• 更新日 : 2026年10月5日

給与支払報告書の郵送方法とは?書き方・提出先からeLTAXでの電子申告義務化まで解説

Point給与支払報告書の郵送方法は?

給与支払報告書は、従業員の1月1日時点の居住市区町村へ、総括表と個人別明細書をセットにして1月31日必着で郵送します。

  • 封筒左下に赤字で「給与支払報告書 在中」と記載
  • 普通郵便より簡易書留・レターパックが安全
  • 100枚以上の事業者はeLTAX電子申告が義務

Q. 提出先はどこになりますか?

A. 会社の所在地ではなく、従業員が1月1日時点に居住する市区町村の担当課(市民税課など)です。

給与支払報告書の提出にあたって、郵送方法が気になる総務・経理担当者の方も多いのではないでしょうか。普通郵便で送っても問題ないのか、封筒にはどのように記載すれば良いのか、アルバイトや退職者の分はどう扱うのかなど、毎年行う手続きでありながら細かい疑問は尽きないものです。

この記事では、給与支払報告書の郵送方法を中心に、提出の基本ルールから具体的な書き方、そして一定規模以上の事業者には提出が義務化されている電子申請システムeLTAXのやり方まで、担当者が知りたい情報を網羅的に解説します。

給与支払報告書とは?

給与支払報告書とは、事業者が前年中に従業員へ支払った給与の金額などを、従業員が住む市区町村へ報告するための書類です。地方税法により、給与を支払ったすべての事業者に提出が義務付けられています。

従業員の住民税計算の基礎となる重要書類

市区町村はこの報告内容に基づき、個人の住民税額を決定します。つまり、従業員が適正な住民税を納めるための根拠となる、非常に重要な書類です。

記載内容は源泉徴収票とよく似ていますが、源泉徴収票は税務署と従業員本人へ、給与支払報告書は市区町村へ提出する点で役割が異なります。

提出対象者にはアルバイトや退職者も含まれる

原則として、前年中に給与を支払ったすべての従業員について給与支払報告書の提出が必要です。これには、正社員や契約社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトなど雇用形態を問いません。

また、年の途中で退職した人についても提出義務がありますので注意が必要です。ただし、退職時の給与支払額が30万円以下である中途退職者については、提出を省略できることが地方税法第317条の6で定められています。省略可能なケースであっても、可能な限り提出することが望ましいとする自治体が多いため、判断に迷う場合は提出先の市区町村へ確認しておくと安心です。

給与支払報告書を提出しないとどうなるのか

給与支払報告書の提出は、地方税法で定められた事業者の義務です。地方税法第317条の7の規定により、給与支払報告書を提出しない、または虚偽の記載をした場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されることがあります。

また、従業員自身が確定申告をする際に不便が生じたり、住民税の納付が遅れたりといった影響が出る可能性も考えられます。企業の信頼性を保つためにも、必ず正しく提出しましょう。

参考:地方税法|e-Gov 法令検索

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給与支払報告書を郵送するための準備は?

郵送する前に、必要な書類を正しく作成する必要があります。ここでは、書類の種類と書き方のポイントを解説します。

必要な書類を揃える

給与支払報告書は、以下の2種類の書類で構成されています。

  • 給与支払報告書(総括表):全従業員分をまとめた表紙の役割を果たす書類です。
  • 給与支払報告書(個人別明細書):従業員一人ひとりについて作成する詳細な書類です。

これらの様式は、提出先である各市区町村のウェブサイトからダウンロードするのが一般的です。総務省のウェブサイトでは掲載されていない場合があるため、各自治体のウェブサイトを確認してください。

総括表の書き方

総括表には、事業者の名称や所在地、法人番号(または個人事業主の個人番号)などを記載します。また、報告する従業員の総数や、そのうち住民税を給与から天引きする特別徴収対象者と、個人で納付する普通徴収対象者の人数などを正確に記入します。

個人別明細書の書き方

個人別明細書は、従業員一人につき1枚作成します。主な記載項目は以下の通りです。

  • 従業員の氏名、住所、個人番号(マイナンバー)
  • 年間の給与支払総額
  • 給与所得控除後の金額
  • 所得控除の額の合計額
  • 源泉徴収税額
  • 社会保険料の支払額
  • 扶養親族の情報

これらの情報は、年末調整で作成した源泉徴収簿などをもとに、正確に転記してください。特に個人番号(マイナンバー)は、法律で記載が義務付けられていますので、漏れのないよう注意が必要です。

給与支払報告書の郵送方法は?

給与支払報告書の提出先は、会社の所在地ではなく、その年の1月1日現在で従業員が居住している(住民票がある、あるいは実際に居住している)市区町村です。

提出先は従業員の1月1日時点の住所

例えば、会社が東京都港区にあっても、従業員が神奈川県横浜市に住んでいる場合は、横浜市の担当部署へ提出します。給与支払報告書には、原則として、受給者の1月1日現在の住所又は居所を記載します。住所と居所が異なる場合など、提出先の判断に迷う場合は、該当する市区町村に確認しましょう。

年の途中で退職した従業員については、翌年の1月1日現在の住所地ではなく、退職時の住所地の市区町村に給与支払報告書を提出します。従業員の住所を正確に管理し、提出先を間違えないようにしましょう。

複数の市区町村へ郵送する場合の注意点

従業員がそれぞれ異なる市区町村に住んでいる場合、それぞれの市区町村ごとに書類をまとめて個別に郵送する必要があります。

市区町村ごとに総括表と、該当する従業員の個人別明細書をセットにして、封筒に分けて発送してください。特別徴収対象者と普通徴収対象者を仕切り紙で区分するよう指定している自治体もあるため、提出先ごとの案内を事前に確認しておくと安心です。この作業が煩雑な場合は、後述するeLTAXを利用すると、一度の操作で複数の市区町村へ送信できて大変効率的です。

封筒の書き方

郵送する際は、封筒の表面に提出先市区町村の担当課(例:〇〇市役所 市民税課)を明記し、他の郵便物と区別され担当部署へスムーズに届くよう、封筒の左下に赤字で「給与支払報告書 在中」と記載します。

裏面には、差出人である会社の名称、所在地、担当部署、電話番号を忘れずに記載してください。

封筒に入れる際は、総括表を一番上にし、その下に個人別明細書をまとめます。個人別明細書は、特別徴収対象者と普通徴収対象者を分けておくと、受け取った市区町村が処理しやすくなります。

普通郵便での送付は可能か

給与支払報告書は大量の個人情報を含む信書に該当します。法的には普通郵便で送付可能ですが、送達記録が残らず紛失のリスクがあるため取り扱いには注意が必要です。

万が一の郵送事故のリスクを減らし、提出した事実を証明するためにも、単なる普通郵便よりは、送達記録が残る特定記録郵便やレターパック、簡易書留を利用することを強くおすすめします。目安として簡易書留は投函から1〜2日程度で届くとされる一方、普通郵便は土日配達がないため、提出期限との兼ね合いで余裕を持った投函日を設定しておくことが大切です。これにより、いつ、どの市区町村へ提出したかという証拠が手元に残り、安心して手続きを完了できます。

提出期限は毎年1月31日必着

給与支払報告書の提出期限は、原則として毎年1月31日です。この日までに、各市区町村に書類が到着している必要があります。

なお、2026年(令和8年)提出分については1月31日が土曜日にあたるため、実務上の期限は翌営業日である2026年2月2日(月)となります。この期限は、紙での郵送提出でも電子提出でも変わりません。

郵送の場合は、配達にかかる日数を考慮し、余裕を持って発送することが重要です。特に期限の直前は窓口が混雑し、処理に時間がかかることも予想されます。遅くとも1月20日頃までには発送作業を終えることを目標に準備を進めると良いでしょう。

給与支払報告書はeLTAXでの電子申告が義務化される?

前々年に税務署へ提出した給与所得の源泉徴収票の枚数が100枚以上であった事業者は、給与支払報告書をeLTAX(地方税ポータルシステム)または光ディスク等で提出することが法令上義務付けられています。令和9年1月以降に提出する給与支払報告書からは、この基準が30枚以上に引き下げられます。郵送や紙での提出を選べない点に注意が必要です。

電子申告義務化の対象となる基準

対象基準は「前々年の源泉徴収票の税務署への提出枚数」で判定されます。例えば2024年(令和6年)に税務署へ提出した源泉徴収票が100枚以上であれば、2026年(令和8年)1月に提出する給与支払報告書は電子データによる提出が必要です。

この基準は当初1,000枚以上でしたが、2021年(令和3年)1月以降の提出分から100枚以上へと引き下げられており、対象となる事業者は年々拡大しています。

2027年1月提出分から基準がさらに30枚以上に引き下げ

2027年(令和9年)1月以降に提出する給与支払報告書からは、前々年(令和7年)に税務署へ提出すべきであった給与所得の源泉徴収票の枚数が30枚以上である場合、給与支払報告書についてもeLTAXまたは光ディスク等による提出が必要となります。100枚未満のためこれまで郵送で対応できていた中小規模の事業者も、対象に含まれる可能性がある点に注意しておきましょう。

自社が対象になるかどうかは、前々年に税務署へ提出した源泉徴収票の枚数を確認することで判断できます。基準に該当する見込みがある場合は、早めにeLTAXの利用環境を整えておくことをおすすめします。

参考:給与支払報告書等の提出に係る特設ページ|eLTAX 地方税ポータルシステム

eLTAXを利用するメリット

eLTAX最大のメリットは、複数の市区町村への提出を一度のデータ送信で完了できる点です。

  • 郵送のように提出先ごとに書類を仕分け、封筒を作成する手間が省ける
  • 郵送代や印刷代などのコストを削減できる
  • オフィスにいながら24時間いつでも提出が可能
  • オンラインで受付状況を確認できる
  • 市区町村からの特別徴収税額通知も電子データで受け取れ、給与計算がスムーズになる
  • 源泉徴収票の提出義務がある場合、eLTAXの一元化機能を使えば給与支払報告書と源泉徴収票を同時に作成・送信できる

eLTAXの基本的なやり方と流れ

eLTAXを利用するには、事前の準備が必要です。ここではSTEPごとに手順を解説します。

STEP1 利用届出とID取得

eLTAXの公式サイトから利用届出(新規)を行い、利用者IDを取得します。

STEP2 電子証明書の準備

データ送信時に電子署名を付与するため、マイナンバーカードや商業登記に基づく電子証明書などが必要になります。

STEP3 申告データの作成

eLTAXに対応した給与計算ソフトなどを使って、申告データ(CSV形式など)を作成します。

STEP4 送信

作成したデータをeLTAXの無料ソフトウェアであるPCdeskなどに取り込み、電子署名を付与して送信すれば手続きは完了です。

なお、令和7年分の給与支払報告書等の様式は、令和8年1月5日(月)よりeLTAXでの送信が可能となっています。初めて利用する場合は、利用者IDの取得や電子証明書の準備に時間がかかることがあるため、早めに準備を始めることをおすすめします。

参考:eLTAX 地方税ポータルシステム

給与支払報告書の提出準備を進めましょう

給与支払報告書の提出は、年に一度の重要な手続きです。提出方法は郵送とeLTAXの2種類がありますが、郵送の場合は個人情報を含む信書として扱われるため、送達記録の残る方法を選ぶとより安全です。提出先は従業員が1月1日時点で居住する市区町村であり、提出期限は原則1月31日必着(2026年提出分は2月2日必着)です。

雇用形態にかかわらず、アルバイトやパート従業員の分も提出義務があり、これを怠ると罰則の対象となる可能性もあります。また、前々年の源泉徴収票の提出枚数が一定基準を超える事業者は、eLTAXや光ディスク等による電子申告が義務化されており、2027年からはこの基準がさらに引き下げられます。この記事で解説した郵送方法のポイント、書き方の注意点、そしてeLTAXの活用法を参考に、提出準備を滞りなく進めてください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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