- 作成日 : 2026年5月7日
定着率とは?計算式・離職率との関係・向上させるポイントを解説
定着率は、採用した社員のうち一定期間後も在籍している割合を示す人材管理の指標です。
- 計算式:在籍人数÷採用人数×100
- 離職率と補完関係にある指標
- 人材流出や職場環境を把握できる
定着率と離職率の関係は同じ期間・対象で計算する場合、定着率=100−離職率で表せます。
企業における定着率とは、採用した社員が一定期間後もどれだけ組織に在籍しているかを示す指標です。人材の流動状況や職場環境の状態を把握する際に活用され、離職率とあわせて確認されることも多くあります。しかし、定着率の意味や計算方法が分かりにくいと感じる方もいるかもしれません。
この記事では、定着率の基本的な考え方や計算式、離職率との関係、定着率が企業に与える影響などについて解説します。
目次
定着率とは?
企業の定着率とは、一定期間の中で採用した社員がどれだけ会社に残っているかを示す指標です。人材が組織にどの程度とどまっているかを把握するために使われ、人材管理や職場環境の評価に役立ちます。
定着率は一定期間に在籍している社員の割合を示す指標
定着率とは、採用した社員のうち一定期間後も在籍している人数の割合を示す指標です。企業における人材の安定度や職場環境の状態を把握するために用いられます。
定着率は、企業に入社した社員が組織にどれだけ残っているかを数値として表すもので、人材管理の基本的な指標の一つです。例えば新卒社員の定着率や中途採用者の定着率など、対象となる社員を区分して算出することもあります。企業の人材戦略を考える際には、単なる人数だけでなく、社員が長く働き続けているかどうかを把握する視点が欠かせません。
この指標を確認することで、職場環境や教育体制、働き方などが社員にとってどのように評価されているかを読み取ることができます。人材の流動性が高い企業では定着率が低くなる傾向があり、逆に安定して働き続ける社員が多い企業では定着率が高くなります。
【計測の目的】組織の課題を把握すること
定着率を計測する目的は、社員が離職する背景や職場環境の課題を把握することです。数値を確認することで、人材マネジメントの改善点が見えてきます。
採用活動には多くの時間と費用がかかるため、採用した人材が短期間で退職すると組織に大きな負担が生じます。そのため、採用後に社員がどれだけ働き続けているかを把握することは、人材戦略を考える上で欠かせない要素となります。
また、定着率の変化を継続的に確認することで、職場環境の改善効果を測定することも可能です。研修制度の見直しや働き方の改善などを行った際、定着率がどのように変化するかを確認することで、施策の効果を評価できます。
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定着率の計算式・期間設定・対象範囲は?
定着率は、採用した社員のうち一定期間後にどれだけの人数が在籍しているかを数値化した指標です。計算自体はシンプルですが、算出方法の理解が欠かせません。
定着率は採用人数と在籍人数から算出する
定着率は以下の計算式で求められます。
採用した社員のうち、どの程度が組織に残っているかを割合で示す方法です。
例えば、ある年度に10人の社員を採用し、1年後に8人が在籍している場合は次のように計算します。
定着率 = 8 ÷ 10 × 100 = 80%
このように、採用した人数と一定期間後の在籍人数を比較することで定着率を算出できます。企業では新卒採用や中途採用など、採用区分ごとに定着率を算出することもあり、人材の流動状況を把握するための基本的な指標として使われています。
期間設定によって数値の意味が変わる
定着率は、どの期間で計算するかによって数値の意味が変わります。入社後の経過年数によって離職の傾向が異なるためです。
企業では、入社から1年後の定着率、3年後の定着率など複数の期間で計算することがあります。1年定着率は入社直後の職場適応の状況を確認する指標として使われ、3年定着率は初期キャリアの定着状況を把握する際に参考にされます。
また、同じ計算式でも期間が異なると結果の解釈が変わります。例えば1年定着率が高くても、3年定着率が低い場合は中期的なキャリア形成や職場環境に課題がある可能性があります。
期間ごとに定着率を確認することで、人材の離職タイミングを分析しやすくなります。
対象社員の範囲を明確にして算出する
定着率を正しく算出するためには、対象となる社員の範囲を明確にする必要があります。対象の設定が曖昧だと数値の比較が難しくなるためです。
新卒社員のみを対象とした定着率と、中途採用者を含めた定着率では結果が異なる場合があります。さらに、部署ごとや職種ごとに定着率を算出することで、特定の職場における人材の流動状況を把握することもできます。
企業が人材管理の指標として活用する際には、どの社員を対象にどの期間で測定しているのかを整理した上で算出することが求められます。
離職率と定着率の関係は?
離職率と定着率は、企業の人材状況を示す代表的な指標であり、互いに密接な関係があります。離職率は一定期間に退職した社員の割合を示し、定着率は採用した社員のうちどれだけが組織に残っているかを示します。
離職率は一定期間に退職した社員の割合を示す指標
離職率とは、一定期間の中で退職した社員の割合を示す指標です。企業の人材流出の状況を把握するために用いられます。
一般的には、ある期間の平均従業員数や期初の従業員数などを基準にして、退職者数との割合から算出します。離職率が高い場合は人材の流動性が高い状態を示し、職場環境や働き方、待遇などに課題がある可能性を示すことがあります。
企業は離職率を確認することで、どの程度の社員が組織を離れているのかを把握し、人材マネジメントの改善に活用します。
定着率は「100−離職率」で表せる関係にある
定着率は「100−離職率」で表せる関係にあります。退職した割合を離職率とし、残っている割合を定着率として考えるためです。
ある期間における離職率が20%の場合、残っている社員の割合は80%となり、定着率は80%と考えることができます。このように、同じ期間と同じ対象人数で計算した場合、定着率と離職率は補完関係にある指標になります。
ただし、この関係が成り立つのは、同じ対象人数と同じ期間で計算している場合です。対象となる社員の範囲や期間が異なる場合は、単純に100から差し引く形で比較できないこともあります。
定着率と離職率を併用すると人材状況を把握しやすい
定着率と離職率は、併せて確認することで企業の人材状況をより理解しやすくなります。人材の流出と残存の両方を把握できるためです。
離職率が高く定着率が低い場合は、社員が長く働き続けにくい環境である可能性があります。離職率が低く定着率が高い場合は、人材が安定して働き続けている組織であると評価できます。
このように、両方の数値を確認することで、企業における人材の流動状況や職場環境の傾向をより正確に把握できます。
定着率の低さが企業に与える影響は?
定着率が低い企業では、社員の退職が継続的に発生している状態といえます。人材の入れ替わりが多くなると、採用や教育の負担が増えるだけでなく、業務運営や職場環境にも影響が広がります。
採用コストと教育コストが増加する
定着率が低い企業では、採用と教育にかかるコストが増加しやすくなります。社員が短期間で退職すると、新たな採用を繰り返す必要があるためです。
採用活動では求人掲載や選考対応などの費用や時間がかかります。また、入社後には研修や業務指導といった教育の機会も必要になります。定着率が低い場合、これらのコストが何度も発生することになります。さらに、社員が業務に慣れる前に退職すると、教育にかけた時間や費用が十分に活かされない状況も生まれます。
業務の安定性や生産性に影響が出る
定着率が低い企業では、業務の安定性や生産性にも影響が生じることがあります。社員の入れ替わりが頻繁に起こるためです。
経験を積んだ社員が退職すると、業務のノウハウや知識が組織内に残りにくくなります。新しい社員が業務に慣れるまでには時間がかかるため、その間は業務効率が下がる場合もあります。また、人員不足の状態が続くと、残っている社員の業務負担が増える可能性もあります。
職場環境や企業イメージにも影響する
定着率が低い状態は、職場環境や企業イメージにも影響することがあります。退職者が多い企業は、外部からの印象にも関係するためです。
求職者が企業情報を調べる際、離職状況を参考にすることがあります。退職者が多い企業は働き続けにくい職場という印象を持たれることもあります。また社内でも退職が続くと、残っている社員の不安や負担が増える場合があります。
定着率が高い企業の特徴は?
定着率が高い企業には、社員が継続して働きやすい組織運営の特徴が見られます。社員が安心して働ける環境や、組織としての一貫した方針がある企業では、長く働く社員が増える傾向があります。
参考:ワーク・エンゲイジメントと定着率・離職率について|厚生労働省
企業の理念や方針が社員に共有されている
定着率が高い企業では、企業理念や組織の方向性が社員に共有されています。組織の目的や価値観が明確であると、社員が仕事の意味を理解しやすくなるためです。
企業が目指す方向や事業の目的が社内で共有されている場合、社員は自分の仕事がどのような役割を持っているのかを理解しやすくなります。また、企業の価値観に共感して入社した社員は、組織との一体感を持ちやすくなります。このような環境では、社員が企業の中で働き続ける意識を持ちやすくなります。
マネジメント体制が安定している
定着率が高い企業では、管理職によるマネジメント体制が安定している傾向があります。上司との関係や組織運営の方法は、社員の働きやすさに影響するためです。
上司が業務の指示や評価を適切に行い、部下とのコミュニケーションを保っている職場では、社員が安心して働きやすくなります。また、組織内の役割分担が明確である企業では、業務の混乱が起こりにくくなります。こうしたマネジメントの安定は、社員が長く働く環境を支える要素の一つです。
組織内のコミュニケーションが活発である
定着率が高い企業では、社員同士のコミュニケーションが活発に行われています。情報共有や相談がしやすい環境は、職場での安心感につながるためです。
部署内やチーム内で意見交換が行われている企業では、業務の進め方や課題について共有しやすくなります。また、社員同士の関係が良好な職場では、困ったときに周囲へ相談しやすい環境が生まれます。このようなコミュニケーションの活発さは、社員が組織の中で働き続ける要因の一つとなります。
定着率を向上させるポイントは?
定着率を向上させるためには、社員が継続して働きやすい環境を整えることが基本となります。採用後の育成体制やコミュニケーション環境などを見直しながら、人材が長く働き続けられる組織づくりを進めることが考えられます。
入社後の教育やフォロー体制を整える
定着率の向上には、入社後の教育やフォロー体制を整えることが役立ちます。社員が業務や職場に早く慣れることで、働き続けやすい環境につながるためです。
新しく入社した社員は、業務内容や社内ルール、職場の人間関係など多くのことを学ぶ必要があります。その過程で十分なサポートがない場合、不安や負担を感じやすくなります。研修制度やOJTなどの教育機会を設けることで、社員が業務に慣れるまでの支援を行うことができます。
また、定期的な面談や相談の機会を設けることで、職場での悩みや課題を早い段階で把握しやすくなります。
参考:OJTの手引き|京都市
働きやすい職場環境を整える
働きやすい職場環境を整えることも、定着率の向上に関係します。社員が安心して働ける環境は、長期的な就業につながるためです。
適切な業務量の調整や労働時間の管理、休暇の取得しやすさなどは、社員の働きやすさに影響します。また、上司や同僚とのコミュニケーションが取りやすい職場では、業務上の悩みを共有しやすくなります。こうした環境づくりは、社員が安心して働き続けるための要素の一つとなります。
キャリア形成の機会を示す
社員が将来の働き方をイメージできる環境を整えることも、定着率の向上につながります。キャリアの見通しがあることで、長期的に働く意識を持ちやすくなるためです。
昇進やスキル習得の機会、配置転換などのキャリア形成の選択肢を示すことで、社員は自身の成長を考えながら働くことができます。企業側がキャリアの方向性を共有することで、社員が組織の中でどのように成長していくのかを理解しやすくなります。
定着率を理解することが企業の人材管理につながる
定着率は、採用した社員がどれだけ組織に残っているかを示す指標であり、人材管理の状況を把握する際の参考となります。定着率が低い場合は、採用コストの増加や業務の安定性への影響など、企業運営にも関係します。理念の共有や安定したマネジメント、組織内コミュニケーションなどの要素を持つ企業では、人材が長く働き続ける傾向が見られます。定着率を継続的に計測し、その背景を分析することで、人材の状況をより適切に把握しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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