青色申告の承認申請をし、税務署長より承認を受けると、青色申告特別控除が受けられます。今回は、控除の内容とそれを受けるための要件について解説します。

前提条件

青色申告制度を利用するには、不動産または事業、山林をもとに収益を生じる事業を行っていることが必要です。不動産所得とは、建物や土地の貸付け、地上権などの設定、貸付け、船舶や飛行機の貸付けなどをいいます。事業所得とは、農業や漁業を始めとして、製造業、サービス業など、事業から得られる所得をいいます。山林所得とは、木を伐採して売ったり、立木のまま売ることで生じる所得をいいます。

10万円の青色申告特別控除

10万円の青色申告特別控除を受けるためには、その年の3月15日までに、納税地の所轄税務署長に対して、青色申告承認申請書を提出し、承認を受ける必要があります。今では白色申告でも帳簿保存義務があるので、この青色申告承認申請書を提出するだけで、10万円の青色申告特別控除が受けられるというのは、大きなメリットです。したがって、基礎控除などの所得控除を受けてもなお利益が出るような場合には、青色申告承認申請書を提出するとよいでしょう。

65万円の青色申告特別控除

65万円の控除を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

・正規の簿記の原則に従って、記帳していること
・貸借対照表と損益計算書を確定申告書と一緒に出し、青色申告特別控除の適用を受ける金額を記載して、定められた申告期限内に提出すること

※平成32年の申告から、青色申告特別控除額は、原則55万円に引き下げられますが、電子帳簿保存もしくはe-taxによる電子申告を行っている場合に限り、65万円の控除が受けられます。

正規の簿記の原則

正規簿記の原則とは、網羅性、立証性、秩序性を備えた正確な会計帳簿を作成することをいいます。複式簿記であれば、これらの要件を満たします。

具体的に見てみましょう。

まずは、単式簿記(家計簿のようなもの)の場合、お金の出入りだけで管理します。

(単式簿記の具体例)
○月○日 売上  100,000円
○月○日 電気代  5,000円
○月○日 交通費  30,000円
○月○日 家賃  100,000円
○月○日 借入金 100,000円

取引が少ない場合には、これでも十分ですが、これが何百件ともなれば残高しかわからず、残高の内容が純粋な収益または借入金によるものか一目では理解できません。

そこで、複式簿記では取引があるたびに、原因と結果を記入します。

(複式簿記の具体例)
○月○日 現金 100,000円  売上  100,000円
○月○日 電気代  5,000円  現金 5,000円
○月○日 交通費  30,000円  現金 30,000円
○月○日 家賃 100,000円  現金 100,000円
○月○日 現金 100,000円  借入金 100,000円

左側の借方に資産の合計、右側の貸方に負債と純資産の合計を記入することで、取引の内容が明確になります。
青色申告制度では、複式簿記を導入することで、財政状態がしっかりと把握できるようになるため、65万円の青色申告特別控除が認められています。

なお、複式簿記で記帳をしていても、現金主義で記帳している場合には、65万円の青色申告特別控除が受けられません。現金主義とは、実際にお金が動いた時点で収益と費用を認識する会計処理です。これに対して、発生主義は、実際のお金の動きではなく、発生した時点で収益と費用を認識する会計処理です。

不動産所得の事業規模要件

青色申告制度は事業所得と不動産所得が対象になりますが、不動産所得で65万円の控除を受けられるのは「一定以上の事業規模」が必要になります。一定以上の事業規模とは、一般的に事業と言える程度の規模で行われているかどうかによって判断されます。非常に抽象的な定義のため、実務上、以下の要件を満たす場合に事業的規模として取り扱います。

・マンション、アパート等については、貸すことのできる室数が10室以上であること
・独立した一戸建ての家屋を貸す場合ついては、5棟以上はあること

今回は、単式簿記と複式簿記の違いを中心に解説しました。
会計ソフトを導入すれば、複式簿記も簡単に記帳が可能です。黒字の場合は、節税効果も高いため、会計ソフトを利用した青色申告の選択も検討してみてはいかがでしょうか。

参考:
青色申告特別控除|国税庁



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