- 更新日 : 2026年6月15日
採用戦略を設計する手順やメリット、活用できるフレームワークを紹介
採用戦略を中長期で立てれば、自社に合う社員を集められます
- コストを抑えミスマッチを防ぐ
- 組織の課題を分析し基準を決める
- フレームワークで強みを見極める
効果測定と改善を重ねると、活動の精度を着実に高められます。
会社経営者や採用担当者で、事業目標の達成に必要な人材を採用したいが、どう戦略を立てればよいかわからないという方もいるのではないでしょうか。採用戦略を適切に策定すれば、採用プロセスを効率化し、自社に合う人材を採用できます。
本記事では採用戦略の定義を解説した上で、採用戦略を設計するメリットや手順を紹介します。
採用戦略とは?
採用戦略とは、企業が事業計画を達成するために、必要な人材をいつ・どのように獲得するのかを定めた中長期的な計画です。採用後、どのような成果を上げてほしいかまで考え、事業計画や組織計画を達成できる人材要件を定めます。
少子高齢化による労働人口の減少や採用競争の激化などにより、採用が難しくなっています。そのため、採用戦略を立てて効率的に人材を確保する必要があります。
採用戦略について、以下のページも参考にしてみてください。
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※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
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採用戦略と採用計画の違い
「採用戦略」と似た意味である「採用計画」の違いは、以下のとおりです。
| 項目 | 採用戦略 | 採用計画 |
|---|---|---|
| 目的 | 中長期的な採用の方向性の決定 | 採用戦略に基づく細かな行動計画 |
| 視点 | 中長期的 | 短期的 |
| 決める内容 | ・求める人材 ・競合に対する優位性 ・採用手法 |
・採用人数 ・採用媒体 ・スケジュール |
採用戦略とは、採用や入社後の社員の活躍など、中長期的な計画です。
一方で、採用計画とは、採用戦略をもとに立てられる具体的な計画です。採用計画では、採用時期や採用人数、利用する媒体などを具体化します。
採用戦略が重視されている背景
採用戦略が重視されている背景は、以下のとおりです。
- 労働人口が減少しているため
- 売り手市場のため
- 働き方が多様化しているため
- 採用チャネルが多様化しているため
- 人的資本経営の実現のため
少子高齢化により労働人口が減少し続けており、今後も減少傾向が続くと予測されています。企業は従業員を採用しやすい状況ではないため、採用戦略を立てて、効果的に採用活動を行う必要があります。
さらに、有効求人倍率は2024年が1.25倍、2025年が1.22倍と、1倍を上回る水準が続いています。求人数が求職者数を上回る売り手市場の状態です。企業間の人材獲得の競争が激しくなっている状態であり、自然に人材が集まりづらいため、自社の魅力を求職者に伝えて選ばれる企業になることが必要です。
参考:一般職業紹介状況(令和7年12月分及び令和7年分)について|厚生労働省
また、求人広告への掲載を中心とした採用手法だけでなく、SNSや紹介など採用チャネルが多様化しています。どのチャネルを使うかで、採用できる人材が変わるため、綿密な戦略が必要です。
採用戦略を設計するメリット
採用戦略は、採用だけでなく企業の成長にも関わる取り組みです。以下では、採用戦略を設計するメリットについて説明します。
採用にかかるコストを減らせる
採用戦略を立てることで、採用にかかる予算を適正に配分でき、コストを減らすことが可能です。
採用活動は広告掲載や人材紹介などの費用に加え、選考にも時間がかかります。採用したい人材の要件を具体化し、綿密に採用戦略を立てることで、利用する採用媒体や、採用したい人材要件を明確にでき、コストを減らせます。
採用のミスマッチを防げる
採用戦略を立てることで、事業戦略を達成するために必要な人材要件が明確になるため、採用のミスマッチが減ります。採用後のミスマッチは、働き手と企業の双方にとっての損失になるため、採用戦略を立てて適切な人材を採用することが大切です。
採用戦略を立てて採用することで、候補者のスキルや経験が、自社の求める要件に合っているかを把握できるため、長期的に活躍できる人材の採用につながります。
応募数を増やせる
採用活動では、応募数を増やすことも重要です。生産年齢人口の減少や売り手市場といった状況であるため、求職者から選ばれる企業になることが大切です。
採用戦略を立て、自社の強みや魅力を分析し、採用ブランディングの確立や自社に合う採用チャネルを活用することで応募数の増加につながります。社員のエンゲージメントを高めることも、応募数を増やす施策です。
応募数が増え、企業に必要な人材を採用することは、企業の成長につながります。
採用戦略を設計する手順
ここでは、採用戦略を設計する手順について、詳しく解説します。
1.採用戦略を設計するチームをアサインする
まずは、採用戦略を立案するためのチームをアサイン(割り当て)します。
チーム編成で大切なことは、事業計画に深い理解がある経営層や管理職のメンバーを加えることです。採用戦略は事業計画との一貫性が求められるため、事業計画を正確に把握している人を割り当てましょう。
2.現状の組織・人員に関する課題を分析する
次に、事業計画や経営戦略を踏まえて、「理想の組織」と「現在の組織」のギャップを分析し、課題を明確にします。
感覚ではなく、具体的な数字やデータに基づいて、組織の理想と現在のギャップを明らかにすることで、必要な人材の要件と人数を把握できます。
具体的に分析するポイントは、以下のとおりです。
- 現在の社員数
- 社員の特徴
- スキルマップ
- 定着率
- 離職率
- 今後の退職・休職予定者(定年退職者、出産予定者など)
上記の項目を確認することで、現状の組織・人員に関する課題を把握できます。
3.採用したい人材像・採用基準を策定する
課題を分析したら、採用したい人材像・採用基準を明らかにします。人材像・採用基準を策定する際に大切なポイントは、以下を具体化することです。
- スキル
- 経験
- 勤務条件
- 企業文化とのマッチ度合い
どのような人物を採用するかによって、適切な採用チャネル・アプローチ方法が変わります。
4.採用手法やチャネルを選ぶ
採用したい人材像が明確になったら、採用手法とチャネルを検討します。採用手法には、主に以下のようなものがあります。
- 求人広告
- 人材紹介サービス
- ダイレクト・ソーシング
- リファラル採用 など
採用手法・チャネルを選ぶときに必要なことは、「採用したい人材がどのようなチャネルを利用しているのか」「どうアプローチすれば、自社に魅力を感じてもらえるか」を考えることです。さまざまなチャネルを組み合わせてアプローチすることも検討しましょう。
5.自社の強み・魅力を分析する
自社の強みや、他社と差別化できるポイントを明確にすることで、求職者に自社を選んでもらいやすくなります。
採用したい人材にとって魅力となる自社の強みを分析するときは、3C分析やSWOT分析を活用すると、客観的に分析しやすくなります。
3C分析やSWOT分析の活用方法については、「採用戦略を設計する際のフレームワーク」にて解説しているので、参考にしてみてください。
6.採用スケジュール・KPIを決める
最後に、採用戦略を踏まえて、採用スケジュールを具体的に決めましょう。
スケジュールを決める際、採用目標人数や応募数、面接通過率、内定承諾率などのKPIを設定します。KPIを定めることで、採用活動終了後に一連の活動が効果的であったのかを検証できるようになります。
以下のページも参考にしてみてください。
採用戦略を設計する際のフレームワーク
採用戦略をゼロから策定するには、時間と労力がかかります。ここでは、採用したい人材を効率的に獲得する戦略づくりに役立つフレームワークを紹介します。
ペルソナ
ペルソナとは、自社が採用したい人物像を具体的に設定するためのフレームワークです。年齢や経験、スキルだけでなく、価値観や就職・転職理由なども含めて、実在する人物のように詳細に描きます。
採用ペルソナを明確にすることで、求人票の訴求内容や採用チャネル、面接で確認すべきポイントが整理しやすくなります。また、採用担当者や現場責任者の間で「どのような人材を採用したいのか」という認識を統一できる点も大きなメリットです。
ペルソナを設定する際は、以下のような項目を整理するとよいでしょう。
- 年齢
- 性別
- 居住地
- 家族構成
- 職種
- 年収
- 職歴
- 趣味
- 性格
- 重視するもの
- 抱えている課題
- よく利用する採用チャネル
上記のようにペルソナを具体的に設定することで、自社にマッチした人材へ的確にアプローチしやすくなります。
採用ペルソナについては、以下のページも参考にしてください。
ファネル
ファネルとは、顧客が商品・サービスを認知してから購入に至るまでのプロセスを段階的に分解し、各段階での離脱率や転換率を可視化する手法です。顧客がどこで離脱しているのかを可視化し、ボトルネックを特定できます。
マーケティングで使われる手法ですが、採用活動にも活用することが可能です。具体的な方法としては、プロセスを「認知→興味・関心→比較・検討→行動」に分解して分析します。
たとえば、求人ページの閲覧数は多いのに応募数が少ない場合は、求人内容や応募導線に課題がある可能性があります。
このようにファネルを活用することで、採用プロセスのどこで候補者が離脱しているのかを把握することが可能です。
4C分析
4C分析とは、顧客視点(買い手視点)で商品・サービスを分析するマーケティング手法です。採用戦略で活用する場合は、顧客を求職者に置き換えて分析します。
| 要素 | 意味 | 採用活動での考え方 |
|---|---|---|
| Customer Value | 顧客価値 | 求職者にとって入社する価値は何か |
| Cost | 顧客コスト | 応募や入社にあたって求職者が負担に感じることは何か |
| Convenience | 利便性 | 求職者が応募しやすい導線になっているか |
| Communication | コミュニケーション | 求職者に適切な情報を提供し、対話できているか |
4つのCの観点で自社と求職者について分析することで、求職者の目線で応募したくなる戦略を立てたり、競合と差別化できるポイントを明確にできたりします。
3C分析
3C分析とは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点で市場環境を分析するマーケティング手法です。
採用戦略を設計する際には、「顧客」を「求職者」や「採用市場」に置き換えて考えることで、自社がどのような人材に、どのような魅力を訴求すべきかを整理できます。
3Cは、以下の3つの要素で構成されています。
| 要素 | 意味 | 採用活動での考え方 |
|---|---|---|
| Customer | 顧客・市場 | 求職者のニーズや採用市場の動向を把握する |
| Competitor | 競合 | 競合他社の採用条件や訴求内容を分析する |
| Company | 自社 | 自社の強みや採用上の課題を整理する |
採用戦略を立てる際は、まず採用市場や求職者のニーズを把握することが重要です。そのうえで、競合他社がどのような条件やメッセージで人材を募集しているのかを分析します。最後に、自社の強みや課題を整理し、採用市場における自社の立ち位置を明確にします。
SWOT分析
SWOT(スワット)分析とは、企業の内部要因(強み・弱み)と外部要因(機会・脅威)を「Strengths」「Weaknesses」「Opportunities」「Threats」の4つの視点で整理し、戦略立案や現状把握を行うフレームワークです。
| 要素 | 意味 | 採用活動での考え方 |
|---|---|---|
| Strengths | 自社内部の強み | ・福利厚生が充実している ・働き方の自由度が高い など |
| Weaknesses | 自社内部の弱み | ・採用広報が弱い ・知名度が低い ・選考スピードが遅い など |
| Opportunities | 外的な機会 | ・リモートワークの普及 ・地方人材の採用拡大 など |
| Threats | 外的な脅威 | ・競合企業の増加 ・採用市場の人材不足 など |
3C分析が市場・競合・自社の関係を整理するのに対し、SWOT分析は内部要因と外部要因を整理します。そのため、SWOT分析であれば、自社の採用活動における強みや弱み、改善すべき点の特定、新たな採用戦略の立案につなげることが可能です。
4つの項目を組み合わせることで、自社の強みをアピールして、競合との差別化を図れます。
TMP設計
TMP設計とは、採用活動において「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを整理するためのフレームワークです。採用ターゲットを明確にしたうえで、ターゲットに響くメッセージや、応募から内定承諾・入社までのプロセスを設計します。
TMPは、以下の3つの要素で構成されています。
| 要素 | 意味 | 採用活動での考え方 |
|---|---|---|
| Targeting | 採用ターゲット | 自社が求める人材像を明確にする |
| Messaging | メッセージング | ターゲットに響く訴求内容や伝え方を決める |
| Processing | プロセシング (採用プロセス設計) |
ターゲットに合わせて選考方法や採用までの流れを設計する |
Targetingでは、「どのような人材を採用したいのか」を具体的に定めます。スキルや経験だけでなく、価値観や志向性、働き方の希望なども整理することで、採用すべき人物像を明確にすることが可能です。
Messagingでは、設定したターゲットに対して「何を伝えるのか」を決めます。たとえば、成長環境を重視する人材にはキャリア支援や教育制度を訴求し、働きやすさを重視する人材には柔軟な勤務制度や福利厚生を伝えるなど、ターゲットに合わせた発信が重要です。
Processingでは、ターゲットに合わせて選考フローや面接形式、内定までの期間などを設計します。採用したい人材が忙しい転職潜在層であれば、選考回数を減らしたり、オンライン面接を取り入れたりする工夫が必要です。
TMP設計を活用することで、採用したい人物像に合わせた訴求内容と採用プロセスを一貫して設計できます。その結果、自社の魅力を適切に伝えやすくなり、ターゲットとなる人材からの応募や内定承諾につながりやすくなります。
採用戦略を設計する際のポイント
最後に、効果的な採用戦略の立て方とポイントを説明します。
採用戦略を経営層を含めて社内全体で共有する
採用戦略を設計した後は、人事部門だけで完結させず、経営層や各部署の責任者、現場社員まで共有することが重要です。
採用は人員の補充だけでなく、事業計画や組織の成長を実現するための取り組みでもあります。そのため、経営層と採用方針をすり合わせておくことで、採用人数や予算、求める人物像、採用の優先順位について意思決定がしやすくなります。
また、現場部門と採用戦略を共有しておけば、求人票の内容や選考基準、面接で確認すべきポイントに認識のずれが生じにくくなります。
採用戦略と人事戦略に一貫性を持たせる
採用戦略を設計する際は、採用後の配置・育成・評価・定着までを含めた人事戦略と一貫性を持たせることが重要です。
採用は「人を採用すること」がゴールではなく、入社した人材が自社で活躍し、長く働き続けられる状態をつくるための入り口です。そのため、採用時点で求める人物像と、入社後に任せる業務内容や育成方針、評価制度にズレがないかを確認しておく必要があります。
たとえば、社内に教育体制や研修制度が整っている企業であれば、現時点のスキルだけでなく、成長意欲や自社との相性を重視したポテンシャル採用を進めやすくなります。一方で、育成に十分な時間や人員をかけにくい場合は、入社後すぐに成果を出せる経験者や専門スキルを持つ人材を優先したほうがよいでしょう。
採用段階から、入社後のオンボーディング、配属、育成、評価、キャリア形成までを見据えて戦略を立てることで、採用した人材の定着率や活躍度を高めやすくなります。
効果測定・改善を行う
採用戦略は中長期的な計画であり、成功させるためには、効果測定と改善が必要です。
立てた採用戦略が、必ずしも計画通りに進むとは限りません。必要な人材を採用できたとしても、離職率が高ければ効果的な採用戦略とは言い難いでしょう。
効果測定・改善の具体的な方法としては、採用プロセスを「募集」「選考」「内定」「入社後」などの段階に分けて、うまくいった点と課題を分析します。
定期的に効果測定・改善を行い、採用戦略のノウハウを蓄積することで、採用活動の再現性を高められます。
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