- 更新日 : 2026年1月22日
美容師が個人事業主として働くには?必要な手続きや確定申告の流れについて解説
美容師が個人事業主として働く場合、店舗をかまえて開業するほか、業務委託や面貸しという方法もあります。また、開業届の提出や国民健康保険への切り替えなどの手続きも必要です。個人事業主になることで、働き方や時間を自分で決められる点がメリットです。
本記事では、美容師が個人事業主になるメリットや手続き、節税対策などを解説します。
目次
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美容師の個人事業主としての働き方
美容師が個人事業主として働く場合、次の3つの方法があります。
- 開業
- 業務委託
- 面貸し
ここでは、個人事業主とフリーランスの違いを説明するとともに、個人事業主として働く方法を解説します。
フリーランス美容師との違い
個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のことです。一方、フリーランスは会社に雇用されず、個人で仕事を請け負う働き方をする人であり、組織に属しないという点で個人事業主と変わりません。
税務上において、個人事業主とフリーランスの区別があるのではなく、「継続して事業を行う個人」が個人事業主であり、通常は税務署に開業届を提出した人を言います。
フリーランスとは、特定の会社に雇用されず、個人として業務を請け負う「働き方」のことと解釈するのがわかりやすいです。多くのフリーランス美容師は、個人事業主として独立して働く美容師であると言えます。
開業
個人事業主の主な働き方としては、自分の店舗をもって開業することが挙げられます。店舗となる物件を賃貸するか、自宅を改装するなどして店舗を準備する必要があり、初期費用がかかります。自分で開業する場合は、集客のための宣伝広告も必要です。
また、美容室の店舗は、保健所の許可や消防署の検査を受けなければなりません。検査には床面積や椅子の台数など細かい基準が設けられており、基準に合った内装にする必要があります。
業務委託
業務委託とは、店舗と雇用関係を結ばず、業務委託契約を結んで働くことです。報酬形態は契約によりさまざまで、成果に応じて報酬を支払う成果報酬型が一般的です。
業務委託契約による業務は、一般に初期投資費用がかからず、すぐに働ける点がメリットです。集客を行う必要もありません。契約先とは雇用関係がないため、比較的自由に働けるケースが多いでしょう。
ただし、仕事で病気や怪我をしても労災の適用はなく、休業の補償もないといった点はデメリットです。
面貸し
面貸しとは、美容室の空いているスペースや席を借りて働く方法です。場所を借りるだけで業務委託のように店舗の業務を請け負うわけではありません。美容師は店舗に利用料を払いますが、利用料金設定は契約により異なります。
面貸しは、美容師自身が集客・価格設定・施術の責任を負う独立した営業スタイルと言えます。面貸しにおいては店舗を用意する必要はないため初期費用はかからず、家賃や光熱費などの経費も利用料に含まれます。リピーターが多い場合は、店舗に雇用されるよりも収入を得られる可能性があります。
ただし、集客は自分で行わなければならないため、固定客を作れない場合は売上を上げるのが難しいでしょう。
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美容師が個人事業主として働くメリット・注意点
美容師が個人事業主として働くことは、自由な働き方ができる反面、自分で行うことが増えるなどのデメリットもあります。
ここでは、美容師が個人事業主として働くメリットと注意点を解説します。
メリット
個人事業主としてのメリットは業務の自由度が大きいことです。自分の都合を優先できるため、プライベートを充実させたり、家族との時間を増やしたりできるでしょう。
美容室に雇用されている場合、店舗によっては仕事のあとや休日などに勉強会が行われます。個人事業主になれば、このような負担からも解放されます。
個人事業主になれば、人間関係の煩わしさもありません。店舗で複雑な人間関係に悩んでいた場合は、ストレスから解消されるでしょう。
注意点
美容師は個人事業主になることで多くのメリットがある一方、注意点もあります。これまでは店舗が行っていた経理業務や予約管理・売上管理などを自分で行わなければなりません。雇用されていたときは給与が保証されますが、個人事業主は売上が収入に直結するため、収入が不安定になる可能性もあります。
勉強会などの負担はなくなっても勉強が必要なことは変わらず、最新トレンドなどの情報も収集しなければなりません。
本業以外にやることが増え、店舗運営が軌道に乗るまでは、雇用されていたときよりもかえって自由な時間がなくなる可能性もあります。
美容師が個人事業主として働く場合の手続き
美容師が個人事業主として働くためには、次の手続きが必要です。
各手続きについて、詳しく解説します。
国民年金・国民健康保険への加入や切り替え
会社に雇用されているときは社会保険に加入できますが、会社に所属しない場合は国民年金・国民健康保険への加入・切り替えが必要です。
国民年金の加入と国民健康保険への切り替えは、退職した日から14日以内に、住まいのある自治体の窓口で手続きを行います。なお、加入要件はあるものの、東京都内の場合には「美容国保」に加入する方法もあります。
それぞれの必要書類は、次のとおりです。
| 国民年金 | 基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類 |
| 国民健康保険 |
参考:加入資格について|加入・脱退・変更|東京美容国民健康保険組合
開業届の提出
個人事業主として開業する場合、管轄の税務署に開業届の提出が必要です。開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、事業の開始等の事実があった日から1ヶ月以内に提出します。1ヶ月を過ぎた場合でも特に罰則はなく、提出は可能です。店舗の有無に関係なく、個人事業主となって事業所得を得る場合には「開業届」が必要です。
提出は税務署の窓口で提出するほか、税務署に郵送する、国税庁の電子申告(e-Tax)で提出するという方法もあります。
また、税務署への開業届だけでなく、都道府県で「都道府県税事務所への事業開始等申告書」の提出が求められます。所轄の税事務所に確認し、提出しましょう。
青色申告承認申請書の提出(青色申告する場合)
青色申告で確定申告をする場合は、「青色申告承認申請書」も一緒に提出します。確定申告には白色申告と青色申告があり、青色申告を選ぶことで、高い節税効果が得られます。
青色申告には複式簿記による記帳などいくつかの要件がありますが、最大65万円の特別控除が受けられるなど、多くのメリットがあります。
なお、青色申告承認申請書については、その年の1月16日以後において、新たに業務を始めた場合には、その事業開始等の日までに提出します。
開設や美容所登録に関する手続き
美容師が店舗を構える場合、美容所登録が必要です。美容所登録とは、美容室を開業するために店舗のある地域の保健所に「美容所開設届書」を提出し、構造設備や衛生管理の基準に適合していることを確認してもらう手続きです。提出期限は開業の1週間前ですが、余裕をもって提出するようにしてください。
書類の提出後、店舗に保健所の人が出向き、条件を満たしているかをチェックします。登録のための基準は都道府県によって異なる部分もあるため、事前に保健所から条件一覧を入手して確認しておきましょう。
また、美容室店舗が消防法令への適合を確認するために、消防署への届出も必要となります。
個人事業主の美容師ができる節税対策
個人事業主になると、自分で所得税を計算し、確定申告をしなければなりません。確定申告では、事業に関連した支出を必要経費として計上することで正しい所得を求めることができます。
ここでは、個人事業主の美容師ができる節税対策を解説します。
必要経費で落とせる項目
個人事業主の美容師が必要経費に計上できるのは、次のものがあげられます。
所得税や住民税、社会保険料などは必要経費にならないため注意しましょう。
また、自宅の一部を店舗として利用している場合は、家事按分が必要です。家賃の場合は居住スペースと店舗の割合に応じて按分し、水道光熱費も利用に応じて按分した費用を計上しましょう。
10万円未満の備品は消耗品費として経費に計上できますが、10万円以上であれば原則として固定資産(工具器具備品等)として資産計上し、耐用年数に応じて毎年減価償却を行います。
経費を削減する方法
美容師である個人事業主は使用する道具が多く、支出が多くなりがちです。できるだけ無駄な支出を抑えながら必要な経費を計上することが、上手に経営していくコツです。
収入が少ないときは消耗品や備品の購入を控え、収入が多くなる年に経費に落とせるものをまとめて購入しておくことで、効率良く節税ができます。消耗品など日々必要になるものを収入に応じてうまくやりくりすることで、総合的な経費削減ができるでしょう。
個人事業主の美容師の確定申告
個人事業主の美容師が初めて確定申告する際は、手続きの流れを確認しておきましょう。扶養に入っている場合には収入により申告の必要の有無が分かれるため、事前にチェックしておいてください。
ここでは、個人事業主の美容師が行う確定申告について解説します。
青色申告と白色申告どちらがおすすめ?
確定申告は青色申告と白色申告のどちらかを選べ、青色申告であればさまざまなメリットがあることをお伝えしました。
具体的には、次のようなメリットがあります。
- 最高65万円までの特別控除が受けられる
- 一定要件のもと、一緒に働く家族の給料を必要経費にできる
- 赤字が出た場合3年間は持ち越せる
特別控除には3つの種類があり、それぞれに要件があります。
| 控除額 | 要件 |
|---|---|
| 55万円 | |
| 65万円 |
|
| 10万円 | 55万円および65万円の特別控除の要件に該当しない (事業的規模でない不動産所得を含む) |
複式簿記の記帳は複雑ですが、青色申告にすることで、大幅な節税が可能です。
確定申告の流れ
確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間で得た所得について所得税の計算を行い、おおむね翌年の2月16日から3月15日までの期間内に申告書を提出し、税金を納付します。
確定申告の大きな流れは、次のとおりです。
- 確定申告書を作成する
- 税務署に提出する(確定申告)
- 税金を納付する、もしくは還付を受ける
確定申告書の作成は、紙の書類に手書きするか、確定申告書作成コーナーで作成する、確定申告ソフトで作成するという方法があります。自分で作成するのが難しい場合は、税理士などの専門家に依頼することも可能です。
税務署の提出は、窓口での提出と郵送のほか、e-Taxによる電子申告もできます。
所得税の計算をした結果、支払う税金がある場合は、原則として3月15日までに納付するという流れです。所得税を払い過ぎていた場合などで還付があるときは、1ヶ月程度で指定の口座に入金されます。
参考:確定申告書等作成コーナー|国税庁
扶養に入っている場合の確定申告
個人事業主の美容師が税務上の扶養に入っている場合、以下の要件を満たすと配偶者控除を受けられます。ここではわかりやすく美容師Aさんと配偶者であるBさんとして、AさんはBさんの税務上の扶養に入っているとして考えていきます。
具体的には次の1〜4の要件を満たす場合となり、Bさん側において「配偶者控除」を受けることができます。
- BさんとAさんが民法上の配偶者であること
- BさんとAさんは、生計を一にしていること
- Aさんの年間合計所得が58万円以下であること
- AさんがBさんの事業専従者でないこと
(前提としてBさんの合計所得が1,000万円以下であること)
このうち、3.の場合で、Aさんの合計所得が133万円以下のときには、Bさんは配偶者控除を受けられなくても「配偶者特別控除」が受けられます。
さらに、青色申告特別控除の金額を控除したあとのAさんの合計所得が95万円以下の場合には原則として確定申告は不要となります。
なお、個人事業主が社会保険上の扶養に入れるのは、売上から経費を差し引いた年間所得が130万円を超えない場合です。超えた場合は扶養から外れることになります。
参考:No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか|国税庁
個人事業主の美容師は確定申告の手続を確認しておこう
美容師が個人事業主として働く場合、店舗を構えて開業するほか、業務委託や面貸しといった働き方もあります。個人事業主になることで自由な時間ができるなどメリットがありますが、自分でやらなければならないことが増えるため、よく確認しておきましょう。
開業届や青色申告の届出は、期限に遅れないよう提出してください。確定申告では経費の計算を行うことで、上手に節税できます。初めての確定申告では手続きの流れを確認し、正しく作成して期限内に提出するようにしましょう。
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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