• 作成日 : 2026年4月17日

2026年度介護報酬改定とは?改定率や施行日、対応手順を解説

Point2026年度介護報酬改定とは?

2026年度の介護報酬改定は、深刻な人材不足と賃金格差を解消するため、通常の3年サイクルを待たずに行われるプラス2.03%の異例の臨時改定です。

  • 最大1.9万円の賃上げ:処遇改善加算の拡充で介護職員の月額給与を大幅に引き上げ。
  • 対象職種の拡大:看護師、リハビリ職、ケアマネ、事務職等も新たに加算対象へ。
  • 2026年6月施行:処遇改善は6月、食費基準額の引き上げは8月から段階的に実施。

今回の改定で事業者がすべきこととして、2026年6月の施行に向け、新設される「加算Iロ」等の取得要件を確認し、計画書の作成・届出準備を早期に進める必要があります。

介護報酬改定は通常3年ごとに実施されますが、2026年度は次回の2027年度通常改定を待たずに行われる異例の期中改定です。深刻化する介護人材不足と他産業との賃金格差の拡大に対応するため、改定率プラス2.03%が決定し、処遇改善加算の大幅拡充が図られます。

本記事では、改定の背景・改定率・施行日・処遇改善の具体的内容・事業者の対応手順を体系的に解説します。

2026年度の介護報酬改定はなぜ臨時なの?

2026年度介護報酬改定が期中改定として実施される最大の理由は、介護職員と他産業との賃金格差が拡大し続けており、2027年度の通常改定まで待っていては人材流出が加速するという危機感からです。

2025年度の全産業の賃上げ率が5.25%だったのに対し、介護職員の給与上昇は2.0〜2.5%にとどまっています。また、2026年度に必要な介護職員は約240万人と推計される一方、慢性的な人手不足が続いており、介護関係職種の有効求人倍率は3〜4倍台で推移しています。

参照:第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について|厚生労働省

期中改定に至った3つの背景

  1. 他産業との賃金格差の拡大:全産業で力強い賃上げが進む中、介護分野だけが取り残されるリスクが顕在化
  2. 地域別最低賃金の大幅引き上げ:2025年度の最低賃金は全国加重平均で66円(6.3%)引き上げられ、介護報酬が据え置きのままでは最低賃金に追いつかない地域が発生
  3. 介護職員数の減少:厚生労働省の調査で介護職員数が統計開始後初めて減少に転じており、緊急対応が不可欠と判断

参照:令和7年度地域別最低賃金全国一覧|厚生労働省
参照:介護職員数の推移の更新(令和5年分)について|厚生労働省

「補助金→介護報酬」リレー方式の背景

政府は2025年12月から補助金による一時的な賃上げ支援を実施しましたが、補助金は一時的措置です。今回の期中改定はこの補助金による賃上げを途切れなく介護報酬に引き継ぐための恒久的な仕組みとして設計されています。

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2026年度の介護報酬改定率はいくら?

2026年度介護報酬改定の全体改定率はプラス2.03%で、その大部分(1.95%)が処遇改善加算の拡充、残り0.09%が食費の基準費用額の引き上げです。前回の2024年度改定(プラス1.59%)を上回る水準です

参照:「令和8年度介護報酬改定について」|厚生労働省

2026年度改定率の内訳

区分 改定率 主な内容
処遇改善加算の拡充分 +1.95% 介護従事者全体の賃上げ原資
食費の基準費用額の引き上げ分 +0.09% 施設等における食費の見直し
全体改定率 +2.03%

今回の期中改定は、基本報酬全体を引き上げるものではなく、処遇改善加算に特化した改定であることが特徴です。

過去の介護報酬改定率との比較

改定年度 改定率 主なテーマ
2021年度 +0.70% コロナ対応・ICT推進
2024年度 +1.59% 処遇改善加算一本化・医療連携
2026年度(期中改定) +2.03% 処遇改善加算拡充・賃上げ
2027年度(次期通常改定) 未定 抜本的制度改定

参照:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料|厚生労働省

2026年度の施行日はいつ?

2026年度介護報酬改定の施行日は、処遇改善加算の見直しが2026年6月1日、食費の基準費用額の見直しが2026年8月1日です。

施行日スケジュール

施行日 内容
2026年6月1日 介護職員等処遇改善加算の新区分・対象拡大の施行
2026年8月1日 食費の基準費用額の引き上げ施行

2026年6月以降、処遇改善加算の届出が受理された事業所から順次、新たな加算率が適用されます。届出が遅れた場合は7月以降の反映になるケースもあるため、早期の準備が重要です。

2026年度改定に至るスケジュール

時期 内容
2025年12月19日 社会保障審議会介護給付費分科会で審議報告を大筋了承
2025年12月25日 改定率(プラス2.03%)決定
2026年1月16日 社保審介護給付費分科会で詳細提示
2026年3月13日 処遇改善加算の基本的考え方・事務処理手順・Q&A(第1版)通知
2026年6月1日 処遇改善加算の新区分等の施行
2026年8月1日 食費の基準費用額の見直し施行

処遇改善加算の3段階賃上げの仕組みとは?

2026年度の臨時改定における賃上げは「月1万円(全介護従事者対象)+月7,000円(生産性向上・協働化取り組み事業所の介護職員対象)+定期昇給2,000円程度」という3層構造です。

最大で介護職員1人あたり月1万9,000円(6.3%)の賃上げが見込まれています。

3段階賃上げの全体像

賃上げの層 対象 月額目安
第1層:基本の賃上げ(A) 介護従事者全体(正規雇用) 月1万円(3.3%)
第2層:上乗せ賃上げ(B) 生産性向上・協働化に取り組む事業所の介護職員 月7,000円(2.4%)
第3層:定期昇給(事業所努力) 介護職員 月約2,000円
最大合計 介護職員 月1万9,000円(6.3%)

第2層の上乗せを受けるには、事業所が「生産性向上推進体制加算の取得」「ケアプランデータ連携システムへの加入」「社会福祉連携推進法人への所属」のいずれかに取り組むか、2026年度中の対応を誓約する必要があります。

処遇改善加算の対象はどこまで広がるの?

2026年度の期中改定では、処遇改善加算の対象が「介護職員」から「介護従事者全体(正規雇用)」に拡大され、これまで加算の対象外とされていた訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅介護支援といったサービスについても、新たに加算が設けられることとなりました。

新たに対象となる職種

これまで処遇改善加算の対象は主に介護職員でしたが、今回の改定で以下の職種も対象に加わります。

  • 看護師・准看護師
  • 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
  • 管理栄養士・栄養士
  • 事務職員
  • その他の介護業務に従事する者

新たに処遇改善加算が創設されるサービス

サービス種別 加算率(目安)
訪問看護・介護予防訪問看護 1.8%
訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション 1.5%
居宅介護支援・介護予防支援(ケアマネ事業所) 2.1%

これにより、ケアマネジャー・訪問看護師・リハビリ職への処遇改善が初めて実現します。

関連記事|処遇改善加算とは?新制度の変更点や算定要件
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新設される加算区分「加算Iロ・加算IIロ」とは?

2026年度改定では、処遇改善加算の上位区分に、生産性向上や協働化への取り組みを評価する新たな「ロ」区分が新設されます。従来の区分よりも高い加算率が設定され、ICT活用や連携法人への加入が要件となります。

加算区分のイメージ(訪問介護の例)

加算区分 加算率(目安) 主な要件
加算Iロ(新設) 最大28.7% 加算Iイの要件+生産性向上・協働化の取り組み
加算Iイ(従来の加算I相当) 27.0% キャリアパス要件I・II・III+職場環境等要件等
加算II以下 段階的に低い 要件に応じて変化

参照:介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)|厚生労働省

令和8年度特例要件とは?

「令和8年度特例要件」とは、2026年度中に限り、生産性向上や協働化への取り組みを「実施中」ではなく「取り組むことを誓約」した段階から加算算定を可能とする配慮措置です。

具体的には以下のいずれかへの取り組み誓約が要件となります。

  1. ケアプランデータ連携システムへの加入
  2. 生産性向上推進体制加算の取得
  3. 社会福祉連携推進法人への所属

届出準備の期間が短い事業所への配慮として設けられた経過措置的な仕組みであり、2026年度中に誓約することで申請時点から要件を満たしているものとみなされます。

関連記事|介護現場でIT活用するメリットとは?現場が変わる技術や導入効果を解説

食費の基準費用額の見直しとは?

2026年8月から、介護施設等の食費の基準費用額が引き上げられます。物価高騰による食材費・光熱費の上昇が介護施設の経営を圧迫していることへの対応措置で、改定率の0.09%に相当します。

補足給付の対象となる低所得者については、負担段階ごとの上限額が維持される形での対応が想定されています。

事業者はどう対応すればよい?

2026年度期中改定への対応は「改定内容の把握→対象者・加算区分の確認→届出準備→システム更新→職員への周知」の5ステップで進めるのが効果的です

参照:社会保障審議会介護給付費分科会 |厚生労働省

STEP 1:改定内容と自事業所への影響を把握する

厚生労働省の「令和8年度介護報酬改定について」と処遇改善加算Q&Aを一読し、自事業所のサービス種別に関係する変更点を確認します。

参照:令和8年度介護報酬改定について|厚生労働省

STEP 2:処遇改善加算の対象者と取得可能な区分を整理する

自事業所で算定できる加算区分を確認し、新たに対象となる職員・職種を洗い出します。上位区分の取得要件を満たせるかどうかも検討します。

STEP 3:届出書類を準備する

2026年6月施行の加算を算定するためには、事前に処遇改善計画書・賃金改善計画・キャリアパス要件等の書類を整備し、都道府県・市区町村への届出を行う必要があります。届出期限を事前に確認し、余裕を持って準備しましょう。

STEP 4:介護ソフト・請求システムを更新する

加算区分・加算率の変更に伴い、介護請求ソフトの設定更新が必要です。ソフトベンダーへの対応確認を早急に行います。

STEP 5:職員・利用者への周知を実施する

処遇改善加算の拡充によって、一部の利用者では自己負担額が変動する場合があります。職員には改定の趣旨と自身の賃金への影響を丁寧に説明し、利用者・家族には窓口負担の変化を事前に周知します。

利用者・家族への影響はどうなる?

今回の期中改定は処遇改善加算の引き上げが中心のため、サービスの基本報酬は変わらず、処遇改善加算を取得する事業所を利用する場合のみ自己負担が増加する可能性があります。

処遇改善加算を算定する事業所の場合、利用者の自己負担にも加算分が上乗せされるため、月の請求額が変動することがあります。事業所は利用者・家族に対してリーフレット等を用いた事前説明を行うことが求められています。

2027年度通常改定との関係はどうなるか?

2026年度の期中改定はあくまで緊急対応としての臨時措置であり、2027年度の次期通常改定では抜本的な制度改定が議論される予定です。

2027年度改定で引き続き検討される主な論点は以下の通りです。

論点 概要
利用者負担割合の見直し 金融資産保有状況を反映した負担割合設定・原則2割化の検討
人員配置基準の柔軟化 ICT活用を前提とした特養・通所介護の人員配置見直し
ケアプランの有料化 利用者への自己負担導入(2024年度から持ち越し)
基本報酬の引き上げ 2026年期中改定の効果検証を踏まえた引き上げ検討
複合型サービスの創設 訪問介護と通所介護等を組み合わせた新サービス類型

2026年度期中改定を機に、持続可能な人材確保体制を整えよう

介護報酬改定の2026年度臨時改定は、改定率プラス2.03%を原資に、介護従事者全体への月1万円の賃上げと、生産性向上に取り組む事業所への最大月1万9,000円の処遇改善を実現する異例の前倒し改定です。

処遇改善加算の対象がケアマネジャー・訪問看護師・リハビリ職にまで拡大される点も大きな変化です。2026年6月の施行に向けて、加算区分の確認・届出準備・システム対応を今から計画的に進めることが、安定した事業運営と職員定着の基盤づくりにつながります。


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