- 更新日 : 2026年9月4日
育児休業の手当(育児休業給付金)はいくらもらえる?産休との違いと期間、申請条件を解説
育児休業給付金は、休業前賃金の最大67%が雇用保険から支給される制度です。
Q. 育児休業給付金を受け取る条件は?
A. 育休開始前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あることが必要です。
育児休業の手当とは、正式には育児休業給付金と呼ばれる制度で、育休中に賃金の一部を雇用保険から受け取れる仕組みです。産休中に支給される出産手当金や出産育児一時金とは支給元も対象期間も異なるため、混同しやすいポイントでもあります。本記事では、育休手当の金額の目安や受給条件、産休・育休中の社会保険料の扱いまで、バックオフィス担当者が押さえておきたい内容を整理して解説します。
育児休業の手当(育児休業給付金)とは?
育児休業給付金とは、雇用保険の被保険者が育児休業を取得した際に、休業前の賃金の最大67%を受け取れる制度です。支給額は休業開始からの経過日数に応じて2段階で変動します。
支給額の目安
育休開始から180日目までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%が支給額の目安です。
| 期間 | 支給率 |
|---|---|
| 育休開始~180日目 | 67% |
| 181日目以降~育休終了まで | 50% |
休業開始時賃金日額は、原則として育児休業開始前6か月間の賃金を180で除して算出します。育休中に会社から賃金が支払われた場合は、休業開始時賃金月額に対する支払割合に応じて支給額が調整され、80%以上支払われている月は支給されません。
受給するための条件
受給には、育児休業開始前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上必要という条件があります。
雇用保険の被保険者であることに加え、原則1歳未満の子を養育しており、育休後に職場復帰する意思があることが前提です。12か月に満たない場合でも、賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上の月があれば1か月として算定できます。また、有期契約社員の場合は、子が1歳6か月(延長時は2歳)に達するまでに契約満了が確定していないことも条件に加わります。
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産休と育休、もらえるお金の種類はどう違う?
産休は出産前後の休業、育休は原則1歳までの育児のための休業を指し、それぞれ対象となる給付金の種類や支給元が異なります。両者を混同すると申請漏れにつながるため、期間と給付の対応関係を整理しておきましょう。
産前休業・産後休業・育児休業の期間の違い
産前休業は出産予定日以前42日間(多胎妊娠は98日間)、産後休業は出産翌日から56日間、育児休業はその後から子が原則1歳になる誕生日の前日までの期間です。
- 産前休業:出産日以前42日間(双子以上は98日間)
- 産後休業:出産翌日から56日間
- 育児休業:産後休業終了後~子どもが原則1歳になる誕生日の前日まで
出産日が予定日と異なる場合、産後休業は実際の出産日の翌日を起点に数えます。保育所に入れないなどやむを得ない事情がある場合、育児休業は最長で子が2歳になるまで延長可能です。産前産後休業は女性であれば誰でも取得できますが、育児休業は要件を満たせば男女とも取得できます。
出産育児一時金(出産費用の負担を補助)
出産育児一時金は、出産にかかる費用の負担を軽減するために健康保険(協会けんぽや健康保険組合など)から支給される一時金です。
支給額は一児につき原則50万円で、多胎児の場合は胎児数分が支給されます。実務上は、健康保険から医療機関へ費用を直接支払う直接支払制度を利用するケースが一般的で、出産費用としてまとまった金額を事前に用意する必要はありません。手続きは出産する医療機関がサポートしてくれることが多い点も押さえておきたいポイントです。
出産手当金(産休中の収入を補填)
出産手当金は、産休中に給与の支払いがない場合に健康保険から支給される手当で、標準報酬日額の3分の2相当額が支給されます。
計算式は「標準報酬日額=支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均額÷30日」で、その3分の2が1日あたりの支給額となります。出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても支給対象となる点は見落とされやすいため注意が必要です。
出生後休業支援給付金(産後パパ育休の上乗せ給付)
出生後休業支援給付金は、産後パパ育休(出生時育児休業)などを一定期間取得した場合に、育児休業給付金へ上乗せする形で支給される新しい給付金です。
出生時育児休業給付金または育児休業給付金の対象となる休業を、本人・配偶者ともに通算14日以上取得していることなどが条件です。支給額は休業開始時賃金日額に休業日数(最大28日)と13%を乗じた金額で、既存の育児休業給付金(67%)と合わせると給付率は合計80%となり、社会保険料免除や非課税も考慮すると実質手取り10割相当になります。
産休・育休中の社会保険料や住民税はどうなる?
産休・育休中は事業主が届出をすることで、健康保険・厚生年金保険料は被保険者・事業主の双方とも免除されます。一方、住民税は前年所得に基づく課税のため、休業中でも支払いが必要です。
社会保険料は届出により免除される
会社が年金事務所または健康保険組合へ申出をすることで、産前産後休業・育児休業期間中の社会保険料は本人負担分・会社負担分ともに免除されます。
免除期間中も被保険者資格や健康保険証の利用に変更はなく、厚生年金についても保険料を納付したものとして扱われるため、将来の年金給付額が減額されることはありません。この手続きは会社側の対応が必須となるため、忘れずに申出を行ってもらう必要があります。
参考:厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)|日本年金機構
住民税は引き続き支払いが必要
住民税は前年の収入に対して課税されるため、休業を開始しても納付義務はなくならず、給与天引き(特別徴収)か自分で納付する方法(普通徴収)のいずれかで支払いを続けます。
産前休業や育児休業に入るタイミングで特別徴収から普通徴収に切り替える方法もあります。会社経由で天引きを継続し従業員が会社へ立て替え分を支払うケースと、普通徴収に切り替えて納付書で自身が支払うケースの両方が考えられるため、休業前に会社とよく相談して決めておくとトラブルを防げます。
帝王切開の場合
帝王切開は健康保険が適用される手術のため、自己負担は原則としてかかった医療費の3割となり、高額療養費制度も利用できます。
普通分娩の出産費用は病気とみなされないため全額自己負担ですが、帝王切開は手術・入院・投薬などを含めて保険診療の対象となります。医療費が高額になると見込まれる場合は、事前に限度額適用認定証を発行してもらうことで、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられます。マイナンバーカードを健康保険証として利用している場合は、この認定証は不要です。なお、帝王切開でも出産育児一時金は支給対象となります。
育児休業給付金を受け取るための詳しい条件は?
育児休業給付金の受給には雇用保険の加入期間要件を満たす必要があり、契約形態によっては追加の条件が加わります。
雇用保険の加入期間要件
受給資格には、育児休業開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上あることが必要です。
12か月に満たない場合でも、賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上の月があれば1か月として算定できます。入社1年以内の人や勤務日数が少ない人は要件を満たしているか事前に確認しておきましょう。なお、育児休業開始前2年間に本人の疾病による休職など30日以上賃金の支払いを受けられなかった期間がある場合は、対象期間を最大4年まで延長して12か月の要件を算定できる救済措置があります。有期契約社員は、子が1歳6か月(延長時は2歳)に達するまでに契約満了が決まっていないことも条件となります。
健康保険の加入要件(出産手当金・出産育児一時金)
出産手当金・出産育児一時金は、産休開始時点で健康保険に加入していれば支給対象となり、雇用形態は問われません。
正社員だけでなく有期雇用の従業員も対象となる点が、雇用保険をベースとする育児休業給付金との違いです。出産育児一時金については、出産する本人が被保険者でなくても、扶養に入っていれば家族出産育児一時金として支給されます。
産休・育休中に退職した場合、手当はどうなる?
育児休業給付金は職場復帰を前提とした制度のため、退職予定がある場合は原則支給対象外となります。一方、出産手当金・出産育児一時金は一定の条件を満たせば退職後も支給される可能性があります。
育児休業給付金は退職予定があると対象外
育児休業取得時に職場復帰をせず退職する予定がある人は、育児休業給付金を申請できません。
受給中に退職した場合も、原則としてその後の支給は停止されますが、退職日までは支給対象となります。令和4年10月の法改正により育児休業は2回まで分割取得が可能になり、産後パパ育休にあたる出生時育児休業給付金も新設されています。
参考:育児休業給付を受給中に離職した場合の取扱い変更及び通知について|厚生労働省
出産手当金・出産育児一時金は条件次第で継続支給
出産手当金・出産育児一時金は、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があるなどの条件を満たせば、退職後も支給対象となります。
出産手当金は、退職日に出産手当金を受けているか受けられる条件を満たしていることが必要です。出産育児一時金は、資格喪失後6か月以内の出産であることが条件となります。なお、退職後に家族の扶養に入った場合は、家族出産育児一時金との選択となり、両方を重複して受け取ることはできません。
育児休業に関する申請書のテンプレート
育児休業申請書のテンプレートが必要な場合、汎用的に使えるテンプレートがあります。
以下リンクから、フォーム入力をすることで無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。
産休・育休の手続きや手当の申請には時間がかかる
産休や育休の手続きは、従業員本人の準備だけでなく、会社の人事労務担当者にとっても多くの工数が発生します。
マネーフォワードが実施した調査で、育児休業に関する一連の手続きの中で特に工数がかかる、または判断が難しい業務を尋ねたところ、最も多かったのは「育児休業給付金の申請書類作成と提出」で、43.2%でした。次いで「社会保険料免除(産休・育休中)に関する手続き」が42.3%となっています。
また、「育休中の社会保険料や給付金の見込額の試算・説明」が29.8%、「従業員への個別周知および休業意向の確認」が29.1%と、従業員への個別対応にも時間が割かれている実態が明らかになっています。
このように、給付金や保険料免除などの各種手続きには会社のサポートが不可欠であり、確認作業も多岐にわたります。各種手当の申請などをスムーズに進めるためにも、休業を検討する際は余裕を持って早めに会社へ相談することが大切です。
出典:マネーフォワード クラウド、特に工数がかかる、または判断が難しい業務【産休・育休に関する調査データ】(回答者:産休・育休の実務に関与している674名、集計期間:2026年3月実施)
産休・育休の手当を正しく理解し、安心して制度を活用しよう
育児休業の手当(育児休業給付金)は休業前賃金の最大67%が支給される制度で、産休中の出産手当金・出産育児一時金とは支給元も期間も異なります。社会保険料は届出により免除される一方、住民税は引き続き支払いが必要な点にも注意が必要です。制度の全体像と申請条件を正しく把握し、従業員が安心して育休手当を受け取れるよう、早めの社内連携を心がけましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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