• 更新日 : 2026年6月15日

親の持ち家に住む公務員も住宅手当をもらえる?支給するメリットも紹介

Point 親の持ち家に住む公務員は住宅手当を受け取れる?

勤務先の自治体の規則を調べれば、受給の可否を判断できます。

  • 自宅は原則として対象から外れる
  • 自治体によっては支給が残る
  • 宿舎の利用や他制度で住居費を軽くする

該当する団体は減少傾向ですが、別の手段で負担を抑える道もあります。

親の持ち家に住む公務員が住宅手当を受け取るのは、基本的に難しいのが現状です。しかし、自治体によっては独自の制度を設けている場合もあります。

本記事では、支給されるケースや支給されない理由、さらに住宅手当以外の補助方法までを解説します。住宅手当の仕組みを正しく理解したい公務員の方におすすめです。

親の持ち家の公務員は住宅手当をもらえる?

住宅手当とは、職員・従業員の住宅に関する支出を補助するために、基本給に上乗せして支払われる制度です。

以前は、親名義の持ち家に住む公務員にも住宅手当(住居手当)が支給されることがありましたが、現在では国による制度見直しで支給が難しい状況です。

平成21年に国家公務員の持ち家に対する住宅手当が廃止され、地方公務員も同様に「自宅に係る住宅手当」の廃止が進められています。総務省も、持ち家向け住宅手当の廃止を基本とした見直しを各自治体に助言しています。その結果、平成15年の人事院の勧告により、公務員向けの自宅に係る月額1,000円の住宅手当は、廃止されました。

加えて、住宅手当の内、住宅を新築・購入した職員に対して住宅の取得後5年間は月額2,500円の住宅手当を支給していましたが、平成21年の人事院勧告により廃止されました。現在の住宅手当は国家公務員・地方公務員ともに、基本的に賃貸住宅を対象としています。

参考:給与勧告についての説明|人事院
参考:職員の給与等に関する報告|人事院

国家公務員の住宅手当の金額

国家公務員の住宅手当は、「借家・借間に居住し、家賃を支払っている職員」を対象に支給されています。支給額は、借家・借間居住職員の場合、最高28,000円です。ただし、月額16,000円を超える家賃を支払っている職員に限るという条件があるため注意しましょう。

また、配偶者等が借家・借間に居住する単身赴任手当受給職員には、最高で14,000円が支給されます。住宅手当以外にも各種手当はあるため、自身の状況に応じて、支給対象かどうかを確認しましょう。

参考:国家公務員の諸手当の概要|人事院

持ち家に住む地方公務員の住宅手当の金額

公務員の住宅手当は、一般的に賃貸住宅に住む職員が対象であるため、持ち家の職員は原則として支給対象外です。しかし、市区町村の中には、一定の条件を満たせば持ち家に住む職員にも住宅手当を支給している自治体も存在します。

神戸市は、政令指定都市で唯一、持ち家の世帯主等に対して住宅手当を支給している市です。世帯主または準ずる者の内本市内に居住する職員に対して4,000円支給されています。

参考:住居手当の支給に関する規則

他にも横須賀市では、自ら所有する住宅に居住する世帯主の職員に月額5,000円が支給されています。このように、減少しつつも持ち家手当を維持している自治体はまだ存在するため、各自の勤務先の規則を確認することがおすすめです。

参考:職員住居手当支給規則

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住宅手当が残っている地方自治体

総務省の調査によると、地方公務員の持ち家(自宅)に対する住宅手当の支給状況は、団体の種類によって異なります。以下の表は、令和6年と令和7年における各団体の支給状況をまとめたものです。(令和7年4月1日時点)

(単位:団体)

項目 令和7年 令和6年
全団体 129/1,788
(7.2%)
146/1,788
(8.2%)
都道府県 0/47
(0.0%)
0/47
(0.0%)
指定都市 1/20
(5.0%)
1/20
(5.0%)
市町村 128/1,698
(7.5%)
145/1,698
(8.5%)
特別区 0/23
(0.0%)
0/23
(0.0%)

※各欄の分子は自宅に係る住居手当の制度のある団体数、分母は区分別団体数です。

参考:地方公務員の自宅に係る住居手当|総務省

都道府県や特別区では持ち家への住宅手当は完全に廃止されている一方、市町村では一定数の団体が支給を続けています。しかし、令和6年の146団体から令和7年には129団体へと減少傾向です。

また、指定都市では20団体中わずか1団体のみが継続して支給しています。持ち家に住む公務員は、自身の勤務先がどのような制度を採用しているか確認しましょう。

親の持ち家に住む公務員が住宅手当をもらえない理由

公務員の住宅手当は、一般的に賃貸住宅に住む職員を対象としており、持ち家に対しては原則として支給されていません。このような廃止の背景には、主に次の3つの理由があります。

制度の趣旨が公務部内で十分に定着しなかったため

住宅手当はもともと「自宅の維持管理にかかる費用を補填する」という目的でつくられましたが、創設されてから一度も支給額の改定が行われず放置されていました。

そのため、制度の趣旨が公務部内で十分に浸透していないと判断されました。政府は、本来の支給目的や制度の意義が公務員や教職員の間で薄れ、形骸化していたと指摘しています。

民間企業との間の待遇の差を解消するため

公務員の住宅手当は、民間の水準に合わせるのが基本ですが、政府が民間企業を調査したところ、持ち家の労働者を対象として、維持管理費の補填で住宅手当を支給している会社は少数であるとわかりました。

そのため、民間企業との均衡の観点から見直しが必要と判断されました。実際に「公務員優遇」との批判があり、それを避ける狙いも廃止の理由の一つです。

また、近年法制化された「同一労働同一賃金」の観点から、住宅手当の支給が正社員とパート・有期契約社員間の「不合理な格差」と判断される可能性があり、民間企業において住宅手当の見直しが進んでいるのも一因といわれています。

住宅手当と公務員宿舎の違い

公務員宿舎とは、国や都道府県・市町村が職員向けに提供する住まい制度です。民間企業の「社宅」に相当し、一般のアパートより家賃が安く設定されていることが多いです。この2つの制度の違いは、以下の表を参考にしてみてください。

項目 住宅手当 公務員宿舎
支給方法 給与に上乗せして支給 各自治体が住居を提供
負担 ある
法人税社会保険料の増加)
ほとんどない
(敷金・礼金など不要)
物件の自由度 比較的高い 低い

この表からわかるように、住宅手当は現金給付のため、職員は物件を自由に選びやすい反面、課税対象となる点に注意が必要です。

一方、公務員宿舎は家賃負担が軽く、敷金・礼金などの初期費用もかからないというメリットがありますが、物件の自由度は低くなります。

親の持ち家に住む地方公務員に住宅手当を支給するメリット

親の持ち家に住む公務員への住宅手当支給には、さまざまなメリットがあります。以下で詳しく解説します。

ただし、持ち家に住宅手当を支給できるのは一部の地方公務員のみです。

賃貸と比べて総人件費を抑えやすい

以下の表は、企業規模および扶養家族の有無別に、賃貸住宅と持ち家に住む職員への住宅手当支給額を比較したものです。このデータから賃貸と比べて持ち家への支給額が低く設定されていることがわかります。

項目 扶養家族あり 扶養家族なし
区分 賃貸 持ち家 賃貸 持ち家
10~49人 25,296円 19,159円 16,826円 14,430円
50~99人 30,006円 25,271円 20,382円 17,700円
100~299人 31,639円 25,179円 22,628円 16,885円

扶養家族の有無に関係なく、賃貸よりも持ち家のほうが支給額が低いことが読み取れます。そのため、持ち家への支給は、総人件費の削減につながるというメリットがあります。

参考:中小企業の賃金事情(令和7年版)|東京都産業労働局

「賃貸に住む職員」と「持ち家に住む職員」の間の待遇差を減らせる

住宅手当を持ち家の公務員にも支給することにより、賃貸と持ち家の間に生じる不公平感を軽減できます。同じ業務をしていても、賃貸を利用している職員のみが支援されているということに不公平感を持つ可能性があります。

不公平感への対策として、住宅手当の対象を持ち家にも拡充することは選択肢の一つになります。

モチベーション維持・人材定着がしやすい

親の持ち家に住む公務員にも住宅手当を支給することは、人材の定着や離職防止につながりやすくなります。金銭的サポートは、福利厚生の中でも職員がその価値を実感しやすい制度です。

職員の収入が増えるとエンゲージメントが高まる可能性があり、結果として定着率の向上や離職防止につながりやすくなります。

親の持ち家に住む公務員を補助する方法

親の持ち家に住む公務員への住まい支援は、住宅手当以外の支援策もあります。本章では、住宅手当に頼らない具体的な補助策を紹介します。制度活用の参考にしてください。

住宅手当以外の手当を充実させる

公務員には、扶養手当や通勤手当、地域手当など、住宅手当以外にも多くの手当が用意されています。親の持ち家に住む公務員であっても、これらの手当は条件を満たせば受給可能です。

国家公務員には、以下の手当があります。

  • 扶養手当(子13,000円、父母等6,500円)
  • 通勤手当(自動車など2,000~66,400円・上限一箇月150,000円)
  • 単身赴任手当(30,000円〜100,000円)
  • 在宅勤務等手当(月額3,000円) など

参考:国家公務員の諸手当の概要|人事院

地方公務員の場合も、多くの自治体が国家公務員に準じた制度を採用しているため、同様の手当が用意されているケースがあります。住宅手当の支給が難しい場合でも、「扶養している家族がいる」「通勤距離が長い」などの事情があれば、他の手当で負担を軽減できることもあります。

自身の勤務先の自治体の制度を確認し、どの手当が適用されるか調べましょう。

公務員宿舎を利用してもらう

親の持ち家に住み、住宅手当の対象外となる公務員には、公務員宿舎への入居も選択肢の一つです。

公務員宿舎は民間賃貸と比較して家賃が安く設定されていることが多く、敷金・礼金も不要なため、経済的負担を軽減できます。以下は、東京都23区内の公務員宿舎の使用料の例です。

項目 東京都23区(新築~15年)
独身用 16,700円
係長補佐 60,000円
幹部 139,400円

参考:国家公務員宿舎使用料の見直しについて|財務省

全体的に家賃は低い傾向にあります。住宅手当の対象とならない親の持ち家に住む公務員でも、条件によっては、転居により住居費を抑えられる場合があります。

ただし、公務員宿舎はすべての自治体にあるわけではないため、自身の自治体に宿舎制度があるか事前に確認しましょう。

公務員が住宅手当をもらえる主なパターン

公務員が住宅手当を受給できるケースは、状況によって異なります。ここでは、公務員同士で同棲している場合や、配偶者が民間企業に勤務しているケース、単身赴任中のケースについて、それぞれの支給条件をまとめています。

自身の自治体の制度と照らし合わせて確認してみてください。

公務員同士の同棲・配偶者が民間企業に勤務している場合

公務員同士の同棲や配偶者が民間企業に勤務している場合、住宅手当は基本的に世帯主である一方のみが受給できます。同一住宅について、双方が重複して住居手当を受給することは原則として認められません。

住宅手当を重複して受給すると、不正受給した金額の返還や減給を求められる可能性があります。勤務する自治体の住宅手当支給の条件を確認しましょう。

単身赴任の場合

国家公務員の住宅手当の上限額は、通常の借家・借間居住職員とは異なり、最高14,000円と設定されています。なお、この手当を受給するには、配偶者等が実際に借家・借間に住んでいることが条件です。単身赴任手当を受給している職員であっても、配偶者等が借家・借間に居住している場合は、住宅手当の対象です。

採用や異動等に伴って住居を移転し、やむを得ない事情により同居していた配偶者等と別居して単身で生活することとなった職員に支給されます。

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