産休・育休に関する実態調査

作成日:2026年6月3日

1. 調査概要

本レポートは、企業で従業員の産休・育休に関する実務を担う人事・労務担当者を対象とした調査結果をまとめたものです。手続きの中で工数がかかる業務、法改正の確認元、デジタルツールの活用状況、必要とされる支援などを明らかにしており、自社の制度設計・運用改善やコンテンツ設計にお役立ていただけます。

  • 調査時期:2026年3月実施
  • 調査対象:自社で従業員の産休・育休に関する実務に携わる担当者・管理職
  • 有効回答数:全回答者866名(うち実務に関与する674名がメイン対象)
  • 回答者属性:実務の主担当として携わっている(58.8%)、管理職として携わっている(19.1%)で、約8割弱が業務に関与
  • 従業員規模:10名以下の小規模から1,001名以上の大企業まで幅広く分布し、特定の規模に偏らない

回答者の勤務先従業員規模

  • 1,001名以上:22.3%
  • 101名~300名:18.0%
  • 51名~100名:16.8%
  • 11名~50名:15.1%
  • 301名~500名:11.1%
  • 501名~1,000名:11.0%
  • 10名以下:5.5%
  • わからない/答えられない:0.3%

2. 調査結果サマリー

4つのポイント

  1. 特に工数がかかる業務は「育児休業給付金の申請書類作成と提出(43.2%)」と「社会保険料免除に関する手続き(42.3%)」が上位2つを占め、「給付金の見込額の試算・説明(29.8%)」「従業員への個別周知・意向確認(29.1%)」といった従業員とのコミュニケーション業務も大きな負担となっている。
  2. デジタルツールの活用状況では「行政への電子申請は行っているが、社内の進捗管理や書類準備は手作業(43.8%)」が最多で、「一気通貫でシステム化されている」層は24.9%にとどまり、社内実務と行政申請の間でデジタル化が分断されている。
  3. 手続き負担を軽減するために最も必要な支援は「従業員への説明や個別試算にそのまま使えるテンプレート(35.6%)」が最多で、「行政手続きの完全自動化(7.4%)」というシステム寄りの回答を大きく上回った。
  4. 法改正や実務手順の確認元は「顧問の社会保険労務士(42.4%)」「ハローワークや年金事務所の窓口・マニュアル(41.8%)」「厚生労働省のホームページ(39.9%)」が約4割で拮抗し、公式情報源や専門家への依存が見られる。

3. 調査結果の詳細

3-1. 産休・育休手続き業務への関与状況

全回答者に対し、自社において現在、従業員の産休・育休に関する実務(制度説明、書類作成、行政への申請、意向確認など)に携わっているかを尋ねました。

  • 現在、実務の主担当として携わっている:58.8%
  • 現在は携わっていない:22.2%
  • 現在、管理職として承認や組織管理の立場で携わっている:19.1%

「実務の主担当として携わっている」と「管理職として携わっている」を合わせると、約8割弱が直接的または管理的な立場で業務に関与していることがわかりました。属性別では、女性20代(75.3%)・女性30代(70.7%)で「実務の主担当として携わっている」割合が非常に高く、若手〜中堅の女性社員が実務の最前線を担っている傾向がうかがえます。一方、男性50代では「管理職として承認や組織管理の立場で携わっている」割合が42.4%と全年代で最も高く、マネジメント層としての関与が顕著です。

3-2. 特に工数がかかる、または判断が難しい業務(複数回答)

育児休業に関する一連の手続きの中で、特に工数がかかる・判断が難しい業務を尋ねました。

  • 育児休業給付金の申請書類作成と提出:43.2%
  • 社会保険料免除(産休・育休中)に関する手続き:42.3%
  • 育休中の社会保険料や給付金の見込額の試算・説明:29.8%
  • 従業員への個別周知および休業意向の確認:29.1%
  • 復職後の短時間勤務に伴う社会保険変更等の手続き:21.8%
  • 育児休業取得率などのデータ集計と公表準備:11.6%
  • 従業員との休業期間や代替要員確保に関する調整:8.3%
  • 特にない:4.5%
  • その他:1.0%

「育児休業給付金の申請書類作成と提出」と「社会保険料免除に関する手続き」が上位2つを占め、行政への申請業務が大きな負担となっています。加えて、給付金見込額の試算・説明や従業員への個別周知といった、従業員との直接的なコミュニケーション業務も負担として挙がりました。属性別では、女性20代で「育児休業給付金の申請書類作成と提出」を課題とする割合が59.0%と突出して高く、若手担当者が行政への申請実務で大きな負担を感じている様子がわかります。

3-3. 最新の法改正や実務手順の確認元(複数回答)

最新の法改正や実務手順を確認する際の情報源を尋ねました。

  • 顧問の社会保険労務士への相談:42.4%
  • ハローワークや年金事務所の窓口・マニュアル:41.8%
  • 厚生労働省のホームページやリーフレット:39.9%
  • 人事労務関係の専門誌やWebメディア:33.8%
  • 人事管理システムのサポートサイトや解説記事:20.0%
  • 外部のコンサルティング窓口:7.9%
  • 特にない:2.8%
  • その他:2.1%

「顧問の社会保険労務士への相談」「ハローワークや年金事務所の窓口・マニュアル」「厚生労働省のホームページ」がそれぞれ約4割で拮抗する結果となり、公式の窓口・資料や専門家を頼りにする傾向が見られます。属性別では、女性20代で「ハローワークや年金事務所の窓口・マニュアル」を情報源とする割合が68.9%と全年代で最も高く、行政の公式な窓口や資料を直接頼りにする傾向が強く見られます。一方、男性40代では「厚生労働省のホームページやリーフレット」が51.7%と半数を超えており、Web上での公式情報の収集に長けています。

3-4. 現在のデジタルツールの活用状況

育児休業の手続き業務におけるデジタルツールの活用状況を尋ねました。

  • 行政への電子申請は行っているが、社内の進捗管理や書類準備は手作業(紙・Excel)である:43.8%
  • 社内の進捗管理から行政への電子申請まで、一気通貫でシステム化されている:24.9%
  • 社内の進捗管理はシステム化されているが、行政への申請は郵送や窓口で行っている:18.5%
  • 全ての工程においてデジタルツールを活用せず、手作業(紙・Excel)で行っている:8.0%
  • システムは導入しているが、十分に活用できていない:4.7%

「行政への電子申請は行っているが、社内の進捗管理や書類準備は手作業」が最多となり、一気通貫でシステム化されている層は24.9%にとどまりました。行政申請は電子化が進む一方、社内実務との間でデジタル化が分断されている実態が浮き彫りになっています。属性別では、男性20代で「行政への電子申請は行っているが社内は手作業」の割合が69.2%と非常に高く、システム導入の過渡期におけるアナログとデジタルの混在を強く実感している層といえます。

3-5. 手続き負担を軽減するために最も必要な支援

今後、手続き負担を軽減するためにどのような支援が最も必要だと感じるかを尋ねました。

  • 従業員への説明や個別試算にそのまま使えるテンプレート:35.6%
  • 法改正に対応した規程改定の具体的なサンプル:23.4%
  • 実務の工程を網羅したチェックリストやワークフロー図:17.2%
  • 複雑な問い合わせに対応できる専門的な相談リソース(AI・専門家等):11.0%
  • 行政手続き自体の簡素化および完全自動化:7.4%
  • 特にない:5.0%
  • その他:0.3%

「従業員への説明や個別試算にそのまま使えるテンプレート」が最多となり、高度なシステム化よりも実務に直結するお助けツールを求める声が最も大きくなりました。次いで法改正に対応した規程改定サンプルやチェックリストが続き、行政手続きの完全自動化を大きく上回っています。属性別では、女性20代で「そのまま使えるテンプレート」を必要とする割合が54.1%と突出しており、従業員からの個別問い合わせや説明対応に多くの時間を割かれていることがうかがえます。

4. 調査結果から見える課題と対策

本調査の結果から、産休・育休の手続き運用において、3つの課題と、その対策の方向性が浮かび上がりました。

課題①:従業員への説明・個別試算の負担

給付金や社会保険料の見込額の試算・説明(29.8%)や従業員への個別周知(29.1%)が大きな負担となっており、必要な支援としても「従業員への説明や個別試算にそのまま使えるテンプレート(35.6%)」が最多に挙がっています。行政手続きそのものより、従業員からの問い合わせ対応に時間を奪われている実態があります。

対策の方向性:給付金・免除額を自動で試算できる仕組みや、そのまま従業員に渡せる説明資料テンプレートを提供し、個別対応の手間を削減することが有効です。

課題②:社内実務と行政申請の間のデジタル化の分断

「行政への電子申請は行っているが、社内の進捗管理や書類準備は手作業(43.8%)」が最多で、一気通貫でシステム化されている層は約4分の1にとどまります。電子申請とExcel管理が併存する中途半端なデジタル化が、進捗管理や書類準備の手間を残しています。

対策の方向性:社内の意向確認・進捗管理から行政申請までを一気通貫で扱える仕組みを整え、Excel管理に依存した分断された運用から脱却することが望まれます。

課題③:頻繁な法改正への対応不安

育休関連の法律は産後パパ育休をはじめ頻繁に改正されており、法改正に対応した規程改定サンプルを求める声(23.4%)も大きく、担当者は規程の最新性に不安を抱えています。確認元も社労士や行政窓口に分散しています。

対策の方向性:最新の法改正に対応した規程サンプルやチェックリストを提供し、規程改定や実務手順の確認にかかる負担と不安を軽減することが効果的です。

5. まとめ

本調査からは、産休・育休の実務において担当者を最も苦しめているのが「行政とのやり取り」以上に「社内の従業員とのやり取り(説明や管理)」であること、そして電子申請とExcel管理が併存する分断されたデジタル化が手間を残している実態が明らかになりました。現場が求めているのは高度なシステムよりも、そのまま使えるテンプレートなどの即効性のある支援です。

  • 従業員への説明・個別試算の負担:給付金や免除額の試算・説明や個別周知に工数が集中 → 問い合わせ対応に時間を奪われるリスク
  • デジタル化の分断:行政申請は電子化されても社内管理は手作業 → 進捗管理・書類準備の手間と二重作業のリスク
  • 頻繁な法改正への対応不安:規程改定サンプルへのニーズが高い → 古い規程による対応漏れやリスク

これらの課題に対しては、給付金の自動試算や従業員向け説明資料テンプレートの提供、社内管理から行政申請までの一気通貫のシステム化、最新の法改正に対応した規程サンプルやチェックリストの整備を進めることが、担当者の負担を軽減し産休・育休手続きを円滑に運用する鍵となります。

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出典

マネーフォワード クラウド、産休・育休に関する調査データ(回答者:866名のうち実務に関与する674名、集計期間:2026年3月)

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