- 作成日 : 2026年4月17日
2026年4月改正女性活躍推進法とは?義務内容や企業の対応手順を解説
女性活躍推進法は、2026年4月の改正により、101人以上の企業で「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務化され、法律の期限も2036年まで延長されます。
- 101人以上の企業は行動計画の策定・公表が義務
- 2026年4月から賃金差異等の公表対象が拡大
- 優良企業は「えるぼし認定」で採用力を強化
従業員101人〜300人の企業において中小企業の義務は変わります。これまで選択項目だった「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が必須義務となります。
女性活躍推進法(正式名称:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は、女性が自らの意思で能力を発揮して働き続けられる社会を実現するため、企業に行動計画の策定と情報公表を義務づける法律です。2025年6月に改正法が公布され、男女間賃金差異の公表義務対象が拡大するなど、2026年4月1日から企業への要求水準がさらに高まります。
本記事では制度の概要から2026年改正の実務対応まで解説します。
目次
女性活躍推進法とは?
女性活躍推進法は、職業生活において女性の個性と能力が十分に発揮できる社会を実現するため、国・地方公共団体・事業主の責務を明確化し、一定規模以上の企業に行動計画策定などを義務づける法律です。
2016年4月に施行され、当初は2026年3月31日までの時限立法でしたが、2025年6月の改正により有効期限が2036年3月31日まで10年間延長されました
なぜ女性活躍推進法が必要なの?
日本のジェンダーギャップ指数は2025年時点で148か国中118位と低水準が続いており、女性管理職比率は約12.9%にとどまっています。スウェーデン(41.7%)・アメリカ(41.0%)・フランス(39.9%)と比較しても大きな開きがあります。
また、女性は妊娠・出産を機に離職を余儀なくされるケースが多く、長期的なキャリア形成が阻害される構造的な問題が続いてきました。こうした状況の改善を「見える化」と企業への義務づけで推進するために制定されたのが、この法律です。
参照:経済産業省における女性の職業選択に資する情報の公表及び特定事業主行動計画に基づく取組の実施状況|経済産業省
女性活躍推進法の3つの基本原則
法律は以下の3つの考え方を柱としています。
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 採用・登用の機会均等 | 採用・昇進・職種変更において性別による差別を排除し、公正な機会を保障する |
| 働き方の見直し | 長時間労働の是正や柔軟な勤務制度を通じて、女性がキャリアを継続しやすい環境を整える |
| 情報の見える化 | 企業の女性活躍状況を数値化・公開し、社会全体の意識変革と競争を促す |
関連法との違い
女性活躍推進法は、他の関連法と目的・対象が異なります。整理しておくことで実務上の混乱を防げます。
| 法律名 | 主な目的 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 女性活躍推進法 | 女性の活躍状況の把握・行動計画・情報公表の義務化 | 101人以上の企業 |
| 男女雇用機会均等法(均等法) | 採用・昇進・職種等における性差別の禁止 | すべての企業 |
| 次世代育成支援対策推進法 | 子育て支援のための職場環境整備の行動計画策定 | 101人以上の企業 |
| 男女共同参画社会基本法 | 男女共同参画社会の実現に向けた国・自治体の責務 | 国・地方公共団体が中心 |
関連記事|男女雇用機会均等法とは?禁止事項や差別・違反の具体例、企業が行うべき対策
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女性活躍推進法の対象企業と義務内容は?
女性活躍推進法では、常時雇用する労働者数に応じて義務の内容が異なります。 101人以上の企業には行動計画策定・届出・公表と情報公表の義務が課され、100人以下の企業は努力義務の対象です。
常時雇用する労働者の範囲
常時雇用する労働者数とは、雇用形態の名称にかかわらず以下のすべてを含みます。
- 期間の定めなく雇用されている者(正社員)
- 一定の期間を定めて雇用されているが、過去1年以上継続して雇用されている者
- 雇い入れの時から1年以上継続して雇用されると見込まれる者(パート・アルバイト・契約社員含む)
企業規模別の義務対応一覧
| 従業員数 | 状況把握・課題分析 | 行動計画の策定・届出・周知・公表 | 情報公表 |
|---|---|---|---|
| 101人以上 | 義務 | 義務 | 義務 |
| 100人以下 | 努力義務 | 努力義務 | 努力義務 |
企業に義務づけられる4つの取り組み
- 状況把握・課題分析
採用比率、女性管理職比率、男女の平均継続勤務年数の差異、労働時間の状況などの基礎項目を把握し、課題を分析する - 一般事業主行動計画の策定
課題解決に向けた数値目標と具体的取組内容・取組期間を盛り込んだ計画を策定する - 届出・周知・公表
策定した行動計画を労働局に届け出るとともに、社内への周知と外部への公表を行う - 情報公表
女性の活躍に関する情報を、必須項目と選択項目の中から定められた数以上を選んで公表する
2026年4月の改正で何が変わるの?
2026年4月1日の改正女性活躍推進法施行により、男女間賃金差異と女性管理職比率の情報公表義務が101人以上のすべての企業に拡大されます。2025年6月11日に改正法が公布され、2026年4月1日から段階的に施行されます。
改正前後の比較表
| 項目 | 改正前 | 2026年4月改正後 |
|---|---|---|
| 男女間賃金差異の公表義務 | 301人以上の企業 | 101人以上の企業に拡大 |
| 女性管理職比率の公表義務 | 義務なし(選択項目の一つ) | 101人以上の企業に新たに義務化 |
| プラチナえるぼし認定要件 | 既存要件のみ | ハラスメント防止措置の公表を新たに追加 |
| 法律の有効期限 | 2026年3月31日まで | 2036年3月31日まで(10年延長) |
| 100人以下の企業 | 努力義務 | 引き続き努力義務 |
301人以上の企業にも追加義務
2026年4月の改正では、101〜300人の企業への義務拡大が最も注目されますが、301人以上の企業も影響を受けます。 女性管理職比率が301人以上企業の新たな必須公表項目として追加されるため、既に男女間賃金差異を公表済みの大企業も、管理職比率の整備・公表が新たに求められます。
「男女間賃金差異」はどうやって計算・公表するのか?
男女間賃金差異は「男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の割合(%)」を算出し、全労働者・正規雇用・非正規雇用の3区分で公表します。
すべての企業が共通の算出方法を使う必要があり、独自の計算方式は認められません。これは求職者など外部の者が企業間を横並びで比較できるようにするためです。
賃金差異の算出方法
算出上の主な注意点は以下の通りです。
- 「賃金」には基本給・各種手当・賞与などを含みますが、通勤手当・退職金は除きます
- 「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の3区分での公表が必須
- 出向者の扱いは「主たる賃金を負担する企業の常用労働者」として整理する
- 算出の詳細手順は厚生労働省の「男女の賃金の差異の情報公表について」に従うことが求められます
賃金差異の公表例
【全労働者】 女性:男性 = 72.4%
【正規雇用労働者】 女性:男性 = 80.1%
【非正規雇用労働者】 女性:男性 = 94.3%
参照:女性の活躍に関する情報公表、男女賃金差異算出方法について|厚生労働省
女性管理職比率はどうやって算出・公表するの?
女性管理職比率とは、企業内の全管理職に占める女性の割合を示す指標で、「管理職に占める女性労働者の数 ÷ 管理職の総数 × 100」で算出します。
公表にあたって最も注意が必要なのは「管理職」の定義です。厚生労働省の定義によれば、管理職は一般的に課長級以上を指します。
課長級は、次のいずれかに該当する者です。
- 事業所で通常「課長」と呼ばれている者であって、その組織が2係以上からなり、もしくは、その構成員が10人以上(課長を含む)のものの長
- 同一事業所において、課長の他に呼称、構成員に関係なく、その職務の内容および責任の程度が「課長級」に相当する者(ただし一番下の職階ではないこと)
※ 通常「課長代理」や「課長補佐」については「課長級」に該当しません
企業によって職位の名称・権限が異なるため、社内定義を厚生労働省の定義と照らし合わせて整理することが必要です。
企業はどんな手順で対応すればいい?
改正女性活躍推進法への対応は、「データ収集→算出→行動計画見直し→公表」の4段階で進めるのが効率的です。
STEP 1:自社の対象規模を確認する
常時雇用する労働者数が何人かを確認し、以下のどの区分に当たるかを把握します。
| 区分 | 義務内容 |
|---|---|
| 101〜300人 | 男女間賃金差異・女性管理職比率の公表が2026年4月から新たに義務化 |
| 301人以上 | 女性管理職比率の公表が2026年4月から新たに義務化(賃金差異は既存義務) |
| 100人以下 | 努力義務(義務なし) |
STEP 2:必要なデータを収集・整理する
人事システム・賃金台帳をもとに以下の情報を収集します。
- 雇用管理区分(正規・非正規)別の在籍人数(男女別)
- 男女別の年間賃金(基本給・手当・賞与を含む。通勤手当・退職金を除く)
- 管理職の人数(男女別)
- 採用比率・平均継続勤務年数・残業時間などの基礎項目
STEP 3:算出ルールを社内で統一する
担当者や事業年度が変わっても一貫した数値が出せるよう、以下を文書化して社内ルールとして確立します。
- 「管理職」「賃金」「常時雇用労働者」の社内定義
- 出向者・パート・契約社員の算入基準
- 端数処理の方法
STEP 4:一般事業主行動計画を見直す
今回の公表義務拡大を機に、既存の一般事業主行動計画を見直します。男女間賃金差異や女性管理職比率の現状数値を踏まえ、改善に向けた数値目標と具体的取組内容を更新します。
STEP 5:女性活躍データベースに公表する
厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」に情報を登録・公表します。求職者が企業を比較・検索できるプラットフォームであるため、採用力の向上にも直結します。社外への発信として自社の採用ページや統合報告書への掲載も有効です。
STEP 6:えるぼし認定取得を検討する
情報公表の整備が完了したら、えるぼし認定の取得を検討します。
えるぼし認定・プラチナえるぼし認定とは何か?
えるぼし認定は、女性活躍推進法に基づき女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度で、1段階〜3段階の認定ランクがあります。
認定企業は「えるぼしマーク」を商品・広告・求人票等に使用でき、採用ブランディングや公共調達での優遇効果が期待できます。
えるぼし認定の5つの評価項目と基準
| 評価項目 | 基準の概要 |
|---|---|
| 採用 | 次のいずれかに該当
|
| 継続就業 | 女性の平均継続勤務年数が男性比7割以上、または女性の継続雇用率が一定水準以上 |
| 労働時間等の働き方 | 労働者1人あたりの月平均残業時間が45時間未満など |
| 管理職比率 | 管理職に占める女性比率が産業平均以上 |
| 多様なキャリアコース | 非正規から正規への転換実績、育休取得後の復職実績など |
5項目のうち満たした基準数に応じて認定段階が決まります(1~2基準:1段階、3~4基準:2段階、5基準:3段階)。
プラチナえるぼし認定とは?
えるぼし認定企業の中でも、行動計画の目標をすべて達成し、女性活躍推進の取り組みが特に優良と認められた企業に与えられる最上位の認定です。2026年の改正により、プラチナえるぼし認定の要件にハラスメント防止措置の公表が新たに追加されています。認定取得・維持を目指す企業は早めに対応を進める必要があります。
関連記事|くるみん認定とは?マークの種類や認定基準、申請方法を解説!
情報公表をしなかった場合はどうなるのか?
女性活躍推進法の義務に違反した企業には、厚生労働大臣による行動計画策定の指導・勧告が行われ、勧告に従わない場合は企業名が公表される可能性があります。
罰則は設けられていませんが、企業名公表というレピュテーションリスクと、えるぼし認定が受けられないことによる採用・調達面での不利益が実質的なペナルティとして機能します。また、情報公表が義務であるにもかかわらず未対応の場合、投資家・取引先・求職者からの信頼低下につながるリスクも無視できません。
女性活躍推進法対応を採用・経営に活かすにはどうすればよいか?
情報公表や行動計画を「義務への対処」と捉えるだけでなく、「自社の強みを可視化して外部に発信する機会」として戦略的に活用することで、採用力・組織力の向上につながります。
情報公表を採用ブランディングに活用する
求職者、特に女性求職者は就職先選びにあたって企業の女性活躍状況を重視する傾向があります。女性管理職比率・育休取得率・男女間賃金差異などの数値を自社サイトや求人票に積極的に掲載することで、採用競争力を高めることができます。
賃金差異・管理職比率の改善施策の例
情報公表で自社の課題が明確になったら、以下のような具体的施策につなげます。
| 課題 | 改善施策の例 |
|---|---|
| 女性管理職比率が低い | 管理職候補の女性に対するメンタリング制度・リーダー育成研修の実施 |
| 男女間賃金差異が大きい | 職種・職位ごとの給与水準の点検と均等化、非正規から正規への登用促進 |
| 女性の継続就業率が低い | 育児休業取得の促進・時短勤務の整備・復職後のキャリア支援 |
| 採用での女性比率が低い | 採用基準の見直し、採用広報での女性活躍事例の積極発信 |
女性活躍推進を機会として捉え、持続可能な組織へ
女性活躍推進法は2026年4月の改正により、男女間賃金格差と女性管理職比率の情報公表義務が101人以上の企業へ拡大され、2036年まで有効期限も延長されました。 対象企業は行動計画の見直し・データの算出・女性活躍データベースへの公表という実務対応を着実に進めることが求められます。えるぼし認定の取得やプラチナえるぼしへの挑戦を通じて、女性雇用推進の取り組みを採用・経営の強みとして発信していくことが、今後の持続的な組織成長につながるでしょう。
関連記事|ダイバーシティ&インクルージョンとは?事例や効果的な導入ポイント
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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