• 更新日 : 2026年7月2日

人材開発支援助成金とは?2026年最新の主要コースや助成額、申請手順を解説

Point人材開発支援助成金で研修費の負担はどこまで軽くなる?

訓練経費や賃金の一部を国が助成する厚生労働省の制度で、コースに応じて幅広い研修が補助対象になります。

  • 中小企業なら訓練経費の45〜75%が助成される
  • 計画届は訓練開始の1〜6か月前までに提出する
  • 賃金を5%以上引き上げると助成額が上乗せされる

要件は細かいため、最新のパンフレットで対象コースを確認してから申請しましょう。

訓練経費や賃金の一部を国が補助する人材開発支援助成金を活用すれば、自社負担を抑えながら従業員のスキルアップが支援できます。

本記事では、人材開発支援助成金の主要コースや助成額・助成率、申請手順を解説します。助成金の活用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

人材開発支援助成金とは

人材開発支援助成金とは、従業員に職務関連の知識・技能を習得させる訓練を実施した事業主に対して、厚生労働省が訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

人材開発支援助成金の申請条件や要件、申請期限については、以下のとおりです。

申請条件・要件

人材開発支援助成金の対象は、法人・個人事業主を問わず雇用保険適用事業所の事業主であり、訓練を受ける労働者は雇用保険被保険者であることが原則です。

対象となる訓練にも要件があり、通常の業務と区別して行うOFF-JTは原則10時間以上、OJT付き訓練はコースごとに細かい時間要件が定められています。

あわせて、役員を兼務する従業員や、事業主と同一世帯の親族は対象外となるケースがある点にも注意しましょう。

参考:人材開発支援助成金|厚生労働省

申請期限

人材開発支援助成金は、訓練実施計画届と支給申請書を、それぞれ定められた期間内に提出して進めます。

訓練を始める前に提出する訓練実施計画届の受付期間は、訓練開始日の6か月前から1か月前までです。

この1か月前の期限から提出が遅れると、遅れた日数分の訓練が助成対象から外れてしまいます。

たとえば7月1日開始予定の訓練で計画届を6月3日に提出した場合、助成対象となるのは7月3日以降の訓練です。

また、訓練を終えたあとに提出するのが支給申請書であり、期限は訓練終了日の翌日から2か月以内です。

期限を過ぎると受給できなくなるため、計画届と同様に余裕をもって対応する必要があります。

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人材開発支援助成金の主要コース

人材開発支援助成金は、全7コースで構成されていますが、ここでは業種を問わず検討しやすい以下の4コースを中心に解説します。

人材育成支援コース

人材育成支援コースは、職務に直接関連した知識・技能を習得させる訓練を幅広く助成する、人材開発支援助成金の中心的なコースです。

新入社員研修や階層別研修、非正規雇用者の正社員化を目指す訓練など、活用できる場面は幅広く用意されています。

対象となる訓練は「人材育成訓練」「認定実習併用職業訓練」「有期実習型訓練」「中高年齢者実習型訓練」の4種類です。

対象事業者は雇用保険適用事業所の事業主で、中小企業の経費助成率は大企業より優遇されており、かかった費用の45%が助成されます。

さらに、賃金助成や賃金要件をクリアすると経費助成や賃金助成が上乗せされます。

教育訓練休暇等付与コース

教育訓練休暇等付与コースは、有給の教育訓練休暇制度を就業規則等で導入し、労働者が休暇を取得して自発的に訓練を受講した場合に助成される制度です。

支給要件は、3年間で5日以上の有給教育訓練休暇を労働者に付与することなどです。

教育訓練休暇制度の導入に対しては定額30万円の助成が支給され、賃金要件によっては金額の上乗せもあります。

人への投資促進コース

人への投資促進コースは、デジタル人材の育成や労働者の自発的な学びを支援するコースです。

主に以下の5つのメニューで構成されます。

メニュー 内容
高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練 ITスキル標準等のレベル3・4に相当する高度デジタル分野の訓練や、大学院で成長分野を学ぶ訓練
情報技術分野認定実習併用職業訓練 IT分野未経験者の即戦力化を目指す、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練
自発的職業能力開発訓練 労働者が自発的に受講し、その費用を事業主が負担する訓練
定額制訓練 サブスクリプション型eラーニングを活用した訓練
長期教育訓練休暇等制度 働きながら訓練を受講するための休暇制度等の導入

それぞれの要件を確認し、自社の育成テーマに合うものを選びましょう。

事業展開等リスキリング支援コース

事業展開等リスキリング支援コースは、新規事業展開やDX推進、グリーン化への対応で新たに必要となる知識・技能の訓練を助成するコースです。

経費助成率は中小企業75%・大企業60%と他コースより手厚く、訓練期間中の賃金助成も、中小企業の場合1人1時間あたり1,000円が支給されます。

人材開発支援助成金の助成額・助成率

人材開発支援助成金の助成は、訓練経費に対する経費助成と訓練期間中の賃金に対する賃金助成が柱であり、要件を満たすと助成額の加算も受けられます。

ここでは、経費助成・賃金助成・助成額の加算の3つについて解説します。

経費助成

経費助成は、訓練に要した経費の一定割合が助成される仕組みです。

対象となる経費は、受講料や教材費、講師への謝金、施設使用料などです。

事業展開等リスキリング支援コースなど一部のコースでは、外部講師を招く際の旅費・宿泊費も上限付きで対象となります。

経費助成の上限額は、1事業所あたり年度内で以下のとおりに設定されています。

コース 上限額
人材育成支援コース 最大1,000万円
人への投資促進コース 最大2,500万円
事業展開等リスキリング支援コース 最大1億円

上限額はコースによって大きく異なるため、利用するコースの最新情報を確認しておく必要があります。

賃金助成

賃金助成は、訓練期間中に支払った賃金の一部を時間単価で助成する仕組みです。

ただし、eラーニングや通信制などの訓練スタイルを採用した場合は、賃金助成の対象外です。

賃金助成額は「1人1時間あたりの助成単価」×「1人1訓練あたりの限度時間」で算定されます。

たとえば人材育成支援コースでは、賃金要件を満たした中小企業で助成単価が1人1時間あたり800円から200円上乗せされ1,000円、支給限度時間は1,200時間となり、最大120万円が支給されます。

助成額の加算

訓練後の処遇改善とセットで取り組むと、助成額の加算を受けられます。

加算の対象となるのは、賃金要件と資格等手当要件のいずれかを満たす企業です。

賃金要件に該当するのは、訓練受講者の賃金を訓練修了後に5%以上引き上げた場合です。

資格等手当要件は、訓練と関連する資格手当などを就業規則等に新設・拡充して支払い、賃金を3%以上引き上げると該当します。

いずれかを満たすと、たとえば人材育成支援コースの場合、経費助成率は15%、有期実習型訓練では25%が上乗せされます。

賃金助成額も時間単価に上乗せされ、同じく人材育成支援コースの場合中小企業で200円、大企業で100円です。

従業員のスキルアップと処遇改善をセットで進める企業にとって、適合を検討する余地は大きいといえます。

人材開発支援助成金の2026年の改正点

人材開発支援助成金は、2026年4月8日にコース共通の改正が行われました。主な改正点は以下の3つです。

改正項目 改正内容
eラーニング・通信制訓練の経費助成上限額の見直し ・事業展開等リスキリング支援コースの1人1訓練あたりの上限額が、中小企業は30万円から15万円に、大企業は20万円から10万円に変更された
・その代わりに、定額制eラーニングの申請において、これまで必要だった「修了証」「LMS情報」については提出が原則不要となった
事業展開等リスキリング支援コースの対象拡大 ・これまでは新規事業の立ち上げやDX・カーボンニュートラル化などに限定されていたが、会社の人事・人材育成計画に基づく訓練であれば、通常の職務に必要なスキルアップ研修も対象になった
・訓練に必要な設備導入費の50%が助成されることになった
中高年齢者実習型訓練の新設 ・人材育成支援コースに、45歳以上の労働者を対象とするOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練が追加された

2026年5月14日の改正により、人材育成支援コース・人への投資促進コース・事業展開等リスキリング支援コースの支給申請の際に、「受講料等の価格設定に関する疎明書」の提出が必要になっています。

厚生労働省の最新パンフレットなどから変更点を確認しておきましょう。

参考:人材開発支援助成金(コース共通)改正 令和8年4月8日からの変更点について|厚生労働省

人材開発支援助成金の申請手順

人材開発支援助成金の申請は、社内計画の作成から計画届の提出、訓練実施後の支給申請までの3つのステップで進めます。

申請手順は以下のとおりです。

職業能力開発推進者を選任して事業内職業能力開発計画を作成する

人材開発支援助成金の申請では、まず社内で職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を作成・周知します。

事業内職業能力開発計画とは、従業員の能力開発方針や訓練体系をまとめた社内計画書を指します。

厚生労働省のサイトに様式とサンプルが公開されているため、作成の際に参照してみてください。

参考:「事業内職業能力開発計画」作成の手引き|厚生労働省

訓練開始日の1〜6か月前までに訓練実施計画届を提出する

職業訓練実施計画届は、訓練開始予定日の1〜6か月前までに管轄の労働局へ提出します。

2025年度の改正で計画届の事前審査が廃止されて受付のみとなったため、支給・不支給の審査は支給申請時に一括して行われる点に注意が必要です。

なお、計画届の提出が遅れると、遅れた日数分の訓練が助成対象から外れてしまいます。

助成を確実に受けるには、訓練日程が固まり次第、早めに提出することが重要です。

訓練を実施し終了後2か月以内に支給申請書を提出する

計画届を提出したら、記載したとおりに訓練を実施します。

このとき、出勤簿や受講記録、請求書類や領収書などの証憑をあわせて保存しておくと、支給申請の際に必要な書類がそろいます。

訓練を終えたら、終了日の翌日から2か月以内に、支給申請書と添付書類を労働局へ提出しましょう。添付書類として必要になるのは、以下の書類です。

  • 賃金台帳
  • 出勤簿
  • 研修会社からの請求書
  • 領収書など訓練費用の支払いを確認できる書類
  • 受講者一覧表

訓練会社への訓練費用の支払いは、支給申請日までには完了している必要があります。

支給申請の提出が1日でも遅れると全体が不支給となるため、訓練終了と同時に準備に着手することが求められます。

人材開発支援助成金を申請する際の注意点

人材開発支援助成金は要件や手続きが細かく定められており、ひとつの見落としが減額や不支給に直結します。

ここでは、人材開発支援助成金を申請する際の注意点を解説します。

計画変更時は変更届を提出する

訓練期間や対象者、カリキュラムなど計画内容を変更する場合は、計画変更届の提出が必要です。

変更した部分が不支給となったり、変更部分が訓練のメインとなる内容であれば全体が不支給となったりするケースもあるため、変更届は訓練開始日の前日までに提出します。

計画変更が見込まれた段階で早めに労働局へ相談しておくと、提出漏れや期限超過を防げます。

要件・必要書類を満たさないと減額・不支給になる

対象者・訓練時間・対象講座などの要件は、1つでも満たさないと減額や不支給の対象となります。

なかでも賃金台帳・出勤簿・雇用契約書(労働条件通知書)は支給申請の必須添付書類であり、整備に不備があると審査で差し戻されることがあります。

これらの書類のうち賃金台帳には、基本給だけでなく諸手当・控除・時間外手当を漏れなく記載しなければなりません。

労務管理クラウドや勤怠管理システムで日常的に整備しておけば、申請時の準備工数を抑えられます。

人材育成に活用できるそのほかの助成金

人材育成に活用できる助成金は、人材開発支援助成金だけではありません。

人材開発支援助成金とあわせて、以下も検討してみてください。

キャリアアップ助成金(正社員化・処遇改善)

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に取り組む事業主を支援する厚生労働省の制度です。

正社員化コースや賃金規定等改定コースなど、複数のコースで構成されています。

このうち正社員化に関わるコースを人材開発支援助成金「人材育成支援コース」の有期実習型訓練と併用すれば、訓練から正社員化までを一気通貫で支援できます。

参考:キャリアアップ助成金|厚生労働省

自治体・業界団体の独自助成金

人材育成に使える助成金には、国の制度だけでなく、都道府県や市区町村などの自治体、業界団体が独自に設けるものもあります。

たとえば東京都には、中小企業の従業員研修の経費を助成する「事業内スキルアップ助成金」「事業外スキルアップ助成金」があります。

東京以外の都道府県でも、各自治体が独自の人材育成助成金を設けているケースは少なくないでしょう。

このほか建設業では、建設業労働災害防止協会などの業界団体が独自の研修助成を行う場合もあります。

自社が利用できる制度がないか、所属する業界団体にも確認しておくと、活用できる選択肢が広がるでしょう。

参考:令和8年度事業内スキルアップ助成金|東京しごと財団

人材開発支援助成金に関するよくある質問

人材開発支援助成金は要件や手続きが細かいため、申請にあたってさまざまな疑問が生じます。

ここでは、コースの併用・eラーニングの扱い・申請代行について、よくある質問と回答を紹介します。

複数のコースを併用できる?

人材開発支援助成金の各コースは目的・要件が異なるため、それぞれの要件を満たせば複数のコースを利用できます。

ただし、人材育成支援コースには1事業所あたり1年度1,000万円の助成限度額があるなど、コースごとに上限が設けられている点には注意が必要です。

また、人材育成支援コースなどの訓練修了後に対象者を正社員化した場合は、要件を満たせばキャリアアップ助成金の加算も受けられます。

eラーニングやオンライン研修も対象になる?

eラーニングやオンライン研修も、人材開発支援助成金の対象です。

なかでも人への投資促進コースの「定額制訓練」は、サブスクリプション型eラーニングを月額契約で活用する事業主向けの助成メニューです。

ただし、eラーニング・通信制の訓練は賃金助成の対象外となるなど、コースや訓練スタイルによる制約があります。

また、直近の改定で1人あたりの経費助成上限額が引き下げられたので注意が必要です。

利用予定の研修サービスが要件を満たすかどうか、厚生労働省の最新パンフレットで確認しておきましょう。

申請代行は社労士に依頼できる?

人材開発支援助成金の申請代行は、社会保険労務士に依頼できます。

雇用関係助成金の申請書の作成・提出代行は、社会保険労務士法第2条第1項で社会保険労務士の独占業務と定められており、人材開発支援助成金もその対象です。

ただし、社会保険労務士以外に有償で依頼することは法違反となるので注意が必要です。

また、福利厚生の拡充はコストや事務負担が増えやすく、導入のハードルになる場合があるでしょう。

そこでおすすめなのが、社宅の仕組みを使って従業員の手取りを増やせるマネーフォワードクラウド福利厚生賃貸の活用です。コストと手間を抑えながら福利厚生を拡充できます。


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