実際に青色申告が取り消しとなった場合のデメリット

青色申告が取り消された場合のデメリットは青色申告に認められている税金計算上の優遇措置が受けられなくなってしまうことです。
具体的には次のような措置が受けられなくなります。

デメリット1:欠損金の控除繰越

これは赤字が出た場合に、その赤字を個人の場合は3年間、法人の場合は10年間繰り越し、損益計算ができるというものです。この方法を用いれば、単年で大きな赤字を出したとしても翌年以降の黒字と損益通算でき、税金を抑えることができます。しかし、青色申告が取り消された場合、このメリットは利用することができません。
参考:国税庁:No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除

デメリット2:特別償却・税額控除

これは、一定の固定資産を取得した場合に、通常の減価償却費に加えて追加で償却ができたり、取得価額に一定の割合を乗じた金額が税金から控除される制度です。この制度は青色申告者でなければ適用できません。

デメリット3:少額減価償却資産の取得価額の損金算入

通常、10万円以上の備品・建物等固定資産を購入した場合は一括して経費計上することはできません。しかし、個人又は中小企業者等で青色申告者の場合に限り30万円未満の固定資産まで一度に経費処理することができます。もちろん、青色申告が取り消された場合はこのメリットが享受できなくなります。

デメリット4:個人事業者の優遇措置

これは、一定の場合に65万円まで事業所得から控除することができる「青色申告特別控除」や家族の給与を必要経費に算入することができる青色専従者給与などについては、青色申告者に限って認められています。

青色申告が取り消しとなる場合に関するQ&A

青色申告の承認の取消しは、法令に掲げられている事実及び、記帳状況、改善可能性等を総合して判断されます。判断の結果、青色申告者にふさわしくない場合については、その取り消しが行われることになります。以下取り消しが適用される項目についてまとめました。

参考:国税庁:法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)
   国税庁:個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)

①帳簿書類についての開示を拒否した場合

法令によって規定される帳簿書類を税務調査に提出する際に、調査対象者がその提示を拒否した場合には青色申告取り消し対象の理由に該当します。そのため、帳簿書類の提出を拒んだ場合には青色申告の承認取り消しが実施されます。

②所得の隠蔽を行った場合

当初申告の所得金額を更正された場合において更正後の所得金額のうち、隠ぺい又は仮装の事実に基づく不正所得金額が、所得金額の50%に相当する金額を超えるときは青色申告者としての承認が取り消されます。ただし不正所得金額が500万円未満の場合を除きます。例えば、更正後の所得金額が1000万円の内、不正所得金額が500万円を超える場合がこれに当たります。

③欠損金額を減額する更正をした場合

欠損金額を減額する更正をした場合において、その事業年度の当該更正により減少した部分の欠損金額のうち不正所得金額が、当初の申告に係る欠損金額の50%に相当する金額を超えるときは、青色申告者としての承認が取り消されます。例えば、欠損金額が2000万円で申告し、その後更生で欠損金額が1000万円になった場合において、減少した欠損金額1000万円の内不正欠損金額が500万円をこえる場合がこれに当たります。

④帳簿への記載が不備であった場合

帳簿書類への記載等が不十分である等のため、法令の規定による推計によらなければ適正な所得金額の計算ができないと認められる状況にあるときは青色申告者の承認が取り消されます。これは、会計を理解していない初心者が会計をつけた場合におこり得るものです。記載不備の指摘を受け無いように事前に税理士等に相談するのが良いでしょう。

⑤相当の事情がある場合

上記②③に該当する場合であっても、その事業年度前7年以内の各事業年度につき、特定の要件を満たし、今後適正な申告をする旨の申出等があるときは、青色申告の承認の取消しを見合わせることができます。

⑥無申告又は期限後申告の場合

2事業年度連続して期限内に申告書の提出がなされないときは青色申告者としての承認が取り消されます。

⑦悪質な書類作成の場合

上記②③に該当しない場合であっても、二重帳簿を作成する等の方法により計画的に取引の一部を正規の帳簿に記載していない、直前の調査において申出等を行った後も引き続き取引の全部又は一部を隠ぺい又は仮装して帳簿書類を作成している、形式基準を回避するために当該基準を僅かに下回る過少申告を毎事業年度継続して行っている等、当該法人の帳簿書類の記録の状況、申告書の提出状況等からみて明らかに悪質な者に対しては青色申告者としての承認が取り消されます。

⑧電子帳簿保存の承認の取消しと青色申告の承認の取消し

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律規定に基づき、電磁的記録による保存等の承認の取消しが行われた場合には、その取消しに伴い青色申告の承認の取消しを行うことができます。この場合には電子帳簿に代わる紙等による帳簿の備付の程度や電磁的記録の今後の出力と保存方法を検討した上で、青色申告の承認を取り消すかどうかを判断します。

⑨管財中の破産法人についての場合

確定申告や予納申告を怠った場合には青色申告の承認が取り消されます。これは上記⑤と同様ですが、管財中の破産法人については確定申告を忘れ易いのでその対象になりがちです。破産法人からみて一番デメリットが大きいのは、「欠損金の繰戻還付を受けることができなくなる」ということですので注意してください。

⑩帳簿非作成の場合

青色申告とは複式簿記の手法に基づいて帳簿を記載し、その記帳から正しい所得を計算して申告することであります。そのため、そもそも帳簿をつけていない者は青色申告者としての承認が取り消されます。初めて申請する場合などに起こりやすいので注意しましょう。

まとめ

青色申告者は白色申告者に比較して税制面で様々な優遇措置を受けることができます。しかしながら、適切な書類を作成しないとその申告者として認められなくなります。場合によっては過去にさかのぼり、追加徴税に発展する可能性があります。正しく、帳簿を付け申告者として的確な処理を行うようにしましょう。



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