実際に青色申告が取り消しとなった場合のデメリット

青色申告のメリットは、白色申告の場合と比べ必要経費として認められる科目数・金額が多いこと、所得金額から控除される科目数・金額が多いことがあげられます。

ただし、青色申告が取り消されてしまうと、当然これらのメリットは受けることができなくなるので注意が必要です。まずは、青色申告が取り消しとなった場合におけるデメリットについて見ていきましょう。

①デメリット1:欠損金の控除繰越

青色申告のメリットの1つとして欠損金の控除があります。これは赤字が出た場合に、その赤字を9年間まで繰り越し、損益計算ができるというものです。この方法を用いれば、単年で大きな赤字を出したとしても翌年以降の黒字と損益通算でき、税金を抑えることができます。しかし、青色申告が取り消された場合、このメリットは利用することができません。
参考:国税庁:No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除

②デメリット2:優遇税制について

青色申告のメリット1つとして「青色申告特別控除」「青色事業専従者給与控除」「事業損失の3年間繰越控除」「貸倒引当金の設定」などの税制上の優遇措置を受けることができます。例えば、「青色申告特別控除」では65万円までの控除を受けることができますが、取り消しにあった場合は白色申告の扱いとなり、控除が受けられなくなってしまいます。

③デメリット3:少額減価償却資産の取得価額の損金算入

通常、10万円以上の備品・建物等固定資産を購入した場合は一括して経費計上することはできません。しかし、青色申告者の場合に限り30万円未満の固定資産まで一度に必要経費にすることができます。もちろん、青色申告が取り消された場合はこのメリットが享受できなくなります。

青色申告が取り消しとなる場合に関するQ&A

法人の青色申告の承認の取消しは、法令に掲げられている事実及び、記帳状況、改善可能性等を総合して判断されます。判断の結果、青色申告者にふさわしくない場合については、その取り消しが行われることになります。以下取り消しが適用される15項目についてまとめました。

参考:国税庁:法人の青色申告の承認の取消しについて

①Q1:帳簿書類についての開示を拒否した場合

法令によって規定される帳簿書類を税務調査に提出する際に、調査対象者である法人がその提示を拒否した場合には青色申告取り消し対象の理由に該当します。そのため、帳簿書類の提出を拒んだ場合には青色申告の承認取り消しが実施されます。

②Q2:帳簿の記載方法について法令に従わない場合

帳簿書類の備付け等については、法人は法令に則った記載方法を行わなくてはいけません。提出の際に、この法令に則っていない場合には税務署長より改正の指示が出されます。それでも、帳簿書類の訂正に従わない場合には、青色申告者としての承認が取り消されます。

③Q3:所得の隠蔽を行った場合

帳簿書類において、その事業年度の所得金額のうち隠ぺい又は仮装の事実に基づく所得金額が、総所得金額の50%に相当する金額を超えるときは青色申告者としての承認が取り消されます。例えば、総所得金額が300万円の申告に対し、別途150万円以上の所得の隠蔽があった場合にこの申告停止が適用されます。

④Q4:更生時に隠蔽を行った場合

欠損金額を減額する更正をした場合において、その事業年度の当該更正により減少した部分の欠損金額のうち隠ぺい又は仮装の事実に基づく金額が、当初の申告に係る欠損金額の50%に相当する金額を超えるときは、青色申告者としての承認が取り消されます。例えば、総所得金額が-200万円で申告し、その後更生で申告金額を-300万円にした場合、欠損金額100万円に対し、50万円以上の所得の隠蔽があった場合にこの申告停止が適用されます。

⑤Q5:帳簿への記載が不備であった場合

帳簿書類への記載等が不十分である等のため、法令の規定による推計によらなければ適正な所得金額の計算ができないと認められる状況にあるときは青色申告者の承認が取り消されます。これは、会計を理解していない初心者が会計をつけた場合におこり得るものです。記載不備の指摘を受け無いように事前に会計士等に相談するのが良いでしょう。

⑥Q6:確定申告期間後の対応

確定申告期間後の申告書又は修正申告書の提出があった場合において、これらの申告書の提出が上記②③に該当するときは青色申告者としての承認が取り消されます。これは確定申告期間内の対応と同じく、確定申告期間後にも適用されます。帳簿に不正がなければ何ら問題はありません。

⑦Q7:例外適用の場合1

上記②③に該当する場合であっても、その事業年度前7年以内の各事業年度につき、次のいずれ要件も満たし、今後適正な申告をする旨を法人からの申出等があるときは、青色申告の承認の取消しを見合わせることができます。

 1. 青色申告承認取消処分を受けていないこと。
 2. 既往の調査に係る不正所得金額又は不正欠損金額が500万円に満たないこと。

⑧Q8:追加取り消しの場合

上記②③④に該当さない時は青色申告者としての承認が取り消されます。それだけでなく過去にさかのぼり事業年度のうち最後の事業年度前7年以内の各事業年度を見直し、同じく②③④の規定に該当する場合には、過去に遡って青色申告者としての承認が取り消されます。この場合には、遡った期間の分だけ追加で税金を納める必要があります。

⑨Q9: 無申告又は期限後申告の場合

2事業年度連続して期限内に申告書の提出がなされないときは青色申告者としての承認が取り消されます。きちんと法令に則った記帳を行ったとしても、青色確定申告がなされない場合にはその対象にはなりません。毎年2月16日~3月15日が申告期限になります。忘れないように実施しましょう。

⑩Q10:例外適用の場合2

青色申告の承認の取消しをすべき事実がある場合でも、役員その他相当の権限を有する地位に就いている者が知り得なかったこともやむを得ないと認められる等、その事実の発生について特別な事情があり、かつ、再発防止のための監査体制を強化する等今後の適正な記帳及び申告が期待できる等、取消しをしないことが相当と認められるものについては青色申告の取り消しが認められます。

⑪Q11:悪質な書類作成の場合

取り消しの対象になる場合でも、二重帳簿を作成する等の方法により計画的に取引の一部を正規の帳簿に記載していない、直前の調査において申出等を行った後も引き続き取引の全部又は一部を隠ぺい又は仮装して帳簿書類を作成している、形式基準を回避するために当該基準を僅かに下回る過少申告を毎事業年度継続して行っている等、当該法人の帳簿書類の記録の状況、申告書の提出状況等からみて明らかに悪質な者に対しては青色申告者としての承認が取り消されます。

⑫Q12:電子書類上管理の場合

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律規定に基づき、電磁的記録による保存等の承認の取消しが行われた場合には、その取消しに伴い青色申告の承認の取消しを行うことができます。つまり、現在では電子的に書類が管理されているが、その電子書類で青色申告者として一度否認された場合でも、その後に再承認された場合には、この適用を書面上でも適用されることを意味します。

⑬Q13: 管財中の破産法人についての場合

法人税の確定申告や予納申告を怠った場合には青色申告の承認が取り消されます。これは上記⑨と同様ですが、管財中の破産法人については確定申告を忘れ易いのでその対象になりがちです。破産法人からみて一番デメリットが大きいのは、「欠損金の繰戻還付を受けることができなくなる」ということです。破産手続開始決定時に、この欠損金の繰戻し還付については十分すぎるほど検討していると思われますので、それ程気にする必要はないかもしれません。

⑭Q14:帳簿非作成の場合

青色申告とは複式簿記等の手法に基づいて帳簿を記載し、その記帳から正しい所得や所得税及び法人税を計算して申告することであります。そのため、そもそも帳簿をつけていない法人であった場合や単式帳簿を使用しているときは、青色申告者としての承認が取り消されます。初めて申請する場合などに起こりやすいので注意しましょう。

⑮Q15:請求書等がない場合

青色申告とは複式簿記等の手法に基づいて帳簿を記載し、その記帳から正しい所得や所得税及び法人税を計算して申告することであります。この記載の費用欄には必ず領収書が必要になります。領収書がなければその帳簿の妥当性が判断できないために否認されます。納期までに間に合わなければ⑨の適用と併せ、青色申告者としての承認が取り消されます。

まとめ

青色申告者は白色申告者に比較して税制面で様々な優遇措置を受けることができます。しかしながら、適切な書類を作成しないとその申告者として認められなくなります。場合によっては過去にさかのぼり、追加徴税に発展する可能性があります。正しく、帳簿を付け申告者として的確な処理を行うようにしましょう。



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