- 作成日 : 2026年8月12日
未支給の保険給付支給請求書とは?書き方・必要書類・提出手続きを解説
未支給の保険給付は労災(様式第4号)と年金(様式第514号)で請求書・提出先が異なるため、まず制度の判別が必要です。
- 労災は労基署、年金は年金事務所へ提出
- 請求権者は生計同一の遺族が対象
- 時効は年金5年・労災2年または5年
Q. 労災と年金の両方に未支給が発生した場合は?
A. それぞれ別の請求書で労基署と年金事務所の両方に提出が必要です。
未支給の保険給付支給請求書は、労災(様式第4号)と年金(様式第514号)で様式・提出先が異なり、まず制度を判別することが手続きの第一歩です。生計を同じくしていた遺族が請求権者となり、労災は所轄の労働基準監督署、公的年金は年金事務所に請求書を提出します。本記事では、未支給年金の請求書の書き方や労災の未支給手続きを含め、必要書類・提出手順・時効・注意点を実務目線で整理します。
未支給の保険給付が発生する仕組みは?
未支給の保険給付は、年金や労災保険の「後払い」という支給方式によって生じます。公的年金は偶数月にまとめて振り込まれるため、受給者がいつ亡くなっても未支給分が発生する構造になっています。
例えば、老齢年金を受給していた方が5月に亡くなった場合、4月分と5月分は6月の支給日を待たずに未支給年金となります。労災保険でも同様に、休業補償給付や傷病補償年金など、被災労働者が受け取るはずだった給付のうち死亡日までに支給されなかった分が未支給の保険給付に該当します。
注意したいのは、労災保険と厚生年金・国民年金では制度の根拠法や請求先が異なる点です。使用する請求書の様式と提出先は別々になるため、「亡くなった方がどの制度から給付を受けていたか」を確認することが手続きの出発点です。
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未支給の保険給付は労災と年金どちらの請求書を使う?
未支給の保険給付を請求する際は、給付の種類によって労災保険用と年金用の2種類の請求書を使い分けます。誤った様式で提出すると受理されないため、最初の判別が重要です。
労災保険と国民年金等の判別ポイントを確認する
判別の基準は「亡くなった方がどの制度の給付を受けていたか」です。以下の表で確認できます。
| 判別項目 | 労災保険 | 公的年金 |
|---|---|---|
| 対象となる給付 | 休業補償給付・傷病補償年金・障害補償給付など | 老齢年金・障害年金・遺族年金など |
| 使用する請求書 | 未支給の保険給付支給請求書(様式第4号) | 未支給年金・未支払給付金請求書(様式第514号) |
| 提出先 | 所轄の労働基準監督署 | 最寄りの年金事務所または街角の年金相談センター |
| 根拠法 | 労働者災害補償保険法 | 国民年金法・厚生年金保険法など |
労災保険の様式第4号は厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできます。年金の未支給請求書(年金受給権者死亡届(報告書)兼未支給年金・未支払給付金請求書)は日本年金機構のウェブサイトから入手するか、年金事務所の窓口で受け取れます。
参考:主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)|厚生労働省
参考:亡くなった方の未支給年金を受け取れるとき|日本年金機構
両方の制度に該当するケースに対応する
亡くなった方が労災保険の休業補償給付と老齢厚生年金の両方を受給していた場合、それぞれの制度に対して別々に未支給請求を行う必要があります。労基署と年金事務所の両方に書類を提出することになるため、必要書類を2セット準備しておくとスムーズです。
未支給の保険給付を請求できる遺族は?
未支給の保険給付を請求できるのは、亡くなった受給者と生計を同じくしていた遺族です。ただし、労災保険と公的年金では請求権者の範囲と優先順位が異なります。
労災保険は6順位の親族が対象になる
労働者災害補償保険法第11条は、未支給の保険給付を受けられる遺族を以下の順位で定めています。
- 配偶者(事実婚を含む)
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
上位の順位者がいる場合、下位の順位者は請求できません。配偶者が健在であれば、子や父母は請求権者にはなりません。
年金は3親等内の親族まで範囲が広がる
公的年金の未支給年金では、請求できる遺族の範囲が労災より広くなっています。従来は配偶者から兄弟姉妹までが対象でしたが、平成26年(2014年)の制度見直しにより、3親等内の親族(おい・めい、おじ・おばなど)まで対象が拡大されました。
順位は労災と同様に配偶者が最優先で、以下のとおり続きます。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- それ以外の3親等内の親族
未支給年金を受け取った場合、所得税の確定申告が必要になるケースもあるため、あわせて確認しておくと安心です。
「生計同一」の要件を満たす
労災・年金のいずれでも、請求するには亡くなった方と生計を同じくしていたことが求められます。同居していれば原則として要件を満たしますが、別居でも仕送りや定期的な訪問、音信があれば認められるケースがあります。
別居のケースでは、第三者(民生委員など)の証明書が求められることがあるため、事前に年金事務所や労基署に確認しておくとよいでしょう。
未支給保険給付の請求手続きの流れは?
請求手続きは、書類の準備・記入・提出の3段階で進めます。必要書類が多岐にわたるため、あらかじめチェックリストを作っておくと漏れを防げます。
必要書類を準備する
労災保険・年金のいずれの場合も、主に以下の書類が必要です。
- 未支給の保険給付支給請求書(労災:様式第4号/年金:様式第514号)
- 亡くなった方の死亡を確認できる書類(戸籍謄本または死亡診断書のコピー)
- 請求者と亡くなった方の身分関係を証明する書類(戸籍謄本)
- 生計同一を証明する書類(住民票の写し。別居の場合は生計同一に関する申立書と第三者証明)
- 請求者名義の預金通帳のコピー(金融機関名・支店名・口座番号が確認できるページ)
- 亡くなった方の年金証書(年金の場合)
戸籍謄本は「死亡の記載があるもの」を取得する必要があるため、死亡届を提出した後に役所で請求してください。死亡届の受理から戸籍への反映まで一定の日数がかかる場合があります。
請求書を記入して提出する
書類がそろったら、請求書に記入して提出します。手続きの流れは以下のとおりです。
STEP1:請求書を厚生労働省(労災)または日本年金機構(年金)のサイトからダウンロードする
STEP2:亡くなった方の情報(氏名・生年月日・年金証書の基礎年金番号など)を記入する
STEP3:請求者自身の情報(氏名・住所・振込先口座・続柄)を記入する
STEP4:添付書類をそろえて、所轄の労働基準監督署または年金事務所に提出する
STEP5:審査を経て、請求者の口座へ未支給分が振り込まれる
年金の未支給請求は、年金受給権者死亡届と同時に提出するのが一般的です。死亡届を出さずに年金が振り込まれ続けると、後から過払い分の返還を求められるため、速やかに届け出を行いましょう。
時効期限に注意する
未支給の保険給付には時効があります。制度ごとの期限は以下のとおりです。
| 制度 | 時効 |
|---|---|
| 労災保険(療養・休業・葬祭料などの短期給付) | 支給事由が生じた日の翌日から2年 |
| 労災保険(障害・遺族補償年金などの長期給付) | 支給事由が生じた日の翌日から5年 |
| 国民年金・厚生年金(未支給年金) | 支払期月の翌月初日から5年 |
労災保険の給付請求権は、労働者災害補償保険法第42条第1項により短期給付が2年、長期給付が5年で消滅します。年金の未支給分については、国民年金法・厚生年金保険法に基づき5年で時効消滅します。労災は給付の種類によって2年と5年が混在するため、「労災だから一律2年」と誤解しないよう注意が必要です。5年を過ぎると請求権が消滅するため、早めに着手することが重要です。特に遺族が高齢の場合、書類収集に時間がかかりがちなので、亡くなった直後から準備を始めるのが望ましいでしょう。
参考:年金の時効|日本年金機構
参考:災害補償請求権及び保険給付請求権に係る消滅時効|厚生労働省
支給請求書の書き方で注意すべき点は?
未支給の保険給付支給請求書は、記入ミスが多い書類の一つです。よくあるミスを把握しておけば、差し戻しを防いで手続きを短期間で終えられます。
死亡者欄と請求者欄を混同しない
最も多い記入ミスは、死亡した受給者の氏名と請求者本人の氏名を書く欄の取り違えです。労災の様式第4号では、受給権者(亡くなった方)欄の下に請求者の情報を記入する構成になっています。記入前に、各欄の見出しを指差し確認する習慣をつけると間違いを防げます。
不要な文言は二重線で抹消する
労災保険の請求書には、複数の給付項目が併記されている欄があります。該当しない項目は二重線で抹消するルールです。例えば、休業補償給付の未支給分だけを請求する場合は、他の給付名の文字に二重線を引きます。抹消漏れがあると審査が止まることがあるため、記入後に抹消箇所を一つひとつ確認してください。
公金受取口座は証明不要
年金の請求書の振込先口座欄には、原則として金融機関の証明印が必要です。しかし、公金受取口座として登録済みの口座を指定し、マイナンバーを記入した場合は通帳の写しの添付や金融機関の証明を省略できます。ただし、この場合であっても、口座情報の記入自体は必要です。
年金の請求書で押さえておきたい記入項目
年金の未支給請求書(様式第514号)では、以下の項目で記入漏れが生じやすい傾向があります。
- 基礎年金番号:亡くなった方の年金証書や年金手帳に記載されている番号
- 年金コード:受給していた年金の種類を表すコード(年金証書に記載)
- 生計同一関係に関する申立書:別居していた場合に追加で記入が必要な書類
年金証書が見当たらない場合は、年金事務所の窓口で基礎年金番号を照会できます。マイナンバーカードがあれば、ねんきんネットからも確認できるため、窓口に行く前に試してみるとよいでしょう。
従業員死亡時の未支給保険給付請求で会社が行う対応は?
従業員が亡くなった場合、企業の人事労務担当者は遺族が未支給の保険給付をスムーズに請求できるようサポートする場面があります。特に労災事故による死亡では、会社側が準備すべき書類や届出が複数あるため、対応手順を整理しておくことが大切です。
会社側で準備する書類を確認する
労働者が死亡した場合、雇用していた会社には様々な手続きが必要となります。。会社が準備すべき主な書類は以下のとおりです。
遺族への案内タイミングと届出期限を把握する
遺族は突然の出来事で精神的に大きな負担を抱えています。葬儀が落ち着いた後を目安に、未支給請求の手続きについて書面で案内するのが実務上のタイミングとして妥当です。
一方、会社側の届出には期限があるものがあります。主な届出期限は以下のとおりです。
| 届出 | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|
| 労働者死傷病報告(様式第23号) | 所轄の労働基準監督署 | 死亡後遅滞なく |
| 雇用保険被保険者資格喪失届 | 所轄のハローワーク | 被保険者でなくなった日の翌日から10日以内 |
| 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 | 年金事務所(または健保組合) | 事実発生から5日以内 |
健康保険・厚生年金の資格喪失届は期限が5日以内と短いため、死亡を確認したらすぐに着手する必要があります。届出が遅れると保険料の過払いが発生し、後から調整手続きが増えてしまいます。
参考:従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き|日本年金機構
遺族をサポートする際の実務ポイント
遺族対応では、手続きの全体像を一覧表にまとめて渡すと喜ばれるケースが多いです。口頭だけの案内では情報が抜け落ちやすいため、必要書類のリスト・提出先の住所や電話番号・提出期限を記載した案内書を作成しておくと、遺族・会社双方の負担を減らせます。
また、遺族が労基署や年金事務所に行く際には、会社の担当者が同行するかどうかも事前に決めておくとよいでしょう。手続きに関して知識のある担当者が同行すればスムーズに手続きが進みます。
未支給の保険給付支給請求書に関するよくある質問
未支給の保険給付支給請求書に関するよくある質問をまとめました。
未支給年金の請求期限はいつまでですか?
支払期月の翌月初日から5年が経過すると時効により請求権が消滅します。亡くなった月によって未支給分の月数が変わるため、早めの確認が必要です。
生計同一の証明方法は?
同居していれば住民票の写しで足りることが一般的です。別居の場合は、仕送りの記録や訪問の頻度を記載した生計同一に関する申立書に加え、民生委員など第三者の証明が求められることがあります。
労災と年金の両方を請求できますか?
亡くなった方が両方の給付を受給していた場合、労災と年金それぞれに対して別々に未支給請求を行う必要があります。労基署と年金事務所の両方への提出が必要です。
会社が代わりに請求手続きを行うことはできますか?
未支給の保険給付は遺族固有の権利に基づく請求のため、会社が代理で請求することはできません。ただし、必要書類の準備や案内をサポートすることは可能です。
手続きを迷わず進めるために
未支給の保険給付の請求は、労災保険か公的年金かを判別したうえで、対応する請求書を使い分けることが手続きの第一歩です。死亡者欄と請求者欄の記入ミスや不要文言の抹消漏れが差し戻しの原因になりやすいため、提出前の確認が欠かせません。時効は年金で5年、労災で2年または5年のため、必要書類の収集は早めに着手しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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