損失申告による赤字の繰り越し
目次
損失申告とは
青色申告では、年間で損失が発生した場合に確定申告を行うことで翌年以降最長3年間にわたって繰り越すことが可能となっています。これを損失申告といいます。
通常は年間で損失が出ている場合は、源泉徴収の有無に関わらず、確定申告の義務はありません。
簡単にいうと、損失分を利益で相殺することが可能となっています。たとえば、2014年が年間を通じて40万円の赤字になった場合で、翌年に100万円の黒字が出た場合、翌年の100万円-前年の40万円を差し引いた60万円が利益としてみなされます。
つまり本来であれば、100万円に対してかかった税金が60万円のみにかかることになります。
実際の計算式は下記の通りです。計算上、税率を20%と仮定します。
2014年度 年間利益 40万円の赤字
2014年度の確定申告を行う
2015年度 年間利益 100万円の黒字
100万円-40万円=60万円 ※年間利益が60万円としてみなされる
上記より2015年度は、40万円分が繰り越されて、60万円とみなされています。
2014年度に確定申告をせず2015年度利益+100万円で確定申告した場合
100×20%=20万円
2014年度に確定申告をして2015年度に利益+40万円で確定申告した場合
40×20%=8万円
上記より、損失の繰越で12万円も税金が安くなっていることがわかります。繰越は3年間できます。例えば
2014年度 年間の利益 300万円の赤字
2014年度の確定申告を行う(損失の繰越)
2015年度 年間の利益 10万円の赤字
2015年度の確定申告を行う(損失の繰越)
2016年度 年間の利益 90万円の黒字
相殺(繰越の適用)310+10-90=-230万円
2016年度の損失の繰越分は230万円となる
2017年度 年間の利益 350万円の黒字
相殺(繰越の適用)350-230=120万円
2017年度の売却益は損失の繰越により120万円となる。
確定申告時の損失申告に必要なもの
・申告書B(第一表・第二表)
・申告書第四表(損失申告用)
損益の通算ができない損失も
上記で計算方法などを紹介しましたが、なんでも赤字であれば適用されるわけではなく、適用されないケースもあります。下記が一例になります。
1.青色申告をしていない場合
2.利子所得
3.雑所得
4.給与所得
5.一時所得
6.配当所得
7.退職所得
8.事業用を除いた競走馬や貴金属など、生活に必要ではないと認められるものの資産について生じた赤字
9.非課税所得のものに生じた赤字
10.先物取引にかかる雑所得等の金額の計算上に生じた赤字
などがあげられます。
手続きを忘れてしまった場合
損失の繰越控除の申告を、期限内に忘れた場合であっても、青色申告の要件を満たす場合には、期限後申告によって、繰越控除の適用を受けることができます。
しかしそうは言うものの、期限内の提出を心掛けることが皆様にとって、一番のメリットにつながると考えられます。
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