• 更新日 : 2026年9月11日

源泉所得税の勘定科目は預り金?仕訳や会計処理の注意点を徹底解説

Point源泉所得税の勘定科目は預り金?

源泉所得税の勘定科目は「預り金」(負債科目)を使用するのが正しい会計処理です。

Q. 源泉所得税を預り金で処理する理由は?

A. 従業員から一時的に預かり国へ納付する性質のため、費用科目の租税公課ではなく負債科目の預り金で処理します。

給与計算の際、従業員に毎月支払う給与から源泉徴収税を天引きするため、そのつど仕訳の作業が発生します。給与支払い時の源泉所得税は、預り金の勘定科目で会計処理を行うのが基本です。給与から天引きしたタイミングのほか、源泉所得税の納付時、年末調整時にもそれぞれ仕訳が必要になります。ここでは、源泉所得税の勘定科目と具体的な会計処理の方法について解説します。

源泉所得税の勘定科目は何を使う?

源泉所得税の勘定科目には、租税公課ではなく預り金を使用します。源泉所得税は従業員から一時的に預かり、後日まとめて国に納付する性質の税金であるため、費用科目である租税公課ではなく、負債科目の預り金で処理するのが正しい会計処理です。

従業員の毎月の給与から控除した源泉所得税は、適切に仕訳をする必要があります。源泉所得税は納付までの間プールしておく必要があるため、勘定科目は預り金として処理しましょう。なお、源泉徴収税の納付期限は、原則として給与を支払った月の翌月の10日です。

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源泉所得税の仕訳はどのタイミングで必要?

源泉所得税の仕訳が必要になるタイミングは、主に給与支払い時・源泉所得税の納付時・年末調整時の3つです。それぞれで借方・貸方の処理内容が異なるため、順を追って確認しましょう。

以下で、法人が従業員の源泉所得税を仕訳する際の勘定科目について具体例とともに見てみましょう。

給与支払いのタイミングの仕訳

毎月の給与支払いのタイミングでは、源泉所得税は預り金として処理します。給与から控除する社会保険料についても、源泉徴収税と同じく、納付までの間は預り金や法定福利費の勘定科目で仕訳を行います。

【給与25万円、源泉徴収税5千円、社会保険料4万円とした場合の仕訳例】

借方 金額 貸方 金額 摘要
給与 250,000円 普通預金 205,000円 給与
預り金 5,000円 源泉所得税等
預り金 40,000円 社会保険料

源泉所得税の納付時の仕訳

源泉所得税は、原則として給与支払いの翌月10日までに納付します。納付した際には、預り金の勘定科目を取り崩す形で仕訳を行います。

借方 金額 貸方 金額 摘要
預り金 5,000円 現金 5,000円 源泉所得税等

年末調整時の仕訳(還付・追加徴収)

年末調整時には、毎月の給与から控除した源泉徴収税額の合計額と、1年間の給与・賞与から正確に計算した所得税との差額を精算する必要があります。そのため、還付もしくは追加徴収が必要なケースでそれぞれ仕訳が発生します。

還付金が発生するケース】

年末調整で徴収金額が1万円多かった場合に、還付金を給与で精算する際には、借方・貸方の双方に預り金を計上して仕訳を行います。

借方 金額 貸方 金額 摘要
給与 250,000円 普通預金 215,000円 給与
預り金 5,000円 源泉徴収税等
預り金 40,000円 社会保険料
預り金 10,000円 年末調整還付金

還付金を手渡す場合には、上記表の給与の振込額は20.5万円となります。通常の月と同じ処理を行い、従業員から預かっていた預り金を取り崩して現金を手渡すため、以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額 摘要
預り金 10,000円 現金 10,000円 年末調整還付金

【追加徴収が必要なケース】

年末調整で1万円の納付額が不足し、源泉所得税の追加徴収が必要となった場合、12月に従業員の給与を支払う時点で天引きします。具体的な仕訳方法は以下の通りです。

借方 金額 貸方 金額 摘要
給与 250,000円 普通預金 195,000円 給与
預り金 5,000円 源泉徴収税等
預り金 40,000円 社会保険料
預り金 10,000円 年末調整不足額

なお、2026年分(令和8年分)の年末調整では、税制改正による所得税の基礎控除引き上げが12月の年末調整で一括して反映される予定です。月々の源泉徴収額そのものは従来どおりの水準で天引きされ、控除額の変更分は2026年12月の年末調整でまとめて精算される仕組みのため、例年より還付額が大きくなるケースが想定されます。仕訳の型自体は上記の還付ケースと変わりませんが、金額の見込みを立てる際は最新の税制改正情報を確認しておきましょう。

参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁

源泉徴収の会計処理で注意すべきケースとは?

源泉徴収税は、従業員の給与だけでなく、弁護士や税理士等に報酬を支払う場合にも発生します。契約形態によって源泉徴収の要否が異なるため、支払先ごとに確認することが大切です。

たとえば、企業や個人事業主が税理士と個人契約を結び、税理士報酬を支払った場合は源泉徴収の対象です。一方、税理士法人に報酬を支払う際には法人税が発生するため、源泉徴収の必要はないとされます。また、従業員を雇用しない個人事業主は源泉徴収義務者ではないため、税理士報酬から源泉徴収を行う必要はありません。

また、源泉徴収税の対象には所得税のほか、復興特別所得税も含まれます。復興特別所得税は東日本大震災の復興財源として所得税に上乗せして徴収される税金で、2026年度税制改正により課税対象期間が2047年12月31日まで延長されることが決定しました。あわせて、2027年1月以降は税率が2.1%から1.1%へ引き下げられる予定です。2026年分の給与や報酬については従来どおり2.1%で計算するため、実務上の取り扱いに変更はありませんが、翌年以降の税率改定は押さえておきましょう。

個人事業主の報酬で源泉徴収されるケース

個人事業主として受け取る報酬が源泉徴収されている場合、正しく仕訳することが重要です。源泉徴収税は所得税の前払いであり、きちんと会計処理を行い源泉所得税額を把握しておくことで、正確な確定申告が行えます。

個人事業主の報酬では、以下のような報酬が源泉徴収の対象となります。

  1. 原稿料や講演料など(懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等は、一人に対して1回に支払う金額が50,000円以下であれば源泉徴収不要)
  2. 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  3. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  4. プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  5. 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や、芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  6. ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンや、バー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
  7. プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
  8. 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

参考:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁

入金時に差し引かれた源泉所得税は、仮払金や仮払税金、事業主貸の勘定科目で仕訳を行います。

【個人事業主が売上を請求するときの仕訳】(原稿料として受け取る報酬を取引先に請求した場合)

借方 金額 貸方 金額 摘要
売掛金 20,000円 売上高 20,000円 原稿料

消費税を考慮せずに計算しています。

【個人事業主の売上が入金されたときの仕訳】

売上が入金された場合、入金された金額と源泉徴収された金額を分けて記帳します。

借方 金額 貸方 金額 摘要
普通預金 17,985円 売掛金 20,000円 原稿料
仮払金 2,042円 源泉所得税等

※消費税を考慮せずに計算しています。

個人事業主の源泉徴収の流れ

個人事業主が支払う所得税が最終的に確定するのは確定申告時です。取引先が源泉徴収した所得税はあくまで先払いのため、確定申告で清算し、還付金がある場合には払い戻しを受けられます。個人事業主の源泉徴収の流れは以下の通りです。

  1. 取引先に報酬を請求する際、源泉徴収税額を差し引いた請求書を発行する
  2. 取引先は源泉所得税額を差し引いた金額を報酬として振り込む
  3. 個人事業主は、入金された金額と源泉徴収税額を正しく仕訳する
  4. 取引先が、源泉所得税額を国に納付する
  5. 個人事業主が翌年に確定申告を行った際、差し引かれた源泉徴収税額を精算する

とくに、はじめて確定申告を行うフリーランスの人などは、毎回の支払いで源泉徴収された金額が明確になるように、正しい会計処理を行いましょう。

源泉所得税の仕訳について理解を深め、適切に会計処理を行いましょう

毎月の給与から控除する源泉所得税は、納付まで企業が従業員から預かっているだけの経費とも異なる、一時的な預り金として扱う点が会計処理の要点です。毎月の給与支払いや納付の際に正しく処理をすることで、スムーズな年末調整が可能になります。

個人事業主の人も、源泉徴収税は所得税の前払いであり、取引先から支払われた報酬から源泉徴収されている場合には、正しい確定申告を行うために適切な仕訳の処理をする必要があります。源泉所得税の勘定科目の考え方について理解を深め、適切な会計処理を行いましょう。

よくある質問

源泉所得税の勘定科目は何ですか?

給与から天引きする源泉所得税は、通常「預り金」として仕訳します。給与を支払った際、納付のタイミング、年末調整のタイミングで正しく会計処理を行う必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

源泉徴収の会計処理で注意すべきケースはありますか?

個人事業主などが確定申告を行う場合には、源泉徴収された金額も正しく仕訳しましょう。振り込まれた報酬だけではなく、源泉徴収額を「仮払金」等で仕訳しておくことで、スムーズな確定申告が可能になります。詳しくはこちらをご覧ください。


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