• 更新日 : 2026年5月11日

遺品整理で独立するには?開業に必要な資格・許可と集客のコツ

Point遺品整理で独立するには?

古物商許可の取得と廃棄物処理の提携先を確保することが事業成功に欠かせません。

  • 古物商許可を取得し中古品の買取・転売を行う
  • 一般廃棄物収集運搬業者と提携し適正に処分する
  • 遺品整理士の資格取得やWeb集客で信頼を得る

遺品整理の独立には、関連法規を遵守する体制を整え、ポータルサイトや地域企業との連携により多角的な集客ルートを構築しましょう。

遺品整理業で独立開業するには、古物商許可の取得と、一般廃棄物収集運搬業が必要です。高齢化と核家族化を背景に遺品整理の需要は年々増加しており、比較的少ない初期費用で参入できる業種として注目されています。「遺品整理で独立したいが、どんな資格がいるのかわからない」「開業後にどうやって集客すればよいか不安」という方に向けて、遺品整理業の開業手続き・必要資金・営業戦略を解説します。

目次

遺品整理の独立開業に必要な資格・許可とは?

遺品整理業そのものに国家資格は必要ありません。ただし、遺品の買取や不用品の回収を行う場合は、古物商許可や一般廃棄物収集運搬業許可が必要になります。無許可で営業すると廃棄物処理法違反に問われるため、開業前に必要な許認可を整理しておきましょう。

古物商許可を取得する

遺品の中にあるリサイクル品や貴金属を買い取って転売する場合、古物商許可が必要です。申請は営業所を管轄する警察署で行い、手数料は19,000円です。申請から許可がおりるまでに約40日かかるため、早めに手続きを進めましょう。
無許可で買取を行うと、古物営業法により3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される場合があります。

一般廃棄物収集運搬業許可の取得または提携を検討する

遺品整理で出た不用品を収集・運搬するには、一般廃棄物収集運搬業の許可が求められます。ただし、この許可は各市区町村が管轄しており、新規の許可を出していない自治体がほとんどです。そのため、多くの遺品整理業者は許可を持つ地元の廃棄物収集業者と提携して対応しています。提携先を確保しておくことが、開業前の準備として欠かせないでしょう。

参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律|e-Gov法令検索

遺品整理士の資格を取得して信頼性を高める

遺品整理士は一般財団法人遺品整理士認定協会が認定する民間資格で、遺品の取り扱いや関連法規の知識を学べます。開業に必須ではありませんが、資格を保有していることで顧客からの信頼を得やすくなります。受講費用は入会金30,000円と会費で合計約38,000円、取得までに約2〜3か月かかります。合格率は65%程度です。

参照:遺品整理士認定協会

遺品整理の独立開業にかかる費用の目安とは?

遺品整理業の開業資金は100万〜300万円程度が目安です。店舗を構えず自宅を拠点にすれば、初期費用を大幅に抑えられます。主な費用項目を確認しておきましょう。

初期費用の主な内訳

開業時に必要な費用の主な内訳は以下のとおりです。

項目 費用目安 備考
軽トラック・バン 50万〜150万円 中古車の活用で節約可
清掃用具・梱包資材 10万〜30万円 消耗品は都度補充
古物商許可 申請手数料 19,000円 警察署に申請
遺品整理士 受講費用 約35,000円 任意だが推奨
広告・Web制作費 10万〜50万円 ホームページ・チラシ
賠償責任保険 年間2万〜5万円 事故時の備え

フランチャイズ加盟と個人開業の比較

遺品整理のフランチャイズに加盟する方法もあります。加盟金は50万〜200万円程度で、本部のブランドやノウハウ、集客支援を受けられる点がメリットです。一方、月額のロイヤリティが発生するため、利益率は個人開業よりも低くなりがちです。自力で集客できる見込みがあれば個人開業のほうが利益を残しやすいでしょう。

融資制度や補助金を活用する

自己資金だけで不足する場合は日本政策金融公庫の融資制度や国や自治体の補助金を検討しましょう。融資制度を受ける場合は、綿密な事業計画書(創業計画書)が必要です。ターゲットとする顧客層、想定受注件数、月次の収支見込みを記載すると審査で評価されやすくなります。
融資だけでなく補助金の活用も検討しましょう。小規模事業者持続化補助金は、チラシ印刷やWebサイト制作など販路開拓の経費を補助率2/3(上限50万円、特例活用で最大250万円)で支援する制度です。

参照:新規開業・スタートアップ支援資金|日本政策金融公庫
小規模事業者持続化補助金|商工会地区小規模事業者持続化補助金事務局

遺品整理で独立した後の集客方法とは?

遺品整理業は立地で集客する業種ではなく、インターネット経由の問い合わせが受注の中心になります。開業直後から安定した依頼を得るために、複数の集客チャネルを同時に整えておきましょう。

自社ホームページを開設する

遺品整理を依頼する方の多くは、インターネットで業者を探します。対応エリア、料金の目安、作業の流れ、保有資格(遺品整理士、古物商許可番号など)を明記したホームページを用意しましょう。施工事例のビフォーアフター写真を掲載すると、依頼者に安心感を与えられます。

ポータルサイト・マッチングサイトに登録する

「みんなの遺品整理」「くらしのマーケット」などのポータルサイトに掲載すると、開業直後でも依頼を受けやすくなります。これらのサイトは成約時に手数料が発生する仕組みが多いため、固定の広告費をかけずに始められる点がメリットです。複数のサイトに登録し、口コミ評価を積み重ねていくことが集客につながるでしょう。

地域の葬儀社・不動産会社と提携する

遺品整理の依頼は、葬儀の後や不動産の明け渡し時に発生することが多いため、葬儀社や不動産管理会社との提携は有力な受注ルートになります。チラシやパンフレットを置いてもらう、紹介手数料の取り決めをするなど、互いにメリットのある関係を築いておくとよいのではないでしょうか。

遺品整理の独立で気をつけたい法令上の注意点とは?

遺品整理業は複数の法律が関係する業種です。知らないうちに法令に違反してしまうと、営業停止や罰則の対象になるため、開業前に関連法規を確認しておきましょう。

廃棄物処理法の規定を守る

遺品のうち不用品として廃棄するものは「一般廃棄物」に該当します。一般廃棄物収集運搬業の許可なく自社で回収・運搬すると、廃棄物処理法違反となり、5年以下の懲役または3億円以下の罰金が科される場合があります。
許可を持たない場合は、必ず許可業者と提携して廃棄物の処理を委託してください。

古物営業法に基づいた取引記録を残す

古物商許可を取得して遺品の買取を行う場合、取引ごとに帳簿を記録する義務があります。記録すべき項目は、取引日、品目、数量、金額、相手方の氏名・住所・年齢などです。帳簿は最終記載日から3年間の保存が求められます。
記録を怠ると行政処分の対象となるため、日々の記帳を習慣化しましょう。

個人情報の取り扱いに配慮する

遺品整理では、故人の個人情報(手紙、写真、通帳、契約書など)に触れる場面が多くあります。個人情報保護法に基づき、業務上知り得た個人情報を第三者に漏らさないことはもちろん、遺族の了承なく遺品の内容をSNSなどに公開することも避けなければなりません。スタッフへの教育も含め、情報管理のルールを事前に定めておきましょう。

遺品整理の独立で必要な確定申告と税務の知識とは?

遺品整理業で独立した場合、個人事業主確定申告を毎年行う義務があります。開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出しておくと、最大65万円の所得控除が受けられます。

開業届と青色申告承認申請書を提出する

開業届は事業を開始した日の確定申告期限までに、青色申告承認申請書は2か月以内(1月1日~1月15日に開業した場合は3月15日までに)に管轄の税務署へ提出します。青色申告を選択すると、赤字の3年間繰り越しや、少額減価償却資産の特例(40万円未満の資産を一括経費計上)などの優遇措置を受けられます。

遺品整理業で経費にできる項目を確認する

遺品整理業で経費として計上できる主な項目は以下のとおりです。

  • 車両費(ガソリン代、車検費用、駐車場代)
  • 清掃用具・梱包資材の購入費
  • 古物商許可の更新費用
  • 遺品整理士の研修・更新費用
  • 広告宣伝費(ホームページ運営費、チラシ印刷費)
  • 賠償責任保険の保険料
  • 通信費事務用品費

マネーフォワード クラウドなどのクラウド会計ソフトを利用すると、領収書のデータ化や仕訳の自動化ができ、確定申告の負担を軽減できるでしょう。

消費税とインボイス制度への対応を確認する

年間の課税売上が1,000万円を超えると、翌々年から消費税の課税事業者になります。遺品整理業は開業当初は免税事業者に該当するケースが多いですが、法人や不動産会社との取引ではインボイス(適格請求書)の発行を求められることがあります。取引先との関係をふまえて、登録の要否を検討しましょう。

参照:適格請求書発行事業者の登録|国税庁

遺品整理の独立開業で加入しておきたい保険とは?

遺品整理の作業中には、遺品の破損、建物への傷、スタッフのケガなど、さまざまなトラブルが起こり得ます。保険でリスクをカバーしておくことで、万が一の際にも事業を継続しやすくなります。

賠償責任保険に加入する

作業中にお客様の家財や建物に損害を与えた場合に備え、賠償責任保険への加入を検討しましょう。遺品には故人にとって代えがたい品物が含まれることもあり、破損時の賠償額が高額になるケースがあります。保険料は年間2万〜5万円程度で、補償範囲によって異なります。

労災保険への加入を検討する

従業員を雇用する場合、労災保険への加入は法律上の義務です。特定フリーランス事業の対象になる場合は、一人で営業する場合でも、作業中のケガに備えて「特別加入制度」を利用できます。遺品整理では重い家具の運搬やハウスクリーニングを伴うことが多く、腰痛や転倒などのリスクがあるため、加入を検討すべきでしょう。

車両保険と積荷保険を確認する

遺品の運搬中に交通事故が起きた場合や、積荷が破損した場合に備えて、事業用の車両保険と積荷保険を確認しておきましょう。自家用車の保険では事業利用時の事故が補償されないことがあるため、保険会社に事業用途での利用を事前に伝えておく必要があります。

遺品整理の独立でサービスの差別化を図るには?

遺品整理業への参入者が増える中、価格競争だけでは安定した経営が難しくなっています。サービスの付加価値を高めることで、価格以外の理由で選ばれる事業者を目指しましょう。

遺品の供養サービスの提供をする

遺品を処分する際、遺族が心理的に抵抗を感じるケースは少なくありません。合同供養や個別供養の手配を代行するサービスを提供すると、遺族の心の負担を軽減でき、他社との差別化につながります。地域の寺院や供養業者と連携しておくとスムーズに対応できるでしょう。

生前整理・空き家整理にサービスを拡大する

遺品整理のノウハウは、生前整理や空き家の片付けにも応用できます。高齢者の住み替えに伴う荷物の整理や、相続した空き家の管理代行など、関連サービスを展開することで受注の幅が広がります。一般廃棄物処理と古物買取の両面をカバーできる体制を整えておくと、ワンストップでの対応が可能になるのではないでしょうか。

特殊清掃の技術を習得する

孤独死が増加している背景から、特殊清掃の需要も高まっています。特殊清掃は遺品整理よりも単価が高く、対応できる業者が限られているため、技術を習得しておくと受注単価の向上が見込めます。特殊清掃に必要な薬剤や機材の取り扱いは専門の研修で学ぶことができます。

遺品整理の独立開業には許可取得と提携体制を整えよう

遺品整理で独立するには、古物商許可の取得と廃棄物収集運搬業者との提携を開業前に済ませ、遺品整理士の資格取得で顧客の信頼を得ることが出発点となります。集客はWebサイトとポータルサイトを軸に、葬儀社や不動産会社との提携も組み合わせて複数の受注経路を確保しましょう。遺品の供養や生前整理などの付加サービスで差別化を図りつつ、確定申告や保険の手続きは税理士や社労士の支援を受けながら進めるのが堅実です。



※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事