法がわからず対応に苦慮するケースが多いものです。
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預金管理状況報告(様式第24号)の書き方は?
様式第24号は記入欄ごとにルールが細かく決まっているため、項目を一つずつ確認しながら記載すると不備を防げます。用紙は労働基準監督署から直接入手するか、厚生労働省のサイトからOCR対応のPDFをダウンロードし、A4サイズで等倍印刷してから記入するのが基本の流れです。
事業場情報と労働保険番号の記入方法
報告書の上部には、事業場の名称・所在地・電話番号、そして労働保険番号を記入します。労働保険番号は14桁の数字で構成されており、府県コード(2桁)・所掌コード(1桁)・管轄コード(2桁)・基幹番号(6桁)・枝番号(3桁)・被一括事業場番号 (4桁)の順に並んでいます。番号がわからない場合は、労働保険の年度更新時に届く労働保険概算・確定保険料申告書で確認できます。記入欄は1マスに1桁ずつ書く形式のため、桁数のずれに注意しましょう。
預金者数と預金残高の計算方法
報告書の中心となるのが預金者数と預金残高の欄です。3月31日時点で実際に残高がある従業員の人数を記入し、過去に制度を利用していても報告日時点で残高ゼロの従業員はカウントしません。預金残高は千円未満を四捨五入して千円単位で記載するルールです。
例えば預金残高の合計が12,345,678円であれば「12,346千円」と記入します。給与システムや台帳から出力した生データと報告書記載額を必ず照合しておきましょう。
利率・利子額の記入方法
社内預金には、厚生労働大臣が定める下限利率以上の利子を付さなければなりません。現在の下限利率は年0.5%(年5厘)で、令和8年4月適用分についても市中の定期預金平均利率との差が一定幅未満であったことから、据え置きとされています。下限利率を下回る利率で労使協定を結んでも無効となり、下限利率を定めたものとみなされます(労働基準法第18条第4項)。
報告書には、実際に適用している利率を記入します。利率改定の年度は、記載内容を慎重に確認するのがよいでしょう。
参考:令和8年4月から適用される社内預金の下限利率について|厚生労働省
保全措置の記載方法
保全措置の記載は、報告書の中でも差戻しが多い項目です。賃金の支払の確保等に関する法律第3条では、社内預金を管理する使用者に対し、毎年3月31日現在の預金全額についてその後1年間、保全措置を講じるよう義務付けています。
保全措置には大きく分けて次の類型があります。
| 保全措置の種類 | 内容 |
|---|---|
| 金融機関による保証契約 | 銀行・信用金庫などと保証契約を結び、支払不能時に金融機関が弁済する |
| 信託契約 | 信託銀行と信託契約を結び、預金相当額を信託財産として分別管理する |
| 質権または抵当権の設定 | 企業の定期預金等に質権・抵当権を設定し、返還請求権を担保する |
| 預金保全委員会の設置 | 労使代表で構成する委員会を設け、預金管理状況を定期的に監視する |
報告書では、該当する類型のチェックボックスに縦線を入れます。あわせて該当する保全措置の内容を記載しますが、複数の保全措置を講じている場合は、該当する全ての保全措置に縦線を入れ、詳細を記入します。保全措置を一切講じていない場合は法違反となり、罰則のほか制度の運営停止を求められるリスクもあります。
複数の保全措置を組み合わせている事業場では、それぞれの契約の有効期間がずれていないかも確認しておきましょう。例えば、金融機関との保証契約が3月中に更新期限を迎える場合、更新手続きが完了する前に3月31日を迎えてしまうと、報告時点で保全措置が切れている状態になりかねません。契約更新のスケジュールは、預金管理状況報告の作成スケジュールとあわせて年間の業務カレンダーに組み込んでおくと、更新漏れを防ぎやすくなります。
預金管理状況報告のOCR用紙で差戻しを防ぐには?
差戻しの多くはOCR用紙の取り扱いミスが原因です。様式第24号はOCR(光学的文字読取装置)で読み取る専用帳票のため、一般的な書類とは異なる注意点があります。手書きの内容そのものに誤りがなくても、用紙の印刷方法や記入具の選び方を誤るだけでOCRが正しく読み取れず、差戻しにつながることが少なくありません。
| よくあるNGパターン | なぜダメか | 対策 |
|---|---|---|
| コピー機で複写した用紙を使用 | OCRマークが薄れ機械が読み取れない | 厚労省サイトから正規PDFをダウンロードして等倍印刷する |
| PDF印刷時に倍率を「用紙に合わせる」にした | 帳票サイズがずれてOCR枠と合わなくなる | 印刷設定で実際のサイズ(100%)を指定する |
| 青ペンや鉛筆で記入した | OCRが文字を正しく認識できない | 黒のボールペンで記入する |
| 数字が枠からはみ出している | 桁ずれで読み取りエラーが発生する | 1マス1桁を意識し枠の中央に記入する |
用紙の折り曲げやクリップ跡もOCR読み取りエラーの原因になります。郵送する場合は折り目がつかない角形2号封筒を使い、クリアファイルに入れて送付すると安心です。「去年と同じ用紙のコピーを使い回せばよい」という思い込みで差戻されるケースは少なくないため、毎年最新様式をダウンロードする習慣をつけておきましょう。
預金管理状況報告をe-Govで電子申請する手順は?
e-Govを利用すれば、OCR用紙への記入も労基署への持参・郵送も不要になります。GビズID(法人共通認証基盤)のアカウントがあれば無料で利用でき、24時間いつでも申請できるため期限間際の提出にも対応しやすくなります。
電子申請の流れは次のとおりです。
- STEP1:GビズIDを取得する
- STEP2:e-Govの手続検索で「預金管理状況報告」を検索し、申請画面を開く
- STEP3:画面上のフォームに事業場情報・預金者数・残高・保全措置などを入力する
- STEP4:入力内容を確認し、GビズIDで電子署名のうえ送信する
- STEP5:送信後、e-Govのマイページで受付状況・審査結果を確認する
GビズIDプライムの取得には、書類による申請の場合、申請から審査・発行まで原則2週間ほどかかります。一方、マイナンバーカードを用いたオンライン申請であれば、最短で即日発行される場合もあります。4月の提出時期から逆算し、余裕をもって準備しておくと安心です。
紙提出とe-Gov電子申請の違いを比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | 紙(窓口・郵送) | e-Gov電子申請 |
|---|---|---|
| 提出時間 | 労基署の開庁時間内、または郵送日数を考慮 | 24時間送信可能 |
| 用紙の準備 | OCR用紙の印刷・記入が必要 | 画面入力のみ |
| 記入ミスの防止 | 目視チェックのみ | 入力時のエラーチェック機能あり |
| 控えの管理 | 控え用紙を自社で保管 | マイページからダウンロード可能 |
一度電子申請の環境を整えれば、翌年以降は入力データの一部を再利用できるため、毎年の作業時間を短縮しやすくなります。
社内預金制度は維持すべき?
社内預金制度を維持するか廃止するかは、福利厚生としてのメリットと管理コスト、そして毎年の状況報告にかかる事務負担のバランスで判断するのが現実的です。
制度を維持するメリット
社内預金制度は、下限利率以上の利子が保証される福利厚生として一定の支持があります。企業側にも、従業員から預かった資金を運転資金として活用できるという資金繰り上のメリットがあり、機動的な資金調達手段として活用されるケースもあります。
また、社内預金は従業員が給与天引きで自動的に貯蓄できる仕組みであるため、貯蓄習慣の定着を後押しする福利厚生としても位置づけられています。特に若手従業員が多い事業場では、個人での資産形成を後押しする制度として導入意義を説明しやすい面もあるでしょう。ただし、こうしたメリットは預金者数がある程度確保されていて初めて実感しやすくなるものであり、利用者が少ない状態が続く場合はメリットと管理コストのバランスを見直す判断材料になります。
管理コストを洗い出す
一方で、制度を維持するには複数のコストが発生します。年0.5%以上の利子負担、保証料や信託報酬などの保全措置維持コスト、毎年の預金管理状況報告書の作成・提出事務、預金台帳の管理や利子所得への源泉徴収(20.315%)事務、労使協定の定期的な見直しなどです。
預金者数が数名にまで減少しているにもかかわらず、保証料や事務コストが固定的にかかっているといった状況であれば、費用対効果を改めて検証する時期といえるでしょう。
参考:No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)|国税庁
廃止する場合の手続き
社内預金制度を廃止するには、労使間の合意と所定の手続きが欠かせません。廃止までの流れは次のとおりです。
- STEP1:労使協定の改定または廃止について労働者代表と協議し合意を得る
- STEP2:預金者全員に廃止の通知を行い、払戻しスケジュールを案内する
- STEP3:預金の全額を従業員へ払い戻す(労働基準法第18条第5項により遅滞なく返還する義務がある)
- STEP4:労働基準監督署へ貯蓄金管理廃止届を提出する
払戻しの原資を一括で確保できるかどうかは、経営上の大きなチェックポイントです。預金残高が大きい場合は、資金繰りへの影響を事前にシミュレーションしておく必要があります。制度変更は従業員の生活設計に影響するため、早い段階で方針を示し、代替となる財形貯蓄制度(勤労者財産形成貯蓄制度)などの選択肢もあわせて提示するのが望ましいでしょう。
預金管理状況報告に関するよくある質問(FAQ)
預金管理状況報告に関するよくある質問をまとめました。
預金管理状況報告の提出先はどこ?
事業場の所在地を管轄する労働基準監督署です。複数事業場がある場合は、承認を受けたうえで本社が一括提出することもできます。
保全措置を講じないとどうなる?
労働基準法違反となり、30万円以下の罰金や制度の運営停止を求められるリスクがあります。3月31日時点の残高と保全額の突合が欠かせません。
電子申請と紙提出はどちらがよい?
GビズIDを取得済みであれば、24時間送信可能でエラーチェック機能もあるe-Gov電子申請の方が差戻しリスクを抑えやすいといえます。
提出を忘れてしまった場合はどうすればよい?
気づいた時点で速やかに所轄の労働基準監督署へ連絡し、様式第24号を作成のうえ提出するのが基本です。放置すると是正指導や罰則の対象になり得ます。
複数の事業場がある場合、それぞれで提出すべき?
原則として事業場ごとに提出しますが、事前に一括届出事業場一覧表を本社管轄の労働基準監督署へ提出し承認を受ければ、本社が支店分をまとめて一括報告することも可能です。
預金管理状況報告を確実に提出するために
預金管理状況報告は、様式第24号の記載ルールと保全措置の突合を年に一度確実に行うことが求められます。OCR用紙の取り扱いや最新様式の使用など差戻しを防ぐポイントを事前に確認し、電子申請への切り替えを検討する場合は3月上旬までにGビズIDを取得しておくと、社内預金の状況報告を4月の提出期限にも余裕をもって対応できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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