- 作成日 : 2026年4月15日
住居確保給付金とは?制度概要と申請方法・企業が取り組める住居支援を解説
離職や収入減少で家賃の支払いが難しい人に、一定の上限額の範囲で支給を行い、住居の維持と生活再建を支援する制度です。
- 支給額には上限がある
- 家主へ直接支払い
- 就労支援と生活再建が目的
離職や収入減少で住居を失うおそれがある主たる生計維持者で、収入や資産などの要件を満たす人が対象です。
住居費は生活費の中でも大きな割合を占めるため、収入の減少や失業が起こると家賃の支払いが難しくなることがあります。そのような状況で住居を失うことを防ぐための支援制度が「住居確保給付金」です。また、企業にとっても従業員の住居の安定は重要なテーマであり、住宅手当や社宅制度などの福利厚生によって生活を支える取り組みが行われています。
本記事では、住居確保給付金の制度概要や申請方法、支給要件を整理するとともに、企業が提供できる住居支援の福利厚生について解説します。
目次
住居確保給付金とはどのような制度?
住居確保給付金は、離職や収入減少によって家賃の支払いが難しくなった人の住まいを維持するための支援制度です。この制度では家賃相当額を一定期間支給することで住居喪失を防ぎ、生活の立て直しや就労への移行を支援する仕組みが整えられています。
住居確保給付金は住居喪失を防ぐために家賃相当額を支給する制度
住居確保給付金は、住居を失うおそれのある人に対して家賃相当額を支給し、住まいを確保しながら生活再建を支援する制度です。離職や収入減少などにより家賃の支払いが困難になった場合でも、一定期間住宅に住み続けられるようにすることを目的としています。住居を維持した状態で就職活動や生活改善に取り組めるよう支援することで、生活の安定と自立を後押しする役割を持っています。
自治体から家主へ直接支払われる仕組み
住居確保給付金は、給付金が申請者本人ではなく賃貸住宅の家主や管理会社などに直接支払われる仕組みになっています。これにより、家賃の滞納を防ぎながら住居を維持できるよう設計されています。支給額には上限があり、地域や世帯人数ごとに定められた住宅扶助基準をもとに決定されます。実際の家賃額と世帯収入などを踏まえて給付額が算定される点が特徴です。
就労支援と生活再建を目的としている
この制度は単なる家賃補助ではなく、生活再建と就労支援を目的とした制度です。受給者は自治体の相談支援機関と面談を行い、就職活動や生活改善の取り組みを進めていきます。制度の利用を通じて生活状況を安定させ、将来的に自立した生活を送ることができるよう支援が行われます。こうした支援体制によって、住居の維持と就労支援を同時に進める仕組みが構築されています。
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住居確保給付金の対象者・要件は?
住居確保給付金は、住居を失うおそれがある人を対象に家賃相当額を支給する制度ですが、利用には一定の支給要件があります。ここでは、住居確保給付金の主な対象者と支給要件について整理します。
【対象者】離職や収入減少によって住居を失うおそれがある人
住居確保給付金は、離職や収入減少などにより家賃の支払いが困難となり、住居を失うおそれがある人を対象とする制度です。制度では主たる生計維持者であることが前提となり、収入の減少状況や生活状況を踏まえて対象者が判断されます。離職者だけでなく、本人の責任によらない収入機会の減少によって生活が不安定になった人も対象となる場合があります。
住居確保給付金の主な支給要件
住居確保給付金を受給するためには、次のような要件を満たす必要があります。
- 離職や廃業から原則2年以内、または本人の責任によらない収入減少により住居喪失のおそれがあること
- 主たる生計維持者であること
- 世帯収入が一定の基準額以下であること
- 世帯の金融資産が一定額以下であること
- ハローワークなどを通じた求職活動または自立に向けた活動を行うこと
- 暴力団員でないこと
これらの条件を満たすかどうかは、自治体の相談支援機関などで確認されます。収入基準や資産基準は世帯人数や地域によって異なるため、実際の申請時には自治体ごとの基準を確認することが必要になります。
参考:「生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金の適正な支給及び生活困窮者自立支援制度からの暴力団員等と関係を有する事業者の排除について」の一部改正について|厚生労働省
住居確保給付金の支給金額の計算方法は?
住居確保給付金の支給金額は、家賃額だけで決まるわけではなく、世帯収入や地域ごとに定められた基準額をもとに計算されます。制度では、生活保護の住宅扶助基準を参考にした上限額が設定されており、その範囲内で家賃相当額が支給されます。世帯収入の状況によっては支給額が調整される場合もあるため、家賃・収入・地域基準の3つをもとに金額が算定される仕組みになっています。
「家賃額」と「住宅扶助基準額」の低い方を上限として支給額が決定される
住居確保給付金の支給金額は、家賃額だけで決まるわけではありません。実際の家賃額と、地域ごとに設定されている住宅扶助基準額を比較し、いずれか低い金額が支給上限額となります。住宅扶助基準額は、都市部では比較的高く設定されている一方、地域によっては低くなる場合があります。そのため、同じ家賃でも地域によって支給額が異なることがあります。
世帯収入に応じて支給額が調整される
住居確保給付金は世帯収入の状況によって支給額が調整される制度です。世帯収入が基準額以下である場合は支給上限額が支給されますが、収入が基準額を上回る場合は一定の計算式によって支給額が減額されます。これは、収入の一部を家賃負担に充てることができると判断されるためです。この仕組みにより、収入状況に応じた支援が行われるよう設計されています。
住居確保給付金の支給金額の計算の考え方
住居確保給付金の支給額は、次の要素をもとに計算されます。
- 実際の家賃額
- 地域ごとに設定された住宅扶助基準額(支給上限額)
- 世帯人数
- 世帯収入
なお、共益費や管理費、駐車場代などは家賃に含まれない場合があるため、対象となる費用の範囲も確認する必要があります。
住居確保給付金の受給までの流れは?
住居確保給付金は、申請すればすぐに支給される制度ではなく、自治体の相談支援機関での相談や申請手続きを経て支給が決定されます。ここでは、住居確保給付金を利用するまでの一般的な手続きの流れを、ステップごとに整理します。
1. 自立相談支援機関へ相談する
住居確保給付金を利用する場合、まず自治体の自立相談支援機関に相談します。制度の対象となるかどうかは、生活状況や収入状況などを踏まえて確認されます。相談では、離職や収入減少の状況、家賃額、世帯の収入や資産などについて聞き取りが行われ、制度の利用が可能かどうかの説明を受けることになります。
2. 申請書類を提出する
制度の対象となる可能性がある場合は、住居確保給付金の申請手続きを行います。申請には、申請書のほか、本人確認書類、収入や資産を確認できる書類、賃貸借契約書などが必要になります。提出された書類をもとに、自治体が支給要件を満たしているかどうかを確認します。
参考:離職等により住居に困っている方(住居確保給付金事業)|江東区
3. 支給要件の審査が行われる
申請書類が提出されると、自治体による審査が行われます。審査では、世帯収入や金融資産が基準額以内であるか、住居を失うおそれがある状況であるかなどが確認されます。また、就職活動などの自立に向けた取り組みを行う意思があるかどうかも確認されます。
4. 支給決定後に家賃相当額が支給される
審査の結果、支給が決定されると住居確保給付金の支給が開始されます。給付金は申請者本人ではなく、賃貸住宅の家主や管理会社などに直接支払われる仕組みになっています。これにより家賃の滞納を防ぎながら住居を維持できるように設計されています。支給は原則として一定期間継続し、その間は就職活動などの取り組み状況の確認が行われます。
住居確保給付金の申請方法は?
住居確保給付金の申請は、自治体の自立相談支援機関を通じて行います。申請方法は自治体によって異なりますが、窓口での相談・郵送による申請・オンライン申請など複数の方法が用意されている場合があります。ここでは、主な申請方法と手続きの流れについて説明します。
窓口で申請する方法
住居確保給付金は、自治体の自立相談支援機関の窓口で申請する方法が一般的です。窓口では生活状況や収入状況について相談を行い、その内容をもとに制度の対象となるかどうかが確認されます。申請に必要な書類の説明を受けながら手続きを進めることができるため、制度の利用を初めて検討する場合でも状況に応じた案内を受けながら申請することができます。
郵送で申請する方法
自治体によっては、申請書類を郵送して申請する方法が用意されている場合があります。窓口に直接訪問することが難しい場合でも手続きを進めることができる点が特徴です。郵送申請では、申請書のほか、本人確認書類や収入・資産を確認する書類、賃貸借契約書の写しなどを同封して提出します。提出された書類をもとに自治体が審査を行います。
オンラインで申請する方法
一部の自治体では、オンライン申請に対応している場合があります。自治体の専用フォームや電子申請システムを利用し、必要事項の入力や書類の提出を行うことで申請手続きを進めることができます。オンライン申請は来庁の必要がなく、インターネット上で手続きが完結する点が特徴です。ただし、対応しているかどうかは自治体ごとに異なるため、事前に申請方法を確認することが必要です。
住居確保給付金の申請に必要な書類は?
住居確保給付金を申請する際には、申請者の本人確認や収入状況、住居の状況などを確認するための書類を提出する必要があります。提出書類は自治体によって多少異なる場合がありますが、制度の対象要件を確認するために必要となる基本的な書類は概ね共通しています。ここでは、住居確保給付金の申請時に一般的に求められる主な書類を整理します。
1. 申請書および制度利用に関する書類
住居確保給付金の申請では、制度の利用申請を行うための書類を提出します。申請書には世帯状況や収入状況などの基本情報を記載し、制度の対象要件を満たしているかどうかの確認が行われます。主に次のような書類を提出します。
- 住居確保給付金支給申請書
- 本人および世帯状況に関する申立書
- 求職活動や自立に向けた取り組みに関する書類
- 支給に関する同意書など自治体が指定する書類
これらの書類は自治体の窓口やホームページから入手できることが多く、必要事項を記入して提出します。
2. 本人確認や住居状況を確認する書類
申請者本人であることや住居の状況を確認するための書類も提出します。住居確保給付金は家賃相当額を支給する制度であるため、賃貸住宅に居住していることや家賃額を確認できる書類が必要になります。主に次のような書類が求められます。
- 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類
- 賃貸借契約書の写し
- 家賃額が確認できる書類
- 家賃の支払い状況が分かる書類
これらの書類により、申請者の居住状況や家賃の内容が確認されます。
3. 収入や資産の状況を確認する書類
制度の利用には世帯収入や資産が一定基準以下であることが条件となるため、収入や資産を確認する書類の提出も必要になります。主に次のような書類が提出対象となります。
- 給与明細など収入が確認できる書類
- 離職票や雇用保険受給資格者証など離職状況が分かる書類
- 預貯金通帳の写しなど金融資産を確認できる書類
- 年金や各種給付金などの収入が分かる書類
これらの書類をもとに、世帯収入や資産の状況が基準以内であるかどうかが確認され、住居確保給付金の支給要件を満たしているかが審査されます。
企業が自社の従業員に対して提供できる住居確保の福利厚生は?
企業は住居確保給付金のような公的制度を直接運用する立場ではありませんが、福利厚生制度を通じて従業員の住居確保を支援することは可能です。ここでは、企業が提供できる代表的な住居支援の福利厚生について整理します。
住宅手当の支給による住居費負担の軽減
住宅手当は、従業員の住居費負担を軽減するために支給される代表的な福利厚生です。家賃や住宅ローンの負担がある従業員に対して一定額を支給することで、生活費の負担を軽減する役割があります。住宅手当の支給条件は企業ごとに異なり、賃貸住宅の居住者のみを対象とする場合や、世帯状況や勤務地によって支給額を設定する場合などさまざまな制度設計が行われています。
社宅や借上社宅制度による住居の提供
企業が社宅や借上社宅制度を整備することも、従業員の住居確保を支援する福利厚生の一つです。社宅制度では企業が住宅を所有または借り上げ、従業員に対して比較的低い家賃で提供します。特に転勤がある企業では、借上社宅制度を利用して転居時の住居確保を支援するケースが多く見られます。このような制度は、住居探しの負担を軽減し、転勤や異動を伴う働き方にも対応しやすくする効果があります。
ライフステージに応じた住居支援制度
住居に関するニーズは、従業員のライフステージによって変化します。そのため、子育て世帯や高齢の家族を抱える従業員、障がいのある従業員などの状況に応じた住居支援制度を整備する企業もあります。例えば、子育て世帯向けの住宅手当の加算や、通勤負担を軽減するための在宅勤務制度の導入などが挙げられます。こうした制度を整備することで、従業員が安心して働き続けられる環境づくりにつながります。
政府・企業による住居支援を理解しておくことが生活安定につながる
住居確保給付金は、離職や収入減少によって家賃の支払いが難しくなった場合に、一定期間の家賃相当額を支給することで住居の維持を支援する制度です。対象者や支給要件、支給額の計算方法、申請手続きの流れなどを理解しておくことで、生活が不安定になった際に適切な支援につながりやすくなります。また、企業にとっても従業員の住居安定は働き続ける環境づくりの観点から重要なテーマです。住宅手当や社宅制度などの福利厚生を整備することで、従業員の生活基盤を支える取り組みにつながります。公的制度と企業の住居支援を組み合わせて理解することが、安定した生活と就労環境の確保に役立ちます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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