• 更新日 : 2026年5月8日

役員辞任の登記に必要な書類は?手続きの流れと注意点を解説

Point役員辞任の登記に必要な書類と手続きの流れは?

書類を正しく揃えて、2週間以内に役員辞任登記をします。

  • 辞任届・登記申請書・印鑑証明書を準備する
  • 後任選任の有無で追加書類が変わる
  • 辞任届到達から2週間以内に法務局へ申請する

権利義務取締役の該当確認と押印の種類を事前にチェックすると、申請の差し戻しを防げます。

役員の辞任は、辞任届が会社に届いた時点で効力が発生します。会社法第915条により、変更日から2週間以内に法務局への登記申請が義務付けられており、怠った場合は代表者個人に100万円以下の過料が科されます。本記事では、役員辞任登記に必要な書類一覧と手続きの流れを解説します。役員の範囲や権利義務取締役の落とし穴もあわせて整理しているため、スムーズな登記手続きにお役立てください。

役員辞任の登記が必要な理由は?

役員の辞任は、辞任届が会社に届いた時点で法的効力が発生します。会社法第915条により、変更日から2週間以内に法務局へ登記申請する義務があります。

「役員」の範囲と辞任登記の対象を確認する

会社法上の「役員」とは、取締役・会計参与・監査役を指します。これらのいずれかが辞任した場合に、役員変更登記の申請が必要になります。

一方、執行役員や部長・工場長などは登記上の役員ではないため、辞任しても登記申請は不要です。会社法上の役員に含まれる立場を、定款登記簿謄本で事前に確認しておきましょう。

役職 会社法上の役員 辞任登記
取締役 必要
監査役 必要
会計参与 必要
執行役員(法定外) × 不要
役員でない部長・工場長 × 不要

参照:会社法(役員等の定義)|e-Gov法令検索

辞任届の提出で効力が発生する

役員の辞任は、会社の承認や取締役会の決議がなくても成立します。辞任届が会社(代表取締役)に到達した時点で、法的な効力が生じる仕組みです。

辞任届を提出した役員は、届出の到達をもって役員としての地位を失います。ただし、登記簿上は役員として記載されたままになるため、辞任の事実を登記に反映させる手続きが必要になるでしょう。登記を放置すると、すでに辞任した人物が取引先や金融機関から「現任の役員」として扱われ、後からトラブルになるケースも少なくありません。

2週間以内に登記しないと過料を科されやすい

会社法第976条では、登記すべき事項の変更後、正当な理由なく2週間以内に登記申請しなかった場合、代表者個人に対し100万円以下の過料が科されると定めています。

数日の遅延で即座に過料が科されることはまれですが、数か月〜数年放置したケースでは裁判所から過料の通知が届いた事例が報告されています。過料は会社ではなく代表者個人が負担するため、経費として処理できない点にも注意が必要です。辞任届を受け取ったら、速やかに登記手続きを進めましょう。

参照:会社法第976条(過料の規定)|e-Gov法令検索

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役員辞任登記の必要書類一覧は?

役員辞任の登記に必要な書類は、辞任届・役員変更登記申請書・印鑑証明書(ケースによる)が基本です。後任役員の選任状況によって追加書類が変わるため、自社の状況に合った書類を確認しておきましょう。

全ケース共通で必要な書類を揃える

どの会社形態でも共通して求められる書類は以下のとおりです。

書類名 ポイント
辞任届 辞任する役員本人が作成・署名。届出日と辞任日を明記する
役員変更登記申請書 法務局の所定様式を使用。会社の実印を押印する
印鑑証明書 取締役会設置会社の代表取締役が辞任する場合、個人実印+発行3か月以内のものを添付、もしくは法務局届出印を押印

辞任届に押す印鑑はケースによって異なります。取締役会設置会社で代表取締役が辞任する場合は個人の実印(市区町村届出印)を押し、印鑑証明書を添付、もしくは法務局届出印を押印しなければなりません。

代表取締役以外の取締役が辞任するケースでは、認印を押すだけで済む場合が多いでしょう。

後任選任時に追加で必要な書類を把握する

辞任する役員の後任を同時に選任する場合、辞任登記と就任登記をまとめて申請するのが一般的です。追加で必要になる書類を確認しておきましょう。

書類名 必要となるケース
株主総会議事録 非取締役会設置会社で後任取締役を選任する場合
取締役会議事録 取締役会設置会社で後任代表取締役を選定する場合
就任承諾書 新任役員が就任を承諾したことを証明する書面
株主リスト 株主総会議事録を添付する場合に必要
新任役員の本人確認証明書 取締役会設置会社の場合、住民票記載事項証明書など(就任承諾書の住所と一致させる)
委任状 司法書士など代理人が申請する場合

例えば、取締役3名の取締役会設置会社で1名が辞任し後任を選ぶ場合、辞任届に加えて株主総会議事録・株主リスト・就任承諾書・新任役員の本人確認証明書が必要になります。

書類の抜け漏れで申請が差し戻されるケースが多いため、事前にチェックリストを作っておくと安心です。

役員辞任登記の手続きの流れは?

手続きは大きく4つのステップで進みます。辞任届の受領から登記完了後の届出まで、通常2〜3週間程度が目安です。

ステップ1:辞任届を受領し内容を確認する

辞任届を受け取ったら、辞任日・届出日・署名(記名押印)の3点が正確に記載されているかを確認します。辞任届には法定の書式がないため、自社の書式やテンプレートを使っても問題ありません。

記載すべき主な項目は以下のとおりです。

  • 辞任届の宛先(会社名・代表取締役名)
  • 辞任する役員の氏名・住所
  • 辞任する日付(届出日と異なる場合は辞任予定日を明記)
  • 届出日
  • 辞任する役員の署名または記名押印

辞任届に不備があると、法務局から補正(修正)を求められ手続きが遅延します。受領時に内容をしっかり確認しておきましょう。

ステップ2:後任選任と登記書類を準備する

辞任によって取締役の法定員数(取締役会設置会社は3名以上)を下回る場合、後任の選任を同時に進める必要があります。後任が決まらない間は、辞任した取締役が「権利義務取締役」として職務を続けなければなりません。

後任選任が完了したら、法務局のウェブサイトで公開されている「役員変更登記申請書」のひな形をダウンロードし、必要事項を記入します。

参照:商業・法人登記の申請書様式|法務省

ステップ3:法務局へ申請し完了を確認する

申請書と添付書類が揃ったら、会社の本店所在地を管轄する法務局に提出します。申請方法は窓口・郵送・オンラインの3種類があります。申請から登記完了まで、窓口申請の場合は1〜2週間が目安です。

登記完了後は、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して変更内容を確認しましょう。取引先・金融機関・税務署への届出にも最新の登記事項証明書が必要になる場合もあるため、2〜3通まとめて取得しておくと効率的です。

参照:登記・供託オンライン申請システム|法務省

ステップ4:登記完了後に必要な届出を行う

登記が完了しても、関連する届出が残っています。

主な届出先は以下のとおりです。

  • 税務署:「異動届出書」を提出(代表者変更の場合)
  • 都道府県税事務所・市区町村:法人の届出事項変更届を提出
  • 年金事務所:役員の社会保険資格喪失届を提出(社会保険に加入していた場合)
  • 取引先・金融機関:登記事項証明書を添えて役員変更の通知を送付

特に税務署への届出は期限が定められているものもあるため、登記申請と並行して準備を進めておくと漏れを防げます。

参照:異動届出書の記載方法|国税庁

役員辞任登記でよくある失敗と対策は?

登記手続きの不備で多いのは、権利義務取締役の見落としと登記期限の超過です。どちらも事前に確認すれば回避できるため、申請前にチェックしておきましょう。

権利義務取締役に該当すると登記できない

取締役3名のうち1名が辞任届を出したものの、後任が見つからないまま登記申請を進めようとしたというケースがよくあります。

会社法第346条により、辞任で取締役の法定員数を欠く場合、辞任した取締役は後任が就任するまで取締役としての権利義務を持ち続けます。

「権利義務取締役」の状態では辞任登記ができません。対策として、辞任届を受け取った段階で法定員数を確認し、不足する場合は速やかに株主総会を招集して後任を選任することがポイントです。

登記懈怠(けたい)で過料が科される場合がある

「役員の辞任は社内で処理済みだから、登記は後回しでいい」と考えて数か月放置した結果、裁判所から過料の通知が届いた——こうした事例は珍しくありません。

登記懈怠は、辞任日(効力発生日)から2週間の期限を過ぎた時点で発生します。防止策として、辞任届の受領日をカレンダーに記録し、2週間後の期限日にリマインダーを設定しておくのが効果的です。

辞任届の不備で申請が差し戻されやすい

辞任届に日付の記載がない、押印が漏れている、宛先が代表取締役ではなく会社名のみ——こうした細かな不備も差し戻しの原因になります。

特に注意したいのは押印の種類です。以下の表で整理しておきましょう。

辞任する役員 辞任届の押印 印鑑証明書
代表取締役(取締役会設置会社) 個人実印 必要(発行3か月以内)
代表取締役(取締役会非設置会社) 個人実印または会社届出印 実印の場合は必要
代表取締役以外の取締役 認印または会社届出印 原則不要
監査役・会計参与 認印または会社届出印 原則不要

役員辞任登記の費用や申請方法は?

役員辞任登記にかかる費用は、登録免許税として1万円または3万円です。申請方法は窓口・郵送・オンラインの3種類から選べます。

登録免許税は資本金で決まる

資本金 登録免許税
1億円以下 1万円
1億円超 3万円

中小企業の多くは資本金1億円以下のため、1万円で済むケースがほとんどでしょう。なお、辞任と同時に後任の就任登記をまとめて申請しても、同一の申請書で出せば登録免許税は1件分で済みます。

司法書士に依頼する場合は、報酬として2万〜5万円程度が上乗せされます。

申請方法を比較する

申請方法 メリット デメリット
窓口申請 不明点をその場で質問できる 法務局への移動時間がかかる
郵送申請 法務局に出向く必要がない 届くまでのタイムラグがある
オンライン申請 24時間いつでも申請可能 電子証明書の事前取得が必要

オンライン申請は、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。初めて申請する場合は、窓口で法務局の相談員に書類を確認してもらうと安心です。

参照:登記・供託オンライン申請システム|法務省

役員の辞任後は2週間以内に法務局へ申請を

役員辞任の登記に必要な書類は、辞任届・登記申請書・印鑑証明書(ケースによる)が基本で、後任選任の有無によって追加書類が変わります。

「役員」には取締役のほか監査役・会計参与も含まれるため、登記が必要な役員の範囲を定款で事前に確認しておきましょう。

辞任届が会社に届いた時点で効力が発生するため、そこから2週間以内に法務局へ申請することが重要です。


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