• 作成日 : 2026年7月7日

人事制度設計とは?3つの制度と進め方・注意点をわかりやすく解説

Point人事制度設計とは何をすることか?

人事制度設計とは、等級・評価・報酬の3つを一連の流れとして整備し、社員の役割や成果を処遇に反映するルールを作ることです。

  • 整える制度は等級・評価・報酬の3つ
  • 設計は5ステップで課題整理から始める
  • 複雑にせず公平な基準にすることが重要

Q. 人事制度設計はどのように進めればよいですか?
A. 現状の課題洗い出し→人材像の決定→等級・評価・報酬の設計→社員への説明→運用後の見直しの5ステップで進めます。

人事制度設計とは、等級・評価・報酬の基準を明確にし、社員の役割や成果を処遇に反映するためのルールを作ることです。

「評価基準が曖昧で社員に説明しづらい」「昇給や昇格の判断に納得感を持ってもらえない」といった課題を感じている場合は、人事制度を見直すことで改善できる可能性があります。

本記事では、人事制度設計で整える3つの制度と、進め方・注意点を解説します。

人事制度設計とは、社員の役割・評価・報酬のルールを作ること

人事制度設計とは、社員に任せる役割、評価の基準、給与や賞与への反映方法を見直すことです。

役割や評価基準が曖昧なままだと、同じような成果や行動でも評価者によって判断が分かれ、昇給・昇格の理由を説明しにくくなります。たとえば、店長であれば売上管理・スタッフ育成・シフト調整などを評価項目にすると、何を評価するのかが明確になります。

評価する項目を具体化しておくことで、社員も自分に求められる行動を把握しやすくなるでしょう。

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人事制度設計で整える3つの制度

人事制度設計では、役割・評価・報酬を別々に考えるのではなく、一連の流れとして設計することが大切です。どの立場に何を任せ、どの成果や行動を評価し、給与や賞与へどう反映するのかを決めておくと、制度の全体像を共有しやすくなります。

1. 等級制度|社員の役割や職位を決める

等級制度とは、社員の能力、職務内容、役割の大きさに応じて階層を分ける制度です。

一般社員、主任、課長などの階層ごとに、任せる仕事や責任範囲を定めます。課長であれば部署目標の管理や部下の育成、主任は現場の進行管理やメンバーの補助を担うのが一般的です。

等級制度は、能力を基準にする職能資格制度、職務内容を基準にする職務等級制度、役割の大きさを基準にする役割等級制度などに分けられます。

等級制度の種類や設計時の考え方を知りたい方は、関連記事もあわせてご覧ください。

2. 評価制度|成果・行動・能力の見方を決める

評価制度とは、社員の成果・行動・能力を評価する基準を決める制度です。

目標の達成度だけでなく、仕事の進め方、職務に必要なスキル、チーム内での情報共有なども評価項目として整理します。

営業職であれば、売上目標の達成率だけでなく、顧客への提案内容や商談後の情報共有も評価対象になります。評価結果は、給与・賞与・昇格を判断する重要な材料です。

あわせて、本人の強みや不足しているスキルを確認し、研修や面談の内容を考える際にも活用できます。

評価制度の種類や、自社に合う評価基準の選び方を知りたい方は、関連記事もあわせてご覧ください。

3. 報酬制度|給与・賞与・昇給の反映方法を決める

報酬制度とは、社員の等級や役割、評価結果に応じて、給与・賞与・手当の支給基準を決める制度です。

等級ごとの給与テーブルをもとに、評価結果に応じた昇給幅や賞与の算定基準を定めます。役職手当や資格手当を支給する場合は、対象者や支給条件も明確にするのが基本です。

たとえば、同じ課長職でも、部署目標の達成度や部下育成の評価によって賞与額を変える場合は、算定基準を明文化しておくと説明しやすくなります。

設計時は、同じ等級・役割の社員に説明できる基準になっているかを確認します。あわせて、賃金の支払方法や昇給に関するルールが、就業規則や賃金規程とずれていないかも確認しましょう。

報酬制度の目的や種類を詳しく知りたい方は、関連記事もあわせてご確認ください。

人事制度設計が必要になる5つのタイミング

人事制度設計を見直すタイミングは、評価や処遇の基準が現場で使いにくくなったときだけではありません。キャリアパスを説明しにくい場合や、評価結果を給与計算へ反映しにくい場合も、制度を見直すきっかけになります。以下では、具体的なタイミングを見ていきましょう。

1. 管理職ごとに評価基準がバラついている

同じ成果を出していても、管理職によって評価の理由が変わる場合は、評価基準や評価者間の認識を見直すことが重要です。

営業職を例にすると、売上目標の達成度だけを見る上司もいれば、商談記録の共有や後輩のフォローまで評価に含める上司もいます。この状態が続くと、管理職が評価の判断に迷い、社員も結果を受け止めにくくなるおそれがあります。

成果・行動・能力のうち、どの観点を見るのかを明確にし、面談で確認する内容までそろえておくことが大切です。

2. 昇給・昇格の理由を社員に説明しにくい

昇給や昇格の理由を社員に説明しづらいときは、等級や評価、処遇のつながりを見直しましょう。

基準が曖昧なままだと、同じ評価結果でも管理職によって判断が分かれ、本人にも理由を伝えにくくなりかねません。営業成績が高い社員でも、チーム管理の経験が少ない場合があります。一方で、売上は平均的でも、後輩の育成や案件管理を任せられる社員もいます。

昇格を判断する際は、成果だけでなく、次の等級で求める役割に合っているかも確認することが大切です。

等級ごとに求める役割と評価で見る内容を明確にし、昇給・昇格への反映方法を明文化しておくと、判断の根拠を示しやすくなります。

3. 若手や中途採用者が入社後のキャリアを描きにくい

若手や中途採用者が入社後のキャリアを描きにくい場合は、等級や評価基準を見直すきっかけになります。

キャリアパスを用意していても、次の等級に進む条件や評価される行動が見えなければ、社員は何に取り組めばよいか判断できません。一般社員から主任を目指す場合も、後輩の指導や担当業務の拡大、必要な研修などの条件が見えないと、面談で具体的な目標を立てにくくなります。

面談で確認する目標まで決めると、入社後に目指す方向を考えやすくなります。

4. 管理職候補や専門職のキャリアコースが見えにくい

管理職候補や専門職のキャリアコースが見えにくい際は、役割に応じたコース設計を検討しましょう。

キャリアの先が管理職だけに見えると、技術や知識を深めたい社員は、社内で目指せる役割を見つけにくくなります。

技術職であれば、チームをまとめる管理職コースのほか、専門知識を活かして設計や品質改善を担う専門職コースを設ける方法もあります。

コースを分けるだけで終わらせず、等級ごとに任せる役割、評価で見る内容、報酬への反映方法まで決めておくと、社員にキャリアの道筋を示しやすくなるでしょう。

5. 評価結果や昇給情報を給与計算へ反映しにくい

評価結果や昇給情報を給与計算へ反映しにくいときも、制度同士のつながりを見直すタイミングです。

評価シートの点数は出ているのに、昇給額や賞与額を決める段階で毎回判断に迷う状態では、処遇決定の流れを社員に説明しにくくなります。

人事制度設計では、どの等級でどの役割を担い、どの評価結果で昇給・昇格し、給与や賞与にどう反映するのかを一つの流れで整理します。

人事制度設計を進める5つのステップ

人事制度設計は、評価表や給与テーブルを作るだけでは終わりません。現場で起きている課題を整理し、会社が求める人材像に合わせて等級・評価・報酬を組み立てることが重要です。社員への説明や運用後の見直しまで含めて進めると、制度を形だけで終わらせにくくなります。

1. 評価・給与・昇格ルールの課題を洗い出す

人事制度設計を進める前に、評価・給与・昇格ルールの課題を洗い出しましょう。

評価理由への不満や部署ごとの昇格判断の違いを確認しないまま制度を作ると、運用後も同じ問題が残りやすくなります。課題を整理する際は、人事部門だけで判断せず、現場へのヒアリングやアンケートを行い、評価結果や給与水準、昇給額、昇格履歴などの人事データも確認します。

集めた課題は、等級制度・評価制度・報酬制度のどこを見直すべきかがわかるように整理することが大切です。

2. 経営方針に合わせて求める人材像を決める

課題を洗い出したあとは、経営方針に合わせて、評価や等級の基準に入れる人材像を決めましょう。

新規事業を伸ばす企業と、既存事業の安定運用を重視する企業では、評価項目に入れる行動が異なります。前者であれば、顧客の反応を見ながら改善案を出す行動、後者であれば、品質を保ちながら後輩を育成する行動などが評価項目の候補になります。

人材像が曖昧なままだと、部署ごとに評価や育成の判断が分かれ、経営方針とのつながりを説明しにくくなるでしょう。

どの行動を評価し、どの役割を任せるのかまで決めておくと、次の制度設計に進みやすくなります。

3. 等級・評価・報酬のルールを設計する

求める人材像を決めたら、等級・評価・報酬のルールに落とし込みましょう。

一般社員やリーダー、管理職などの階層ごとに任せる役割を決め、その役割を評価項目に反映します。リーダー等級で後輩育成を求めるなら、評価制度では後輩への指導や業務の引き継ぎを確認します。

さらに、評価結果を役職手当や賞与にどう反映するかまで決めておくと、役割に応じた処遇の根拠を説明しやすくなるでしょう。

4. 社員へ変更内容と評価・処遇の仕組みを説明する

等級・評価・報酬のルールを設計したあとは、変更内容を社員に説明しましょう。

新しい評価項目だけでなく、評価結果が昇給や賞与にどう反映されるのか、面談で何を確認するのかまで伝えます。説明会や個別面談で質問を受ける場を設けておくと、評価基準や処遇への認識のずれを防ぎやすくなります。

就業規則や賃金規程の変更が必要であれば、常時10人以上の労働者を使用する事業場に該当するかを確認しましょう。該当する場合は、過半数労働組合または過半数代表者への意見聴取、所轄労働基準監督署への届出、社内周知の手続きも必要です。

参考:就業規則の作成・変更・届出|厚生労働省

5. 運用後に評価結果や社員の反応を見直す

人事制度は、導入後も評価結果や面談で出た質問を確認し、現場で使われているかを見直すことが重要です。

評価結果を見る際は、部署ごとの評価分布を確認します。特定の部署に高評価が集中している場合は、管理職によって評価基準の解釈が異なっている可能性があります。評価コメントの具体性や、昇給・昇格対象者が特定の部署や職種に集中していないかもあわせて確認しましょう。

評価結果は給与や昇格を判断する材料になるだけでなく、面談で本人の課題や次の目標を確認する際にも使います。評価基準の解釈に差がある場合は評価者研修を見直し、評価項目や報酬への反映ルールが実態と合っていない場合は柔軟に修正していくことが大切です。

人事制度設計する際に意識したい3つのポイント

人事制度設計では、細かなルールを増やす前に、制度として使い続けられるかを確認することが大切です。経営方針とのつながり、現場で理解しやすい仕組み、公平に説明できる基準をそろえておくと、導入後の運用もしやすくなるでしょう。

1. 経営方針と人材要件を制度に反映する

人事制度設計では、会社が目指す事業や組織の方向性に合わせて、評価する行動や任せる役割を決めます。

事業拡大を目指すなら、新規顧客への提案や改善案を出す行動が評価対象です。品質向上を重視するなら、作業の正確性やミスを防ぐ仕組みづくりを評価に含めます。経営方針と評価項目がずれていると、会社が求める行動と現場で評価される行動が食い違いやすくなります。

どの役割を等級に入れ、どの行動を評価し、給与や賞与にどう反映するのかまで明確にしておきましょう。

2. 等級・評価・報酬のルールを複雑にしすぎない

等級・評価・報酬のルールは、現場で迷わず使える粒度に定めておきましょう。

仕組みが細かすぎると、社員は評価基準を理解しにくくなり、管理職も評価や説明に時間を取られやすくなります。たとえば、主体性、積極性、チャレンジ精神のように似た項目が並ぶと、評価者によって解釈が分かれる可能性があります。

制度を見直す際は、社員に説明できるか、管理職が面談で使えるかを基準にしましょう。実際の運用場面を想定すると、必要以上に複雑な項目を減らしやすくなります。

3. 評価・処遇の基準を明確にし、公平性や納得感を高める

評価・処遇の基準は、社員が「なぜこの評価なのか」「なぜ給与や賞与に差が出るのか」を理解できるようにしましょう。

公平性を高めるには、全員を同じものさしで見るのではなく、役割や責任に応じた基準を設けることが大切です。たとえば、一般社員と管理職では求められる成果や行動が異なるため、評価項目も分けて考える必要があります。

評価結果と給与・賞与・昇格のつながりを明確にし、新制度を導入する際は説明会や制度ガイドで社員へ周知しましょう。

また、処遇の納得感を高めるには、給与や賞与だけでなく、住宅手当や社宅制度などの福利厚生も含めて整理しておくことが大切です。

マネーフォワード クラウド福利厚生賃貸は、従業員が住む賃貸物件を会社が審査したうえで法人名義に切り替え、社宅制度の導入・運用を支援するサービスです。従業員が現在住んでいる物件でも活用でき、契約手続きや管理会社との調整なども代行してもらえるため、住宅手当から社宅制度へ移行する際の運用負担を抑えやすくなります。

人事制度の見直しにあわせて、住宅手当や社宅制度などの福利厚生を整理したい場合は、ぜひマネーフォワードまでご相談ください。


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