• 更新日 : 2026年6月17日

家賃補助は課税対象になる?非課税になるケースや課税額などを解説

Point家賃補助は課税対象になる?

現金支給の家賃補助は給与所得に含まれ、所得税・住民税社会保険料の課税対象になります。

  • 所得税法第28条で給与所得とされ、支給額が増えるほど税負担も増える
  • 社宅や借り上げ社宅は家賃相当額の半額以上を自己負担すれば非課税となる
  • 通勤手当は公共交通機関で月15万円まで非課税で支給できる

手取り額を確認する際は、翌年度の住民税や社会保険料の増額分もあわせて見込んでおくと安心です。

家賃補助は、従業員にとって住居費の負担を軽減できる魅力的な福利厚生です。ただし、原則として給与の一部とみなされるため課税対象になります。一方で、企業が提供する社宅や借り上げ社宅など、一定の条件を満たす場合には非課税として扱われるケースもあります。

本記事では、家賃補助が課税される理由や税負担の目安などを整理しました。

さらに、企業側・従業員側それぞれのメリットや注意点について、わかりやすく解説します。

家賃補助は課税対象になる?

家賃補助は、所得税法第28条で定められている「給与所得」の一種として扱われるため、原則として課税対象になります。

役員や使用人に支給する手当は、原則として給与所得となります。具体的には、残業手当や休日出勤手当、職務手当等のほか、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当なども給与所得となります。

引用:No.2508 給与所得となるもの|国税庁

企業から現金で支給される場合は、給与と同様に扱われます。

そのため、所得税や住民税の課税対象となるほか、支給額が増えるほど税負担も大きくなる点に注意が必要です。

また、家賃補助だけでなく、残業手当や休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手当なども課税対象に含まれます。

実際の手取り額を確認する際は、各種手当を含めた課税額全体を把握しておくことが大切です。

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家賃関係で非課税になるケース

家賃補助は原則として課税対象ですが、社宅や借り上げ社宅など、一定の条件を満たす場合には非課税として扱われるケースがあります。

ここでは、住宅関係で非課税となる主なケースを解説します。

社宅

社宅制度とは、会社が用意した住居を従業員に貸し出し、住居費の負担を軽減する福利厚生制度のことです。

通常の家賃補助とは異なり、一定の条件を満たした社宅は給与として扱われないため、課税対象外となります。

具体的には、従業員が「家賃相当額」の半分以上を自己負担している場合、会社が負担する部分について非課税として認められます。

従業員の税負担を抑えながら住居の支援を行える点が、社宅制度の特徴です。

社宅の間取りはどれくらいが適切なのか、制度の詳細を知りたい方は下記の記事をご覧ください。

借り上げ社宅

借り上げ社宅制度とは、会社が民間の賃貸住宅を契約し、従業員に社宅として提供する仕組みのことです。

自社で物件を所有する必要がないため、通常の社宅制度よりも導入しやすく、福利厚生として取り入れやすい点が特徴です。

社宅と同様、従業員が賃貸料相当額の50%以上を負担している場合は、会社負担分が給与所得として扱われず、非課税となります。

従業員の住居費負担を軽減しながら、税負担も抑えやすい制度といえるでしょう。

借り上げ社宅で課税されるケースについても把握しておきたい方は、下記の記事をご覧ください。

寮制度は、新入社員や若手社員向けに、会社が住居を提供する福利厚生のひとつです。

一般的な社宅とは異なり、寮として認められるためには、住居の提供だけでなく食事の提供も含まれている必要があります。

従業員が市場相場の半額以上を自己負担している場合は、会社負担分が給与所得に含まれず、非課税として扱われます。

住居費を抑えながら生活の支援も受けられる点が、寮制度の特徴といえるでしょう。

家賃補助の課税額の目安

家賃補助は課税対象となるため、支給額に応じて所得税や住民税の負担も増加します。

ここでは、家賃補助を受け取った場合に、どの程度の課税額になるのか目安を解説します。

所得税

家賃補助は給与所得に含まれるため、支給額が増えるほど所得税や住民税の負担も大きくなります。

所得税は収入に応じて税率が変わる累進課税制度のため、支給された全額がそのまま手取りになるわけではありません。

たとえば、年収350万円の人が月2万5,000円(年間30万円)の家賃補助を受け取る場合、課税所得の増加により、税額も数万円程度上がります。

そのため、年間30万円の補助が支給されても、実際に手元へ残る金額は約22万5,000円程度が目安です。(※社会保険料の増額分は含みません)

住民税

住民税は前年の所得をもとに計算されるため、家賃補助を受けると翌年度の住民税額に反映されます。

家賃補助は給与収入の一部として扱われることから、支給額が増えるほど住民税の負担も大きくなる仕組みです。

たとえば、年間20万円の家賃補助を受けた場合、住民税率を10%とすると、約2万円分の住民税負担が増える計算になります。

家賃補助を受ける際は、手取り額だけでなく翌年の税負担も考慮しておくことが大切です。

社会保険料

家賃補助は「報酬月額」に含まれ、その金額をもとに決定される「標準報酬月額」に影響します。

結果として、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料負担も増加します。

たとえば、月2万円の家賃補助が追加されることで標準報酬月額の等級が上がり、毎月の保険料負担が増えるなどです。

一方で、厚生年金保険料の負担が増えることで、将来受け取れる老齢厚生年金の額が増える可能性もあり、長期的にはメリットにつながる場合があります。

企業の福利厚生で非課税になるもの

福利厚生の中には、一定の条件を満たすことで非課税として扱われるものがあります。

適切に制度を活用すれば、従業員の手取り増加や企業の負担軽減につながる場合もあるため、内容を理解しておくことが大切です。

通勤手当

通勤手当は、業務に必要な通勤費を補助する目的で支給されるため、一定額までは非課税として扱われます。

公共交通機関を利用する場合は、月15万円までが非課税の対象です。

車やバイク通勤の場合は、通勤距離に応じて非課税限度額が定められています。

ただし、非課税の扱いを受けるためには、合理的な通勤ルートであることが条件です。

そのため、必要以上の遠回りや不自然な経路を利用している場合は、非課税の対象外となる可能性があります。

食事手当

食事手当を現金で支給する場合は、原則として全額課税対象となります。

ただし、深夜勤務者に対して夜食代を補助するケースでは、1食あたり650円以下であれば非課税となる場合があります。

一方で企業が食事そのものを提供する場合は、従業員が食事代の半額以上を負担し、会社負担額が月7,500円以下など一定条件を満たせば、給与として課税されません。

条件を満たさない部分については、給与所得として課税対象になります。

出張・転勤手当

出張手当や転勤手当は、業務上必要となる移動や滞在にかかる費用を補助する目的で支給されるため、一定条件を満たせば非課税として扱われます。

たとえば、旅費や宿泊費、日当などが、通常必要と認められる範囲内であれば課税対象にはなりません。

なお、通勤手当のように明確な非課税限度額が定められているわけではなく、支給額や内容が、社会通念上妥当かどうかをもとに判断される点が特徴です。

家賃補助を導入する企業側のメリット

家賃補助は、従業員の住居費負担を軽減できるだけでなく、企業側にもさまざまなメリットがあります。

福利厚生の充実による採用力向上や、定着率改善などにつながる点が特徴です。

手続きの手間が省ける

家賃補助制度は、社宅制度と比べて企業側の事務負担を抑えやすい点がメリットです。

社宅の場合は、物件契約や入退去対応、契約更新などの管理業務を会社が行う必要がありますが、家賃補助では基本的に従業員自身が手続きを行います。

そのため、企業は住居管理に関する運営業務や管理コストを軽減しやすく、人事・総務担当者の負担削減にもつながります。

採用の際にアピールできる

家賃補助は、福利厚生の中でも内容がわかりやすく、採用活動でアピールしやすい制度です。

新卒採用や中途採用では、住宅支援があることで他社との差別化につながり、応募者に対する魅力を高められます。

とくに、実家を離れて働く人や遠方から就職を希望する人にとって関心が高く、人材確保に役立つケースもあります。

また、福利厚生が充実している企業は、求職者や取引先から好意的に見られやすく、企業イメージやブランド価値の向上も期待できるのがメリットです。

就活において重視されやすい福利厚生を知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

従業員の満足度・定着率の向上につながる

家賃補助を導入することで、従業員の住居費負担を軽減でき、生活面での安心感につながります。

経済的な不安が減ることで仕事に集中しやすくなり、企業が生活を支援してくれていると感じやすくなる点もメリットです。

とくに、若手社員や子育て世代にとっては支援効果が大きく、従業員満足度や定着率の向上、離職防止につながるケースがあります。

支給条件や対象者を、企業が柔軟に設定できるため、人材流出対策として活用しやすい点も特徴です。

家賃補助を導入する企業側のデメリット

家賃補助には多くのメリットがある一方で、企業側にとってはコスト負担や制度設計の難しさといったデメリットもあります。

導入前には、運用面や公平性について十分に検討することが重要です。

廃止するのが難しい

家賃補助は、従業員にとって住居費負担を軽減できる福利厚生であるため、一度導入すると簡単には廃止しにくい制度といえます。

実際に補助を利用している従業員が多い場合、制度を停止すると不満やモチベーション低下につながる可能性がある点に注意しましょう。

導入前には、従業員のニーズを把握したり、他社の運用事例を参考にしたりしながら、自社に適した制度内容を十分に検討することが重要です。

費用コストがかかる

家賃補助は、従業員の住居費負担を軽減できる一方で、企業側には一定のコスト負担が発生します。

家賃補助は給与として扱われるため、支給額が増えるほど、社会保険料の会社負担分が増加します。

そのため、制度を導入する際は、補助金額そのものだけでなく、社会保険料などの関連費用も含めて総合的に検討することが重要です。

継続的に運用できるかどうかも、あわせて確認しておく必要があります。

家賃補助に関するよくある質問

家賃補助には、課税ルールや非課税条件、制度設計など、理解しておきたいポイントが多くあります。

ここでは、家賃補助に関してよくある質問と回答をわかりやすく解説します。

家賃補助と住宅手当の違いは?

家賃補助と住宅手当は、呼び方が異なるだけで、基本的には同じ制度を指します。

どちらも、従業員の給与に一定額を上乗せして支給し、その費用を家賃の支払いに充ててもらう仕組みです。

支給金額や対象者、利用条件などは企業ごとに自由に設定できるため、制度内容には違いがあります。

たとえば、賃貸住宅に住んでいる従業員のみを対象にしたり、勤務地や家族構成によって支給額を変えたりする企業も多く見られます。

家賃補助の対象者の条件例は?

家賃補助は、多くの企業で一定の条件を設けたうえで運用されており、公平性を保つためにも明確なルール設定が重要です。

たとえば、「会社から一定距離内に住んでいる」「補助額は月3万円まで」「本人名義で賃貸契約を結んでいる」といった条件が設定されるケースがあります。

また、世帯主であることや勤続年数、通勤時間などを条件に含める企業もあります。

制度内容は、就業規則や社内規程で具体的に定めておきましょう。

また、福利厚生制度の設計や運用を効率化したい場合には、マネーフォワード クラウド福利厚生賃貸の活用も選択肢のひとつです。

従業員の賃貸物件を法人名義へ切り替えることで、税金や社会保険料の負担軽減による手取りアップを目指せます。

契約手続きや管理会社との調整など、煩雑な業務を代行してもらえるため、人事・総務担当者の負担を抑えながら導入しやすい点も特徴です。

さらに、運用コストは実質無料とされており、中小企業でも導入しやすい福利厚生制度として注目されています。


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