- 更新日 : 2026年9月9日
確定拠出年金に年末調整は必要?手順を解説!
本人が負担した掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象になり、申告すると所得税が戻ります。
- 会社だけが拠出する企業型DCは申告しない
- 本人が上乗せするマッチング拠出は会社が処理する
- iDeCoは払込証明書を添えて本人が申告する
2026年12月からiDeCoの加入可能年齢と拠出限度額が引き上げられます。
一般的に年末調整や確定申告の手続きには、配偶者控除、社会保険料控除、生命保険料控除などがあることはご存じの方も多いでしょう。しかし、控除対象となっているもののなかに確定拠出年金もあることは意外と知られていません。今回は、企業型確定拠出年金や個人型確定拠出年金の年末調整および確定申告の方法について解説します。
確定拠出年金とは?
確定拠出年金は、公的年金とは別の私的年金で、公的年金を補う位置づけの制度です。掛金は事業主や加入者が拠出しますが、資産運用は加入者自らが行い、その運用の成果によって将来受け取る年金の額が決まるところに大きな特徴があります。
日本の年金制度は2階建ての制度と言われ、1階と2階は国民年金と厚生年金があてはまります。確定拠出年金は、3階部分と位置付けることができるでしょう。
| 階層 | 内容 |
|---|---|
| 3階 | 確定拠出年金(公的年金を補う私的年金) |
| 2階 | 厚生年金(会社員や公務員が加入) |
| 1階 | 国民年金(20歳から60歳までのすべての人が加入) |
制度の成り立ちは次のとおりです。
- 2001年にアメリカの401(k)プランをモデルとして導入された
- 「Defined Contribution Plan」を訳した名称で、DCと略される
- 拠出(掛金)建て制度とも呼ばれる
導入当初、自分で資産運用することから、日本に定着するか疑問視する向きもありました。しかし導入から25年を経て確実に加入者も増加し、公的年金を補う私的年金として定着しつつあります。普及した要因としては、次の点が挙げられます。
- 税制上の優遇措置がある
- 会社が倒産した場合でも保護される
日本における確定拠出年金は、企業型DCと個人型DC(通称iDeCo:イデコ)の2つの制度があります。それぞれ詳しくみていきましょう。
企業型確定拠出年金(企業型DC)との違い
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは企業が導入するもので、加入対象者は従業員です。
掛金は会社だけではなく、規約で定めれば会社からの拠出に上乗せして個人で拠出することもできます。これをマッチング拠出と言います。
企業側としては、退職金代わり、あるいは退職金の一部として企業型DCを導入していることが一般的です。
マッチング拠出には従来、加入者本人の掛金が会社の事業主掛金を超えられないという制限がありました。この制限は2026年4月1日に撤廃されています。事業主掛金が少ない会社でも、本人がより多く上乗せできるようになりました。
個人型確定拠出年金(個人型DC)との違い
個人型確定拠出年金(個人型DC)であるiDeCo(イデコ)は、国民年金基金連合会が実施する制度です。
掛金は加入者が拠出します。もともとiDeCoは、自営業者などの国民年金の第1号被保険者と、企業年金がない厚生年金被保険者だけが加入できる制度でした。しかしニーズの広がりにより、平成29年1月から専業主婦などの国民年金の第3号被保険者や、企業年金に加入している方も加入することができるようになりました。
企業型DCに加入中の人も、iDeCoに同時加入することが可能です。ただし、マッチング拠出を実施している人はiDeCoに加入できません。会社の規約でマッチング拠出が用意されている場合は、どちらかを選ぶことになります。
こうした経緯から、現在では20歳以上65歳未満の国民年金の被保険者であれば、ほぼすべての人がiDeCoに加入することができます。
なお2026年12月1日からは、加入可能年齢と拠出限度額が引き上げられます。
老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給しておらず、マッチング拠出も実施していない場合、70歳未満まで掛金の拠出が可能になります。
| 項目 | 2026年11月まで | 2026年12月1日以後 |
|---|---|---|
| 加入可能年齢 | 65歳未満 | 70歳未満 |
| 第1号被保険者の限度額 | 月6.8万円 | 月7.5万円 |
| 第2号被保険者の限度額 | 月2.3万円など | 他制度と合算して月6.2万円 |
第2号被保険者の限度額は、月額62,000円から企業型確定拠出年金の事業主掛金月額と、確定給付企業年金制度で定める他制度掛金相当額を差し引いた金額(千円未満切捨て)になります。拠出限度額の引上げは2026年12月分から適用され、実際の口座引落に反映されるのは2027年1月分からです。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
年末調整で従業員がやりがちな8つの間違い
年末調整で従業員の方々がやりがちな8つのミスをとりあげ、正しい対応方法についてまとめました。
年末調整業務をスムーズに完了させるための、従業員向けの配布資料としてもご活用いただけます。
扶養控除等申告書 取り扱いガイド
扶養控除等申告書は、毎月の源泉徴収事務や年末調整の計算をするうえで必要不可欠な書類です。
扶養控除等申告書の基礎知識や具体的な記入方法、よくあるトラブルと対処方法などをわかりやすくまとめたおすすめのガイドです。
年末調整業務を効率化するための5つのポイント
「毎年年末調整のシーズンは残業が多くなりがち…」、そんな人事労務担当者の方に向けて年末調整業務をスムーズに行うためのポイントをまとめました。
スケジュールや従業員向け資料を作成する際の参考にしてください。
年末調整のWeb化、業務効率化だけじゃない3つのメリット
年末調整のWeb化=業務効率化のイメージが強いかもしれませんが、実際には労務担当者にしかわからない「もやもや」を解消できるメリットがあります。
この資料ではWeb化により業務がどう変わり、何がラクになるのかを解説します。
確定拠出年金は年末調整が必要?
確定拠出年金には税制上の優遇措置があるというメリットがあります。そのため年末調整や確定申告をすることで、支払い済みの所得税の還付を受けることができます。年末調整が必要かどうかは、掛金を誰が負担しているかで決まります。
| 加入している制度 | 掛金の負担者 | 年末調整 |
|---|---|---|
| 企業型DC(会社のみ拠出) | 会社 | 必要なし |
| 企業型DC+マッチング拠出 | 会社と本人 | 会社が処理する |
| 企業型DC+iDeCo | 会社と本人 | 本人が申告して会社が処理する |
| iDeCoのみ(会社員) | 本人 | 本人が申告して会社が処理する |
| iDeCoのみ(個人事業主) | 本人 | 確定申告で処理する |
企業型DCで会社だけが拠出している場合
企業型DCで企業だけが掛金を支払っているケースでは、掛金は所得税控除の対象とはならないため、年末調整を行う必要はありません。
企業型DCでは、このケースが一般的です。会社が負担した掛金は本人の所得にならないため、申告する場面そのものがありません。
企業型DCで本人も上乗せして拠出している場合
規約でマッチング拠出としているケースでは、本人も上乗せ分の掛金を拠出しているため、年末調整する必要があります。
ただし、手続き自体は本人ではなく、掛金を給与から天引きし、金額を把握している会社が行います。従業員から申告書を出してもらう必要はありません。
個人型のiDeCoに加入している場合
自分で支払ったiDeCoの掛金は、全額が所得税控除の対象となります。
したがって会社員であれば年末調整、個人事業主であれば確定申告をしなければなりません。
企業型DCでマッチング拠出ではなく、個人でiDeCoに加入して全額掛金を支払っているケースも同じです。この場合、会社は掛金の金額がわからないため、加入者本人が申告することになります。
確定拠出年金の年末調整の手順は?
確定拠出年金で年末調整が必要になるのは、本人が掛金を負担しているケースです。
対象となるのは次の場合です。
- 企業型DC+本人も上乗せで掛金を支払っているマッチング拠出の場合
- 企業型DC+個人型のiDeCoの場合
後者の場合、11月以降に初回の掛金を払い込んだときには、年末調整ではなく確定申告が必要です。
年末調整や確定申告ではどのような手続きをしていくのかみていきましょう。
年末調整における企業型確定拠出年金への対応
企業型DCとマッチング拠出の場合は、掛金を源泉控除している企業が年末調整を行います。
確定拠出年金の掛金は、所得税控除の1つである小規模企業共済等掛金控除の対象です。
控除を申告する「給与所得者の保険料控除申告書」の「小規模企業共済等掛金控除」欄に必要事項を記載します。
保険料控除申告書の「小規模企業共済等掛金控除」欄に、本人がその年の企業型DCに支払った掛金総額を記入します。合計(控除額)欄には、小規模企業共済等掛金控除に該当するほかの種類の掛金の金額と合わせた総額を記入します。

また、企業型DCの掛金は、源泉徴収票において社会保険料と同様の扱いとなるため、「給与所得の源泉徴収票」の「社会保険料等の金額」欄に、社会保険料と確定拠出年金の掛金合計額を合わせた金額を記入します。
年末調整における個人型確定拠出年金への対応
「企業型DC+個人型のiDeCo」の場合、企業型DCに加入している従業員が、個人でiDeCoにも加入して掛金を支払っているケースについて説明します。
この場合、掛金を源泉徴収している企業が年末調整しますが、その前提となる準備は加入者本人が行うことになります。
手順は以下の通りです。
- 「小規模企業共済等掛金払込証明書」を用意する。
- 「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入する。
「小規模企業共済等掛金払込証明書」は、年末調整の際に添付書類として必要となるものです。毎年10月~11月頃に国民年金基金連合会からハガキで送付されてきますので大切に保管しておきましょう。
「給与所得者の保険料控除申告書」は、通常、11月頃に勤務先から配布されます。
申告書の「小規模企業共済等掛金控除」欄に、本人がその年の個人型DCに支払った掛金総額を、合計(控除額)欄には、小規模企業共済等掛金控除に該当するほかの種類の掛金の金額と合わせた総額をそれぞれ記入します。

申告書に必要事項を記入した後、「小規模企業共済等掛金払込証明書」とともに勤務先に提出しましょう。
確定拠出年金の確定申告の手順は?
個人型のiDeCoに加入している個人事業主は、確定申告で掛金を申告します。会社員でも、11月以降に初回の掛金を払い込んだときには、年末調整ではなく確定申告が必要です。
個人型確定拠出年金の確定申告の手順
個人型DCのiDeCoに加入している個人事業主は、確定申告が必要になります。
確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に行い、所得税を納付するものです。
企業型DCとiDeCoの両方に加入している人は、前述のように会社が年末調整するのが基本です。しかしiDeCoの掛金を11月以降に払い込んだ場合は、年末調整に必要な証明書の発行が間に合わないため、本人が確定申告します。
個人型のiDeCoで支払った掛金は小規模企業共済等掛金控除になるため、還付を受けるために確定申告の際に控除額を記載します。申告書の提出とともに、10月から11月頃に国民年金基金連合会から送付される小規模企業共済等掛金払込証明書を添付しなければなりません。
提出する申告書は「確定申告書」です。第一表と第二表に必要事項を記載します。
1.申告書 第一表
左中部分にある「小規模企業共済等掛金控除」の欄に、小規模企業共済等掛金払込証明書に記載された金額(その年のiDeCoで払った掛金の総額)を記入します。
2.申告書 第二表
「小規模企業共済等掛金控除」欄のうち、「保険料等の種類」欄には「個人型確定拠出年金」と記載します。「支払保険料等の計」欄には掛金の金額を、「うち年末調整等以外」欄には、支払保険料等の計に記入した金額のうち年末調整でこの控除の適用を受けていない金額を記入します。
申告期限内に「確定申告書」に「小規模企業共済等掛金払込証明書」と源泉徴収票を添付し、税務署に提出したら申告手続きは完了です。
確定拠出年金の年末調整や確定申告の仕方を正しく理解しよう!
今回は、確定拠出年金と年末調整や確定申告の方法について解説してきました。確定拠出年金がどのようなものなのか、また、税制上の控除によって所得税の還付を受ける場合にどのような手続きが必要なのか、ご理解いただけたのではないでしょうか。
年末調整、確定申告のいずれの場合も、小規模企業共済等掛金払込証明書の添付が必要になりますので、紛失しないように保管しましょう。企業型DCと個人型DCの組み合わせによって申告の手順も変わってきます。
2026年12月からは加入可能年齢と拠出限度額も引き上げられるので、今回の記事を参考に忘れずに申告手続きを行うようにしてください。
参照:令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A|国税庁
よくある質問
確定拠出年金にはどのような種類がありますか。
企業型DCと個人型DC(通称iDeCo:イデコ)の2つの制度があります。詳しくはこちらをご覧ください。
年末調整や確定申告でDCの控除を受けるために必要な書類はありますか。
10月~11月頃に国民年金基金連合会から送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付する必要があるので大切に保管しておきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 年末調整業務
年末調整はいつまで?1月でも大丈夫?時期と期限を確認
年末調整は、本年最後に給与の支払をする時に行うことになっていますが、状況によっては年末以外の時期に行われることがあります。それぞれの状況において、いつまでが期限かしっかり理解してお…
詳しくみる -
# 年末調整業務
国民年金の追納分は年末調整が必要?いくら戻る?やり方を解説
国民年金の追納は年末調整が必要? 国民年金の追納分は年末調整で社会保険料控除として申告でき、所得税・住民税の負担を軽減できます。 追納額の全額が社会保険料控除の対象 控除証明書を添…
詳しくみる -
# 年末調整業務
支払調書の発行が必要な事例と書き方とは?受け取る側の注意点とは
源泉徴収票は知っていても、支払調書という書類はあまり馴染みがないという方は多いのではないでしょうか。支払調書は法人又は個人事業主が、一定の場合には税務署への提出が必要となる法定書類…
詳しくみる -
# 年末調整業務
源泉控除対象配偶者とは?該当要件・配偶者控除との違い・年末調整の書き方を解説
源泉控除対象配偶者とは何か? 源泉控除対象配偶者とは、本人の合計所得900万円以下・配偶者の合計所得95万円以下の場合に該当する区分で、毎月の源泉徴収税額を軽減できます。 配偶者の…
詳しくみる -
# 年末調整業務
年末調整で配偶者控除を受けられないケースとは?結婚・共働き・扶養外の手続きを解説
配偶者控除が受けられないのはどんなとき? 配偶者控除は「配偶者の年収超過」「本人の合計所得金額が1,000万円超」「配偶者が税法上の要件を満たしていない」の3ケースに該当する場合に…
詳しくみる -
# 年末調整業務
自動車保険は年末調整の対象に含まれる?
自家用車等を保有している場合、自賠責保険だけでは補償を賄えない「有事の補償」として自動車保険に加入している方も多いと思います。 自動車保険は保険料が高額になることが多いですが、年末…
詳しくみる







