- 更新日 : 2026年6月9日
青色申告特別控除とは?65万円・75万円控除の条件や税金のメリットを解説
青色申告特別控除は、一定の要件を満たした青色申告者が所得から最大65万円を差し引ける控除です。令和9年分以後は最大75万円に増額予定。
書面で申告した場合の控除額は、55万円です。ただし令和9年分以後は10万円に大幅減額予定のため、e-Tax申告への移行を推奨します。
青色申告にはさまざまな節税メリットがありますが、青色申告特別控除は大きなメリットのひとつです。現行(令和8年分)は最高65万円ですが、令和9年分以後は要件を満たすことで最高75万円に引き上げられる予定です(2025年12月公表の「令和8年度税制改正大綱」より)。
青色申告特別控除とは、青色申告者が一定の要件を満たすことで所得控除が受けられる制度です。通常、売上などの収入から必要経費を差し引いた金額が所得となりますが、青色申告特別控除制度を利用すると、その所得からさらに最高65万円(令和9年分以後は最高75万円の予定)を差し引けます。
【令和9年分以後の変更予定(税制改正大綱)】
2025年12月公表の令和8年度税制改正大綱により、令和9年分以後の青色申告特別控除額が以下のとおり変更される予定です。
| 条件 | 改正前 (令和8年分まで) |
改正後 (令和9年分〜) |
|---|---|---|
| 複式簿記 + e-Tax申告 + 優良な電子帳簿保存または電子取引データ保存 | 65万円 | 75万円(増額) |
| 複式簿記 + e-Tax申告のみ | 65万円 | 65万円(変更なし) |
| 複式簿記 + 書面申告 | 55万円 | 10万円(大幅減額) |
| 簡易簿記(単式簿記)かつ 前々年の収入1,000万円超 |
10万円 | 0円(適用除外) |
※国会での審議を経て令和9年分の所得税から適用予定。令和8年分は現行制度(最大65万円)が適用されます。
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目次
青色申告特別控除とは?
青色申告特別控除とは、青色申告で確定申告を行う場合に受けられる控除のことです。一定の条件を満たすことで、最高65万円(令和9年分以後は最高75万円の予定)の所得控除が受けられます。
個人事業主は、売上から必要経費を差し引いた所得金額に税金が課されます。青色申告特別控除の適用があると、所得金額から最高65万円(令和9年分以後は最高75万円の予定)を差し引いた金額に税金が課されるため、納税者にとって大きな節税となります。
青色申告特別控除の適用を受けるためには、原則として、その年の3月15日まで(その年の1月16日以降に新規開業した場合は開業後2カ月以内 )に「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出する必要があります。
青色申告承認申請書の書き方や提出期限について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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青色申告特別控除の対象となる所得
青色申告特別控除の対象となる所得は、不動産所得、事業所得、山林所得です。
※山林所得は10万円控除のみ
55万円・65万円・75万円控除を受けるための条件
※上記の図は令和8年分(現行制度)の適用要件です。令和9年分以後は控除額の区分が変更されます。(詳細は「e-Taxによる確定申告または電子帳簿保存を行っている」の項をご参照ください)。
青色申告特別控除は、条件をどこまで満たすのかによって、現行(令和8年分)は「65万円控除」「55万円控除」「10万円控除」の3段階に分かれます。令和9年分以後は「75万円控除」「65万円控除」「10万円控除」「0円(適用除外)」の4段階に変更される予定です。
ここでは、現行の65万円控除(55万円控除)を受けるための条件について見ていきましょう。
不動産所得(事業的規模)または事業所得がある
青色申告は、不動産所得、事業所得、山林所得のみで行えます。その中で、65万円控除または55万円控除が適用できるのは、不動産所得(事業的規模)または事業所得に限られます。山林所得は10万円控除のみ適用できます。
ここでポイントとなるのが、不動産所得においては事業的規模を満たすことです。不動産所得の場合、原則として家屋の賃貸の場合はおおむね5棟以上、アパートなどの賃貸の場合はおおむね10室以上の場合に、事業的規模を満たしていると判断されます。
不動産所得について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
複式簿記で記帳をしている
青色申告特別控除で65万円控除または55万円控除を適用するには、正規の簿記の原則にしたがって基本的に複式簿記で帳簿付けをする必要もあります。
複式簿記について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付している
青色申告特別控除で65万円控除または55万円控除を適用するには、複式簿記による記帳の他に、青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書)を確定申告書に添付する必要もあります。
一般的に、青色申告で確定申告を行う際、税務署に提出する青色申告決算書では、貸借対照表と損益計算書を作成することとなっていますが、65万円控除または55万円控除を適用するためには、貸借対照表と損益計算書の内容が記載されている必要があります。
期限内に確定申告している
青色申告特別控除で65万円控除または55万円控除を適用するには、期限内に確定申告を済ませる必要があります。
確定申告の期間は、通常2月16日から3月15日までです。この期間を過ぎると10万円の青色申告特別控除しか受けられなくなってしまうため、必ず期限内に申告するようにしましょう。
e-Taxによる確定申告または電子帳簿保存を行っている
e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行っている場合は65万円控除が適用され、書面による申告の場合は55万円控除が適用されます。
e-Taxによる確定申告について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
e-Taxによらず、電子帳簿保存により上乗せの10万円控除をする場合、仕訳帳及び総勘定元帳について「優良な電子帳簿」の要件を満たしている必要があります。
【重要】令和9年分以後の変更予定
令和9年分以後、e-Taxによる申告や書面申告の場合の控除額が以下のとおり変更される予定です(2025年12月公表の税制改正大綱より)。
- e-Tax申告 + 優良な電子帳簿保存または電子取引データ保存を行っている場合 → 75万円控除(現行65万円から増額)
- e-Tax申告のみの場合 → 65万円控除(変更なし)
- 書面による申告の場合 → 10万円控除(現行55万円から大幅減額)
書面申告を続けると控除額が55万円から10万円へと大幅に下がる可能性があります。e-Tax申告への移行を早めに検討してください。
なお、75万円控除の「優良な電子帳簿」とは、仕訳帳および総勘定元帳について電子帳簿保存法の優良な電子帳簿の要件を満たしているもの、または電子取引データを保存しているものを指します。
控除額が10万円になるケース
65万円・55万円控除の要件に該当しない場合
青色申告者であって、65万円または55万円の控除の要件に1つでも該当しなかった場合は、10万円の特別控除が適用となります。
例えば、単式簿記(簡易簿記)による記帳を行っている場合、現金出納帳、買掛帳、売掛帳、固定資産台帳、経費帳などから現金主義用の青色決算書を作成し、青色申告をすることはできますが、特別控除は最高10万円までとなります。
【重要】令和9年分以後の変更予定:簡易簿記での10万円控除が適用除外になるケース
令和9年分以後は、前々年の事業所得等の収入金額の合計額が1,000万円を超える事業者については、簡易簿記(単式簿記)による10万円控除が適用除外(0円)となる予定です(税制改正大綱による)。
前々年の収入が1,000万円超の方は、令和9年分から複式簿記への移行が実質的に必要となる点にご注意ください。
10万円控除を受けるための条件について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
確定申告の期限後は10万円に
確定申告書の提出期限を超えて提出された申告は、期限後申告といいます。すべての要件を満たしたうえe-Taxで申告し、65万円控除を申請したとしても、法定申告期限を過ぎている場合は10万円の控除となります。
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青色申告特別控除の計算と仕組み
青色申告特別控除はどこから引くのか?
青色申告特別控除額とは、青色申告者だけが所得金額から控除できる金額です。電子申告などを条件に最高65万円(令和9年分以後は最高75万円の予定)までを所得から差し引けます。
青色申告特別控除額については会計仕訳を作成するのではなく、「仕訳の外」の決算書上で認識します。つまり、青色申告特別控除額は、損益計算書の最後で差し引きます。
確定申告書に添付する青色申告決算書の「損益計算書」を見てみましょう。
実際の決算書作成においては、手書きの場合には所得金額の直前に控除するようにします。また、会計ソフトを利用する場合は、申告書作成の指示に従って控除額を入力します。
※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和7年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
なお、手書きの場合には確定申告書第一表にも青色申告特別控除額を記載する欄があるので注意が必要です。会計ソフトを利用する場合にはシステム内で転記されることがほとんどです。
<確定申告書第一表 青色申告特別控除額(手書きの場合)>
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和7年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
赤字の場合の純損失の繰越しとは
赤字とは、損益計算書上において「青色申告特別控除前の所得金額」がマイナスとなる場合をいいます。
青色申告特別控除前の所得金額がマイナスになった場合には、所得税は発生しないため、他の所得がない場合には確定申告の義務はありません。しかしながら、確定申告することで、青色申告者の特典の一つである「純損失の繰越し」が適用できます。
事業所得などが赤字となった場合、まず他の所得との通算をします。これを「損益通算」といい、例えば事業所得の赤字と給与所得の黒字を合計し相殺するイメージです。
しかし、なお相殺しても控除できない赤字(純損失)があるときは、その損失額を翌年以後3年間に繰り越して、各年分の所得金額から控除できます。事業所得だけの場合は事業所得の赤字分を3年間繰り越せることになります。
純損失の繰越しを適用すると、翌年の黒字から繰り越した赤字分を差し引けるため、翌年においては、「青色申告特別控除前の所得金額」から「繰り越した赤字+青色申告特別控除額」を差し引けるため節税になります。
したがって、青色申告者であれば赤字の場合でも確定申告をすることをおすすめします。純損失の繰越しを適用したい場合には、確定申告書の「第四表(損失申告用)」が必要です。
不動産所得がある場合の青色申告特別控除の考え方
青色申告特別控除額は不動産所得にも適用できます。ただし、不動産所得だけの場合は事業の状況によって青色申告特別控除額の考え方が異なります。
事業所得と不動産所得の組み合わせで最高65万円(令和9年分以後は最高75万円の予定)控除可能
事業所得には規模の違いによる取り扱いの違いなどはありませんが、不動産所得では「事業的規模」と「業務的規模」では所得税上の取り扱いが異なります。
事業的規模においては最高65万円まで、業務的規模においては最高10万円までの青色申告特別控除額が認められています。
なお令和9年分以後は、e-Tax申告と優良な電子帳簿保存等の要件を満たす場合、事業的規模の不動産所得でも最高75万円まで控除が受けられる予定です(令和8年度税制改正大綱による)。
不動産所得における事業的規模は、原則として社会通念上、事業の規模に該当するかどうかで判断され、客観的な考え方として「5棟10室基準」などが用いられます。
参考:No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分|国税庁
ただし、事業所得と不動産所得の双方がある場合には、不動産所得が業務的規模であったとしても、最高65万円までの青色申告特別控除額が適用できます。
参考:業務的規模の不動産所得と赤字の事業所得がある場合の青色申告特別控除|国税庁
青色申告特別控除による節税メリット
青色申告特別控除によって実際にどのくらい節税ができるのか、所得400万円の場合で考えてみます。
所得税が安くなる
特別控除を適用しない場合(白色申告)は、所得金額400万円に対する所得税(復興特別所得税を除く)は、37万2,500円です。(4,000,000円×20%-427,500円=372,500円)
しかし、特別控除を最高額で適用すると、課税所得から65万円控除した335万円に対して所得税を掛けることで24万2,500円となり、13万円もの差額があります。(3,350,000×20%-427,500円=242,500円)
なお、令和9年分以後にe-Tax申告と優良な電子帳簿保存等の要件を満たして75万円控除が適用された場合、課税所得は325万円となり、所得税はさらに抑えられる見込みです(税制改正大綱による予定)。
住民税が安くなる
住民税は、賦課課税方式といって、自治体が納めるべき税金を計算し納税者に通知する方法で課税されます。所得税とは違う計算方法が適用されますが、もともとの所得金額は所得税の確定申告における所得金額をもとにしています。
すなわち、先述の青色申告決算書の損益計算書の末尾(下図赤い部分)をもとにして住民税の計算が始まるのです。
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和7年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
したがって、所得税の確定申告で青色申告特別控除を適用すると、住民税の節税にもつながります。住民税は平成19年分以降、10%で一律になったため、最高65万円の特別控除を受けることで、概算で65万円×10%の65,000円分の住民税を節税することが可能です。
令和9年分以後、e-Tax申告と優良な電子帳簿保存等の要件を満たして75万円控除が適用された場合は、概算で75万円×10%=75,000円分の住民税節税が期待できます(税制改正大綱による予定)。
国民健康保険料が安くなる
青色申告特別控除額の適用で、個人事業主が負担する国民健康保険料も安くできます。国民健康保険加入者の方は、所得金額から基礎控除43万円を引いた金額に所得割率を掛けて保険料(所得割部分)が計算されます。
国民健康保険料の計算方法は市区町村によって異なりますが、基本的には住民税所得割の算定基準となる所得から算出します。したがって、住民税と同様、青色申告特別控除を適用することにより保険料が低くなります。
青色申告特別控除が適用できれば、基準となる所得金額から最高65万円の控除額を引いた金額で計算することになります。令和9年分以後、75万円控除が適用された場合はさらに保険料の軽減が期待できます(税制改正大綱による予定)。
個人事業主が国民健康保険料を安くする方法については、下記の記事もご覧ください。
複式簿記で記帳を行うことや、帳簿や決算書類は7年間、領収書は7年間(前々年の事業所得および不動産所得の金額が300万円以下の場合は5年)の保管義務があるなど、一定レベルの会計処理を行うという大変さはありますが、確定申告ソフトを使用すればその手間もかなり省けます。
日々の入出金を入力するだけで、帳簿や計算書類は自動作成されるのでとても安心です。必要なポイントをしっかりと押さえて、節税につなげていきましょう。
青色申告特別控除が受けられないケース
雑所得のように、不動産所得、事業所得、山林所得以外の所得は、青色申告特別控除が受けられません。
また、現金の出し入れを基準に収入や費用の計上を行う現金主義会計の場合も、原則として青色申告特別控除が受けられません。ただし、現金主義による所得計算の特例を適用し青色申告を行っている事業者の場合、10万円の青色申告特別控除を受けることができます。
青色申告の現金主義の特例条件については、下記の記事もご覧ください。
個人事業主は青色申告特別控除で節税対策をしましょう
個人事業主にとって、必要以上に経費を増やして節税することは難しいです。しかし、青色申告特別控除であれば、青色申告をするだけで控除を受けることができます。
青色申告特別控除、特に最高65万円(令和9年分以後は75万円の予定)の控除を受けるには、いくつかの条件を満たす必要がありますが、その分節税効果も高くなります。個人事業主の場合は、現行の65万円、そして令和9年分以後は75万円の控除を目指し、青色申告特別控除で節税対策をしましょう。
なお、青色申告について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
よくある質問
青色申告特別控除とは?
青色申告で確定申告をする人が受けることのできる最高65万円の控除のことです。(令和9年分以後は最高75万円)詳しくはこちらをご覧ください。
青色申告特別控除による税金のメリットは?
所得税・住民税・国民健康保険料などが安くなるというメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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