• 更新日 : 2026年10月8日

160万円の壁が178万円に!12月働いた分は含まれる?

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Point12月に働いた分は年収の壁に含まれる?

所得税がかからない年収の壁は178万円で、年内に支給された給与の合計で判定します。

  • 判定は勤務日ではなく支給日で決まる
  • 160万円の壁は令和8年分から178万円(年収)に
  • 交通費は除くが手当は含めて計算する

賞与や単発バイトの収入も合算するため、足し忘れに注意しましょう。

かつて「160万円の壁」と呼ばれていた所得税がかからない基準は、令和8年分から年収178万円に引き上げられました。ここでいう年収とは、給与や賞与などの額面の合計額です。

年末調整の時期に多くの人が迷うのが「12月に働いた分は、その年の年収に含まれるのか」という点です。判定の基準と計算のルールを解説します。

12月に働いた給与は178万円の壁に含まれる?

12月中に給与が支給されていれば含まれ、翌年1月払いであれば含まれません。判定の基準になるのは、働いた日ではなく給与が振り込まれた支給日だからです。

なお、年収178万円という基準は額面の合計で判定します。手取りの金額ではない点にも注意しましょう。

1月1日から12月31日までに支給された分で判定する

年収の計算期間は毎年1月1日から12月31日までで、判定に使うのは実際に支給された給与です。所得税法が暦年を基準としており、給与所得の収入すべき時期は支給日とされているためです。

働いた時期ではなく支給日が基準になるため、締め日と支払日の組み合わせによって、どちらの年に含まれるかが変わります。

給与の支払いパターン 12月勤務分の支給日 どちらの年収に含まれるか
月末締め・当月25日払い 12月25日 今年の年収に含まれる
20日締め・当月末払い 12月31日(11月21日から12月20日分) 今年の年収に含まれる
月末締め・翌月10日払い 翌年1月10日 翌年の年収に含まれる
月末締め・翌月25日払い 翌年1月25日 翌年の年収に含まれる

当月払いの給与体系で働いている場合、12月のシフトを入れすぎると年内の支給額が増え、壁を超えてしまうリスクが高くなります。

一方、多くの企業は翌月払いを採用しています。この場合、12月に繁忙期で残業が増えたとしても、その分が今年の年収に加わることはありません。ただし、単発バイトなど年内に受け取った収入があれば合算が必要です。

なお、会社の事業年度(4月から3月)とは異なり、カレンダーどおりに区切られる点も押さえておきましょう。多くの企業では12月末に年末調整を行いますが、これは12月までの支給額を確定させ、税金の過不足を精算するための手続きです。

参照:No.1400 給与所得|国税庁

交通費は除外するが手当は含める

年収の壁は、交通費(通勤手当)を除いた金額で判定します。公共交通機関の定期代など、月15万円以下の通勤手当は非課税のためです。

ただし、雇用契約書に「時給〇〇円(交通費込み)」とある場合は、原則として交通費分もすべて計算に含まれます。この契約では税務上、原則全額が給与とみなされるためです。近所のアルバイトなどで一律時給の場合によくあるケースのため、まず契約内容を確かめておきましょう。

年収がぎりぎりかどうか確認する際は、給与明細の「総支給額」ではなく、そこから交通費を引いた「課税支給額」を1月から12月まで(支給日基準で)合計します。源泉徴収票の「支払金額」も、この交通費を除外した数字です。

ここを間違えると、まだ働けるのに「もう壁を超えてしまった」と勘違いしてシフトを減らすことになりかねません。

一方、住宅手当や家族手当、役職手当などは、名称に手当と付いていても非課税ではありません。全額が年収に含まれるため、計算から除外できるのは交通費などの非課税分だけです。

区分 該当するもの
年収に含まれる
  • 基本給、残業代、休日出勤手当
  • 賞与、寸志
  • 住宅手当、家族手当、役職手当、資格手当
  • 非課税限度額を超える部分の通勤手当
年収に含まれない
  • 非課税限度額の範囲内の通勤手当
  • 出張旅費のうち通常必要と認められる金額
  • 一定の要件を満たす食事の支給

参照:No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当|国税庁

年収178万円は月収いくらになる?

年収178万円を12か月で割ると、月収の目安は約14万8,000円です。壁ごとの月収の目安は次のとおりです。

年収の基準 月収の目安(12か月で割った金額)
178万円(令和8年分の所得税) 約14万8,000円
160万円(令和7年分の所得税) 約13万3,000円
130万円(社会保険の扶養) 約10万8,000円

ただし、これはあくまで平均です。所得税の判定に使うのは1年間の合計額のため、月によって金額に差があっても問題ありません。繁忙期に月20万円稼いだ月があっても、年間の合計が178万円以下であれば壁を超えていないことになります。

なお、社会保険の130万円は月ごとの収入で判定されるため、考え方が異なります。この違いは後述します。

年収178万円に収まる働き方の目安は?

月14万8,000円ペースで働いた場合、時給1,300円なら月114時間ほどが目安になります。時給別の目安は次のとおりです。

時給 月14万8,000円に必要な労働時間 週の働き方の目安
1,100円 約135時間 週5日 × 1日6.5時間
1,300円 約114時間 週5日 × 1日5.5時間
1,500円 約99時間 週4日 × 1日6時間
1,800円 約82時間 週4日 × 1日5時間

あくまで毎月同じペースで働いた場合の目安です。判定に使うのは1年間の合計額のため、繁忙期に多く働いた月があっても、ほかの月で調整すれば問題ありません。

また、この目安には交通費を含めていません。時給に交通費が含まれる契約の場合は、その分も年収に加算される点に注意しましょう。

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160万円の壁が178万円に変わったのはいつから?

所得税がかからない年収の基準は、令和8年分から178万円になりました。令和7年分までは160万円が基準です。年の途中で切り替わるわけではなく、令和8年分の1年間を通じて178万円で判定します。

令和8年分から178万円が基準になる

令和8年度税制改正により、令和8年1月から12月までに支払われた給与から178万円が基準になります。関連する税制法は令和8年3月31日に成立しています。

年分ごとの基準は次のとおりです。

年分 基礎控除 給与所得控除 課税されない年収
令和7年分 95万円 65万円 160万円
令和8年分 104万円 74万円 178万円

178万円という金額は、すべての人に適用される基礎控除と、働く人の経費にあたる給与所得控除を足し合わせた金額です。所得税は、1年間の収入から控除を引いた残りの金額にかかります。

令和8年分の控除の内訳は次のとおりです。

  • 基礎控除:最大104万円(合計所得金額489万円以下の場合)
  • 給与所得控除:74万円(給与収入220万円以下の人の最低保障額)

この2つを足すと104万円+74万円=178万円となります。つまり年収が178万円以下であれば、課税される所得がゼロになるため、所得税がかかりません。

なお基礎控除104万円が適用されるのは、合計所得金額が489万円以下の場合です。収入が増えるにつれて控除額は段階的に縮小します。

ここで年収と所得の違いを整理しておきましょう。給与所得控除を差し引く前の金額が年収(収入金額)、差し引いた後が所得です。178万円は年収、489万円は所得の金額を指しています。

毎月の源泉徴収に反映されるのは12月

基準が178万円になっても、毎月の給与から天引きされる所得税にすぐ反映されるわけではありません。令和8年11月までの源泉徴収は、改正前の税額表で計算されています。

改正後の控除額が反映されるのは、12月に行う年末調整のときです。そのため令和8年分は、年末調整での還付が例年より大きくなる方が出やすくなります。

毎月の給与明細に記載された税額だけを見て、年収の見込みを判断しないようにしましょう。

参照:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁

扶養の判定に使う金額は別に定められている

自分に所得税がかかるかどうか(178万円)と、親や配偶者の扶養控除や配偶者控除の対象になるかどうか(136万円)では、基準も切り替わる時期も異なります。扶養親族等の所得要件は、令和8年12月1日以後に支払う給与から引き上げられました。

判定の内容 基準となる年収 適用時期
自分に所得税がかかるか 178万円 令和8年分(1月から12月)
親や配偶者の控除の対象になるか 136万円
(合計所得62万円)
令和8年12月1日以後に支払う給与から

令和8年11月30日以前に支払われた給与については、従来の123万円(合計所得58万円)で判定します。

なお19歳以上23歳未満の場合は、136万円を超えても197万円までは特定親族特別控除の対象となり、親は収入に応じて段階的に控除を受けられます。学生アルバイトの方は、この点もあわせて確認しておきましょう。

12月の給与で壁を超えてしまう理由は?

年末になると「計算違いで壁を超えてしまった」という相談が増えますが、その多くは給与の支払日と働いた時期のずれを考えられていないことが原因です。年内最後の給与で失敗しやすい3つのパターンを解説します。

11月や12月前半のシフト増が響く

翌月払いの企業では11月の勤務分、当月払いの企業では12月の勤務分が年内最後の給与となります。どちらのシフトに注意すべきかは、給与の支払いパターンによって変わります。

  • 翌月払い(月末締め翌月10日払いなど):
    注意すべきは11月のシフト。年末商戦の準備でシフトに入りすぎると、その分が12月の給与として支給され、意図せず壁を超えることがある
  • 当月払い(20日締め当月25日払いなど):
    12月前半のシフトが影響する。繁忙期は時給が上がることもあるため、普段どおり働いていても支給額が増えやすい

冬のボーナスや寸志も計算に含まれる

給与とは別に支給される冬のボーナスや寸志も、年収の計算には必ず含まれます。パート・アルバイトであっても、業績好調時には年末に一時金が支給されることがあります。

これを「お小遣いのようなもの」と考えて年収計算から漏らしてしまうミスが起こりがちです。源泉徴収票の「支払金額」には、毎月の給与だけでなく賞与も合算されるため、寸志が出る可能性がある場合はその分も枠を空けておきましょう。

なお、現金手渡しで支給される大入り袋なども、原則として給与に含まれます。非課税になるのは慶弔見舞金などごく一部に限られます。

12月の単発バイト収入を足し忘れる

メインの職場とは別に、12月に行った単発バイトや副業の収入も合算が必要です。特に注意したいのが、12月の繁忙期に募集される日払いや手渡しの単発バイトです。

メインの職場が翌月払いのため12月勤務分が含まれないとしても、副業で12月中に現金を受け取っていれば、その分は今年の年収に加算されます。この数万円の副収入が原因で壁を超えてしまうケースがあるため、すべての収入を合算して管理しましょう。

178万円の壁を超えた場合の影響は?

主な影響は、本人に少額の所得税がかかることと、親や配偶者の税金が増える可能性があることの2点です。12月のシフト調整に失敗して数万円超えたとしても、高額な税金がいきなり課されるわけではありません。

本人に所得税がかかる

年収が178万円を超えると、その超えた金額に対して本人の所得税が発生します。税額は超過分に対して5%(復興特別所得税を除く)程度です。

たとえば12月の給与が増えて年収180万円になった場合、超えた2万円に対する税金は約1,000円です。手取りが極端に減るわけではありません。

勤務先で年末調整を受けていれば、この精算は年末調整で完了します。年末調整を受けられなかった場合は、確定申告で精算します。

親や配偶者の税負担が増える可能性がある

本人の税金よりも影響が大きいのが、親や配偶者の税負担が増えることです。扶養の判定に使う136万円を超えると、扶養控除や配偶者控除の対象から外れます。

  • 扶養控除(学生など):
    136万円を超えると扶養控除の対象外になる。ただし19歳以上23歳未満は197万円まで特定親族特別控除の対象となり、収入に応じて段階的に控除を受けられる
  • 配偶者控除:
    136万円を超えると配偶者控除の対象外になる。ただし給与収入169万円までは配偶者特別控除が満額適用されるため、世帯主の税負担は変わらないケースが多い

自分に所得税がかかるかどうか(178万円)と、家族の税負担が変わるかどうか(136万円)は基準が異なります。家計全体への影響を確認しておきましょう。

参照:No.1180 扶養控除|国税庁

ほかの年収の壁との違いは?

年収の壁と呼ばれるものは178万円だけではありません。金額によって、税金に関わるものと社会保険に関わるものがあります。

金額の目安 何が起こるか 種類
106万円 一定の要件を満たすと勤務先の社会保険に加入する※賃金要件は2026年10月に撤廃予定 社会保険
119万円 住民税がかかり始める(自治体により異なる) 税金
130万円 家族の社会保険の扶養から外れる 社会保険
136万円 親や配偶者の扶養控除・配偶者控除から外れる 税金
178万円 本人に所得税がかかる 税金

なかでも手取りへの影響が大きいのが社会保険の130万円です。税金の壁を超えても負担は超過分に対する税額にとどまりますが、社会保険の扶養から外れると保険料の負担が新たに生じます。

税金の壁(178万円)と社会保険の壁(130万円)では、12月の給与が与える影響の種類も異なります。税金の壁は12月でカウントが終了しますが、社会保険の壁は12月の給与額から今後の年収を予測して判定されるためです。

130万円は見込み年収で判定される

社会保険の130万円の壁は、過去の支給額ではなく、12月の給与を含めた直近の収入状況から算出した見込み年収で判定されます。税金の壁が1月からの積み上げで決まるのに対し、130万円の壁は月収108,333円を超えているかが基準です。

もし12月にシフトを入れすぎて、その月の給与が108,333円を大幅に超えた場合、年間の合計額が130万円に達していなくても「今後はこの高い収入が続く」とみなされ、一時的に扶養から外れるよう指導されるケースがあります。

12月だけ働く場合は、加入している健康保険へ一時的な収入増である旨を確認しておくとよいでしょう。

なお、2026年4月以降は、労働条件通知書などに記載された賃金や労働時間をもとにした契約ベースの年間収入を基に扶養の可否を判定することも可能となっています。また、扶養認定を受ける方が19歳以上23歳未満の場合、130万円は150万円に緩和されます。

参照:労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて|日本年金機構
参照:19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります|日本年金機構

社会保険では交通費も判定額に含まれる

税金の判定では除外できた交通費も、社会保険では収入としてカウントされます。12月のシフト調整をする際、税金対策と同じ感覚で交通費を抜いた金額で計算していると判断を誤りかねません。

たとえば12月の給与が「基本給10万円+交通費1万円=11万円」だった場合、税金の判定では10万円ですが、社会保険の判定では11万円(年収換算132万円ペース)となり、扶養認定の基準を超えるリスクが生じます。

参照:被扶養者とは?|全国健康保険協会

12月の給与と年収の壁に関するよくある質問

12月の給与と年収の壁について、質問の多い点をまとめました。

12月末締めで翌月払いの場合は今年の年収に含まれる?

含まれません。翌年の年収になります。給与の支給日(口座への振込日)が年明けの1月であれば、その収入は新しい年の年収として扱われます。

したがって、12月にどれだけ残業をして稼いだとしても、今年の壁には影響しません。今年の枠を気にせず働けます。

12月に手渡しで受け取った短期バイト代は計算に含まれる?

含まれます。給与が銀行振込か現金手渡しかは関係なく、いつ受け取ったかが基準です。12月中に現金で受け取ったアルバイト代は、今年の年収に合算します。

源泉徴収票が発行されない場合でも、自分で金額を記録し、確定申告などの手続きを行う必要があります。

12月働いた分は支給日を基準に判定する

12月に働いた分の給与が年収の壁に含まれるかどうかは、勤務した時期ではなく、実際に口座へ振り込まれた支給日が基準となります。年内に受け取った給与であれば今年の年収に含まれ、年明けの1月に支給されるのであれば翌年の年収になります。

かつて160万円と呼ばれていた基準は、令和8年分から178万円に引き上げられました。ただし、親や配偶者の扶養に入れるかどうかの判定に使う金額は136万円で、切り替わる時期も異なります。この2つを混同しないよう気をつけましょう。

年が明けた1月は、昨年の年収が確定し、今年の年収管理が始まる区切りです。まずは手元の給与明細を確認し、いつ支給された給与かを確かめることから始めましょう。

企業の人事労務担当者にとっても、このルールの周知は欠かせません。従業員が「12月働いた分はすべて今年の年収」と誤解していると、年末に不要なシフト調整が発生し、現場の人手不足を招く原因となります。給与の締め日と支払日の関係を正しく案内しましょう。

参照:令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A|国税庁

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