• 更新日 : 2026年8月4日

算定基礎届は退職者にも必要?提出対象の判断基準と書き方・記入例を解説

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Point退職者に算定基礎届は必要?

退職者への算定基礎届の提出は、退職日が6月30日以前なら不要、7月1日以降なら必要です。

  • 判断基準は7月1日時点の在職有無
  • 7月以降退職は備考欄に退職日を記載
  • 資格喪失届は算定基礎届と別途必要

Q. 6月30日に退職した従業員の算定基礎届は必要ですか?

A. 不要です。定時決定の対象は7月1日時点の在職者のため、6月30日以前の退職者は対象外となります。

退職者は基本的に算定基礎届の提出は必要ありません。ただし退職日によっては届出の対象となり、対応を誤ると年金事務所から指摘を受ける可能性があります。本記事では算定基礎届の退職者に関する取り扱いを中心に、提出対象者の判断基準、定時決定との関係、書き方・記入例まで解説します。

算定基礎届とは何か?

算定基礎届は、従業員の標準報酬月額を決定するために提出が求められる書類です。4月から6月に支払われた給与実績をもとに、従業員ごとの標準報酬月額を算出するこの手続きを「定時決定」と呼びます。

標準報酬月額とは、一定期間の給与の平均額をあらかじめ定められた等級に当てはめた月額給与のことです。この標準報酬月額をもとに9月以降の社会保険料が決定されるため、算定基礎届は社会保険料を正確に確定させるための重要な手続きといえます。企業と従業員双方にとって、適切な保険料負担と保険制度の安定運用に直結する書類です。

算定基礎届については以下の記事でも詳しく解説しているので、ご確認ください。

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算定基礎届の提出が必要な対象者は誰?

算定基礎届の提出対象となるのは、7月1日時点で在職しているすべての被保険者です。退職者については、退職日が6月30日以前か7月1日以降かによって対象・対象外が分かれます。

定時決定の対象者は「7月1日現在の使用関係」を基準に判定される仕組みのため、在職中かどうかが提出義務の分岐点になります。これにはフルタイムの社員だけでなく、勤務形態や年齢が異なる従業員も含まれる点に注意が必要です。

算定基礎届の提出対象となる従業員の範囲

7月1日時点で在職していれば、雇用形態にかかわらず原則として算定基礎届の対象になります。具体的には次のような従業員が含まれます。

算定基礎届の提出対象者の例

  • パート・アルバイト
  • 産前産後・育児・介護休業中の従業員
  • 70歳以上の従業員(健康保険被保険者または厚生年金70歳以上被用者)
  • 出向中の従業員
  • 5月31日以前に入社し、7月1日時点で在職している従業員

一方で、欠勤中や休職中の従業員(育児休業・介護休業を含む)、刑務所等に収容されている従業員などは、一定の条件のもとで提出が求められます。算定基礎届の対象者については、以下の記事をご確認ください。

退職者は算定基礎届の提出対象になる?

6月30日以前に退職した従業員は定時決定の対象外となるため、算定基礎届の提出は原則不要です。退職者の算定基礎届が必要かどうかは、退職日が7月1日の前後どちらかで決まります。

これは、定時決定が「7月1日現在使用されている被保険者」を基準とする制度であるためです。退職日が6月30日以前であればその時点で資格を喪失しているため対象外、退職日が7月1日以降であれば在職中とみなされ提出義務が生じます。

退職日と算定基礎届の提出有無の対応表

退職日のタイミング 算定基礎届の提出 備考
6月30日以前に退職 不要 定時決定の対象外
7月1日以降に退職(届出後に退職予定を含む) 必要 備考欄に退職日を記入
退職予定が未確定 必要(在職扱い) 確定後に修正対応

退職日が7月1日以降の場合の記入対応

退職日が7月1日以降の従業員は、通常の従業員と同様に算定基礎届を作成し、退職日までに確定した4月から6月の給与実績にもとづいて標準報酬月額を算出します。作成した届出書の備考欄には退職日を明記し、通常の提出と合わせて行います。

退職予定がすでに決まっている場合でも、提出時点で在職している以上は算定基礎届の対象として扱われる点に注意してください。退職予定の有無にかかわらず、7月1日時点の在籍状況を正確に把握しておくことが、誤った提出を防ぐポイントです。

退職者がいる場合の算定基礎届の書き方は?

算定基礎届は毎年6月下旬頃に各事業所へ送付されます。受け取り次第速やかに内容を確認し、退職者分の記載漏れがないかも含めて作成することが重要です。

ここでは算定基礎届の基本的な書き方をSTEPごとに解説します。退職者がいる場合の記入箇所についても合わせて確認してください。

参考:算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和8年度)|厚生労働省

STEP1.印字された情報を確認する

最初に、算定基礎届に記載された従業員の基本情報を確認します。情報に誤りがあると受給額や保険料の計算に誤差が生じる可能性があるため、細心の注意を払ってチェックしてください。

誤った情報を見つけた場合は速やかに修正します。とくに資格取得年月日など重要な項目は、間違いなく記入することが重要です。印字されていない情報がある場合は手書きで補記します。

STEP2.提出者の情報を確認する

算定基礎届の最上部には、提出者に関する重要な情報が記載されています。これらの情報が正確に記入されているか確認することが重要です。

提出者情報の例

  • 事業所整理記号
  • 事業所所在地
  • 事業所名称
  • 事業主氏名 など

とくに電話番号欄にはすぐに連絡が取れる番号を記入しておくことで、年金事務所から問い合わせがあった際にも迅速に対応できます。提出者情報の誤りは、手続きの遅延につながるため注意しましょう。

STEP3.支払基礎日数を記入する

算定基礎届の「支払基礎日数」は重要な項目のひとつです。この欄には、4月から6月に従業員へ支払われた給与をもとに、実際の勤務日数を記入します。

完全月給制の従業員はその月の暦日数を記入し、欠勤控除のある月給制の場合であれば、所定労働日数から欠勤日数を差し引いた日数を記載します。支払基礎日数の算出方法は会社ごとの給与計算期間や支払日によって異なるため、自社の給与計算ルールに沿って確認してください。日給・時給制の従業員の場合は、実際の出勤日数に有給休暇などの休業日数も含めて記入します。

STEP4.通貨と現物支給額を記入する

算定基礎届では、支払基礎日数に対する通貨給与と現物給与の額をそれぞれ記入する必要があります。

通貨給与は基本給や手当など現金で支払われた報酬、現物給与は社宅や寮などの住宅貸与や食事など現金以外で支給された報酬を指します。4月から6月の各月について、これらの支給額を正確に記入してください。現物給与については、日本年金機構が公表する現物給与価額一覧表にもとづいて換算額を記入し、現物給与がない場合は「0」と記入します。

なお、支払基礎日数が17日未満の月は原則として標準報酬月額の計算には反映されません。通貨・現物いずれの項目も記入漏れがないようにしましょう。

STEP5.4〜6月の総計額を記入する

算定基礎届では、4月から6月に支払われた通貨給与と現物給与の総額を記入します。算定の対象となるのは、支払基礎日数が17日以上の月のみである点に注意してください。

たとえば4月の支払基礎日数が15日だった場合、4月は算定対象から除外され、5月と6月のみが対象月になります。この場合、4月分の支給額は含めず、5月と6月の通貨給与・現物給与の合計額を記入します。総計額は標準報酬月額算出の基礎となるため、対象月の判定を誤らないよう慎重に記載してください。

STEP6.平均額と退職者の備考欄を記入する

算定基礎届では、対象月の通貨給与と現物給与の総額を対象月数で割り、平均額を求めます。小数点以下は切り捨てて構いません。

たとえば4月が対象外となった場合は、5月と6月の合計額を2で割った金額が平均額です。この平均額がその年度の標準報酬月額決定の基準となります。退職者については、この平均額の記入に加えて、算定基礎届の「備考」欄に退職日を記載することが必要です。7月1日以降に退職が予定されている従業員についても、同様に備考欄への記載が求められます。

標準報酬月額については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

算定基礎届の退職者対応で注意すべきポイントは?

退職者の算定基礎届対応では、提出後の退職判明と資格喪失届との違いに注意が必要です。手続きの前後関係を誤ると、保険料の過不足や届出のやり直しが発生する可能性があります。

提出後に退職が判明した場合の対応

算定基礎届を提出した後に対象従業員の退職が判明した場合は、速やかに年金事務所へ報告し、必要に応じて備考欄の追記や訂正を行います。

定時決定の事務処理は7月1日時点の在職状況を前提に進められるため、提出後の状況変化は別途報告しないと反映されません。退職日が確定した段階で早めに人事・給与担当者間で情報共有しておくことが、修正対応の手間を減らすポイントです。

算定基礎届と資格喪失届の違い

算定基礎届は標準報酬月額を決定するための届出であり、退職に伴う健康保険・厚生年金の資格喪失届とは別の手続きです。

算定基礎届はあくまで在職者の給与実績にもとづく定時決定の手続きであり、退職による保険資格の終了を届け出る資格喪失届とは目的が異なります。退職者がいる場合、算定基礎届の備考欄記載だけで完了とせず、資格喪失届の提出時期や必要書類も別途確認しておく必要があります。

項目 算定基礎届 資格喪失届
目的 標準報酬月額の決定(定時決定) 社会保険資格の喪失を届け出る
提出が必要になる契機 7月1日時点で在職していること 退職等により資格を喪失したこと
退職者への対応 備考欄に退職日を記載(7月1日以降退職の場合) 退職に伴い別途提出が必要

退職者の手続きと算定基礎届に関する実務の課題

退職者が発生した際は、算定基礎届の提出対象かどうかの判定や備考欄への記入だけでなく、並行して進める他の退職手続きについても正確な実務が求められます。マネーフォワードでは、入退社の書類手続きに関与した経験がある方を対象に、退職手続きにおいてトラブルや苦労が発生しやすい項目について調査を実施しました。

多くの担当者が苦労する退職時の手続き

調査の結果、退職手続きでトラブルや苦労が発生しやすい項目のうち、もっとも割合が高かったのは離職票の発行手続き(賃金台帳の集計等)で31.7%でした。次いで健康保険証の回収が29.1%、退職届の受理と退職日の合意、および貸与品(PC、社員証、制服等)の返却が同率で26.8%となっています。

算定基礎届の作成には退職日の正確な把握が不可欠であり、これらは離職票の発行手続きや健康保険証の回収など、他の社会保険や退職手続きとも密接に関わっています。そのため、退職者に関する実務をスムーズに行うためには、算定基礎届の提出準備と同時に、退職時の一連のスケジュールや必要タスクを整理しておくことが重要です。

出典:マネーフォワード クラウド、退職手続きにおいてトラブルが発生しやすい項目【入退社に関する調査データ】(回答者:入退社に伴う書類手続きの実務または管理・承認に携わった経験がある597名、集計期間:2026年2月実施)

退職者の算定基礎届対応を正しく理解するために

算定基礎届の提出は、退職者の場合は退職日が6月30日以前であれば不要、7月1日以降であれば必要になるという基準で判断します。提出が必要な場合は、通常の記入手順に加えて備考欄への退職日記載を忘れずに行い、資格喪失届など別手続きとの違いも踏まえて対応することが、算定基礎届の正確な運用につながります。

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