• 更新日 : 2023年12月13日

年収300万円の個人事業主の手取りはいくら?税金計算や確定申告での節税方法も解説

年収300万円の個人事業主の手取りはいくら?税金計算や確定申告での節税方法も解説

年収300万円である個人事業主の手取り額はいくらになるのでしょうか?確定申告において計上できる必要経費、所得控除をはじめ、所得税や住民税などの税金はいくらになるかシミュレーションしてみましょう。おすすめの節税方法などにも触れていきます。

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年収300万円の個人事業主の手取りはいくら?

年収300万円といっても、売上高なのか、所得なのかなどと計算の根拠がぐらついていては税金の計算ができません。

一般に個人事業主の「年収」というときは、会社員の年収などとの比較に使うこともあるため、次のように考えることが多いようです。

年収 = 売上高 - 必要経費

したがって、この記事における計算の前提として、青色申告者の場合には青色申告特別控除前の所得を「年収」と捉えて計算します。白色申告の場合には、専従者控除後の所得金額の最終値を「年収」として計算します。

【青色申告者の場合 損益計算書

個人事業主の手取り-青色申告者の場合 損益計算書

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁所得税青色申告決算書(一般用)を加工して作成

【白色申告者の場合 収支内訳書末尾】

専従者控除後の所得金額

出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁収支内訳書(一般用)を加工して作成

また、次の例はどれも年収(所得)が300万円になることにご注意ください。

  • 売上高 1,000万円 / 必要経費 700万円
  • 売上高  350万円 / 必要経費 50万円

所得税は世帯の状況で控除額が変わり、生命保険料控除医療費控除、さらには住宅ローン控除などがある場合もあります。この試算では、35歳独身で扶養家族なし、他の控除は一切なしと考えます。

上記の前提に基づいた年収300万円の青色申告者、白色申告者の手取り額は次のようになります。

比較項目
青色申告
白色申告
備考
年収
300万円
300万円
※控除額
65万円
0円
青色申告特別控除額は
最高額を控除するものと仮定
基礎控除
48万円
48万円
所得税における基礎控除額
年金保険料
20万円
20万円
月額16,590円×12ヶ月
健康保険料
24万円
30万円
東京都世田谷区の保険料にて暫定計算
所得税
7万円
10万円
青色:課税所得143万円
白色:課税所得202万円
住民税
15万円
21万円
青色:課税所得148万円
白色:課税所得207万円
均等割5,000円、税率10%で計算
個人事業税
0.5万円
0.5万円
事業主控除分のみを考慮し、
税額は5%と仮定
差引手取額
約233.5万円
約218.5万円
約15万円差となる

※の項目については途中の計算に使った額であり、差引手取額の計算には影響しません。

年収300万円の青色申告者である個人事業主は、概算で手取りが233.5万円という結果になりました。同様の年収でも白色申告をする個人事業主は、概算で手取りが218.5万円と約15万円の差がつきました。

所得税と住民税で課税所得が異なるのは、それぞれの所得計算における基礎控除額が異なるからです。所得税の基礎控除は48万円ですが、住民税の基礎控除額は43万円となります。

年収300万円の個人事業主が支払う税金の種類・計算方法は?

上記において計算した税金のうち、特に所得税と住民税について見ていきましょう。また、年収300万円の個人事業主は個人事業税の対象にはならなくとも、消費税については課税事業者に該当する場合があります。

個人事業主の所得税

確定申告書では所得税を計算します。所得税は国に納める国税で、所得税の計算の大まかな流れは次のとおりです。

  1. 帳簿から青色申告決算書(白色の場合は収支内訳書)を作成する
  2. 確定申告書に収入、所得を記載する
  3. 確定申告書で2.に続いて所得控除を計算する
  4. 2.の所得から3.の所得控除の合計を差し引きし、課税所得を求める
  5. 課税所得に税率を掛け、所得税額を求める
  6. 税額控除がある場合には差し引きをする

所得税だけでなく、住民税や消費税など税金の基礎となる数値は決算書にあると言えます。したがって、決算書の数値が間違っていれば、影響も大きいため決算書の作成は非常に重要です。決算書を正しく作成するためには、その土台となる月々の決算が正しくなければなりません。

要するに、一つひとつの取引を丁寧に帳簿に付けているか、言いかえれば、正しい仕訳をしているかということに尽きます。

個人事業主の住民税

住民税は地方税であり、都道府県民税と市区町村民税の総称です。徴収の目的は、地域における公共サービスのためとされます。住民税は、所得金額にかかわらず負担がある均等割と、所得金額に応じて課税される所得割から構成されます。

住民税における課税所得の求め方は所得税と似ていますが、基礎控除や配偶者控除など所得控除の額などが異なります。また、所得税が申告納税方式であるのに対し、住民税は賦課課税方式であり、市区町村が確定申告書などから税額を計算し、市区町村から「納税通知書」により納税者に通知して納付する方法をとります。

住民税の計算の大まかな流れは次のとおりです。

  1. 所得税の計算における合計所得金額から所得控除を差し引き、課税所得を求める
  2. 1.の課税所得に税率を掛けて所得割の計算をする(税率は一律10%)
  3. 税額控除がある場合には2.の所得割額から差し引き
  4. 3.の差引後の税額に均等割額を加算する
    通常は5,000円(市町村民税3,500円と道府県民税1,500円、自治体により異なる)

個人事業主のその他の税金

次に、所得税や住民税以外の税金について見ていきましょう。

個人事業税

個人事業主には、地方税法等で定められた事業に対して個人事業税という地方税がかかります。年収300万円の個人事業主については、個人事業税の計算過程で所得から差し引ける事業主控除が290万円あるため、300万円から290万円を差し引いた分に税額を掛けて求めます。青色申告特別控除額が考慮されないことが注意点です。

対象となる事業が決められていますが、大抵の業種が対象となり、税率は3〜5%です。

消費税

基準期間の課税売上高が1,000万円以上になれば、消費税の申告納税が必要です。消費税は原則として、顧客などから受けた消費税から自分が払った消費税を引いた差額を納付します。

年収300万円となる個人事業主でも、売上高が1,000万円以上となる場合もありますので、該当する場合には、消費税を申告納付します。

なお、令和5年10月から開始される消費税のインボイス制度においては、課税売上高にかかわらず、インボイス(適格請求書)を発行する事業者は消費税の課税事業者となります。

その他の税金

事業において不動産を登記する場合には、登録免許税がかかります。事業に供している固定資産があれば、固定資産税や償却資産税が課せられます。
事業用の車両などには自動車税がかかりますし、書面で契約書など課税文書を取り扱えば印税がかかります。

さらに、不動産や車両の取得時においても不動産取得税、自動車取得税が課せられます。

以上に出てきた税金の中で、必要経費とならないものは、所得税、住民税、税抜経理における消費税などです。国民健康保険料や国民年金保険料についても必要経費にはなりません。また、交通反則金、加算税や延滞金といったペナルティにより課せられたものも必要経費にはなりません。

個人事業主の税金についての詳細は、以下の記事をご参照ください。

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年収300万円の個人事業主におすすめの節税対策は?

年収300万円の個人事業主の節税対策としては、青色申告特別控除額の利用、必要経費の見直し、税理士に相談などがあります。一つずつ見ていきましょう。

確定申告で青色申告特別控除を利用する

青色申告制度とは、不動産所得、事業所得などのある個人事業主が、一定の帳簿を作成し、正しく所得税の申告をすることで、所得金額の計算などで有利な取扱いが受けられる制度です。青色申告制度には種々の節税の特典がありますが、その特典の筆頭が「青色申告特別控除」です。

青色申告者が事業の取引を一般的には複式簿記で記帳し、その帳簿から作成した貸借対照表・損益計算書を確定申告書に添付して申告期限内に提出した場合には、原則として最高55万円が控除できます。さらに、電子帳簿保存または電子申告を行っている場合には、10万円の控除を上乗せし、最大65万円の所得控除が受けられます。

必要経費を漏れなく計上する 

必要経費とは、収入金額に対する売上原価として直接要した費用の額、その年に生じた販売費一般管理費その他業務上の費用を指します。

複式簿記は、事業上の取引について「発生主義」で記帳します。したがって、必要経費は、その年において債務が確定した金額であり、実際に支払った金額ではありません。

また、家事関連費とは、プライベートと業務の双方に関連する費用を言います。家事関連費のうち、業務を遂行する上で直接必要だったことが明らかにされる部分があれば、必要経費にできます。

税理士に相談する

青色申告をするための方法や、もっと青色申告者としての特典を使いたいときなど、事業の傍ら調べながら記帳するのは大変なことです。間違って計上して、修正申告などになってもさらに時間も手間もかかります。

そんなときには、要所だけでも教えてもらえるように税理士に相談してみることをおすすめします。

確定申告ソフトを使えば個人事業主の節税がより簡単に!

最近は、クラウド型の確定申告ソフトが発達し、簿記の初心者であっても使いやすいように工夫されています。慣れてくれば、金融機関のデータとも連携して自動的に仕訳を作成することもできます。自動仕訳によって、個々の仕訳をする手間が省略でき、時間も節約できるため節税の観点から損益を見直す時間も確保できます。

ただし、自動で作成された仕訳は内容を確かめた上、帳簿に反映するようにしましょう。さらに、それぞれのソフトでは仕入先別の内訳をグラフ表示する「見える化」機能も充実しています。いくつかのソフトを比較して自分に合ったものを選択するとよいでしょう。

支払う税金や保険料をシュミレーションしておきましょう

年収300万円が安定して得られる個人事業主であれば、毎年支払う税金支払スケジュールが分かってくるかと思います。

支払いを忘れることによって、ペナルティが課されることにならないように、支払うべき税金や保険料を予めスケジューリングしておくことをおすすめします。

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自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。

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白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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よくある質問

年収300万円の個人事業主の手取りは?

青色申告者である個人事業主は手取り約233.5万円、白色申告をする個人事業主の手取りは約218.5万円です。詳しくはこちらをご覧ください。

同条件の個人事業主が支払う税金の種類は?

まず、所得税、住民税があり、その他条件によって個人事業税、消費税、登録免許税、固定資産税、償却資産税、自動車税、印紙税、不動産取得税、自動車取得税などが考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。

個人事業主におすすめの節税対策は?

青色申告者となること、取引を正確に記録して必要経費をきちんと計上すること、不明な点は積極的に税理士に相談することなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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