• 更新日 : 2026年4月7日

【2026年・令和8年】基礎控除とは?104万円控除や所得と収入の違いをわかりやすく解説

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基礎控除」とは、所得税や住民税を計算する際に、すべての納税者の所得から無条件に差し引ける、税務計算の土台となる「所得控除」です。2025年(令和7年)の税制改正で控除額が従来の48万円から最大95万円へ拡充され、令和8年度(2026年度)税制改正大綱では、最大104万円(特例適用時)への再拡充が示されました。給与所得控除の見直しもあわせると、給与所得者の所得税が非課税となる年収ラインは約178万円まで拡大されています。

本記事では、基礎控除についての仕組みから改正のポイント、年収の壁についてわかりやすく解説します。

※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。

基礎控除とはどのような制度か?

基礎控除とは、合計所得金額が2,500万円以下のすべての納税者に適用される、生活保障のための基本的な「所得控除」です。 個別の事情(扶養家族の有無など)に関わらず、要件を満たす人であれば無条件で適用される点が最大の特徴です。

最低生活費を非課税にするための制度

基礎控除の制度は、国民が生活するために最低限必要な費用には税金をかけるべきではない、という考え方に基づいています。

これは憲法第25条の生存権に由来する「最低生活費非課税」の考え方によるもので、人間が衣食住を維持するためのコストは、税金の計算から除外するよう設計されています。

「医療費がかかった」「配偶者がいる」といった特別な事情に対する控除とは異なり、基礎控除は「生きているだけでかかるコスト」を考慮したものです。

そのため、物価が上昇して生活費がかさむようになれば、それに応じて控除額(非課税とされる枠)も引き上げられるべきという性質を持っており、令和8年(2026年)の改正はこの考え方をさらに推し進めたものです。

課税所得を圧縮し、手取りを増やすため

基礎控除には、収入から基礎控除額を差し引くことで、税率がかけられる「課税所得」を減らし、最終的な税負担を軽くする役割があります。

所得税は収入そのものではなく、収入から控除を引いた残りの額(課税所得)に対して課税される仕組みであるため、基礎控除が大きいほど税金は安くなります。

基礎控除は、いわば「全員に配られた非課税パスポート」のようなものです。今回の改正によりパスポートの額面が増額され「税金の対象となる部分」が減り、給与などの収入額が変わらなくても手元に残るお金(手取り)が増える効果をもたらします。

所得控除と税額控除の違い

基礎控除は「所得控除」に分類され、税率を掛ける前の所得から差し引く種類の控除にあたります。

税金の控除には「所得控除」と「税額控除」の2種類があり、基礎控除は配偶者控除扶養控除と同じく「所得控除」のグループに属します。

所得控除は「税率を掛ける前」に引くため、所得が高い(税率が高い)人ほど節税効果が高くなる傾向があります。一方、「税額控除」は税率を掛けた後に引くため、誰にとっても効果がダイレクトに表れます。

【比較表:所得控除と税額控除】

種類・基礎控除の分類 差し引くタイミング 減税効果の計算式
所得控除・該当 税率を掛ける前 控除額 × 税率
税額控除・非該当 税率を掛けた後 控除額そのもの
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基礎控除の適用対象は誰か?

基礎控除の適用対象は、その年の合計所得金額が2,500万円以下のすべての納税者です。 特定の職業や立場に限られたものではなく、国内で収入を得ているほぼ全ての人が該当します。

雇用形態を問わず、すべての納税者に適用される

基礎控除は、会社員や個人事業主といった働き方に関わらず、納税者であれば等しく適用されるのが原則です。所得税法において、基礎控除は特定の属性(サラリーマンなど)に向けたものではなく、全ての国民の最低生活費を保障するものと定められているためです。

具体的には、以下のような多様な立場の人が対象に含まれます。

  • 給与所得者:正社員、契約社員、公務員など
  • 非正規雇用:パート、アルバイト、派遣社員など
  • 事業所得者:個人事業主、フリーランス、副業をしている人など

合計所得が2,500万円を超えると適用されない

ただし、合計所得金額が2,500万円を超えると、基礎控除が適用されず0円となります。これは、年収が非常に高い「超高所得者」に関しては、生活費への配慮(担税力の調整)を税金で行う必要性が低いと判断されるためです。

以前は一律適用でしたが、近年の改正により富の再分配機能が強化され、2,350万円を超えると段階的に減額、2,500万円超で消失する仕組みとなっています。

基礎控除の計算で重要な収入と所得の違いとは?

基礎控除の判定基準となる「合計所得金額」を正しく把握するためには、「収入(年収)」と「所得」が別物であることを理解しておく必要があります。 税金計算において、基礎控除は「収入」から直接引くのではなく、経費を引いた後の「所得」から差し引かれます。

収入から経費を差し引いたものが所得となる

収入とは給与や売上の総額であり、所得とはそこから必要経費を差し引いて手元に残った利益のことです。税金は、入ってきたお金すべて(収入)にかかるのではなく、そこから経費を引いた「儲け(所得)」に対して課税される仕組みになっています。

そのため、基礎控除などの所得控除を適用する際も、ベースとなるのは収入ではなく所得になります。

  • 収入(Revenue):源泉徴収票の「支払金額」。いわゆる額面の年収。
  • 所得(Income):収入から経費を引いた金額。ここで基礎控除を引く

会社員は給与所得控除を使って給与所得を算出する

会社員の場合、実費を経費として計上するのが難しいため、「給与収入 − 給与所得控除 = 給与所得」という計算式を用います。会社員やパートタイマーには、スーツ代や文具代などの実費を経費申請する代わりに、年収に応じてあらかじめ決められた一定額を経費とみなして差し引く「給与所得控除」という仕組みがあります。

基礎控除の判定に使われる「合計所得金額」とは、源泉徴収票の支払金額(年収)ではなく、この給与所得控除を差し引いた後の「給与所得控除後の金額」を指します。

令和8年(2026年)の基礎控除額はいくら?

令和8年(2026年)分からは、合計所得489万円以下であれば104万円、489万円超〜655万円以下であれば67万円、655万円超〜2,350万円以下であれば62万円が適用されます。令和7年(2025年)改正で最大95万円となっていた仕組みがさらに引き上げられました。

出典:出典:令和8年度税制改正の大綱|財務省

物価高対策として最大104万円に再拡充された

令和8年度(2026年度)より、物価高対策および「年収の壁」のさらなる引き上げを目的として、基礎控除額の再度の底上げが行われました。

令和8年(2026年)改正の具体的な内容は次の2段構成です。

①本則の引き上げ(令和8年(2026年)分以後・恒久的)

基礎控除の本則部分が4万円引き上げられ、合計所得金額2,350万円以下の方の標準控除額は62万円となります(従来:58万円)。あわせて給与所得控除の最低保障額も65万円から69万円へ引き上げられます。

②特例による上乗せ(令和8年(2026年)・令和9年(2027年)分のみ)

令和8年(2026年)・令和9年(2027年)分については、合計所得金額が655万円以下の方に対して特例による加算が設けられます。合計所得金額489万円以下の方は+42万円(計104万円)、489万円超〜655万円以下の方は+5万円(計67万円)の基礎控除が適用されます。

給与所得控除の最低保障額についても特例で5万円上乗せされ、令和8年(2026年)・令和9年(2027年)は74万円となります。

なお、令和10年(2028年)分以後は特例の区分が変わり、合計所得金額132万円以下の方に+37万円(計99万円)の特例が適用される予定です。

人事担当者向け実務ポイント月次源泉徴収への反映は令和9年(2027年)1月から
  • 令和8年度(2026年度)税制改正による基礎控除・給与所得控除の引き上げは令和8年(2026年)分の所得税から適用されますが、月次の源泉徴収への反映は令和9年(2027年)1月以降となります。

    改訂された源泉徴収税額表(月額表・日額表)の適用が令和9年(2027年)1月1日以後に支払う給与等から開始されるためです。

    このため、令和8年(2026年)中の月次給与では旧税額表で源泉徴収を行い、差額は年末調整で精算する形になります。特例による基礎控除の上乗せ分も、年末調整または確定申告での対応となります。

所得金額別の基礎控除額と住民税

具体的な控除額は、納税者本人の合計所得金額によって以下のように区分されます。

所得税の計算においては最大104万円が控除されますが、住民税の基礎控除は43万円で据え置かれている点に注意が必要です。所得税が0円でも、住民税がかかるケースがあるのはこのためです。

【速見表:合計所得金額別の基礎控除額(令和8・9年分)】

合計所得金額 所得税の基礎控除額 住民税の基礎控除額
489万円以下 104万円(本則62万円+特例42万円) 43万円
489万円超〜655万円以下 67万円(本則62万円+特例5万円) 43万円
655万円超〜2,350万円以下 62万円 43万円
2,350万円超 〜 2,400万円以下 48万円 43万円
2,400万円超 〜 2,450万円以下 32万円 29万円
2,450万円超 〜 2,500万円以下 16万円 15万円
2,500万円超 0円 0円

参照:令和8年度税制改正の大綱|財務省

※上表の数値は、本則の引き上げ(+4万円)と特例による加算を合算したものです。特例は合計所得金額が655万円以下の場合に適用され、令和10年分以後は別の区分(132万円以下に+37万円=計99万円)が適用されます。

基礎控除の増額と「年収の壁」の関係は?

基礎控除の増額は、パートやアルバイトの方にとっての大きな関心事である「年収の壁」に直接的な影響を与えています。具体的には、令和7年改正で「約160万円」から、令和8年改正で「約178万円」へと引き上げられました。

非課税ラインは「160万円」から「178万円」へ

所得税が発生するボーダーライン(課税最低限)は、令和7年(2025年)で年収160万円へ引き上げられ、令和8年(2026年)改正(令和8年・令和9年分)でさらに約178万円になります。

このラインは「基礎控除」と「給与所得控除(最低額)」の合計で決まる仕組みです。令和8年(2026年)の改正では、両方が引き上げられました。

  • 令和7年(2025年):基礎控除95万円 + 給与所得控除65万円 = 160万円
  • 令和8年(2026年)改正後:基礎控除104万円(特例)+ 給与所得控除74万円(特例) = 178万円※令和8年・令和9年分

働き控えが解消され、手取りを増やしやすくなる

この変更により、パートやアルバイトの方は「税金がかからないように働く時間を抑える」必要性がさらに薄れ、手取り減少を気にせずに長時間働けるようになります。

これまでは所得税がかかるため、年末に向けてシフトを減らすなどの就労調整を行う人が多くいました。しかし、ボーダーラインが178万円まで上がったことで、世帯の手取り収入を増やしやすい環境が整いました。

基礎控除を受けるための確定申告や年末調整の手続き方法は?

会社員は年末調整の申告書に記入し、個人事業主は確定申告書第一表に記入することで基礎控除が適用されます。基礎控除は自動適用ではなく「申告主義」のため、本人が所定の書類に金額を記載して提出しなければなりません。手続きを忘れると、本来払わなくてよい税金を払うことになりかねないため、確実な対応が求められます。

会社員は年末調整の申告書に記入する

配布される「給与所得者の基礎控除申告書」の判定欄で、自分の所得に合う金額(62万円または104万円など)を選択・記入します。 この申告書は「配偶者控除等申告書」と兼用になっています。

ここで判定した「区分(A〜C)」が、配偶者控除を受けるための要件として連動している点に注意が必要です。自分の基礎控除の記入を適当に行うと、結果として配偶者控除の計算まで誤ってしまうため、必ず正確に「合計所得金額」を見積もって記入しましょう。

  • 合計所得見積額が489万円以下の場合:基礎控除額は104万円(特例加算を含む)
  • 合計所得見積額が489万円超〜655万円以下の場合:基礎控除額は67万円
  • 合計所得見積額が655万円超〜2,350万円以下の場合:基礎控除額は62万円

個人事業主は確定申告書第一表に記入する

確定申告書 第一表の「基礎控除」欄(項目25)に、該当する控除額を直接記入します。青色申告白色申告のどちらでも書き方は同じであり、別途「基礎控除申告書」を添付する必要はありません。

e-Tax会計ソフトを使用する場合、所得金額を入力すれば自動的に「620,000」「1,040,000」などの金額が反映されます(ソフトのアップデート状況を必ずご確認ください)。

基礎控除に関する実務上の注意点とは?

実務においては、「住民税との控除額の差」や「申告書の提出ルール」について正しく理解しておく必要があります。ここを誤解していると、所得税は0円なのに住民税の請求が来て驚いたり、書類の出し忘れで本来受けられるはずの控除が適用されなかったりするリスクがあります。

住民税は控除額が異なるため確認が必要

所得税は令和8年(2026年)・令和9年(2027年)分で178万円までかからないが、住民税はそれより低い水準から発生する可能性があります。

基礎控除額が所得税(最大104万円)と住民税(最大43万円)で大きく異なるためです。また、自治体によっては住民税の非課税限度額が独自に設定されていることもあります。「所得税が0円だから住民税も0円」とは限らない点を理解しておく必要があります。

青色申告特別控除と併用することで節税効果が高まる

個人事業主の場合、基礎控除は「青色申告特別控除」と併用が可能です。

令和8年(2026年)改正により基礎控除が増えたため、青色申告(最大65万円控除)を行っている事業主は、「基礎控除(最大104万円)+ 青色申告特別控除(65万円)= 合計169万円」もの所得控除を受けられます。

なお、青色申告特別控除自体も見直しが示されており、令和9年(2027年)分からe-Tax提出+優良な電子帳簿等の保存をしている場合は75万円に増額される一方、書面での申告書提出は10万円に大幅減額される予定です。令和8年(2026年)分は従来の65万円が適用されます。

給与年収2,000万円超の人は確定申告が必要

会社員であっても、給与年収が2,000万円を超える人は年末調整で基礎控除を受けることができません。

所得税法上、会社が年末調整を行えるのは「給与年収2,000万円以下の人」に限定されているためです。年収2,000万円を超える経営者や役員などは、会社から源泉徴収票を受け取り、自分で確定申告を行うことで基礎控除を適用させる必要があります。

申告書を提出しないと控除が適用されない

基礎控除は「全員対象」ですが、申告書を提出しない限り適用されず、税金が高くなってしまう恐れがあります。基礎控除は自動的に計算されるものではなく、あくまで納税者の意思表示(申告)に基づいて適用される仕組みだからです。

特に年末調整において、「自分は独身で扶養家族もいないから、何も書かなくていい(提出しなくていい)」と勘違いをして申告書を出さないと、基礎控除が適用されず手取りが減ってしまうため、必ず提出・記入が必要です。

基礎控除の改正を正しく理解し、ミスのない実務対応をしよう

令和8年度(2026年度)の税制改正により、基礎控除は最大104万円へと大幅に拡充され、所得税の非課税ラインは約178万円まで引き上げられました。

ただし実務上は注意が必要です。令和8年(2026年)分の改正効果は月次の源泉徴収には反映されず、年末調整で精算する形になります。改訂された源泉徴収税額表の適用は令和9年(2027年)1月以降となるため、特例による上乗せ分も含め、令和8年分は年末調整での対応となります。

最新の基準をもとに、正確な実務対応を心がけましょう。

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