- 更新日 : 2026年1月20日
【早見表付き】雇用保険と社会保険(健康保険)の違いとは?片方だけ加入もOK?
パートやアルバイトで働く際、「万が一の失業には備えたいけれど、健康保険や厚生年金に加入すると扶養から外れて手取りが減ってしまう」という点について、判断に迷う方は少なくありません。
それでは「雇用保険だけ加入して、社会保険は入らない」といった働き方は可能なのでしょうか?
この記事では、社会保険制度の仕組みを整理し、2025年現在の制度に基づき、年収がいくらまでなら扶養内で雇用保険だけ加入できるのか、その際の注意点について解説します。
会社員や公務員の多くは、社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金)に加入しています。
この記事では雇用保険と社会保険の違いと加入条件などを解説します。
目次
そもそも雇用保険や社会保険とは?
社会保険とは、病気やケガ、介護、老後などのリスクに備える公的保険の総称です。雇用保険も、広い意味での社会保険の一部に含まれます。
一般的に企業で「社会保険」と呼ぶ場合、健康保険・厚生年金保険を指すことが多いです。これに、労働保険(雇用保険・労災保険)を加えた5つの保険制度全体を指す場合もあります。
| 広義の社会保険 | 狭義の社会保険 | 健康保険 |
|---|---|---|
| 介護保険 | ||
| 年金保険 | ||
| 労働保険 | 雇用保険 | |
| 労災保険 |
日本では「国民皆保険・国民皆年金」制度をとっているため、国民全員がいずれかの制度に加入しますが、会社員や自営業など働き方によって「加入する保険の種類」が異なります。
たとえば、自営業者などは「国民健康保険と国民年金」、会社員・パート(条件を満たす人)など雇われる人などは「健康保険と厚生年金」といったように、働き方によって入るべき保険が決められています。
パートで働く方が「社会保険に入る」ことは、夫の扶養や国民健康保険から、会社の保険に移動することを意味します。
- 健康保険(病気・ケガ・出産への備え)
- 介護保険(介護への備え)
- 年金保険(老後・障害への備え)
- 雇用保険(失業・育休への備え)
- 労災保険(業務中・通勤中のケガへの備え)
このうち雇用保険と労災保険を合わせて「労働保険」と呼びます。
また、企業の人事担当者などが「社会保険に入ってください」と言う場合、それは狭義の社会保険の健康保険・介護保険・厚生年金を指すことがほとんどです。
介護保険は健康保険のセット
また、介護保険は、独立して加入するものではなく、健康保険とセットで扱われます。40歳以上64歳未満の方は、健康保険料に「介護保険料」が上乗せされて一緒に徴収される仕組みです。そのため、パート等の方の加入判断においては、「健康保険に加入する=(40歳以上なら)介護保険もセットで加入する」と理解しておけば問題ありません。
参照:雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!|厚生労働省
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雇用保険と社会保険の違い早見表
雇用保険と社会保険は、守ってくれるリスクの種類が異なるため、加入条件や保険料の仕組みも異なります。以下の表で整理しましょう。
| 項目 | 雇用保険 | 社会保険(健康保険・厚生年金・介護) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 「働くこと」の保障 失業時の生活費、育休中の給付、スキルアップ費用の補助など | 「生活・老後」の保障 医療費の3割負担、老後の年金、傷病手当金など |
| 加入対象者 | 会社に雇われている労働者のみ (自営業や経営者は原則入れない) | 健康保険や国民健康保険などの公的医療保険は国民全員、厚生年金は条件を満たす労働者 (会社員、自営業、子供、無職など全員がいずれかの制度に加入) |
| 扶養の概念 | なし 条件を満たす労働者は本人が必ず加入 | あり 条件を満たす配偶者や子供は、保険料負担なしで加入可能 |
| 保険料負担 | 労働者負担は少ない (事業主の方が多く負担する。金額は低め) | 労使折半 (会社と本人で半分ずつ負担。金額は高め) |
| 管轄 | 国(ハローワーク) | 日本年金機構・協会けんぽ・健保組合 |
最大の違いは「扶養」があるかどうか
雇用保険と社会保険(健康保険・厚生年金)の違いは、「扶養」という概念があるかどうかです。
社会保険には扶養制度があり、年収が一定以下(一般的に130万円未満、または106万円未満)であれば、配偶者などの扶養に入ることができ、自分で保険料を支払う必要はありません。
一方で、雇用保険には扶養という概念が存在しません。そのため、たとえ夫の扶養に入っている主婦であっても、パート先での労働時間が週20時間以上などの加入条件を満たせば、必ず本人の名義で加入し、自分の給料から保険料を支払う必要があります。「扶養に入っているから雇用保険料は払わなくていい」というルールはないため、注意が必要です。
雇用保険と社会保険(健康保険)の加入条件の違い
社会保険(健康保険・年金)は国民全員に加入義務がありますが、雇用保険は「雇われている人(労働者)」しか入れません。そのため、自営業者やフリーランスは雇用保険に入れません。
また、社会保険には扶養制度がありますが、雇用保険にはありません。そのため、たとえ短時間のパート勤務であっても、条件を満たせば本人が雇用保険に加入し、保険料を支払う必要があります。
では、「雇用保険だけ入りたい」という場合、両者の加入条件のズレを利用することになります。
雇用保険と社会保険の加入条件の比較
| 項目 | 雇用保険 | 社会保険(健康保険・厚生年金) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 「働くこと」の保障 失業時の生活費、育休中の給付、スキルアップ費用の補助など | 「生活・老後」の保障 医療費の3割負担、老後の年金、傷病手当金など |
| 労働時間 | 週20時間以上 | 週20時間以上 |
| 月収要件 | なし | 従業員51人以上:月額8.8万円以上 (年収換算 約106万円)従業員50人以下:年収約130万円未満※扶養認定の対象者が19歳以上23歳未満の場合は、年収150万円未満 |
| 雇用期間 | 31日以上の見込み | 2ヶ月を超える見込み |
| 学生の扱い | 原則対象外 | 原則対象外 |
| 保険料負担 | 事業主の方が多く負担する | 事業主と労働者で折半(半分ずつ) |
しかし、雇用保険と社会保険の加入条件の違いは主に「月収(賃金)の要件」です。
雇用保険は、週20時間以上働いていれば、月収が5万円でも6万円でも加入しなければなりません。
社会保険は、週20時間以上働いていても、「月額8.8万円未満」であったり、「従業員数50人以下の企業」であったりする場合は、複数の要件をすべて満たさないため、加入義務は発生しません。
このため、働き方を調整することで片方だけ加入することは可能です。
雇用保険のみ加入で、社会保険は扶養内ならいくらまで働ける?
雇用保険は「週20時間以上」なら加入が必須ですが、社会保険は原則として「月額8.8万円以上」などの条件を満たさないと加入できません。
つまり、以下のような働き方をすれば、「雇用保険には加入しつつ、社会保険は未加入(扶養内)」が可能になります。
51人以上の会社で働く場合
週20時間以上働き、かつ月収を88,000円未満に抑える
週20時間を超えているので雇用保険には加入できますが、月収が8.8万円に届かないため、社会保険の加入義務(5つの要件すべて)を満たさず、未加入となります。
この月収88,000円未満には、交通費は含まれません。
時給別に、雇用保険と社会保険の加入条件をシミュレーションしていきましょう。
【ケース①:時給1,000円の場合】
- 勤務時間:週20時間(1日5時間 × 週4日)
- 月間労働時間:約86.6時間(20時間 × 4.33週)
- 月収見込み:86,600円(1,000円 × 86.6時間)
- 判定:
雇用保険:加入(週20時間以上のため)
社会保険:未加入(8.8万円未満のため)
結果:雇用保険のみ加入し、社会保険は扶養内でいられます。
【ケース②:時給1,100円の場合】
- 勤務時間:週20時間
- 月間労働時間:約86.6時間
- 月収見込み:95,260円(1,100円 × 86.6時間)
- 判定:
雇用保険:加入
社会保険:加入(月収8.8万円を超えるため)
結果:この時給で週20時間働くと、強制的に社会保険に入ることになり、扶養から外れます。
時給1,020円を超えてくると、週20時間勤務で月収8.8万円を超える可能性が高くなります。逆に言えば、時給1,000円程度であれば、週20時間働いても月収は約80,000円~86,000円程度に収まるため、雇用保険は加入し、社会保険は扶養内とすることができます。
50人以下の会社で働く場合
週20時間以上働き、かつ年収130万円(月収約10.8万円)未満に抑える
勤務先の従業員数(厚生年金の被保険者数)が50人以下であれば、月収8.8万円を超えても社会保険への加入義務はありません。(※労使合意で任意適用している場合を除く)。
この場合の雇用保険の加入ラインは「週20時間以上」となり、ここでの上限は年収130万円となります。
この年収130万円には、交通費や手当等が含まれますので注意しましょう。
時給別に、雇用保険と社会保険の加入条件をシミュレーションしていきましょう。
【ケース①:時給1,100円の場合】
- 勤務時間:週20時間
- 月間労働時間:約86.6時間(20時間 × 4.33週)
- 月収見込み:95,260円(1,100円 × 86.6時間)
- 交通費:月5,000円(年60,000円)
- 年収見込み:約120万3,120円
- 判定:
雇用保険:加入(週20時間以上のため)
社会保険:未加入(年収130万円未満のため)
雇用保険のみ加入し、社会保険は扶養内でいられます。
【ケース②:時給1,200円の場合】
- 勤務時間:週20時間
- 月間労働時間:約86.6時間
- 月収見込み:103,920円(1,200円 × 86.6時間)
- 交通費:月5,000円(年60,000円)
- 年収見込み:約130万7,040円
- 判定:
雇用保険:加入
社会保険:加入(年収130万円を超えるため)
交通費が発生する場合、この時給で週20時間働くと、社会保険に入ることになり、扶養から外れます。
なお、令和7年10月以降、扶養認定の対象者が19歳以上23歳未満の場合には、130万円ではなく150万円が基準となります。そのため、該当する年齢であれば、より高い時給であっても扶養を外れることはありません。
契約期間が「2ヶ月以内」の場合
雇用保険と社会保険は、加入が必要になる「期間」の条件が少し異なります。
「短期アルバイト」で、「雇用保険は入るけれど、社会保険は入らない」という状況が発生するケースは以下のようになります。
- 契約期間:1ヶ月半(45日)の期間限定バイト ※更新なし
- 週の労働時間:30時間
- 月収:150,000円
- 判定
雇用保険:加入(31日以上の雇用見込みがあるため)
会社の社会保険:未加入(2ヶ月以内の有期雇用契約のため)
→対応:自分で国民健康保険・国民年金を払う(または期間中は扶養等のまま)。
※雇用保険は「31日以上」、社会保険は「2ヶ月超」と、加入に必要な期間条件にズレがあるため発生するケースです。
雇用保険と社会保険の保険料率の違い
「雇用保険だけ加入したい」「両方加入したらどうなる?」と考えたとき、気になるのが毎月の保険料です。雇用保険と社会保険では、計算方法や負担の重さが異なります。
雇用保険の保険料率
雇用保険の保険料は、毎月の「給与総額(通勤手当や残業代を含む)」に、決められた保険料率をかけて計算します。
この際、基本給だけでなく通勤手当、残業手当、役職手当などの各種手当も計算の対象となります(※出張旅費や結婚祝金、退職金などは含みません)。
保険料率と労使負担割合は業種ごとに異なり、厚生労働省から「雇用保険料率表」として毎年提示されています。一般の事業(オフィスワークやサービス業など)の場合、負担率は0.55%と、比較的安く設定されています。
【令和7(2025)年4月1日~令和8(2026)年3月31日】
| (1) 労働者負担 | (2) 事業主負担 | (1)+(2) 雇用保険料率 | |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 5.5/1,000 | 9/1,000 | 14.5/1,000 |
| 農林水産・ 清酒製造の事業 | 6.5/1,000 | 10/1,000 | 16.5/1,000 |
| 建設の事業 | 6.5/1,000 | 11/1,000 | 17.5/1,000 |
社会保険の保険料は労使折半
社会保険の保険料は、会社と従業員で半分ずつ負担する「労使折半」です。 毎月の給与そのものではなく、4月から6月の給与平均を基に決めたランク(標準報酬月額)に保険料率をかけて算出されます。賞与については、税控除前の総支給額から千円未満を切り捨てた標準賞与額が算定基礎です。
健康保険料率:都道府県ごとに異なる(約10%前後を会社と折半)。
厚生年金保険料率:全国一律で18.3%(会社と折半して本人負担は9.15%)。
これらを合わせると、給与の約14〜15%程度が手取りから引かれることになります。
- 健康保険料:約5,000円
- 厚生年金保険料:約9,000円
- 合計:約14,000円
参考:
令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)|全国健康保険協会(協会けんぽ)
厚生年金保険料額表|日本年金機構
雇用保険と社会保険におけるよくある質問
最後に、雇用保険と社会保険における注意点や求人を探す際に知っておきたいポイントを解説します。
企業は雇用保険の加入義務がある?
雇用保険は、国が管掌する強制保険制度です。 事業主(企業)は、「適用基準を満たした労働者を1名でも雇用した場合」は、事業主や労働者の意思にかかわらず、必ず加入手続きを行わなければなりません。 加入手続き(雇用保険被保険者資格取得届)は、所管の公共職業安定所(ハローワーク)へ、被保険者となった日の属する月の翌月10日までに行います。
雇用保険と社会保険は「同時加入」できる?
条件を満たせば、当然同時加入が可能(義務)です。 週の所定労働時間が20時間以上で、かつ月収8.8万円以上などの要件(社会保険の適用要件)をすべて満たす場合、雇用保険と社会保険(健康保険・厚生年金)の両方に加入し、給与からそれぞれの保険料が控除されます。
一方で、条件を満たさない場合(月収が低い、会社が小規模など)は、「雇用保険のみ加入」となることもあります。
建設業などの「二元適用事業」とは?
一般的なオフィスワークや販売業などは、雇用保険と労災保険をまとめて処理する「一元適用事業」です。 しかし、建設業や農林水産の事業などは、業務の性質上、労災保険と雇用保険を分けて手続きする「二元適用事業」となります。
この場合、現場に入る労働者は労災保険の対象であっても、雇用保険の手続きは別で行う必要があるため、加入漏れがないよう会社側も労働者側も注意が必要です。給与明細で雇用保険料が引かれているか確認しましょう。
「社会保険完備」とは?
求人票などで見る「社会保険完備」とは、一般的に「雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険」の4つすべてに加入できる制度が整っていることを指します。
会社に制度があっても、働く本人に加入義務が発生するかどうかは別問題です。
週20時間未満の勤務であったり、学生であったりするなど、本人が加入条件を満たしていなければ、社会保険完備の会社であっても加入することはできません。
雇用保険と社会保険(健康保険)の違いと加入条件を把握し適切に手続きを行おう
ここまで、雇用保険と社会保険の違いを紹介しました。雇用保険は失業時に必要な給付を受けられる制度で、社会保険は厚生年金保険・健康保険・介護保険からなる保険制度の総称です。雇用保険と社会保険は加入条件が異なります。
社会保険完備という場合は、雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険のすべてに加入できるのが一般的です。
雇用保険と社会保険の同時加入も可能ですが、条件によっては雇用保険にのみ加入することもあり得ます。雇用保険と社会保険は強制保険なので、条件を満たした従業員はその意思にかかわらず加入手続きを行わなければなりません。
お勤めの会社の適用条件や加入条件等を把握し、適切に加入手続きを行いましょう。
よくある質問
雇用保険とはなんですか?
失業時や傷病等によって就労の継続が困難になった際に、必要な給付を受けられる制度です。給付によって労働者の生活および雇用の安定を図り、早期の再就職を支援するための雇用に関する総合的な制度となっています。詳しくはこちらをご覧ください。
雇用保険と社会保険の違いについて教えてください。
雇用保険は失業給付等に関する制度、社会保険は厚生年金保険・健康保険・介護保険からなる保険制度の総称です。雇用保険と労災保険は労働保険と呼ばれ、社会保険と合わせて広義の社会保険と呼ばれることもあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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