- 更新日 : 2025年6月23日
パートとアルバイトの違いとは?定義や待遇面、正社員・派遣との違いも解説
働き方改革により、雇用形態を問わない多様な働き方が広がっています。正社員やパート、アルバイトなど、1つの企業内でも雇用形態は様々です。
当記事では、正社員やパート、アルバイトなどの定義や、雇用形態による違いについて解説しています。派遣社員についても解説しているため、併せて参考にしてください。
目次
パートとアルバイトの違いとは?
パートとアルバイトは、ともに正社員に比べて所定労働時間を短く設定された短時間労働者を指します。法律上両者を明確に分ける定義はなく、パートやアルバイトは、企業内における独自の区分となります。ただし、明確な区分はないものの、両者には世間におけるイメージや、年齢層に違いが見られます。
パートとは?
パートとは、通常の勤務時間よりも短いパートタイムで働くことを意味します。フルタイムで働く正社員と対比させて使われる言葉です。パートは、小売業や飲食業、製造業などに多く見られる雇用形態であり、スーパーなどに赴けばパートで働く方を目にすることも多いでしょう。
一般的に期間を定めて雇用される非正規雇用であることが多く、女性が多い雇用形態です。子育てを終えた主婦などがパートとして働くことが多いでしょう。
アルバイトとは?
アルバイトとは、ドイツ語で労働を意味する「arbeit」を語源とする言葉です。そのため、本来であれば、短時間労働者を指すものではありません。しかし、現代の日本においては、もっぱら期間を定めて働く短時間労働者を意味して使用されています。フリーターと呼ばれる場合も多いですが、特に両者に違いがあるわけではありません。
パートとアルバイトとの違い
すでに述べた通り、パートとアルバイトを明確に分ける定義はなく、いずれも期間を定めて雇用される短時間労働者です。そのため、両者に明確な線引きはなく、仮にあったとしても、それは企業における内部的な扱いの差でしかありません。
しかし、世間からのイメージという点で両者には違いが見られます。パートは、主婦などをはじめとする女性の雇用形態というイメージを世間から持たれています。一方のアルバイトは、男女を問わない雇用形態であり、若年層が多いイメージを持たれやすいです。
パートと正社員の違い
パートとアルバイトとは異なり、パートと正社員は明確に区別されることが多くなっていま
す。本項では項目ごとに両者の違いを解説します。
契約期間
一般的に、期間を定めず雇用される無期雇用労働者を正社員と呼びます。パートは期間を定めて雇用されているため、契約期間において両者は大きな違いがあるでしょう。正社員のような無期雇用を正規雇用、パートのような有期雇用を非正規雇用と呼ぶ場合もあります。
働く日数や時間
多くの正社員は、週に5日〜6日出勤し、8〜17時や9〜18時といったフルタイムで働いています。一方のパートは、その名の通り、午前中や午後のみといったパートタイムで働いています。また、多くのパートの出勤日数は週に2〜3日程度と、正社員に比べて少ないのが通常です。
仕事内容や責任
正社員限定の仕事やパート限定の仕事といったものはなく、どのような仕事を誰に任せるかは企業の自由です。そのため、責任のある仕事を行っているパートも存在します。しかし、多くの企業では、正社員の指揮のもとに働く単純労働者のパート従業員という構図ができており、責任も正社員のほうが重い場合がほとんどです。
給与・賞与
法の定める最低基準を守れば、給与の額は自由です。また、賞与は法で支給が定められているものではなく、自由に設定可能です。しかし、多くの企業では正社員にのみ賞与を支給しています。また、給与形態も正社員が月給制で、パートは時給制の場合が多くなっています。給与額自体も責任ある仕事を行う正社員のほうが、高めに設定されていることが多いでしょう。
社会保険・雇用保険
企業は、条件を満たす従業員を厚生年金保険などの社会保険や雇用保険といった労働保険に加入させなければなりません。パートも条件を満たせば社会保険等に加入しますが、扶養の範囲内で働くことが通常であり、条件を満たさないことがほとんどでしょう。
ただし、現在国は社会保険の適用を拡大させており、101人以上の企業など、一定の条件を満たす場合には、パートであっても社会保険に加入することになります。
社会的信用
社会的信用でも両者には違いが見られます。定年まで雇用され、給与も高く設定されている正社員のほうがパートよりも社会的信用が高くなっています。契約更新されない場合もあり、不安定な非正規雇用であるパートでは致し方ないといえるでしょう。
パートで働くメリット(正社員と比較)
多様な雇用形態の選択肢が用意されているなかで、パートを選択する理由はどこにあるのでしょうか。本項では正社員との比較によるパート雇用のメリットを紹介します。
ワークライフバランスが取りやすい
パートは、勤務日数や勤務時間が正社員に比べて少なくなっています。そのため、フルタイムで働く正社員よりも私的な時間を確保しやすくなっています。つまり、パートタイムでの労働は、ワークライフバランスが取りやすくなっているといえるでしょう。
豊富な職種・業務内容から選べる
求人誌や求人サイトなどを見れば、「パート募集」という文字が目に入ってくるのではないでしょうか。様々な職種や業務内容の募集があり、パートであれば、自分に合った仕事を見つけやすくなります。また、採用のハードルも正社員に比べれば低いことが通常です。
仕事を掛け持ちしやすい
短時間勤務であるパートでは、仕事を掛け持ちしやすくなっています。働き方改革により、副業・兼業が推進されているとはいえ、フルタイムで働く正社員では、なかなか仕事の掛け持ちは難しいでしょう。
短期や単発の仕事がある
育児や介護などで長期間の仕事ができない場合もあります。パートであれば、短期間や単発の仕事も豊富にあるため、正社員に比べて柔軟な働き方を選択することが可能です。
パートで働くデメリット(正社員と比較)
自分の都合に合わせて柔軟に働けるパートですが、メリットばかりではありません。正社員と比べれば、デメリットに感じてしまうような面も確かに存在しています。
収入が安定しにくい
シフト制で働くパートも多くなっています。シフトは変更されることも多くなっており、自分の望む通りに働けるわけではありません。パートはシフト変更等により、予定していた収入が入ってこなくなる可能性があるため、正社員に比べて収入が安定しにくいのです。
賞与などの待遇面に差がある場合がある
多くの企業では正社員にのみ賞与を支給し、パートには支給していません。給与も正社員に比べれば低くなっており、待遇面ではどうしても正社員に劣ってしまいます。また、正社員にのみ支給される手当が存在する場合もあります。
長期雇用されにくい
多くのパートは、半年や1年といった期間ごとに契約を更新します。しかし、企業の業績悪化や事業縮小などにより、更新されない場合もあるでしょう。原則として定年までの雇用が約束されている正社員に比べると、どうしても長期雇用されづらくなっています。
福利厚生の対象外とされる場合がある
企業によっては、正社員にのみ利用可能な福利厚生施設などが存在する場合もあります。企業が福利厚生に力を入れる理由には、優秀な人材確保という面があります。そのため、どうしても企業の中核をなす正社員を福利厚生面でも優遇することになってしまうでしょう。
任される範囲がある程度決まっている
裁量権を持ち、責任のある仕事を行うパートもいますが、例外的な存在です。パートは正社員に比べて、裁量の幅も狭く、定型的な仕事を任されることが多くなっています。このような仕事は、キャリアアップにはつながりづらく、キャリア志向の強い方にはデメリットとなるでしょう。
パートと派遣社員との違い
企業では正社員やパートだけではく、派遣社員も働いています。本項では、パートと派遣社員の違いについて項目ごとに解説を行います。
雇用形態
パートは、職場となる企業に直接雇用されています。一方の派遣社員は、職場となる派遣先ではなく、派遣元の派遣会社に雇用されています。両者は同じ職場であっても、雇用主が異なるのです。
契約期間
無期雇用の場合もありますが、多くの派遣社員は有期雇用です。また、有期雇用契約を更新していくことが多いという点において、パートと派遣社員に違いはありません。しかし、派遣社員は、原則として同一組織(同一企業の同じ課など)で働ける上限が3年となっています。
働く日数や時間
派遣社員の働く日数や時間は様々ですが、フルタイムで働く派遣社員も多く存在します。名前が示す通り、パートタイム労働が前提であるパートに比べると、派遣社員の働く日数や時間は、長いことが多いです。
給与・賞与
パートも派遣社員も時給制で働くことが多くなっています。しかし、時給に関しては派遣社員のほうが高い場合がほとんどです。これは、派遣先となる企業が直接雇用しないためコストが掛からないことや、パートに比べて専門性の高い仕事を行う場合があることなどが理由となります。なお、賞与に関しては、派遣社員もパート同様に支給されないことが多くなっています。
社会保険や福利厚生
社会保険に加入するか否かは、加入条件を満たしているかで決まります。この点において、パートと派遣社員に違いはありません。しかし、加入する場合、派遣社員は派遣元の社会保険に加入することになります。働く職場の社会保険に加入するパートとはこの点で異なるのです。また、原則として派遣元の福利厚生が適用されるため、有給休暇の管理などをしているのは派遣先ではなく、派遣元になります。
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多様な働き方を理解しよう
働き方改革により、正社員に限定されない様々な働き方を選ぶ方が増えています。副業や兼業の推進なども進展しており、今や1つの企業だけで働く方ばかりではありません。
パートやアルバイトといった雇用形態であれば、複数の企業にも勤めやすくなっています。ワークライフバランスを追求しながら、自分の望むスタイルで働きましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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