- 更新日 : 2026年6月10日
総合課税とは?申告分離課税との違いや所得税の計算方法を解説!
総合課税とは、1年間の複数の所得を合算し、累進税率で所得税を計算する課税方式です。
- 給与・事業・不動産所得などが該当する
- 5〜45%の超過累進税率が適用される
- 原則として確定申告により納税する
Q. 申告分離課税との違いは?
A. 総合課税は所得を合算し、申告分離課税は所得ごとに分離して計算します
所得税は、所得の種類によって個別に計算を行った後、総合課税の対象となる所得を合算して総所得金額等を求め、そこから各種所得控除を差し引いた課税所得金額をもとに所得税を計算する総合課税がベースです。
この記事では、総合課税は具体的に何かということから、計算方法、申告分離課税との違い、確定申告の仕方まで解説していきます。
※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。
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総合課税とは?
総合課税とは、納税者が得た複数の所得を合算し、その合計額をもとに課税所得を計算する課税方式です。具体的には、不動産所得や配当所得、給与所得など、所得税の対象となる所得のうち、分離課税が適用されるものを除いた所得を合算して税額を計算します。
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総合課税の対象となる所得は?
所得は、その性質などによって10種類に分類されます。このうち、総合課税の対象になる所得は、以下に該当する所得です。
事業所得(ほとんどが対象、一部対象外)
事業所得は、商業や工業、農業など個人が事業で得た所得のことです。個人事業主の事業による所得は、事業所得に分類されます。
なお、株式の譲渡による所得は事業規模であっても事業所得には該当せず、原則として譲渡所得(申告分離課税)となります。また、先物取引による所得は雑所得(申告分離課税)として扱われます。
不動産所得(すべて対象)
不動産所得とは、建物や土地及び土地に関する権利、船舶などの貸付から生じる所得のことです。マンション投資などの不動産投資を行っている場合の所得は、不動産所得に分類されます。不動産所得に関しては、すべて総合課税の対象です。
給与所得(すべて対象)
給与所得は、会社員が、会社から労務の対価として受け取る、給与や賞与などの所得をいいます。給与所得は、すべてが総合課税の対象です。
利子所得(一部が対象)
利子所得とは、預貯金の利子などによる所得をいいます。基本的には源泉分離課税であり、総合課税の対象にはなりませんが、国外で支払われる預貯金などの利子や、同族会社が発行した私募債に対する利子などは、総合課税に含みます。
配当所得(一部が対象・選択)
配当所得は、株主などが受け取る法人からの剰余金の配当、公社債投資信託等を除く投資信託の分配金などによる所得のことです。原則として、配当所得は総合課税の対象となります。
ただし、上場株式等の配当などは必ずしも総合課税に含める必要はなく、申告分離課税の選択もできます。また、上場株式の配当など一部の配当所得は、源泉徴収による確定申告不要制度を選択することも可能です。
譲渡所得(一部が対象)
譲渡所得は、資産を譲渡したときの所得をいいます。ゴルフ会員権の譲渡や金地金などの譲渡による所得ですが、営利を目的として金地金の売買をしている場合には、事業所得や雑所得として総合課税の対象となります。
なお、土地や建物、株式、借地権の譲渡は譲渡所得に含まれ、総合課税の対象にはなりません。
一時所得(ほとんどが対象、一部対象外)
一時所得は、自分で掛け金を負担した生命保険の一時金や懸賞・福引きの賞金品など、事業による収益や労務・譲渡の対価に含まれない、一時的に得た所得のことです。一時所得は、多くが総合課税に分類されますが、保険期間5年以下の一時払い養老保険金など、一部は源泉分離課税となり、総合課税には含まれません。
雑所得(ほとんどが対象、一部対象外)
雑所得は、ほかのどの所得にも分類されない所得をいいます。公的年金による所得や原稿料、講演料など、多くは総合課税の対象になりますが、株式等の譲渡や先物取引に関連する所得は総合課税に含みません。
申告分離課税との違いは?
所得の課税方法は、総合課税以外に、申告分離課税、源泉分離課税があります。このうち、総合課税と申告分離課税は、原則として確定申告が必要であることが共通点として挙げられます。
総合課税は前述したように、対象の所得すべてを合算して所得税を求めます。一方、申告分離課税は、総合課税のようにほかの所得と合算することはありません。ほかの所得と分離して所得税を計算するため、申告分離課税といわれています。
申告分離課税に該当するのは、建物や土地、借地権の譲渡所得、株式等の譲渡所得、山林所得、先物取引に係る雑所得などです。なお、退職所得は総合課税とは分離して計算されますが、申告分離課税ではありません。
参考:申告分離課税制度|国税庁
源泉分離課税との違い
源泉分離課税は、ほかの所得と分離する所得のうち、所得を支払う者が、納税者に代わって税金を徴収し納める課税方式をいいます。源泉分離課税に該当するものはいくつかありますが、代表的なのは預貯金の利子です。
預貯金の利子は、利子を支払う金融機関が、利用者に支払う際に所得税と住民税分を徴収し、残りの利子を利用者に支払っています。徴収分は金融機関が代わりに納税するため、預貯金の利用者は利子分の税金を申告する必要はありません。
総合課税と源泉分離課税の違いは、確定申告の有無と所得合算の有無です。総合課税は確定申告が必要で所得を合算しますが、源泉分離課税は所得を分離して計算し、確定申告を必要としません。
【総合課税】所得税の計算方法は?

引用:基本的な仕組み|財務省
このうち、総合課税に分類される所得については、以下の手順で納税すべき所得税額を計算します。
- 各種所得における収入額や必要経費などを洗い出し、収入の種類ごとに所得金額を算出する
- 損益通算によって総合課税に分類される「総所得金額等」を算出する (損失の損益通算は、不動産所得、事業所得、総合課税の譲渡所得、山林所得のみ認められます)
- 純損失の繰越控除があれば合計所得金額から控除し「総所得金額等」を算出する
- 総所得金額等から所得控除を行い「課税総所得金額等」を算出する
- 課税総所得金額等に税率を乗じて所得税額を算出する
- 税額控除があれば所得税額から差し引く
(計算例)
給与収入600万円、副業による収入150万円、副業の経費86万円の会社員。所得控除は基礎控除の67万円のみ、繰越控除と税額控除はないものとする。
※令和8年分以後の所得税では、合計所得金額が2,350万円以下の場合の基礎控除額の基本額は62万円となります。さらに「基礎控除等の特例」により、合計所得金額が489万円超655万円以下(令和8年分・9年分)の場合、基本額62万円に上乗せ額5万円が加算され、合計67万円となります 。
参考:2025年12月 金 融 庁 令和8(2026)年度税制改正について
所得金額の算出
給与所得 600万円(収入)-164万円(給与所得控除)=436万円
雑所得 150万円(収入)-86万円(経費)=64万円
合計所得金額等の計算
436万円(給与所得)+64万円(雑所得)=500万円
総所得金額等の計算
500万円(合計所得金額等)-0円(繰越控除)=500万円
課税総所得金額等の計算
500万円(総所得金額等)-67万円(基礎控除)=433万円
所得税額の計算
433万円(課税総所得金額等)×20%(税率) -42万7,500円=43万8,500円
納税すべき税額の計算
438,500円 - 0円(税額控除)=438,500円
※上記の計算では復興特別所得税を考慮していません。なお、令和9年分以後は、復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に引き下げられるとともに、基準所得税額に対して1.0%の防衛特別所得税が新たに課されます(付加税率の合計は2.1%のまま変わりません)。
総合課税の確定申告書の書き方は?
前項の計算方法で取り上げた計算例をもとに、確定申告書の書き方を見ていきましょう。
(計算例)
給与収入600万円、副業による収入150万円、副業の経費86万円の会社員。所得控除 は基礎控除の67万円のみ、繰越控除および税額控除はないものとする。
1.各所得の収入金額等を記入する
第一表の「収入金額等」欄に、所得の種類ごとに年間の収入金額を記入します。計算例の場合の記入内容は以下のとおりです。
| 記入欄 | 金額 |
|---|---|
| 給与 | 600万円 |
| 雑所得のうちその他 | 150万円 |
2.各所得の所得金額等と合計額を記入する
第一表の「所得金額等」欄に、各所得の収入から必要経費や給与所得控除を差し引いた所得金額を記入します。
計算例の場合の記入内容は以下のとおりです。
| 記入欄 | 金額 | 計算式 |
|---|---|---|
| 給与所得 | 436万円 | 600万円 − 164万円 |
| 雑所得のうちその他 | 64万円 | 150万円 − 86万円 |
| 合計 | 500万円 | 436万円 + 64万円 |
3.所得から差し引かれる金額を記入する
第一表の「所得から差し引かれる金額」欄に、基礎控除や社会保険料控除、生命保険料控除などの所得控除の金額を記入します。計算例の場合の記入内容は以下のとおりです。
| 記入欄 | 金額 |
|---|---|
| 基礎控除 | 67万円 |
| 合計 | 67万円 |
※通常は社会保険料控除等の他の控除もありますが、計算例では省略しています。
4.税金の計算部分を記入する
第一表の「税金の計算」欄で、課税される所得金額と所得税額を計算して記入します。
計算例の場合の計算結果は以下のとおりです。
| 項目 | 金額 | 計算式 |
|---|---|---|
| 課税される所得金額 | 433万円 | 500万円 − 67万円 |
| 所得税額 | 43.85万円 | 433万円 × 20% − 42.75万円 |
- 所得税額は、課税される所得金額に所得税の税率を乗じて算出し、税額控除がある場合は差し引きます。
- 復興特別所得税額は、所得税額に2.1%を乗じて計算します(1円未満の端数切り捨て)。
- 申告納税額は、100円未満の端数切り捨てで計算します。
一般には、給与収入は源泉徴収されているのが基本ですが、ここでは所得税の計算の流れを説明するため、給与に係る源泉徴収税額の記載は省略しています。
最新の申告書様式については、国税庁の「確定申告書等の様式・手引き等」をご確認ください。
総合課税は所得を合算して課税、申告分離課税は所得を分離して課税する方法
所得税は、その年分に生じた所得を10種類に区分し、それぞれの所得区分ごとに「総合課税」または「申告分離課税」などの課税方法が適用されます。総合課税は複数の所得をまとめて税額を計算する課税方式です。
所得が多くなればなるほど税率が上がる累進課税方式を採用している一方、一定の所得については、ほかの所得の損失を別の所得から控除する「損益通算」ができる特徴があります。
一方の申告分離課税は、ほかの所得とは通算せず、所得ごとに分離して課税されます。所得の種類ごとにあらかじめ定められた税率で課税されるのが特徴です。
所得税の計算は非常に複雑です。まずは多くの人が関わる総合課税の対象と計算から学んでいくとよいでしょう。
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よくある質問
総合課税とは?
総合課税とは、納税者の所得を合算し所得税を計算する課税方式のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
総合課税と申告分離課税の違いは?
総合課税は所得を合算しますが、分離課税はほかの所得と分離して所得税の計算を行います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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