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  • 更新日 : 2021年10月8日

確定申告における医療費控除の計算方法や、明細書の書き方を解説!

確定申告における医療費控除の計算方法や、明細書の書き方を解説!

入院や出産などで高額な医療費の支払いをしている納税者を税制面でサポートするための制度として「医療費控除」「セルフメディケーション税制」があります。
医療費の支払いに応じた金額を所得から控除することで、所得税を減税しようという制度です。今回はこの「医療費控除」について、詳しく解説していきます。

確定申告の医療費控除とは?

確定申告では、要件を満たした場合に一定金額を所得から引き算することができます。これを所得控除と呼びます。このうち、医療費の支払額の一部を所得控除することを「医療費控除」と呼びます。

給与所得のある人は年末調整をしますが、医療費控除は年末調整で所得控除を受けることができません。つまり、会社に手続きをお願いすることはできませんので、控除を受けるためには自身で確定申告を行う必要があります。個人事業主もその点は同じです。

所得控除できる金額にも制約があります。支払った医療費の全額を引き算することはできず、所得金額との比較により控除額が計算されます。

なお、医療費控除は「医療費控除」と、特例である「セルフメディケーション税制」の2つがあり、どちらかの選択適用となっています。ここではそのうち、医療費控除について解説していきます。

医療費の合計額が「所得の5%」を超えることが要件

はじめに医療費控除の要件について解説していきます。

医療費控除の計算方法

確定申告で医療費控除を受けることができるかを判断する目安は、1年間の医療費の合計が「所得の5%」を超えているかどうかです。
具体的には、次の算式により求めた金額が医療費控除の金額になります。

医療費控除の額 = 支払った医療費の合計額 - (所得金額合計×5%※)

※上限額は10万円
医療費控除の計算方法

所得金額合計とは「事業所得」や「給与所得」など、全ての所得を合計したものです。
所得の計算は通常、その年の12月31日が終わらなければ計算することはできません。

所得金額合計が200万円を超えるのが確実であれば、支払った医療費の合計額が10万円を超えるかどうかといった医療費控除の大まかな判断はできます。

しかし、所得金額合計が200万円以下の場合は先に所得金額を確定させてからでないと医療費控除の金額が確定しませんので注意してください。

「医療費の支払いが10万円を超えていないから医療費控除はできない」と誤解されている方がいますが、「所得の5%(上限額10万円)」であることを再度確認してください。

医療費控除の対象者は?

その年の1月1日から12月31までの1年間に、税金を納める本人自身または配偶者、その他の親族のうち「生計を一にする人」のために支払った医療費が対象となります。

ここでいう「生計を一にする」を簡単にいえば、生活費の出所が同一であるかどうかということです。

例えば大学に行っている息子さんに仕送りをしていればその息子さんは「生計を一にしている親族」となります。

逆に、「生計を一にする」と認められないケースとして、両親が老人ホームに入居していて日常的に別居している場合があげられます。

老人ホームの入居費用や食事代を両親が負担していて、家族は服や日用品程度の費用負担しかしていなかった場合、「日常生活の資を共通にしている」とはいえません。

このようなケースで実際に「生計を一にする」を否認された判例もあります。

「同居しているか」という表面的な判断ではなく「生活費を共通にしているか」という実態で判断するのがポイントです。

控除対象となる医療費の支払い

医療費控除の対象となる支払いは、その年の1月1日から12月31までの1年間に実際に支払ったものです。

支払っていることが要件ですから、当年分の未払いは含まれませんし、逆に前年分の医療費を当年に支払えば控除対象となりますので注意してください。

医療費補填金の取り扱い

「保険金などで補てんされる金額」とは以下のような支給を指します。

  1. 入院したときに給付を受けることができる入院給付金(生命保険などの加入者に対して支給されるもの)
  2. 月の医療費が高額になった場合に一部を払い戻してもらえる高額療養費
  3. 子どもなど被扶養者の医療費に適用される家族療養費
  4. 子どもが生まれたときにもらえる出産育児一時金(健康保険などで支給されるもの)

高額療養費制度と医療費控除はどちらも「多額の医療費を支払ったとき」に使える制度です。
両者を併用して受けることができ、高額療養費申請をして支給された金額以外は医療費控除の対象となります。

同様に、出産育児一時金、家族出産育児一時金、家族療養費、高額介護合算療養費などのほか、生命保険契約や損害保険契約に基づき受取った医療保険金や入院費給付金、傷害費用保険金なども「保険金などで補てんされる金額」となります。

高額療養費の確定申告について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

医療費控除の計算をするにあたり、これらの医療費補填金は実際に支払った医療費から差し引かなければなりません。
なお、補てんされる金額がその給付の目的となった医療費より高い場合に、ほかの医療費から差し引くことはできません。

医療費控除の対象になるもの / ならないもの

医療費控除は、支払った全てが医療費控除の対象となるわけではありません。内容によっては医療費控除から除外しなければならないものもあります。

医療費控除の対象になるもの

医療費控除の対象となる主な医療費は以下の通りです。

一般的には、支払った金額が医療費控除の対象となりますが、著しく高額なものや、治療内容が特殊なものについては控除対象外となりますので注意してください。

  1. 診療又は治療の対価
    ただし原則的に、健康診断の費用や医師への謝礼金などは含まれません。
  2. 治療又は療養に必要な医薬品の購入費用
    治療目的で購入した風邪薬などの代金は医療費となりますが、病気の予防や健康増進のために購入したビタミン剤などの健康補助食品等の購入代金は医療費となりません。
  3. 病院・診療所・介護老人保健施設等に収容する際にかかった人件費
  4. あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師による施術費用
    疲れを癒したり、体調を整えたりするなど、直接治療に関係のないものは含まれません。
  5. 保健師・看護師・准看護師などに支払った療養上の世話代
    所定の料金以外に支払った心付けなどは除かれます。また、家族や親類縁者に対する支払いも対象外となります。
  6. 助産師による分べんの介助代
  7. 介護福祉士等による一定の喀痰吸引・経管栄養の代金
  8. 介護保険制度の下で提供された居宅サービス等の自己負担額
  9. 診療等を受けるための通院費・入院の際の部屋代や食事代の費用・コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料
    自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金等は含まれません。
  10. 診療や治療を受けるために必要な、義手・義足・義歯・松葉杖・補聴器・眼鏡などの購入代
  11. 医師の治療を受けている人が、6か月以上寝たきりである場合のおむつ代
    ただし、治療している医師による「おむつ使用証明書」の発行が必要です。

医療費控除の対象にならないもの

医療費控除の対象とならないのは、簡単にいうと「治療行為ではないこと」に対する支払いです。

例えば、白内障や緑内障の手術後、視力回復のために購入したメガネは治療行為の一環として医療費控除が認められています。

しかし、私たちが普段使っているメガネを購入したときの費用を医療費控除に含めている方はいないでしょう。視力矯正の目的で購入したものは「治療行為」にはあたらないからです。通常は医療費控除の対象外となります。

その他にも医療費控除の対象とならない支払いをいくつか列挙してみます。

  • 美容整形
  • リラクゼーション目的のマッサージ
  • 美容を目的とした歯のオールセラミック治療
  • 健康維持のために購入した健康補助食品
  • 異常がみられなかった場合の人間ドックや健康診断の費用

医療費控除のケース別注意点

「出産費用」や「入院費用」のなかには、目的によって取り扱いが異なるものが数多くあります。判断に迷うことが多い項目をケース別に見てみましょう。

出産費用の場合

妊娠が判明してから受診する定期検診や検査に支払った費用も含まれます。出産の際に利用したタクシーの運賃や入院中の食事代も対象になりますが、実家で出産するための帰省にかかる費用や、病室への出前・外食は含まれません。

出産時の確定申告について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

入院費用の場合

入院費用に含まれる食事代は対象となりますが、出前・外食が含まれないのは出産費用と同じです。さらに、入院する際に揃えた歯ブラシやコップなどの日用品や入院時の差額ベッド代、室料差額も控除の対象になりません。

歯の治療の場合

一般的に歯の治療材料として使用される金やポーセレンなどは、高価であっても対象となります。しかし、保険外の自由診療など、特殊な治療にかかった場合の費用は含まれません。
歯列矯正は、発育段階の子供の成長を阻害しないために行うなど、必要と認められる場合には対象になります。ただし、歯列の美化を目的とした場合には含まれません。

インプラント・矯正治療の確定申告について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

交通費の扱い

通院にかかった交通費は、付き添い人のものも含めて控除対象になります。ただし、公共交通機関及び緊急時や夜間に利用したタクシー代等であり、自家用車のガソリン代や駐車場代などは含まれません。

領収書とメモは重要な証明書

支払いごとに領収書を受け取ることはもちろん、領収書の発行が難しい公共交通期間による通院費の場合には、日付・金額・目的・人数を書いてメモに残しておくと、それが領収書の代わりになります。

ほかにもある控除対象

高齢者への特定保健指導の自己負担分においても、一定の基準に該当していれば医療費控除の対象になります。

医療行為の進化により、医療費控除の対象となるか否かの判断基準がより多岐にわたり、かつ複雑になっています。なかには治療内容を医師に確認しなければ判断がつかない行為もあるようです。

確定申告で高額な医療費控除を受けるような場合には、それが医療費控除の対象となるのかをあらかじめ税務署に確認しておくことをおすすめします。

控除額の計算方法

前段でも述べましたが、控除額を計算する場合は所得金額が基準となります。
具体的には「所得金額合計が200万円」のラインが控除額計算のボーダーラインとなり、計算式が異なります。

所得金額が200万円以上の場合

支払った医療費から差し引かなければならない金額は「所得金額の5%(ただし10万円を超えた場合には10万円)」となっています。

例えば所得金額合計が200万円で、支払った医療費合計が30万円であった場合、10万円を超える医療費分20万円を所得控除することができます。

それでは下記の簡易的な源泉徴収票を見ながら、医療費控除を計算してみましょう。

所得金額が200万円未満の場合

所得金額の5%を医療費控除として認めることができます。たとえば所得金額が180万円だった場合、9万円を超える医療費分を還付申告することができます。

例)令和○年度 給与所得の源泉徴収票

種別
支払金額
給与所得控除後の金額
所得控除の額の合計額
源泉徴収税額
給与
2,900,000円
1,950,000円
930,000円
51,000円

この場合の所得金額は、1,950,000円となります。支払った医療費の金額が200,000円とすると、200,000円-(1,950,000×5%)=102,500円を医療費控除として所得から控除することができます。

所得控除を受けるとその分所得が少なくなるので、結果として所得税を納める額が少なくなります。所得税と住民税は連動していることから、所得税の納税額が少ないと住民税も併せて少なくなります。医療費控除を正しく申告することで、納税額を見直すことができるのです。

医療費の控除を受けるための手続き

確定申告をする必要のない人が、納めすぎた税金を取り戻すために確定申告することを、還付申告といいます。還付申告は翌年の1月1日から起算して5年以内に行なうことができます。
ちなみに、令和2年1月1日~同年12月31日にかかった医療費に関する還付申告期間は、令和3年1月1日~令和7年12月31日の間で可能となります。

医療費控除の明細書

以前は医療費控除を受ける際には医療費の領収書を確定申告書に添付し提出していましたが、平成29年分からは提出書類が簡素化され「医療費控除の明細書」の提出のみでOKとなりました。
(ただし領収書は自身で5年間保存しなければなりません)

また、支払いの領収書に替えて、医療保険者から交付を受けた医療費通知(「医療費のお知らせ」など)から合計額を転記することも認められています。

確定申告書

確定申告書を入手する方法は以下の2種類があります。

税務署から郵送してもらう

確定申告の用紙は通常、自動的に郵送されてきますが、前年分の確定申告をe-Taxで行った場合や各市町村役場で済ませた場合には翌年以降郵送されてきません。

e-Taxソフトの画面から印刷する

源泉徴収票

確定申告において、2019年から源泉徴収票の添付は不要となっています。

必要書類の書き方

医療費控除の明細書から確定申告書に至るまでの記載方法について説明します。

医療費控除の明細書

医療費控除の明細書

1. 各欄としてある、医療を受けた人、病院などの名称、医療費の区分名、支払った医療費、治療の際に保険会社や社会保険から補塡された金額を記入します。
ただし、医療保険者から交付を受けた医療費通知(「医療費のお知らせ」など)がある場合は、その合計額を明細書上部の欄に合計転記することも認められています。
2. 支払った医療費、治療の際に保険会社や社会保険から補塡された金額の合計額をA欄、B欄に記入します。

医療費明細書は原則として「医療を受けた方」「病院・薬局などの支払先」別に記載していきます。
家族や医療機関の数が多く、書ききれない場合には「医療を受けた方」別に合計あるいは「病院・薬局などの支払先」別に合計して記載しても差し支えありません。

また、国税庁HPではエクセルを使った「医療費集計フォーム」が用意されていますので、こちらも活用してみてください。

医療費控除の明細書2
3. A欄に記載した「支払った医療費」からB欄の「保険金などで補塡される金額」を引いた「差引金額」をC欄に記入します。
4. 確定申告書の「所得金額」の欄にあり、控除した後の額である「合計」をD欄へ記入します。
5. D欄で記入した所得金額の合計の「5%」の額をE欄に記入します。
6. E欄に記入した額と10万円を比べ、いずれか少ない金額のほうをF欄に記入します。
7. C欄で記入した「差引金額」からF欄で記入した金額を差し引いた額を「医療費控除」であるG欄に記入します。

確定申告書

確定申告書A

最後に「医療費明細書」で計算した結果を、確定申告書第一表「23.医療費控除」の欄に転記すれば完了です。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)

医療費控除には特例措置として「セルフメディケーション税制」があります。
概要としては、コンビニや薬局で販売している「セルフメディケーション対象商品」を購入した場合にも医療費控除の恩恵を受けることができるというものです。

医療機関の診療に時間をとられることなく医療費控除を受けることができるメリットがあります。また、12,000円を超えた部分が医療費控除の対象となりますので、控除を受けやすいという点も挙げられます。

セルフメディケーション税制について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

医療費控除を受けられるか確認してみましょう

医療費控除に必要な領収書や明細書があれば、誰でも簡単に還付金を受け取ることができます。控除が受けられる条件と1年間に使った医療費を計算して、医療費控除が受けられるかどうか是非確認してみてください。

よくある質問

医療費控除とは何ですか?

医療費を支払った場合に受けることができる、一定金額の所得控除を医療費控除といいます。詳しくはこちらをご覧ください。

どのようなものが医療費控除の対象となりますか?

病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額が控除の対象となります。詳しくはこちらをご覧ください。

医療費の控除を受けるために必要なものは何ですか?

医療費控除の明細書、確定申告書、源泉徴収票です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド確定申告

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