• 更新日 : 2026年7月7日

新卒離職の実態とは?平均離職率・辞める理由から離職票の手続きまで解説

Point新卒離職はなぜ起きる?

大卒新卒の3年以内離職率は約3割で、採用・入社後の一貫した対策が定着のカギです。

  • 離職の主因はミスマッチと労働環境への不満
  • オンボーディングとメンター制度が定着に有効
  • 退職時は離職票など書類を2週間以内に送付

Q. 新卒の早期離職を防ぐ効果的な方法は?
A. 採用時に仕事のリアルを正直に伝え、入社後は計画的なオンボーディングと相談できる環境を整えることが効果的です。

苦労して採用した新卒社員の早期離職に、頭を悩ませる企業も多いとされます。新卒の約3割が3年以内に辞めるというデータもあり、人材の定着は優先順位の高い課題です。

新卒の離職は、辞める理由を押さえたうえで、採用前から入社後まで一貫した対策を打つことで減らしやすくなります。

本記事では、新卒社員の平均離職率や若手が早期に辞める理由を解説し、定着対策から、退職となった際の離職票などの手続きまでを紹介します。新卒の早期離職にお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

新卒の離職率は平均どれくらい?

早期離職の対策を検討する前に、まずは公的な調査データから新卒社員の離職率の全体像を把握しておくことが大切です。

ここでは、入社年次ごとの離職の傾向について解説します。

新卒入社3年以内の離職率は3割を超える

大卒新卒者の入社3年以内の離職率は、長年3割程度で推移しています。

実際に働き始めてから感じる期待とのギャップや、仕事への適性、労働条件への不満などが、この時期に表れやすいためです。

厚生労働省の調査によれば、大卒就職者の3年以内の離職率は例年およそ3割で推移しています。

参考:新規学卒就職者の離職状況|厚生労働省

業界や職種によって離職率には差があるため、自社と同業界、同職種平均との数値を比べることも有効です。

新卒の約3割は3年で辞めるという実態を前提とし、早めの定着対策を考えることが重要になります。

1年以内や2年以内の離職も少なくない

3年以内だけでなく、入社1年目や2年目での離職も一定数みられます。

職場環境への不適応や、入社前のイメージと現実とのミスマッチによるショックは、入社直後の1〜2年に表れる傾向があるためです。

とくに最初の1年を乗り越えられるかが定着の分かれ目となるケースが多く、1年未満の離職を防ぐには入社直後の手厚い支援が重要となるでしょう。

入社からの数か月を組織として丁寧に支えることが、その後の定着率につながっていきます。

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新卒の早期離職が企業に与える影響

新卒社員の早期離職は、人員が減るだけでなく、企業の経営や組織体制にさまざまな影響を及ぼします。ここでは、無視できない3つの損失について解説します。

採用や教育のコストが無駄になる

早期離職が発生する直接的な打撃として、採用や教育にかけたコストが回収できなくなることが挙げられます。

新卒一人を採用し、現場で育成するまでには、求人広告費や説明会の運営費、研修の手間といったコストがかかっているためです。

たとえば、実務で独り立ちして利益を生み出す前に辞められてしまうと、これらの投資がすべて成果に結びつかず、掛け捨てになってしまいます。

採用難が続くなかで無駄なコストを防ぐためにも、入社後の定着までを見据えた採用活動が必要になります。

既存社員の負担が増える

欠員が発生することによって、残された既存社員の業務負担が増えることも重要な影響です。

すぐに人員の補充が間に合わない場合、抜けた社員の業務を残ったメンバーでカバーしなければならず、業務量が特定の社員に偏ってしまいます。

また、新人の指導役を務めていた先輩社員が「せっかく教えた労力が無駄になった」と徒労感を抱き、モチベーションを下げてしまうケースも考えられるでしょう。

ひとりの離職が周囲の士気低下や連鎖的な退職を引き起こす可能性もあるため、残った社員へのフォローもあわせておこなう必要があります。

採用ブランドに傷がつく

早期離職が慢性的に続くと、企業の採用ブランドそのものに傷がつくリスクがあります。

現代の就職活動において、離職率の高さやネガティブな退職理由は口コミサイトやSNSなどを通じて学生間に広がりやすいためです。

すぐ辞める人が多い会社という印象が定着してしまうと、職場の評判を気にして応募先を選ぶ学生から敬遠され、次の新卒採用が難しくなる危険性があります。

中長期的な採用力を守り、安心して働ける会社という印象を築くためにも、新卒社員の定着への取り組みが求められます。

新卒社員が離職する主な理由

新卒が退職を決断する背景には、いくつかの共通した要因があります。

ここでは、仕事へのミスマッチや労働環境など、代表的な5つの理由を解説します。

仕事内容とミスマッチを起こしている

離職につながる要因として、希望していた仕事と実際の業務内容のずれが挙げられます。

採用時の説明不足や、配属後の期待とのずれが生じると、本人の働く意欲を大きく下げてしまいます。内閣府の若者の意識調査でも、初職を辞めた理由の上位に「仕事が自分に合わなかった」があがっています。

参考:就労等に関する若者の意識|内閣府

採用時に華やかな面ばかりを強調せず、地道な業務も含めてリアルに伝えたり、本人の適性を踏まえて配属先を決定したりする工夫が有効です。

入社後の役割を事前に丁寧に説明し、仕事内容を正直に伝えることが、ミスマッチの防止につながります。

労働環境に不満がある

長時間労働や休日の少なさ、賃金といった労働条件への不満も、離職の理由になります。

若年層を中心に、仕事だけでなく私生活の時間を重視し、ワークライフバランスを求める傾向が強まっているためです。

厚生労働省の雇用動向調査でも、離職理由として労働時間や休日などの条件が高い割合を占めます。残業や休日のルールを見直すだけでも、こうした不満は一定程度和らげられるでしょう。

参考:雇用動向調査|厚生労働省

法令遵守は当然のこととして、希望と違う配属への配慮や休みやすさの工夫など、働きやすい環境の整備が定着のポイントになります。

人間関係に悩んでいる

職場の人間関係の悪化や、相談相手がいないことも、新卒社員が組織を離れる理由になります。

業務上で分からないことがあっても上司や同僚に相談できず、職場で孤立してしまうと、精神的な負担が重くなるためです。

退職理由を尋ねた各種調査でも、職場の人間関係は常に上位に挙がりやすい項目です。ハラスメント防止の徹底はもちろん、上司からのこまめな声かけなど、気軽に相談できる雰囲気づくりが求められます。

風通しの良い組織風土をつくることが、人間関係を理由とした離職を減らすための土台となるでしょう。

会社の雰囲気が合わないと感じる

自身の価値観と、社風や組織カルチャーが合致しないと感じることも離職要因となります。

自分の価値観と合わない組織に長く身を置くことに対し、若手は苦痛や疎外感を感じやすいためです。

トップダウンの強い社風のなかで、自分の意見が言えないと感じてしまうケースなどが該当します。若手の意見を聞き入れて、取り入れる姿勢を示すことが対策です。

採用時のカルチャーフィットの見極めと、多様性を受け入れる組織づくりを進めることで、雰囲気の相性による離職を防げるようになるでしょう。

キャリア成長への不安がある

この会社では成長できないという不安も、若手が退職を考えるきっかけになります。

自身の成長や市場価値の向上を重視する若手が多く、社内に手本となる存在がいないと将来像を描きにくいためです。

学びの機会や挑戦できる役割が乏しい環境では、優秀な層ほど見切りをつけて、早く転職に動いてしまいます。

ロールモデルとなる先輩の姿を見せ、明確なキャリアパスと成長の機会を提供し続けることが、将来への見通しを持たせ定着につながります。

新卒を定着させる効果的な対策

早期離職を防ぐには、採用段階での見極めから入社後のフォローまで、一貫した対策を講じることが大切です。ここでは、定着に向けた5つの効果的な施策を解説します。

採用段階で正直な情報開示を行う

入社後の定着を促すには、採用段階で自社の魅力だけでなく、厳しい面も含めてありのままを伝えるRJP(リアリティ・ジョブ・プレビュー)という手法が有効です。

職務のリアルな情報を入社前に伝えておくことで、入社前後の期待のギャップを抑え、納得した状態で入社してもらえます。

具体的には、選考の段階で残業や休日出勤の実態、繁忙期の忙しさ、入社後しばらく担当する地道な業務内容などを事前に共有しましょう。

良い面だけを見せず、厳しい面まで知ったうえで入社した人材ほど長く働きやすくなるため、誠実な情報開示が長期の定着につながります。

オンボーディングを導入する

入社直後から組織になじめるよう支援する、計画的なオンボーディングの導入も必須です。

新入社員が抱きやすい、放置されているという孤立感や、業務への不安を速やかに取り除く必要があります。

最初の数か月で、受け入れ計画にもとづく段階的な業務の割り当て、定期的な面談、社内人脈づくりの支援などを行います。あらかじめ受け入れる側が役割を分担しておくことで、フォローの抜け漏れを防げます。

体系的な初期研修と継続的なフォローを行うことが、入社直後の新卒の早期離職を抑え込むポイントとなります。

メンター制度を導入する

直属の上司とは別に、年齢や社歴の近い先輩を相談役とするメンター制度の導入も効果的です。

メンター制度を導入することで、評価者である直属の上司には言いにくい業務の悩みやキャリアの不安を、気軽に相談できる体制をつくれます。厚生労働省も、人材定着の観点からメンター制度の導入を推奨しています。

参考:人材確保等支援助成金|厚生労働省

週1回や月1回など定期的に面談を設けることで、社内になじむためのサポート役として機能するでしょう。また、メンターが相談に乗りやすいよう、進め方を事前に共有しておくことも大切です。

いつでも相談できる窓口が存在することが、新卒社員の心理的な支えとなるでしょう。

評価制度を見直す

納得感があり、透明性の高い人事評価制度へ見直すことも定着を後押しします。

自身の頑張りが正当に評価されないという不満は、仕事への意欲を直接的に低下させるためです。

結果だけでなくプロセスや行動も評価対象に含め、評価基準を明確にしたうえで、1on1などで定期的なフィードバックを行います。

評価の理由がはっきりと見えることで若手は安心して挑戦できるようになるため、評価の納得感づくりが定着につながります。

キャリアアップ制度を導入する

社員の自律的なキャリア形成を支える制度を導入し、成長の機会を提供することも重要です。

この会社で成長できるという実感を持ってもらうことで、将来への不安を和らげ、外部へ目を向けるのを防げます。

具体的には、以下のような体制が挙げられます。

  • 希望部署に手を挙げられる社内公募制度
  • 資格取得の費用補助
  • 計画的なジョブローテーション など

本人の希望を聞きながら社内で挑戦できる環境を用意することで、若手の流出を防ぎ、定着を促進できるでしょう。

新卒が離職する際の手続き

定着対策を講じても退職が避けられない場合は、スムーズかつ法に則った形で手続きを進める必要があります。

ここでは、退職対応における4つのステップを解説します。

ステップ1|退職までのスケジュールを決める

退職の意思を受けたら、まず速やかに退職日を確定し、スケジュールを引くことから始めます。

業務の引き継ぎや各種手続き、有給休暇の消化を計画的かつスムーズに進めるためです。

退職日から逆算し、最終出社日、有給休暇の消化期間、業務の引き継ぎ期間を明確にした表を作り、一覧にしておくと手続きの抜け漏れを防げます。

なお、強引な引き止めは避け、余裕を持った計画と双方の合意を得ることが、退職間際のトラブルを防ぐポイントになります。

ステップ2|業務の引き継ぎを行う

次に、後任者へ漏れのない確実な業務の引き継ぎをおこないます。

退職後も業務が滞りなく回り、顧客や他部署に迷惑をかけないようにするためです。

担当業務の手順や関係者・取引先の情報、進行中の案件の状況などを整理し、引き継ぎマニュアルの作成を求めましょう。一定期間は後任者との同席でレクチャーを行うと安心です。

就業規則にも退職時の引継ぎについて定めておき、引き継ぎの完了を管理者が確認することが、円満な退職につながります。

ステップ3|社会保険・雇用保険の資格喪失手続きをおこなう

退職日の翌日以降、期限内に社会保険雇用保険の資格喪失手続きをおこないます。

これらの提出期限は法律で定められており、遅れると退職者の次の保険加入や失業給付に支障が出るためです。

健康保険・厚生年金保険の資格喪失届であれば、退職日の翌日から5日以内に年金事務所へ提出する必要があります。また、雇用保険の資格喪失手続きもあわせておこないましょう。

企業のコンプライアンスとして期限の管理を徹底し、速やかに手続きを終えるように心がけましょう。

ステップ4|退職者へ必要書類を送付する

離職票や源泉徴収票など、退職後の手続きに必要な書類を速やかに発行して送付します。

退職者がハローワークでの失業給付の手続きや、転職先での入社手続きをスムーズにおこなえるようにするため、スムーズな送付が必要です。

参考:ハローワークインターネットサービス|厚生労働省

送付する主な書類には、雇用保険被保険者離職票、源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書などがあります。

手続きが遅れると社会保険等の切り替えに支障が出るため、なるべく退職後2週間以内に必要書類を漏れなく郵送できるようにしておきましょう。


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