新たに事業を開始した場合、税務署へ開業届を提出することが必要です。また、税金計算上で有利な取扱いができる青色申告制度を利用したい場合は、青色申告の申請を行い、承認を受けなければなりません。ここでは開業届と青色申告承認申請書の提出、さらに青色申告制度を利用するメリットと各届け出の期間について、説明します。

青色申告制度とその特典

青色申告制度は、事業所得、不動産所得、山林所得、いずれかの所得がある人が利用できる制度です。
日々の取引の記録を帳簿に残し、その帳簿の記録をもとに正しい申告をすることによって節税に効果のあるさまざまな特典を受けられます。

青色申告の特典

最高65万円の所得控除が受けられる青色申告特別控除
・親族が事業に従事している場合に、一定の給料を経費算入することができる青色専業専従者給与
・売掛金、貸付金などの債権の年末帳簿価額の5.5%までを貸倒引当金勘定として繰り入れたときに、必要経費とすることができる
・純損失を翌年以降3年繰り越して所得金額から控除できる(繰り越しに代え、所得税の繰り戻しによる還付)など
※平成32年の申告から、青色申告特別控除額は、原則55万円に引き下げられますが、電子帳簿保存もしくはe-taxによる電子申告を行っている場合に限り、65万円の控除が受けられます。

まずは開業届を出そう

個人で事業を始めたとき、開業してから1カ月以内に個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)を税務署に提出します。

開業届へ記載する項目

  • 届出書名:個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)
  • 提出期限:事業の開始から1カ月以内
  • 提出先:納税地の所轄税務署長
  • 提出方法:郵送または持参
  • 手数料:無料
  • 審査:審査はなく、届出のみ


国税庁のサイトから、個人事業の開業・廃業等届出書はダウンロードできます。

開業届記載の注意点

開業届を記載するなかで、青色申告をしたい場合は、「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」欄で、青色申告承認申請書の有に○をつけます。消費税に関する「課税事業者選択届出書」は、免税事業者を選択する場合は、無に○をつけます。課税事業者を選択すると有利なのは、輸出業者のように、仕入に支払う消費税が売上で受け取る消費税より多く、還付を受けられる場合です。

開業届を出したら、「申請」しよう

「申請」というのは青色申告の申請のことで、「今度の確定申告は青色でやります」と宣言するようなものです。
青色申告にはいろいろな優遇措置がありますが、その優遇措置を受けるためには前もって承認申請を行うことが必要です。

青色申告承認申請書を提出

青色申告を開始する場合は、原則としてその年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。
しかし、1月16日以降に開業した場合は事業開始後2カ月以内であれば青色申告の申請が認められます。

青色申告の承認または却下

承認を受けたい年の12月31日までに承認または却下の通知が届かない場合は承認されたことになります。
(ただし、開業・申請がその年の11月1日以降になった場合は、翌年2月15日までに通知がない時、承認されたとみなされます。)

青色申告の取り止め

もし、青色申告の取り止めを希望する場合は、希望する年の翌年3月15日までに取り止めの届出書を提出しなければなりません。
取り止めの届け出をしないまま、再度青色申告の申請をしても、承認が下りにくい場合がありますので、必ず取り止めの届け出をしましょう。

青色申告承認申請と届け出の流れ」にてより詳しく説明しています。

開業の翌年、「申告」しよう

例えば、平成29年の1月1日に開業し、申請期間内に青色申告承認申告書を提出したとしましょう。この場合、平成29年分の収支は、翌年の平成30年の確定申告で青色申告します。
確定申告は申告手続きを行うべき期間が決まっており、それが「申告の期間」です。

課税額を一度に支払えない場合

一般的には所得税額の確定後、期限内に全額支払います。
しかし、どうしても一度に全額支払えない人のために「延納」という制度もあります。
延納制度を利用することで、所定の期間内に半額以上納付すれば、残額の支払いに関しては一定の期間猶予されます。
延納期間は5月31日までとなっており、延納している間は年1.6%(平成30年度の場合)の利子税がプラスされますのでご注意ください。

青色申告制度の各特典を受けるために必要なこと

青色事業専従者給与を受けるには

青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書を提出することで、青色事業専従者に支払う給料を経費として計上することができます。

詳しくは専従者控除についてのページを参考にしてください。

65万円の青色申告特別控除を受けるには

青色申告が承認されたら、日々の取引を記帳して、年末に決算書を作らなければなりません。最高65万円の所得控除を受けるには、貸借対照表を含めた青色申告決算書を確定申告書に添付し、期限内に確定申告する必要があります。貸借対照表を作成するには、複式簿記を使用した正規の簿記の記帳方法に則った記帳が必要になります。これ以外の青色申告者は、簡易帳簿での記帳でも構いませんが、この場合、65万円ではなく、10万円の所得控除を受けることとなります。

詳細は「青色申告決算書の書き方」を参考にしてください。

帳簿書類の保管

青色申告のための帳簿書類(現金出納帳をはじめとして、買掛帳や売掛帳に経費帳など)や決算関係書類、領収証などは7年間、請求書、見積書、納品書などは、5年の間の保存義務があります。
詳細は「青色申告の帳簿記帳」を参考にしてください。

誤った申告による附帯税に注意

申告に誤りがあったり、期間を過ぎてから申告したりした場合には、附帯税を支払わなければなりません。附帯税にはいくつかの種類があります。

延滞税

所定の期間内に納税しない場合には、未納税額に対して年8.9%(納期限の翌日から2カ月以内は年2.6%)の延滞税が加算されます。(いずれも平成30年度の場合)

過少申告加算税

本来支払うべき額よりも実際の申告額が少なかった時は、過少申告加算税を支払うことになります。
税率は不足納税分の10%に相当する金額です。(不足納税額が元々の申告納税額と50万円を比較した時、その多い方の金額を超える場合は、超過分については15%)
ただし、税務署の調査よりも先に確定申告の誤りに気付き、自ら修正申告をすれば、過少申告加算税は課せられません
しかし、その場合でも延滞税は課されますのでご注意ください。

無申告加算税

決められた期間内ではなく、期限後に申告をしたり、申告しなかったために税務署から所得金額の決定を受けたりした場合は、無申告加算税が課されます。
納付すべき税額に対して15%の税率です。ただし、納付すべき金額が50万円を超えた場合、超過分については20%となります。

重加算税

附帯税のうち最もペナルティが重いのが、重加算税です。
事実の全部や一部を隠ぺいしたり、実際よりも少ない申告をした場合は過少申告加算税に代えて35%、申告事態をせず、さらに仮装や隠ぺいをした場合には無申告加算税に代えて40%が加算されます。

まとめ

開業したら行う届け出、そして青色申告の「申請」と「申告」についてはお分かりいただけたでしょうか? 申請方法にはさまざまな決まりがあり、その決まりに添って申請しなければ却下されることもあります。

また、間違った申告を行った場合や申告期限が過ぎてしまった、二度手間になるばかりか、お金もかかってしまいます。期限を守って、正しい納税をすることが大切です

青色申告制度は記帳が複雑で、申請に手間がかかることが難点ですが、青色申告ソフトを使えば決算まで簡単にできます。節税効果も高いため、ぜひご活用ください。

参考:はじめてみませんか?青色申告(PDF)|国税庁

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