- 更新日 : 2026年6月10日
個人事業主の所得税が0円になるのはどんなとき?所得税額の計算方法や確定申告について解説
個人事業主の所得税は、事業が赤字の場合や各種控除の合計が所得金額を上回る場合に0円になります。
Q:所得税が0円でも確定申告はするべきですか?
A:必須ではありませんが、青色申告の赤字繰越や源泉徴収された税金の還付、非課税証明書の発行を受けるために申告をおすすめします。
事業の赤字が膨らんだ場合など、個人事業主の所得税が0円になることがあります。所得税が発生しない場合であっても、確定申告は必要になるのでしょうか。個人事業主の所得税や住民税、個人事業税、消費税が0円になるケースや確定申告の必要性について解説します。
※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。
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個人事業主の所得税が0円になるケースは?
所得税の計算は、下記に従って行います。
上記の計算式から、所得税が0円になるのは、所得控除をしたあとの課税所得がない場合や、税額控除が多く、納めるべき所得税額がない場合が想定されます。ここでは、課税所得が0円になることで、所得税が0円になるケースをいくつか紹介します。
個人事業が赤字
個人の所得税における所得金額は、収入から必要経費を差し引いた金額です。個人事業の経営がうまくいかなかったり、事業への投資が重なったりすると、事業の収入を必要経費が上回ることがあります。赤字とは、収入よりも経費が多い状態のことです。
個人事業主の事業が赤字の場合は、事業所得がマイナスになるため、そのほかの所得の状況によっては、所得税が0円になることがあります。ただし、個人事業主であっても、生活費の補てんのためにアルバイトをしているなど、事業以外の所得がある場合は、所得税が0円にならない可能性もあるため、事業が赤字=必ずしも所得税が0円になるわけではありません。
青色申告をしていて過去3年間において赤字繰り越しがある
青色申告を選択している個人事業主は、純損失を原則3年間、翌年以降へ繰り越すことが認められています。過去3年以内に繰り越されてきた純損失については、所得から控除することが可能です。過去3年以内に事業が赤字になっており、なおかつ申告する年度の所得金額に対して赤字の金額が大きい場合は事業所得がマイナスになるため、所得税が0円になる可能性があります。
所得金額よりも所得控除が多い
所得控除とは、所得税の課税所得の計算上、所得金額から差し引ける項目をいいます。所得控除については、以下の項目が認められています。
所得金額に対して、上記の所得控除の合計が大きい場合は、課税所得はゼロになるため、所得税も0円になります。所得控除が多くなるケースとして考えられるのは、入退院などにより年間の医療費が例年よりも多く発生したケース、災害などの被害を受けて多額の雑損控除が発生したようなケースです。
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個人事業主の所得税額を計算する方法
個人事業主の所得税の計算方法について、詳細を解説します。
※事業所得のみがある前提での計算です。ほかに所得がある場合はそのほかの所得も合算して計算する必要があります。
1. 事業所得を計算する
個人事業主の所得を計算するには、事業で得られた所得を求める必要があります。年間の事業収入から、事業に必要な経費を差し引いた金額が事業所得です。
2. 所得控除を計算する
所得控除は事業所得などの所得金額から差し引ける金額です。以下の項目について検討し、該当するものがあれば、所得金額から控除します。
| 雑損控除 | 災害などにあった場合に所得の一部を軽減する控除 |
| 医療費控除 | 年間の医療費が一定額を超える場合の控除 |
| 社会保険料控除 | 国民健康保険や国民年金などの支払いに対する控除 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済掛金などを支払った場合の控除 |
| 生命保険料控除 | 生命保険や介護保険などを支払った場合の控除 |
| 地震保険料控除 | 地震保険料を支払った場合の控除 |
| 寄附金控除 | ふるさと納税など寄附を行った場合の控除 |
| 障害者控除 | 納税者本人が障害者である場合や扶養する親族などが障害者である場合の控除 |
| 寡婦控除 | 納税者が合計所得金額500万円以下の寡婦である場合の控除 |
| ひとり親控除 | 納税者が合計所得金額500万円以下のひとり親である場合の控除
控除額:現行35万円から、令和9年分の所得税より38万円に引き上げ。住民税は現行30万円から、令和10年度分より33万円に引き上げられます。 |
| 勤労学生控除 | 納税者が合計所得金額89万円以下の勤労学生である場合の控除
※令和8年分(2026年)の所得税から適用。令和7年分以前は85万円以下。 住民税は令和9年度分(2027年)から89万円以下が基準になります。 |
| 配偶者控除 | 納税者の合計所得が1,000万円以下、かつ配偶者の合計所得が 62万円以下である場合の控除
※令和8年分(2026年)の所得税から適用。令和7年分以前は58万円以下。 住民税は令和9年度分(2027年)から62万円以下が基準になります。 |
| 配偶者特別控除 | 納税者の合計所得が1,000万円以下、かつ配偶者の合計所得が133万円以下である場合の控除(配偶者控除の対象=配偶者の合計所得が62万円以下の場合を除く)
※令和8年分(2026年)の所得税から適用。令和7年分以前は58万円以下が除外対象。 |
| 扶養控除 | 配偶者以外の親族を扶養する場合の控除 |
| 特定親族特別控除 | 納税者に、生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等で、合計所得金額が一定金額以下の控除対象扶養親族に該当しない者(特定親族)がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。 |
| 基礎控除 | 納税者の合計所得が2,350万円以下である場合に受けられる控除
控除額:令和8年分より62万円。合計所得が2,350万円を超えると段階的に縮小し(2,400万円以下で48万円、2,450万円以下で32万円、2,500万円以下で16万円)、2,500万円超でゼロになります。 さらに、合計所得金額が一定以下の場合は特例による控除額の加算があります(例:令和8・9年分は合計所得489万円以下で42万円加算など) ※令和7年分以前は48万円。住民税の基礎控除(43万円)は変更なし。 |



