白色申告の専従者控除 適用要件と控除額

専従者に関する給与や控除の取り扱いについて、控除を受けるための適用要件や控除額の計算方法をもとに、白色申告と青色申告の違いを見ていきたいと思います。
専従者控除と専従者給与とは
生計を一にしている配偶者やその他親族が、納税者本人が経営している事業へ従事する際に、納税者がこれらの人に対して給与を支払うことがあります。
白色申告において、これらの給与は必要経費に参入することはできませんが、事業に従事している家族の人数、配偶者なのかそれ以外の親族、その所得金額に応じて計算される金額を事業専従者控除として必要経費とみなすことができるようになります。
白色事業専従者控除を受けるための条件は、下記の通りとなっています。
条件1. 白色申告者が行なう事業に事業専従者がいる
なお、事業専従者とは、下記の3つの条件のすべてに該当する方を指します。
・白色申告者と生計を一にする配偶者やその他の親族である
・その年の12月31日時点で15歳以上である
・年間で6か月を超えて、その白色申告者が行なう事業に従事している
つまり、たとえ親族だとしても、別生計であったり、14歳以下の子供であったり、「ときどき手伝いにくる」といった程度の人については事業専従者として認められないということです。
また、事業専従者控除の対象者は配偶者控除や扶養控除の対象外となりますので、注意が必要です。
条件2. 確定申告書にこの控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載すること。
また、白色事業専従者控除の金額は、下記の2つの条件の低い方の金額となります。
(1) 事業専従者が、事業主の配偶者なら86万円、配偶者以外なら専従者一人につき50万円
(2) この控除を行なう前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額
事業専従者控除の金額の計算方法
事業専従者控除の計算は難しくありません。「事業所得等 ÷ (事業専従者の数 + 1)」という計算式によって簡単に求めることができます。
ただし、配偶者86万円・配偶者以外50万円/人という上限が定められている点に要注意です。求められた金額がこれを超える場合には超過部分が切り捨てられ、「控除額=上限額」となります。
それでは具体例を挙げて計算してみましょう。
例1:収入300万円・経費150万円・専従者1人(配偶者)の場合
この場合の計算式は「(300万 - 150万) ÷ (1 + 1) = 75万」となりますので、事業専従者控除額は算出された数字がそのまま適用されて75万円です。
例2:収入400万円・経費200万円・専従者1人(配偶者)の場合
この場合の計算式は「(400万 - 200万) ÷ (1 + 1) = 100万」となりますが、算出された数字は配偶者の上限である86万円をオーバーしています。
そのため、事業専従者控除額は86万円となります。
事業専従者控除を受けるための手続き
事業専従者控除を受けるための手続きは、とてもシンプルです。確定申告の際に、申告書の所定の欄に控除を受ける旨や、その対象となる事業専従者の氏名・控除金額などをしっかりと正確に記入すれば、それだけで控除が適用されます。
青色申告において事業専従者の給与を経費にする場合には、事前に届出書を提出しておかなければならないのですが、白色申告者の場合はこうした書類は不要です。
事業専従者控除を受けるための特別な事前申請は一切必要ありません。
青色申告における専従者給与について
一方で、青色申告においては一定の要件の中で実際に支払いを行った給与額を必要経費とみなすことができるようになります。
青色事業専従者給与として認められるための要件は、下記の通りとなります。
条件1. 青色事業専従者に対して支払われた給与である
青色事業専従者とは、次の要件のすべてに該当する人となります。
- 青色申告者と生計を一にする配偶者やその他の親族である
- その年の12月31日時点で15歳以上である
- 従事可能期間の1/2超事業に従事している
条件2. 「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の税務署長へ提出している
届出書の提出期限は、基本的に青色事業専従者給与を算入しようとする年の3月15日までとなります。この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載します。
条件3. 届出書での記載方法により支払われ、実際に支払われた額が記載金額の範囲内である
条件4. 青色事業専従者給与の額が、労務の対価として相当だと認められる金額である
専従者に関する点以外にもある白色申告と青色申告の違いは「青色申告と白色申告との違いを解説」のページにて比較しております。
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