2014年1月から、事業所得、不動産所得、山林所得を得るための業務を行う者は、青色申告、白色申告を問わず、帳簿をつけ、収入金額や必要経費に関係する事項を記帳する必要があります。また、帳簿のほか、受領した請求書や領収書などの書類を一定期間保存しなければなりません。今回は、青色申告を選択した場合の帳簿の保存期間や会計処理について解説します。

青色申告特別控除を受けるための必要書類

青色申告特別控除には、10万円、65万円と金額の違いがあります。65万円の特別控除を受ける条件として、「正規の簿記の原則」(複式簿記)により作成された損益計算書と貸借対照表の2つを確定申告書に添付しなければなりません。一方、10万円の控除の場合には、簡易帳簿だけで受けられます。

帳簿の種類

帳簿の種類には、大きく主要簿と補助簿にわかれます。個々の名称と記録の内容は以下のとおりです。

主要簿

  • 仕訳帳(日々の仕訳を日付順に記録するもの)
  • 総勘定元帳(仕訳帳の内容を勘定科目ごとに転記したもの)

補助簿

主要簿では足りない記録を補うための帳簿が、補助簿です。どの補助簿を記録するかは、会社や事業の規模をはじめ、業務内容により変わってきます。たとえば、以下のものがあります。

  • 現金出納帳(現金の出入りを記録するもの)
  • 預金出納帳(預金の出入りを記録するもの)
  • 売掛帳(売上にかかる取引を記録するもの)
  • 買掛帳(仕入れにかかる取引を記録するもの)
  • 経費帳(必要経費の取引を記録するもの)
  • 固定資産台帳(固定資産の減価償却を記録するもの)

正規簿記の原則(複式簿記)とは

複式簿記とは、すべての取引を原因の側面と結果の側面の二面から記録していく記帳方法のことを指します。貸借平均の原理に基づいているため、資産の移動や損益の状態を正確に知ることができ、記帳の偽りや誤りも同時に確認できる記帳法となっています。

貸借平均の原理は、仕訳帳や総勘定元帳などで借方の合計金額と貸方の合計金額が常に一致するという原理のことです。貸借対照表の等式と損益計算書の等式から導かれる以下の等式を根拠として説明できます。

資産 + 費用 + 純利益 = 負債 + 純資産 + 収益

貸借対照表は、会計期間中の企業の資産、負債、純資産の状態を表すことを目的として作成されます。一般的に企業のストックの状態を表しています。等式としては以下のようになります。

資産 = 負債 + 純資産

損益計算書は、会計期間中の企業の経営成績を表すことを目的に作成されます。企業の収益と費用を記し、一定期間にどれだけの利益を生み出せたかというフローの状態を表しています。等式としては以下のようになります。

費用 + 純利益 = 収益

また、複式簿記による記帳を行う際には、必ず作成しなければならないのが、主要簿と呼ばれる「仕訳帳」と「総勘定元帳」の2つ、それ以外にも必要に応じて現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳などの補助簿を作成することもあります。

例えば、電話代2,000円を現金で支払った場合、単式簿記であれば、「電話代2,000円」と1つの勘定科目だけ記録します。これが複式簿記の場合、「電話代2,000円 現金2,000円」となります。電話代と現金の2つの勘定科目を記録するので複式と呼ばれるわけです。大きな違いは、複式簿記は資産と負債についても考慮するということです。単式であれば、いくら利益があるかはわかりますが、現金がいくら減ったかという資産や負債の状況がわかりません。したがって、複式簿記の方が事業の実体を正確に把握することができるのです。

帳簿や書類の保存期間

帳簿や書類の保存期間は以下のとおりです。

帳簿(総勘定元帳、現金出納帳、売上帳に売掛帳、仕入帳に買掛帳、経費帳、固定資産台帳、仕訳帳などの「取引に関するお金の動きを記載したもの」):7年

決算関係、現金預金関係書類(損益計算書、貸借対照表、領収書、預金通帳、借用証などの「保有するお金の推移を記録したもの」):7年

その他の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など):5年

簡易帳簿について

複式簿記はハードルが高いので、とりあえずは簡易記帳でやりたいという方もいると思いますので、簡易帳簿についても簡単に解説いたします。

簡易帳簿の種類

業種によっても異なりますが、標準的な簡易帳簿の種類は、1現金出納帳、2売掛帳、3買掛帳、4経費帳、5固定資産台帳の5種類です。65万円の控除を受けるために必要な仕訳帳や総勘定元帳はいりません。

簡易帳簿の記帳のしかた

簡易記帳といえども取引内容は正確に記録しなければなりません。個人事業の場合、事業用の取引なのか、個人的な取引なのかの区別が難しいので、とくに現金や預金については、明確に分けておくことが大切です。可能であれば、現金・預金を扱う担当者を決め、毎日、残高が合うかどうかを確認するとよいでしょう。

まとめ

以上のとおり、青色申告をする場合でも10万円、65万円のどちらの控除を受けるかによって、必要書類が異なります。65万円の控除を受ける場合には、複式簿記で記録をしなければならず、簿記の知識がまったくないような場合には、記帳することは難しいかもしれません。しかし、最近の会計ソフトは進歩しているので、知識がなくとも会計ソフトの指示に従って入力するだけで、帳簿から青色申告に必要な決算書の作成までできてしまいます。売上が上がり、青色申告で節税を検討している場合には、会計ソフトの導入も価値があるかもしれません。

参考:
税務署作成 帳簿の記帳の仕方

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