- 更新日 : 2026年1月5日
個人事業主の国民健康保険はいくら?計算方法と年収別目安を解説
個人事業主が納める国民健康保険料(国保)は、所得やお住まいの自治体(市区町村)によって変わります。国保料は「前年の所得や資産」と「自治体ごとに異なる料率や均等割額」を基に計算されるため、全国一律の金額ではありません。
会社員から独立した際に「保険料が急に高くなった」と感じることもあるのではないでしょうか。
この記事では、国民健康保険料の計算の仕組み、所得(年収)別のシミュレーション、そして国民健康保険料負担を抑える方法まで、個人事業主の皆さまの実務に役立つようわかりやすく解説します。
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目次
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そもそも個人事業主が加入する国民健康保険とは?
個人事業主(自営業者)やフリーランスの方は、会社員などが加入する健康保険(協会けんぽや組合健保)とは異なり、原則としてお住まいの市区町村が運営する「国民健康保険(国保)」に加入します。
日本は国民皆保険制度を採用しており、職場の健康保険や後期高齢者医療制度に加入していないすべての人が、国民健康保険の対象となるためです。会社を退職して独立した場合、14日以内に加入手続きが必要になります。
会社員の健康保険(社保)との主な違い
国民健康保険(国保)と会社員の健康保険(社保)の大きな違いは、「保険料の負担方法」と「扶養の有無」です。
| 項目 | 会社員の健康保険(社保) | 国民健康保険(国保) |
|---|---|---|
| 保険料の負担 | 会社と折半(半分ずつ負担) | 全額自己負担 |
| 扶養の概念 | あり。家族を扶養に入れられ、扶養家族が増えても保険料は変わらない | なし。家族も被保険者として加入し、人数分の均等割保険料が発生 |
| 保険料の算定 | 標準報酬月額(給与)を基に計算 全国(または組合)で共通の料率を適用 | 前年の所得を基に計算 保険料率や計算方法は自治体ごとに異なる |
国民健康保険料はいくら?計算の仕組みはどうなっている?
国民健康保険料は、主に「所得割」「均等割」の2つの合計で決まります(自治体によっては世帯ごとにかかる「平等割」や固定資産額に応じた「資産割」を採用している場合もあります)。
国民健康保険料は、世帯の所得に応じて負担する部分(所得割)と、加入者全員が等しく負担する部分(均等割)を組み合わせて算出される仕組みです。
保険料を構成する3つの区分
国民健康保険料は、医療分(基礎分)、後期高齢者支援金等分(支援分)、介護納付金分の3つの区分に分けて計算されます。
- 医療給付費分(基礎分):
加入者の医療費や保健事業に使われます。すべての加入者が対象です。 - 後期高齢者支援金等分(支援分):
75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度を支えるために使われます。すべての加入者が対象です。 - 介護納付金分:
介護保険サービスに使われます。40歳から64歳までの加入者のみが対象です。
保険料の計算要素(所得割・均等割)
上記3つの区分それぞれに、所得に応じて負担する「所得割」と、加入者全員が等しく負担する「均等割」が設定されています。
- 所得割:
世帯の加入者の前年の所得に応じて計算されます。「算定基礎額 × 所得割率」で算出されます。 - 均等割:
加入者一人あたりにかかる定額の費用です。「加入者数 × 均等割額」で算出されます。
例:さいたま市35歳単身世帯の場合
例:さいたま市45歳単身世帯の場合
保険料計算の基になる「算定基礎額」
所得割の計算に使われる「算定基礎額」は、個人事業主の確定申告における所得金額が基になります。
計算式は以下のとおりです。
「総所得金額等」とは、事業所得(売上 − 必要経費 − 青色申告特別控除)や不動産所得、雑所得などを合算した金額です。
重要な点は、青色申告特別控除(最大65万円または55万円)を適用すると、この「総所得金額等」が下がり、結果として算定基礎額も下がるため、国民健康保険料の節約につながることです。
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【年収別】個人事業主の国民健康保険料シミュレーション
年収(売上から経費を引いた所得)が同じでも、住む自治体の料率や年齢(介護分の有無)、世帯人数によって保険料は異なります。
ここでは、モデルケースとして「さいたま市・40歳・単身世帯・青色申告(55万円控除)」を仮定し、所得(年収)別の保険料を試算します。
シミュレーションの前提条件
- 自治体:埼玉県さいたま市
- 年齢:0歳(介護分あり)
- 世帯:単身世帯(加入者1名)
- 所得:青色申告(55万円控除)適用
- 算定基礎額:所得(年収) − 55万円(青色控除) − 43万円(基礎控除) = 所得 − 98万円
- 令和7年度の料率で計算
【さいたま市 40歳~64歳の場合】
| 区分 | 所得割率 (上限) | 均等割額(年額) |
|---|---|---|
| 医療分 | 7.13% (660,000円) | 38,300円 |
| 支援分 | 2.60% (260,000円) | 13,500円 |
| 介護分 | 2.24% (170,000円) | 14,600円 |
| 合計 | 11.97% (1,090,000円) | 66,400円 |
年収(所得)200万円の場合の試算
- 算定基礎額:200万円 − 98万円 = 102万円
- 所得割:102万円 × 11.97% = 122,094円
- 均等割:66,400円
- 年間保険料(目安):122,094円 + 66,400円 = 約188,500円
- 月額(目安):約15,700円
所得200万円の場合でも、介護保険料が加わるため月額15,000円を超えます。
年収(所得)300万円の場合の試算
- 算定基礎額:300万円 − 98万円 = 202万円
- 所得割:202万円 × 11.97% = 241,794円
- 均等割:66,400円
- 年間保険料(目安):241,794円 + 66,400円 = 約308,200円
- 月額(目安):約25,700円
年間の国民健康保険料は30万円を超えます。所得が増えるにつれて「所得割」の金額が大きく増加するのがわかります。
年収(所得)500万円の場合の試算
- 算定基礎額:500万円 − 98万円 = 402万円
- 所得割:402万円 × 11.97% = 481,194円
- 均等割:66,400円
- 年間保険料(目安):481,194円 + 66,400円 = 約547,600円
- 月額(目安):約45,600円
月額約45,000円となり、国民年金と合わせると社会保険料の負担が重くなってくる水準といえるでしょう。
年収(所得)800万円の場合の試算
- 算定基礎額:800万円 − 98万円 = 702万円
- 所得割:702万円 × 11.97% = 840,294円
- 均等割:66,400円
- 年間保険料(目安):840,294円 + 66,400円 = 約906,700円
- 月額(目安):約75,600円
年間の国民健康保険料は90万円を超えました。この水準になると、自治体ごとに設定されている賦課限度額(上限額)に近づいてきます。
※さいたま市の令和7年度限度額は合計109万円であり、このケースはまだ上限に達していません。
【シミュレーションの注意点】
上記はあくまで特定の条件下での試算です。扶養家族(国保では加入者)がいる場合は、その人数分の「均等割」が加算されます。料率や均等割額は、自治体によって異なります。
なぜ国保は「高すぎる」と感じるのか?
国民健康保険料が「高すぎる」と感じる主な理由は、会社員時代の健康保険と比べて「全額自己負担」である点と「扶養の概念がない」点ではないでしょうか。
理由1:保険料が全額自己負担である
会社員は保険料を勤務先と折半しています。仮に月3万円の保険料でも、給与天引きは15,000円です。一方、個人事業主は同じ3万円の保険料でも全額を自分で支払う必要があり、負担感が倍になります。
理由2:扶養家族の概念がない
会社員は妻(夫)や子供を扶養に入れても保険料は変わりません。しかし国保では、妻(夫)や子供も「加入者」となり、一人ひとり(0歳の赤ちゃんでも)に「均等割」がかかります。家族が多いほど保険料負担が増える仕組みです。
理由3:所得の上限(賦課限度額)が高い
国保料には年間いくらまで、という上限(賦課限度額)が設けられています。しかし、自治体によってはこの上限が合計100万円を超える(例:医療分66万円+支援分26万円+介護分17万円=109万円)こともあります。所得が上がるにつれて保険料も上がり続けるため、高所得の個人事業主にとっては負担が重くなります。
国民健康保険料を安くする方法は?
合法的に国民健康保険料を安くするには、青色申告特別控除を活用して算定基礎額を下げる、経費を正しく計上する、別の健康保険組合に加入するといった方法があります。
国保料は「前年の所得」を基に計算されるため、確定申告の内容が保険料に直結します。
確定申告で経費を正しく計上する
事業にかかった必要経費(交通費、消耗品費、通信費など)を漏れなく計上することです。売上から経費を差し引いたものが事業所得となるため、経費を正しく計上し所得を抑えることで、国民健康保険料の「所得割」も安くなります。
青色申告特別控除(最大65万円)を活用する
白色申告ではなく青色申告を選択し、e-Taxによる申告(または優良な電子帳簿保存)を行うことで、最大65万円の特別控除が受けられます。この控除額は、国保料の算定基礎額を計算する際にも差し引かれるため、節税と国保料削減の両方に効果があります。
国民年金保険料やiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する
国民年金保険料、国民年金基金、iDeCo(イデコ)の掛金は、全額が「社会保険料控除」の対象です。これらは所得から全額差し引けるため、国保料の算定基礎額を下げる効果があります。(※ただし、iDeCoなどは将来の資産形成が目的であり、国保料削減だけを目的とするのは本末転倒かもしれません)
国民健康保険の減免制度を利用する
倒産や解雇、雇い止め(非自発的失業)などの理由で離職した場合や、災害、病気、事業の著しい損失などで所得が激減した場合は、申請によって保険料が減免される制度があります。
条件に該当する場合は、お住まいの市区町村の窓口に相談してみましょう。
国民健康保険の代わりに国保組合という選択肢もある?
特定の業種に従事する個人事業主は、市区町村の国保の代わりに、業種ごとの「国民健康保険組合(国保組合)」に加入できる場合があります。
市区町村の国保とは保険料の計算方法が異なり、高所得者にとっては国民健康保険料が安くなるケースがあるため、選択肢として知っておくとよいでしょう。
国保組合のメリット
国保組合の多くは、保険料が所得にかかわらず一定(または所得割の比率が低い)です。例えば、所得が500万円でも800万円でも保険料が変わらない組合があります。そのため、市区町村の国保では所得割が高額になる高所得の個人事業主にとって、大きなメリットとなる場合があります。
国保組合のデメリット・注意点
国保組合の加入資格として、業種や地域が限定されます。例えば、建設業、医師、弁護士、税理士、作家、デザイナー、イラストレーター、美容師などが対象です。所得が低い場合は、逆に市区町村の国保(所得割が低い、または軽減措置が適用される)よりも、国保組合の定額保険料の方が高くなるケースもあります。
また、家族(扶養)の扱いや保険料、独自の付加給付(傷病手当金など)は、組合ごとに規定が異なります。ご自身の業種で加入できる国保組合がないか、調べてみる価値はあるでしょう。
参照:建設連合国民健康保険|全国建設組合連合運営協議会
文芸美術国民健康保険組合
国民健康保険料の支払いと控除はどうする?
国民健康保険料は、納付書(または口座振替)で支払います。そして、支払った保険料は、確定申告の際に「社会保険料控除」として全額を所得から控除できます。
国民健康保険料の納付方法と納付時期
通常、毎年6月頃にその年度(4月〜翌3月分)の保険料の決定通知書と納付書が届きます。支払いは、年10回程度(自治体による)に分けて納付するのが一般的です。
確定申告での「社会保険料控除」
控除を適用することで課税所得が減り、翌年の所得税や住民税が安くなります。
注意点として、控除できるのは、その年の1月1日~12月31日までに「実際に支払った」金額です。未払い分は対象になりません。また、生計を一にする家族(例:配偶者や子供)の国保料を支払った場合も、支払った本人の社会保険料控除に含めることができます。
国民健康保険料を滞納するとどうなるか?
国民健康保険料を滞納すると、督促状が送られ、延滞金が発生します。それでも納付しないままでいると、保険証が使えなくなったり(短期被保険者証や資格証明書の発行)、最終的には預金や売掛金などの財産が差し押さえられたりするおそれがあります。
支払いが困難な場合は、滞納する前に必ず市区町村の窓口へ行き、分納などの相談をしましょう。
個人事業主の国民健康保険料は所得と自治体で決まる
個人事業主が支払う国民健康保険料は、前年の所得や自治体の料率で決まります。「いくら」と一概には言えませんが、計算の仕組みは「所得割」と「均等割」が基本です。
会社員時代と違い全額自己負担で扶養の概念もないため「高すぎる」と感じることも多いでしょう。
保険料を抑えるには、青色申告控除の活用や経費の適正な計上が有効です。また、業種によっては国保組合への加入も選択肢となります。
まずはご自身の所得と、お住まいの自治体の最新の料率を確認し、年間の保険料を見積もることから始めてみてはいかがでしょうか。
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データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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