- 更新日 : 2026年1月13日
『準確定申告』とは?やり方や期限、必要書類をわかりやすく解説
準確定申告とは、亡くなった人の所得に対して行われる確定申告を指します。この申告は、原則として相続人が連帯して行うものとされており、実務上は相続人のうち代表者が申告書を提出するケースが一般的です。自分が申告を行う必要があるかを判断するためには、誰が相続人かだけでなく、被相続人に生前の確定申告義務があったかどうかを正しく理解しておく必要があります。
また、申告期日に間に合うように、その流れや控除に必要な書類についても押さえておきましょう。今回は準確定申告の概要をはじめ、申告が必要となるケースや申告方法や提出期限、準確定申告の電子申告(e-Tax)に関する内容について解説します。
目次
死亡した方の確定申告『準確定申告』とは?
準確定申告とは、亡くなった人の生前の所得税についての確定申告です。亡くなった人の代わりに、相続人が連帯して確定申告を行うこととされており、実務上は相続人のうち代表者が申告手続きを行うのが一般的です。
他の確定申告と同様に、申告期限と納付期限があり、申告には確定申告書といくつかの添付書類が必要です。生前の所得によって、納付もしくは還付が決定し、納付が生じた場合には相続人が連帯して納付義務を負うことになります。
通常の確定申告と異なる点とは?
準確定申告には、通常の確定申告と異なる点があるため注意しましょう。
| 通常の確定申告 | 準確定申告 | |
|---|---|---|
| 申告期限 | 暦年1年間の所得税を翌年2月16日~3月15日の間(年によって異なる) | 相続の開始(死亡)を知った日の翌日から4か月以内 |
| 申告の管轄 | 本人が住民票を置いている住所の管轄税務署 | 亡くなった人の住所の管轄税務署 |
| 申告者 | 本人また代理人が行う | 相続人が連帯して行う(代表相続人による提出が可能) |
| 保険料、医療費の所得控除の対象 | 1年間に支払った金額 | 本人が亡くなった当日までに支払った金額 |
| 人的な控除(扶養控除や配偶者控除)の対象 | その年の12月31日時点での扶養の状況が対象 | 死亡日までの扶養の状況が対象 |
このように、通常の確定申告と準確定申告には、申告期限や控除対象など異なる点がみられ、間違えやすいポイントでもあるため注意が必要です。
準確定申告が必要なケース
準確定申告が必要になるのは、生前に収入を得ていた人が亡くなった場合です。申告が必要なケースには、いくつかのパターンがあります。
まず亡くなった人が自営業者やフリーランスなどで、事業収入があった場合には、準確定申告が必要です。条件は売上金から経費を差し引いた所得が生じ、各種所得控除(基礎控除48万円など)を差し引いた結果、課税所得が生じる場合に限られます。
また、不動産所得がある人や、株取引などで申告分離課税の対象となる所得がある人も申告対象となる場合があります。準確定申告は、懸賞金や賞金といった一時所得も対象となる点には注意しましょう。この場合、収入から、その収入を得るために支出した金額と特別控除額(50万円)を差し引いた結果、課税対象となる所得が生じる場合には申告が必要です。
その他、申告が必要かどうか見極めるためには、亡くなった人の収入源やどのような控除を受けていたのかなどの情報を整理しておきましょう。
準確定申告が必要となる人の条件
準確定申告は、法定相続人および包括受遺者が連帯して行う必要があります。包括受遺者とは、相続人と同一の権利義務を有する者として扱われ、被相続人の財産を包括的に承継する人を指します。被相続人に生前の確定申告義務があった場合、準確定申告が必要となります。主なケースは次のとおりです。
- 自営業者だった場合
- アルバイトや正社員で2か所以上から給与を得ていた場合
- 給与所得が2,000万円を超えていた場合
- 公的年金等の収入が400万円を超えていた場合(また年金以外の所得が20万円を超える場合)
など
準確定申告が必要とならない人の条件
生前に確定申告義務がなかった人は、原則として準確定申告は不要です。申告不要のケースは次のようになります。
- アルバイトや正社員で1かか所からのみ給与を得ており、年末調整が完了していた場合
- 相続人が相続を放棄し、その人が申告義務者に該当しない場合
- 年金受給額が400万円以下で、その他の所得が20万円以下の場合
ただし、申告が不要なケースであっても、準確定申告を行うことで税金が還付される場合があります。次のようなケースに該当する場合には、還付を受けられる可能性があるため確認しておきましょう。
- 年末調整が行われていなかった場合
- 医療費控除や寄付金控除を受ける場合
- マイホームの購入やリフォーム工事などを行っていた場合
準確定申告の必要有無を確認する方法
準確定申告の必要有無は、被相続人に生前の確定申告義務があったかどうかを基準に判断するため、国税庁のホームページ内にある「確定申告が必要な方」を確認しましょう。給与所得に応じた例示や、年金の所得控除の例示など具体的な内容が記されています。
前述のとおり、状況次第では準確定申告によって還付金が発生する場合があり、申告を行わなければ、本来受け取れるはずだった還付金を受け取ることができません。準確定申告の対象となるかどうかを、掲載される例示をもとに確認しましょう。
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準確定申告の期限
準確定申告の期限は「相続の開始を知った日の翌日から4か月以内」です。4か月の期間は月単位で計算され、起算日から4か月後の応当日の前日が期限となります。例えば、2月1日に死亡の事実を知ったとしましょう。
その場合は、翌日にあたる2月2日を起点とし、その4か月後の応当日にあたる6月2日の前日である、6月1日までに準確定申告を行う必要があります。また、納税期限も同様の条件で定められています。
もし死亡日が2月1日であっても、それを3か月後の5月1日に知った場合は、5月2日を起点として計算するため、9月1日が期限となります。(※期限日が土日・祝日の場合は、翌開庁日が期限)期限を過ぎた場合はどうなる?
準確定申告の申告期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税などの税負担が生じる可能性があります。申告時期が4か月と短いこともあり、手続きの方法に手間取るとすぐに期限を迎えてしまい、申告遅延が起きる可能性も高いです。
加算税や延滞税が発生すると、本来納める必要のなかった税負担が追加で生じることになります。相続が発生した時点で、準確定申告の必要有無を確かめるようにしましょう。
準確定申告の必要書類
準確定申告の必要書類は、通常の確定申告とほぼ同様です。亡くなった方の源泉徴収票や保険料等の支払証明書などが必要になります。
また、年金受給者の場合は、年金の支給停止後に、公的年金等の源泉徴収票が送付されます。事業所得がある場合、申告内容に合わせて青色申告決算書や収支内訳書などを提出しなければなりません。
準確定申告で必要な主な書類は、次のとおりです。
- 確定申告書
- 亡くなった人の源泉徴収票
- 亡くなった人の控除証明書
- 所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表
- (医療費控除を受ける場合)医療費控除の領収書
- (必要に応じて)委任状
もし遠方に住んでいる場合などは、申告に必要な書類を集めるだけでも時間がかかります。相続人の情報を付表に記載する「確定申告書」だけでなく、さまざまな書類を集める時間を見越して、早めに行動しましょう。
準確定申告の注意事項
準確定申告の注意事項として「相続人が複数いる場合」「所得控除の適用」「委任する場合」などが挙げられます。いずれも準確定申告を行う上で悩みやすいものばかりです。それぞれの内容について解説します。
相続人が複数いる場合
相続人が2人以上いる場合、相続人全員が連署して申告書を作成する必要はありません。実務上は、相続人の代表者が申告書を作成し、提出するのが一般的です。もし相続人全員が連署して申告書を作成する場合は、まず相続人の代表を選定し、その代表者が申告を進めます。
前述のとおり、準確定申告は申告期日が通常の確定申告よりも早いため、相続人間で役割分担や書類の準備を速やかに進める必要があります。
相続人それぞれが個別に申告書を作成する方法も考えられますが、書類準備や提出状況の管理に手間がかかり、トラブルにつながるおそれもあります。
確実に申告書を提出するためにも、相続人が複数いる場合は、代表者が1通の申告書で提出するとよいでしょう。
所得控除の適用について
準確定申告による所得控除の適用は、その年の1月1日から死亡日までの期間を対象として計算されます。生命保険料や地震保険料などの所得控除は、死亡日までに支払われたものが対象です。
また、被相続人が生前に支払った医療費は、準確定申告において医療費控除の対象となります。ただし、被相続人が入院先で亡くなった場合など、死亡日までに未払いとなっていた医療費については、被相続人自身が支払っていないため、準確定申告における医療費控除には含まれません。
一方で、被相続人と相続人が死亡時に生計を一にしており、相続人がその未払い医療費を支払った場合には、相続人の確定申告において医療費控除の対象とすることができます。
委任する場合
相続人が準確定申告の手続きを税理士に税務代理として委任する場合、税務代理権限証書が必要です。税理士は税務代理権限証書の提出がなければ、申告書の提出などの税務代理行為を正式に行うことができません。税理士法において、税務代理を行う場合には、その権限を証する書面の提出が求められているためです。
自分たちでは申告ができないと判断した場合は、専門家である税理士への委任を考えると思います。しかし、委任する判断が遅れたり、証書の必要性を知らなかったりすると、申告の遅延が起きる可能性もあるため注意が必要です。
準確定申告は電子申告が可能?
準確定申告は、通常の確定申告と同様に電子申告が可能です。平成30年以降の申告から、準確定申告についても「e-Tax」システムを利用した申告および納税が行えるようになっています。
パソコン、スマホを使えば、自分でも準確定申告ができます。ただし、必要なソフトのダウンロードや電子証明書の取得が必要であり、これらの作業が難しいと感じる場合は、電子申告を税理士に任せる方法もあります。
税理士が代理で電子申告を行う場合には、税務代理権限証書の提出が必要となりますが、一般的な私文書の委任状を別途取り交わす必要はありません。その代わりに、実務上のトラブルを防止する目的で「電子申告に係る利用者識別番号等の利用同意書」を取り交わすケースが一般的です。準確定申告の電子申告について不明な点は、税理士など専門家への相談をおすすめします。
準確定申告は事前の備えを
準確定申告は、確定申告の対象者だった人が亡くなった時に発生する申告です。申告期限が通常の確定申告より短く、必要な書類を集めるために時間をかけすぎた場合は、申告期限を過ぎてしまい、加算税や延滞税といった追加の税負担が生じる可能性があります。
いつか自分も行うかもしれない確定申告をスムーズに進めるためにも「どの人が申告対象となるのか」「どのように申告をすすめていくのか」といった点は、あらかじめ決めておくとよいでしょう。また、通常の確定申告についてさらに詳しく知りたい人は、以下のサイトをご覧ください。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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