- 更新日 : 2024年10月11日
年末調整の仕訳と勘定科目をわかりやすく解説
年末調整は、毎月従業員から預かった源泉所得税について年間の精算を行う重要な業務です。
この年末調整の仕訳を間違うことなく計上できるようになれば、源泉所得税の一連の流れを理解できるようになったといえるでしょう。毎月の給与での預かり源泉所得税と、年末調整での精算の流れを順に見ていきましょう。
目次
年末調整で精算する預かり金とは
年末調整では、預り金を精算します。この精算のもととなっている預り金は、毎月従業員から預かっている源泉所得税です。
毎月の給与仕訳の確認
まずは前提として、毎月の給与支払時の仕訳を確認しましょう。
※各数字に具体的な意味はありませんのでイメージとして捉えてください。
給与支給時(毎月)
| 給料 230,000円 | 現金預金 185,420円 |
| 預り金(源泉所得税)5,780円 | |
| 預り金(社会保険料)31,200円 | |
| 預り金(雇用保険料)700円 | |
| 預り金(住民税)6,900円 |
「現金預金」は、各会社の支払いサイクルにより「未払金」や「未払費用」となる場合がありますが、今回は「現金預金」で統一して説明します。
また雇用保険料については、年に1回の支払時に会社が「立替金」を使って起票している場合は、立替金を取り崩す処理となります。
※「未払金」や「未払費用」となる例…月末締め翌20日払いの場合など
毎月従業員に払うべき給与を100とすると、源泉徴収した所得税や従業員負担分の社会保険料、雇用保険料、特別徴収の住民税を預かり金として給与から天引きして会社が預かり、差し引いた65を従業員に支給するという仕訳です。
それぞれの会社により使用している勘定科目や金額の違いなどはあっても、大まかには上記のような給与仕訳を毎月起票しているかと思います。
源泉所得税納付時(毎月)
| 預り金(源泉所得税) | 5,780円 | 現金預金 | 5,780円 |
従業員から預かった源泉所得税は、翌月10日までに税務署へ納付します。税理士等、給与以外の報酬支払時に預かった源泉所得税も一緒に納付するので、前月に起票した給与仕訳の「預り金(源泉所得税)」と実際の支払額が一致しないこともありますが、基本的に前月分の「預り金(源泉所得税)」は翌月10日に精算されることになります。
年末調整月(年に一度、基本的に12月)
| 給料 | 230,000円 | 現金預金 | 190,420円 |
| 預り金(源泉所得税) | 5,000円 | 預り金(源泉所得税) | 5,780円 |
| 預り金(社会保険料) | 31,200円 | ||
| 預り金(雇用保険料) | 700円 | ||
| 預り金(住民税) | 6,900円 | ||
年末調整で還付金がある場合、起票する会計仕訳はこのようになります。12月度(会社によっては1月などになる場合もあります)の給与仕訳に、借方に「預り金(源泉所得税)」勘定が登場します。
この際、借方の「預り金(源泉所得税)」の金額(この場合、5)が年末調整の結果の従業員への還付額です。貸方は、通常の月と同じように、源泉所得税を含む預り金の12月度分の計上がなされます。
年末調整の基本的な仕訳については、まず毎月の給与仕訳で源泉所得税を預かり、翌月10日に前月の源泉所得税を納付し、12月に年末調整で年間の精算を行って差額を還付・もしくは徴収するという流れを理解しておいてください。
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源泉所得税はなぜ毎月預かって年末調整で精算するのか
源泉所得税は毎月従業員から預かって翌月に税務署に納付しているのに、なぜ年末調整で過不足を精算する必要があるのでしょうか。
年末調整をする意味とは
年末調整は、控除額を正しく反映し、年間の所得税納付金額の差額を還付もしくは調整するために行います。所得税は、各人の事情に応じて様々な控除の制度が用意されています。
たとえば、配偶者や扶養家族の事情により控除を受けることができる「配偶者控除」や「扶養控除」。
年間に支払った各種保険料により控除を受けることができる「生命保険料控除」や「地震保険料控除」などがあります。
年末調整の際に、各人の事情について書類で申告を行うことで、概算で支払った源泉徴収額に対し、正しく控除を反映させることができるのです。
年末調整をするとなぜ多くの場合「還付」になるのか
年末調整を「1月の給与で支給されるちょっとしたボーナス」のように感じている方も多いかと思います。年末調整では「差額の還付もしくは徴収」が起きますが、なぜ多くの場合、徴収ではなく還付が起きるのでしょうか。
それは、先ほど述べた各種控除制度が「このようなことが実際にあったので控除してください」と、年の終わりに申告する形式になっているからです。各種控除が適用されない場合で所得税を毎月徴収(※扶養家族等の控除は前年の申告が適用された状態で毎月徴収)しておき、年末調整で控除適用の申告をするため、還付が起きる仕組みになっています。
例えば、保険料に関しては「今年はこれくらい支払う」という予定はあっても、実際は途中で保険を解約することも考えられます。そのため、秋頃に送られてくる「実際に今年はいくら払い込みがありました(送付月までの払込実績+12月末までの予定額)」という保険会社からの証明書を提出し、書類に所定の記入を行うことで所得の控除を受けることができるのです。
生命保険料控除や地震保険料控除以外にも、年の途中で配偶者が仕事を辞めたり、子どもが16歳になったり、生活の支援をしている親が70歳になったりした場合には、配偶者控除や扶養控除などを受けることができ、還付が増えることがあります 。
年末調整の意味がわかれば、源泉徴収の流れもわかる
年末調整の仕訳とその意味について、理解できましたか?実際の会計科目の背景まで理解することで、体系的な知識を得ることができるかと思います。一年間の源泉徴収の流れと源泉徴収制度の仕組みを理解した上で、仕訳を作成してみてください。
よくある質問
年末調整で精算する預かり金とは?
毎月従業員から預かっている源泉所得税です。詳しくはこちらをご覧ください。
年末調整をする意味とは?
「控除額を正しく反映し、年間の所得税納付金額の差額を還付もしくは調整する」ために行います。詳しくはこちらをご覧ください。
年末調整をするとなぜ多くの場合「還付」になるの?
12月に「このようなことが実際にあったので控除してください」と年の終わりに申告するような形式になっているからです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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