独立したばかりのエンジニアやデザイナーなどフリーランス、少人数で営む小売業や飲食業ほか、個人事業主をはじめ自ら確定申告をする立場の経営者にとって、申告を「白色のままでいくか、青色申告にするか」の決断は避けては通れない問題です。

やや煩雑なイメージのある青色申告ですが、その最大のメリットは「節税」です。ここでは、青色申告で可能になる節税効果をご紹介します。

最高65万円の特別控除

青色申告にすることによって、主に3つの節税効果があります。

まずひとつは「青色申告特別控除」です。通常は、売り上げなどの収入から必要経費を差し引いた金額に所得税が課税されますが、正規の簿記の原則に従って帳簿を記帳し貸借対照表と損益計算書を添付する青色申告をすれば、最大65万円の控除が受けられます。つまり所得から最大65万円を引いた額に課税がされるのです。特別控除された所得に課税するため、当然、所得税は少なくなります。

節税できるのは所得税だけではありません。所得税によって算出する住民税や、国民健康保険に加入している人ならば保険料の節税にもつながります。

※控除項目は、基礎控除、医療控除、扶養控除などもあります。

専従者の条件

白色申告では、家計を同一にしている配偶者や子どもなどに仕事を手伝ってもらいその報酬を支払った場合、その全額は経費としては認められず、一定の規定に従って算出される専従者控除額のみの計上となります。しかし、青色申告をして一定要件を満たせば、全額を必要経費として計上が可能です。

要件は以下の3つです。

1.青色申告者と家計を同一にする配偶者または親族であること
2.その年の12月31日で15歳以上であり、なおかつ学生ではないこと
3.その年1年間に6ヶ月以上、事業に従事していること

専従者給与の節税効果シミュレーション

事例:個人事業主の所得が800万円。配偶者が事業を手伝っており、配偶者に350万円の専従者給与を支払います。

この場合の節税効果を、青色申告をした場合と、そうでない場合で計算してみましょう。

白色申告で専従者控除を受けた場合の所得税

(所得800万-専従者控除86万-基礎控除38万)×税率20%-控除42万7,500=所得税額92万4,500円

青色申告で専従者給与を経費として計上した場合の所得税

(所得800万-専従者給与350万-基礎控除38万)×税率20%-控除42万7,500=所得税額39万6,500円

つまり、所得税だけでも92万4,500-39万6,500=55万8,000円の節税ができるわけです。

ただし、専従者給与を経費に計上すると扶養控除は受けられなくなり、配偶者は白色申告をして所得税等がかかります。一概に青色申告の専従者給与で節税ができるとはいえず、売上規模と専従者の役割、給与金額のバランスを見極めることが重要になってきます。

損失申告による赤字の繰り越しと繰り戻し

青色申告では、損失申告をすることにより赤字を3年間持ち越すことが可能です。

たとえば、2014年に年間利益80万円の赤字だったとします。

翌年に200万円の黒字であれば、年間利益を120万円(200万円-80万円)として課税することができます。

しかし、これが白色申告、あるいは前年の2014年に赤字の確定申告をしなかった場合は、2015年に黒字だった200万円全額が課税対象額となってしまいます

赤字の繰り越しは3年間続き、その間に黒字の年があっても適用されるありがたい制度なのです。

減価償却の特例

通常は、減価償却は取得金額を決められた年数によって割り、各年に損金算入する「定額法・定率法による減価償却」もしくは、「3年間の均等償却の一括償却」の2通りですが、青色申告をしている中小企業法人には減価償却の特例が認められています。

青色申告をしているという点と、資本金又は出資金が1億円以下であるという条件を満たせば、「取得金額が30万円以下」の固定資産は、取得した年に一括して損金算入ができます。

ただし、30万円以下の固定資産を複数取得した場合は、取得した年に損金算入できる上限は、300万円までとなります。

節税以外にもある青色申告のメリット

このように、節税に役に立つ青色申告ですが、それだけではありません。正規の簿記の原則に従って帳簿を付ける必要があるため、正確に経営状態を把握し今後の方針を決めたり、予定を立てたりすることができます。聡明で堅実な経営につながるのです。

白色申告も記帳が義務化された今、大きなデメリットであった記帳の手間は青色申告と白色申告で変わりがなくなってしまいました。白色申告の方は新しい年度をきっかけに、青色申告に切り替えてみてはいかがでしょうか。青色申告と白色申告の比較は「青色申告と白色申告の違い」にまとめてあります。



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