- 更新日 : 2026年1月20日
年収360万円の個人事業主が支払う税金は?社会保険料・手取り額の目安も解説
個人事業主として年収360万円を得ている場合、実際にどれだけ税金や社会保険料を支払い、手元に残るのかは気になるポイントです。会社員とは異なり、個人事業主は売上から経費を差し引いた「所得」に対して、所得税などを自ら計算して申告・納税しなければなりません。
本記事では、年収360万円の個人事業主が支払う税金や社会保険料の目安、手取り額の算出、確定申告における注意点などを解説します。
目次
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年収360万円の個人事業主とは
この記事で扱う「年収360万円」とは、個人事業主として1年間に得た総収入(売上)を指します。事業活動により顧客や取引先から受け取った報酬・代金などの合計額であり、ここには経費や税金、社会保険料などは含まれていません。必要経費は事業によりさまざまであり、ここでは規模感を示すため「年間売上高=年収」と捉えることとします。
会社員の給与所得とは異なり、個人事業主の場合はまず、「売上高」があり、ここから必要経費を差し引いて残る金額が「所得」となります。本記事ではこの所得ではなく、売上ベースの年収が360万円であるケースを想定しています。
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年収360万円の個人事業主にかかる税金の種類
個人事業主として年収360万円を得ている場合、年間でどのような税金を支払うのかを把握しておくことは、資金繰りや確定申告の準備に役立ちます。主にかかるのは「所得税」「住民税」「個人事業税」の3つで、条件によっては「消費税」も関係してきます。
所得税
所得税は国に納める税金で、年収から必要経費を差し引いた所得に対して課されます。所得税の基礎控除は令和7年分から次のように改正されています。そのため、経費等を差し引いた所得がこれらの控除額を超えると、原則として課税対象となります。
【令和7年税制改正による基礎控除の改正】
| 合計所得金額 | 改正後 | 改正前 | |
|---|---|---|---|
| 令和7・8年 | 令和9年以降 | ||
| 132万円以下 | 95万円 | 48万円 | |
| 132万円超 336万円以下 | 88万円 | 58万円 | |
| 336万円超 489万円以下 | 68万円 | ||
| 489万円超 655万円以下 | 63万円 | ||
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | ||
参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁
税率は累進課税で、課税所得が195万円までは5%、329万9,000円までが10%と段階的に上がります。仮に売上360万円、経費100万円で、青色申告(65万円控除)、基礎控除、(88万円控除)社会保険料控除(年額45万円)を適用した場合、課税所得は62万円となり、所得税は3万1,000円が目安です。所得税の申告をした場合、住民税と個人事業税の申告は不要です。
- 所得金額195万円 = 売上360万円 - 経費100万円 - 青色控除65万円 …①
- 所得控除133万円 = 社会保険控除45万円 +基礎控除88万円 …②
- 課税所得62万円 = ①195万円-②133万円
- 所得税額3.1万円 = 課税所得62万円×5%
※ここでは復興税を考えていませんが、この場合の復興税として、651円(税額の2.1%)があります。
住民税
住民税は、前年の所得に基づいて計算される地方税で、所得割(10%)と均等割(約5,000円)で構成されています。基礎控除は43万円であり、各種所得控除額は所得税と異なるため、課税所得額は一致しません。課税所得が200万円であれば住民税は約20万円、そこに均等割を加えて年間約20万5,000円程度となります。
住民税は6月頃から自治体より通知が届き、年4回に分けて納付します。たとえ所得税の申告が不要でも、所得がある場合は住民税の申告が必要です。
個人事業税
個人事業税は、都道府県に納める税で、対象となる法定業種を営んでいる場合に課税されます。課税対象は事業所得から事業主控除(年間290万円)を差し引いた金額で、税率は業種により異なり3~5%です。
売上360万円、経費60万円の場合、事業所得は300万円となり、課税対象は10万円(300万円-290万円)です。これに税率5%を乗じた5,000円が納税額の目安です。納付は原則として8月と11月の年2回に分けて行います。所得税または住民税の申告をしていれば、個人事業税の申告は不要です。
消費税
消費税は、前々年の課税売上高が1,000万円、または前年の1月1日から6月30日までの間の課税売上高が1,000万円を超えた場合に課税事業者となり、納税義務が発生します。年収(ここでは売上高)360万円程度の事業者であれば通常は課税対象外となります。ただし、インボイス制度に対応するために自ら「適格請求書発行事業者」に登録して課税事業者となった場合は、売上が1,000万円未満でも消費税の申告と納税が必要になります。
取引先との関係によってはインボイス登録が求められることもあるため、制度内容をよく確認して対応することが大切です。
参考:消費税のしくみ|国税庁
年収360万円の個人事業主が支払う社会保険料
個人事業主は税金とは別に、国民年金保険料と国民健康保険料等の社会保険を自身で納める必要があります。地域によっては、「国民健康保険税」として徴収するところもあり、毎年の家計における固定支出として大きな負担となるため、金額や納付方法を把握しておくことが重要です。
国民年金保険料は全国一律で定額
国民年金はすべての20歳以上60歳未満の個人事業主が加入対象で、老後の基礎年金を形成する制度です。保険料は全国一律で、所得にかかわらず定額となっています。2026年度(令和8年度)の保険料は月額17,920円で、年間にすると約22万円の支出となります。納付は月払いが基本ですが、6か月分・1年分・2年分を前払いすると割引が適用される「前納制度」もあります。
口座振替やクレジットカードでの納付も可能で、支払いが困難な場合は免除や猶予制度の申請もできます。この保険料は、確定申告時に全額「社会保険料控除」として計上できるため、課税所得を下げられます。
国民健康保険料は所得や地域で変動する
国民健康保険(国保)は、医療費の負担を軽減するなどの制度で、すべての個人事業主が加入対象です。会社員が加入する健康保険とは異なり、
保険料は所得や自治体の設定によって異なります。一般的には、保険料を3つの区分に分け、それぞれを合算して保険料が算出されます。
- 医療分保険料:本人の医療費を賄うための基礎的な保険料
- 後期高齢者支援分:75歳以上の高齢者の医療費を支援するための保険料
- 介護納付金分:40歳から64歳までを対象とする介護保険制度を支援のための保険料
これらの区分は、さらにそれぞれ「所得割額」「均等割額」「平等割額」などで構成されています。
東京都新宿区において、年収360万円で課税所得約195万円(経費100万、青色申告特別控除65万円)の単身世帯で40歳未満の場合、年間の国民健康保険料はおおむね24万円程度が目安とされます。年齢が40歳を超えると介護保険料が加算され、月額が2万4,000円程度になるケースもあります。納付は毎年6月〜7月頃に通知書が送られ、年数回に分割して支払います。
所得が急減した場合などは、減免措置を受けられる可能性があるため、各自治体への相談も検討しましょう。なお、この保険料も国民年金同様、社会保険料控除として全額所得控除が可能です。
年収360万円の個人事業主の手取り額
年収360万円の個人事業主が実際に使える金額、いわゆる手取り額は、税金や社会保険料を差し引いた後に残る収入です。ここでは、年間で負担する税金と保険料の合計をもとに、最終的な手取り額の目安を確認します。
税金・社会保険料の合計額
年収360万円規模の個人事業主が納める税金は、必要経費を100万円とすると、概ね次のとおりです。(一部再掲)
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 事業所得 | 195万円 | 売上360万円 -必要経費100万円 -青色申告特別控除65万円 |
所得控除 | 133万円 | 社会保険料控除45万円 +基礎控除88万円 |
| 課税所得 | 62万円 | |
| 所得税 | 3万円 | 課税所得62万円×5% |
| 住民税 | 11万円 | 住民税の基礎控除は43万円、 税率10%、均等割5,000円 |
| 国民年金保険料 | 22万円 | 令和8年分 17,920円×12 |
| 国民健康保険料 | 22万円 | (東京都新宿区令和7年度分で暫定計算) |
| 合計 | 58万円 | (目安となる税金・社会保険料の合計額) |
※青色申告特別控除額65万円適用、事業税は控除額以下となり、課税なし。消費税もないものとします。
国民年金保険料や国民健康保険料は年齢や自治体によって異なるものの、税金よりも高いものと見込まれます。
翌年の社会保険料の合計は約44万円となるため、税金と保険料を合わせた年間の負担額は、60万円程度と想定されます。これは、年収の約17%に相当します。
残る手取りの目安
年間360万円の収入から60万円程度が公的負担として差し引かれると、残る手取り額は約300万円程度となります。月額に換算すれば、およそ25万円前後が自由に使える金額となり、年収の約80%にあたります。
青色申告で65万円の控除を活用している場合はこの範囲に収まることが多いです。一方、白色申告で控除を受けていない場合や経費が少ない場合には、所得税などの負担が増えるため、手取り額はさらに減る可能性があります。
同じ年収でも、申告方法と控除の使い方によって手取りに数十万円の差が出ることもあるため、青色申告を検討する価値は大いにあります。年収360万円の個人事業主であれば、手取りの目安をおよそ300万円と見込み、計画的に支出と納税準備を進めることが大切です。
年収360万円の個人事業主の確定申告のポイント
個人事業主は毎年、1年間の所得を計算し、自ら確定申告を行って税金を納める必要があります。年収が360万円ある場合は原則として確定申告が必要ですが、制度上の基準や、青色申告による控除の活用といった重要なポイントを理解しておくことで、節税にもつながります。
確定申告が必要となる所得の基準
確定申告が必要かどうかは、「所得金額」が95万円を超えるかどうかが判断基準となります。これは、2025年分は基礎控除の最低額が95万円に引き上げられたため、所得がそれ以下であれば所得税がかからない仕組みによるものです。
令和7年分からは基礎控除額が段階的になるため、いくつかの計算パターンを作ってシミュレーションするのがよいでしょう。
個人事業主の場合は、他の所得控除がある場合には、確定申告不要となるケースもありますが、基本的に確定申告が必要と考えておきましょう。なお、青色申告を選択している場合は、たとえ所得税が発生しない場合でも期限内の申告が求められます。また、所得税の申告義務がない場合でも、住民税の申告は別途必要になる点にも注意が必要です。
青色申告による控除と節税効果
個人事業主の確定申告には白色申告と青色申告の2つがあります。
青色申告は、事前に税務署へ承認申請をし、帳簿の記録と決算書の提出が必要ですが、多くの特典を受けられます。
なかでも大きなものが「青色申告特別控除」で、複式簿記による記帳を行っている場合は55万円、さらに電子申告や、電子帳簿保存法が定める「優良な電子帳簿」として保存を行えば最大65万円まで控除できます。
年収360万円でも、青色申告(65万円控除)を活用すると、同額の所得控除が適用され、所得税・住民税が軽減されます。課税所得が360万円で青色申告控除65万円を受ける場合、所得税率は変わってきます。青色申告を利用するには、原則として青色申告書で申告しようとする年の3月15日まで承認申請書を提出する必要があります。帳簿付けには一定の手間がありますが、会計ソフトやクラウドサービスを活用すれば、記帳も比較的スムーズに行えます。
年収360万円規模でも青色申告の導入は十分に価値がある選択肢です。
年収360万円の個人事業主が取り入れたい節税策
年収360万円規模であっても、個人事業主として取り組める節税方法は数多く存在します。制度を正しく理解し、適切に対応することで、無理のない形で税負担を抑え、手元に残る資金を増やせます。
経費を適切に計上して課税所得を抑える
まず基本となるのが、必要経費の計上です。事業に必要な支出(通信費、家賃、消耗品費、交通費など)は、経費として認められる可能性があります。業務と私用が混在する支出については、業務と私用が混在する支出については、業務に使った割合に応じて合理的に家事按分処理することで経費化が可能です。按分の記録(根拠)を残しておき、経費計上するものの領収書やレシート、請求書などの証拠を必ず保管しておきましょう。
青色申告特別控除の活用
前述のとおり、青色申告を選択していれば、最大65万円の特別控除を受けられます。電子申告や電子帳簿保存を行うことでこの控除額を最大化でき、節税効果は大きくなります。白色申告ではこの控除が使えないため、青色申告に切り替えることは手取りアップに直結します。
小規模企業共済やiDeCoを利用する
将来の備えと節税を両立できる方法として、小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)への加入があります。これらに支払った掛金は「所得控除」として全額が課税所得から差し引かれ、税負担を軽減します。長期的な資産形成と節税を同時に進める手段として有効です。
個人事業主は税と保険を理解し、確定申告で差をつけよう
年収360万円の個人事業主は、所得税・住民税に加えて、国民年金や国民健康保険といった社会保険料の負担も発生します。これらを合計すると、公的な支出は年間約60万円に及び、手取りはおおよそ300万円前後となります。場合によっては、事業税や消費税が発生する可能性があります。
こうした負担を適切に管理し、青色申告や各種控除、小規模企業共済などの制度を活用することで、無理のない節税が可能になります。
収入だけでなく、支出や申告方法まで見直すことで、実際に使える金額を大きく伸ばせるでしょう。
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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