- 更新日 : 2025年12月11日
国民健康保険に扶養はある?加入手続きの注意点も解説
日本は国民皆保険制度を採っているため、全国民に健康保険への加入を義務付けています。退職によって社会保険の資格を喪失した際や、フリーター・アルバイトで親の扶養から外れた場合、自営業の方などは国民健康保険への加入が必要です。この記事では、国民健康保険における「扶養」の扱いや、加入方法などをご紹介します。
目次
国民健康保険に扶養はある?
国民健康保険には「扶養」という考え方はありません。一般的な給与所得者が加入する社会保険には扶養制度があり、配偶者や生計を一にしている親族を扶養に入れることが可能です。
社会保険の扶養制度では追加の保険料負担は発生しませんが、国民健康保険は加入者1人1人が保険料を負担する必要があります。
また、世帯主が社会保険に加入し、他の家族が国民健康保険に加入している世帯のことを「擬制世帯」と言います。この世帯の世帯主は「擬制世帯主」として、世帯員の国民健康保険料の納付義務を負うことになるのです。
例えば、世帯主が会社で健康保険に加入しており、配偶者が国民健康保険に加入している場合は、たとえ世帯主が国民健康保険の被保険者でなくても保険料の納付義務を負います。被保険者と納付義務者が一致しない点に注意しましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
社会保険・労働保険の手続きガイド ‐入社・退職・異動編‐
入社や退職に伴う社会保険の手続きは多岐にわたり、ミスが許されません。特に厚生年金や健康保険は従業員の将来の給付や医療に直結するため、正確な処理が求められます。
手続きの不備でトラブルになる前に、本資料で社会保険・労働保険の正しい手順や必要書類を確認しておきませんか?
社会保険・労働保険の実務完全ガイド
これ1冊でしっかり網羅!社会保険および労働保険は、従業員の生活上・労働上のリスクに備えるための公的保険制度です。
本資料では社会保険・労働保険で発生する各種手続き方法を、入社・退職時や妊娠・出産時などのシーン別にまとめました。
健康保険・厚生年金保険 実務ハンドブック
健康保険・厚生年金保険の基本ルールをはじめ、手続きの仕方やよくあるミスへの対処方法について解説した実用的なガイドです。
年間業務スケジュール一覧も掲載しているので、ぜひご活用ください。
社会保険加入条件 簡単図解 ミニブック
パートやアルバイトの社会保険加入条件を、最新の法令に基づいて正しく判断できていますか?要件の確認漏れは、未加入によるトラブルや遡及徴収のリスクにつながりかねません。
本資料では、複雑な加入条件を視覚的にわかりやすく図解しています。自社の現状チェックや従業員への説明にご活用ください。
国民健康保険への加入手続き
社会保険の「被扶養者」として認定されるには、様々な条件があります。条件に該当せず扶養から外れた場合は、国民健康保険への加入が必要です。ここでは、国民健康保険への切り替え手続きの流れと必要書類をご紹介します
資格喪失証明書や扶養削除証明書を準備する
まず、社会保険の扶養から外れた事を証明する「健康保険資格喪失(被扶養者削除)証明書」を取得します。資格喪失証明書は、所管の年金事務所に申請することで取得できます。
国民健康保険への切り替えには期限があり、資格喪失証明書に記載された「扶養削除日」を起点に換算されます。資格喪失証明書を取得したら必ず扶養削除日を確認し、早めに国民健康保険への加入手続きを進めましょう。
世帯主と被扶養者から外れた方全員のマイナンバーが確認できるものを準備する
次に、世帯主と扶養から外れた方全員のマイナンバーが必要です。まずはマイナンバーカードや通知カード、個人番号通知書などを用意しましょう。国民健康保険には「擬制世帯主」という考え方があるため、申請者本人だけでなく世帯主のマイナンバーも必要になります。
なお、マイナンバーカード・通知カード・個人番号通知書などが用意できない場合は、マイナンバー入りの「住民票の写し」または「住民票記載事項証明書」で確認可能です。加入手続きを行う際に合わせて役所で取得しましょう。
申請者の本人確認ができるものを準備する
マイナンバーと合わせて、申請者本人の本人確認書類を用意しましょう。運転免許所やパスポート、マイナンバーカードなどが利用できます。マイナンバーカードを本人確認書類とした場合は、マイナンバー確認と本人確認を同時に実施することが可能です。本人確認書類は「原本」が必要なので注意しましょう。
保険料の振替用口座を準備する
最後に、保険料の納付に使われる振替用口座を用意しましょう。キャッシュカードがあれば、専用端末を利用してその場で口座振替申込手続きが完了します。市区町村によってキャッシュカードによる口座振替申込手続きができる金融機関が異なりますので、事前に確認しておくと安心です。
また、キャッシュカードによる口座振替申込手続きに対応していない金融機関や、キャッシュカードが無い場合は通帳と届出印を用意しましょう。必要書類へ記入捺印することで口座振替を申し込むことが可能です。
退職した場合の国民健康保険への加入手続き
国民皆保険制度によって、日本国民は全員健康保険への加入が義務付けられています。
そのため、退職によって社会保険の資格を喪失した場合、国民健康保険に切り替える人も少なくありません。しかし、多くの退職者が国民健康保険に切り替える一方で、人によっては社会保険の任意継続を行うケースもあります。任意継続するためには2つの条件を満たしたうえで健康保険協会への申し込みが必要です。任意継続の条件や手続き手順などをあらかじめ把握しておきましょう。
前章では、条件に該当せず被扶養者でなくなった方の、国民健康保険への加入手続きについてご説明しました。こちらでは、退職によって社会保険から国民健康保険に切り替える方の、加入手続きの流れや必要書類をご紹介します。
資格喪失証明書や扶養削除証明書を準備する(退職証明書や離職票などでも可)
扶養から外れ国民健康保険に加入する際は資格喪失証明書が必要でしたが、退職によって社会保険から国民健康保険に切り替える場合は、「退職証明書」や雇用保険の「雇用保険被保険者離職票(離職票)」など退職日がわかる書類で代替可能です。これらは退職時に会社から交付される書類です。なお、「雇用保険被保険者証」では手続きできないので注意しましょう。
扶養家族を含めた、国民健康保険に加入する方全員の健康保険資格喪失証明書
会社を退職した本人のみが国民健康保険に加入する場合は退職証明書や離職票で手続き可能ですが、扶養家族がいる場合は扶養者がこれまで加入していた健康保険の、健康保険証のコピーや資格喪失証明書が必要となります。所管の年金事務所に申請し、国民健康保険に加入する全員の資格喪失証明書を取得してください。
申請者の本人確認ができるものを準備する
次に、申請者の本人確認書類が必要です。運転免許所やパスポート、マイナンバーカードを用意しましょう。本人確認と同時にマイナンバー確認もあるので、マイナンバーカードや通知カード、個人番号通知書も合わせて用意する必要があります。なお、申請者が世帯主ではない場合は、扶養から外れて国民健康保険に加入するときと同様に、世帯主のマイナンバーも必要となるため注意しましょう。
保険料の振替用口座を準備する
最後に、振替用口座を用意しましょう。キャッシュカードがあればその場で口座振替申込手続きが完了します。無い場合は通帳と届出印が必要です。
国民健康保険に加入する際の注意点
国民皆保険制度のある日本では、全ての国民に健康保険への加入を義務付けているため、社会保険から国民健康保険への切り替えも期限が設けられています。この期限を過ぎてしまうと、保険料ならびに保険給付の面で不利益を被ることになるため、社会保険の資格を喪失したらなるべく早く国民健康保険の加入手続きを行うようにしましょう。ここでは、国民健康保険に加入する際の注意点として、加入期限に着目してご紹介します。
加入手続きは、資格喪失から14日以内に行う
国民健康保険への加入手続きは、健康保険の資格喪失から「14日以内」に行うことと国民健康保険法に定められています。これは、健康保険への未加入期間をなるべく無くすための制限と考えられます。国民健康保険への切り替えは、役所に出向いたり必要書類を用意したりする必要があるため、社会保険の資格を喪失したら速やかに国民健康保険の加入手続きを進めるようにしましょう。
14日を過ぎてしまった場合は?
国民健康保険への加入が遅れ14日を過ぎてしまった場合、何か罰則はあるのでしょうか。国民健康保険法第127条には「十万円以下の過料を科す」と罰則規定が定められていますが、14日を過ぎたからと言って、ただちにこの罰則が適用されるわけではありません。
この罰則より気を付けなければならないのが、手続き完了日まで保険給付が受けられず、医療費が全額自己負担となる点です。保険料については加入手続きを終えていなくても社会保険の資格を喪失した月からかかります。
例えば、6月10日に会社を退職した場合、24日までに国民健康保険の加入手続きを行う必要があります。手続きが遅れ、7月に入ってしまいました。その間に体調を崩し、6月27日に医療機関を受診したとします。この場合、保険料は6月分から支払う必要がありますが、6月27日の医療費は全額自己負担となります。
国民健康保険への加入が遅れてしまうと、保険給付は受けられないのに保険料だけ支払わなければいけない事態となるため、早めに加入手続きを行いましょう。
健康保険・厚生年金保険資格喪失証明書の無料テンプレート
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
必要書類や手順を把握し期限内に加入手続きを進めよう
国民健康保険における扶養の考え方や、加入手続きについてご紹介しました。日本には国民皆保険制度があるため、社会保険か国民健康保険のいずれかには必ず加入しなければなりません。会社を退職した場合や、扶養から外れた場合は国民健康保険への切り替え手続きが必要です。加入手続きには14日以内という期限が設けられており、期限を過ぎてしまうと不利益を被ってしまいます。この記事を参考に手続きの流れと必要書類を確認し、なるべく早く手続きを行うようにしましょう。
よくある質問
国民健康保険に扶養はありますか?
国民健康保険には扶養と言う考え方はありません。社会保険には扶養制度があり、条件を満たせば配偶者や両親などを扶養に入れることが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
国民健康保険に加入するうえでの注意点を教えてください
国民健康保険への加入は、社会保険の資格喪失から14日以内に行うことと定められています。期限を過ぎてしまうと、様々な不利益を被ることになるため注意しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
社会保険料(国民年金保険料)の免除制度とは
国民年金保険料は、世代・所得問わず定額です。 しかし、国民年金保険料の納付義務期間に職を失った場合や給料をカットされた場合など、保険料を納めることが厳しくなった場合に備え、「免除制度」が設けられています。 ここで注意していただきたいことです…
詳しくみる扶養控除とは?所得税から引かれる金額や条件、配偶者控除との違い
扶養控除とは、納税者に所得税法上の扶養親族がいるときに、適用される控除制度のことです。同居の有無や年齢によって、38万~63万円の控除を受けられます。適用条件や配偶者控除との違い、扶養親族が老人ホームで暮らしている場合は同居とみなすか、また…
詳しくみる厚生年金基金とは
厚生年金保険と似ているものに「厚生年金基金」というものがあります。厚生年金基金は普段聞き覚えがないため、自分が入っているのかどうかも分からない、という人も多いでしょう。そこで、今回は、厚生年金基金とは何かについて解説していきます。 厚生年金…
詳しくみる扶養手当不支給証明書とは?書き方や記入例、提出先、注意点を解説
扶養手当不支給証明書は、扶養手当制度を設けている企業が、従業員に対して扶養手当を支給していないことを証明する社内書類です。共働き世帯では、配偶者の一方が手当を受給している場合、もう一方が重複申請していないことを確認する目的で提出が求められま…
詳しくみる社会保険の定時決定・随時改定とは?概要や適用条件、重なる場合の対応を解説
定時決定と随時改定は、従業員の給与にもとづいて標準報酬月額を見直すための制度です。しかし、制度の違いや適用条件を正しく理解していないと、手続きの遅れや誤りにつながり、従業員の保険料負担や企業の信用に影響を与えます。 本記事では、両者の違いや…
詳しくみる労働保険の年度更新とは?時期や電子申請・申告書の作成方法、効率化を解説
労災保険や雇用保険の年度更新は、電子申請の導入により、効率的な申告が可能となっています。これにより、平日の日中に労働局や労働基準監督署に出向く必要がなく、休日や夜間でも自宅から申告できるようになりました。 本記事では、労働保険の年度更新につ…
詳しくみる



